臨床病態学改訂第4版
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監修 | : 佐藤良暢 |
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編集 | : 勝田逸郎/松本禎之 |
ISBN | : 978-4-524-26227-4 |
発行年月 | : 2011年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 420 |
在庫
定価5,500円(本体5,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
臨床検査技師を目指す学生を主な対象として、「医学とは何か」というところから、職務上必須となる各疾患の知識までを一冊にまとめた、初めて医学に触れる学生の導入教育に最適の一冊。臨床検査技師国家試験出題基準2010年版に対応。移植・再生医療などの最新トピックを追加したほか、臨床検査における安全管理についても解説。2色刷となって一層わかりやすくなった。
I 医学概論
1 医学とは
a.基礎医学
b.社会医学
c.臨床医学
d.医学概論
2 医学の歴史と診療・検査技術のあゆみ
a.先史時代
b.古代
c.中世
d.近世
e.現代
3 医療従事者の倫理と将来の展望
a.医療従事者
b.医療従事者の倫理
c.将来の展望
II 臨床医学入門
1 医療制度
a.医療機関
b.医療費と保険
c.公費医療
d.救急医療体制
2 患者の心理
3 健康・寿命・疾病
a.健康
b.寿命
c.疾病(疾患)
4 病因・病態の成立、予防と治療
5 症状(症候)
6 経過、転帰と予後
7 疾患の分類
8 緊急時の対応と終末期医療
a.救急医療
b.心肺蘇生法の実技
c.救急ケア・キット
d.終末期医療
III 臨床病理学総論
1 臨床検査の意義、基準値と精度管理
1 診療における臨床検査の意義
a.診察・検査・治療の流れ
b.臨床検査の種類
c.スクリーニング検査
2 基準値と正常値
a.基準値(正常値)
b.集団と個人の基準値(正常値)
c.基準値の個体間変動
d.基準値の個体内変動
e.検査の感度と特異性
f.検体の前処理と保存
3 精度管理
a.測定誤差
b.許容誤差
c.内部精度管理
d.外部精度管理
2 生体防御機構
a.非特異的機構
b.特異的機構─免疫
c.免疫担当細胞
d.B細胞系─液性免疫
e.T細胞系─細胞性免疫
f.NK系
g.感染
h.腫瘍
i.ワクチン
j.サイトカイン
k.液性抗体(Ig)の基本構造
l.アレルギー
3 病因・病態検査
1 感染症と抗体
a.ウイルス抗体
b.細菌抗体
c.真菌抗体
2 臓器特異的自己抗体(II、V型アレルギー)
a.甲状腺の自己抗体
b.膵島(ランゲルハンス島)細胞質抗体
c.内因子抗体
d.基底膜抗体
e.Acetylcholine(Ach)レセプター抗体
f.血小板抗体
g.赤血球抗体
3 臓器非特異的自己抗体(III型アレルギー)
a.抗核抗体蛍光抗体法
b.RA因子
c.抗ミトコンドリア抗体
d.抗平滑筋抗体
e.抗好中球細胞質抗体
4 血液検査
5 腫瘍マーカー
a.AFP
b.BFP
c.CEA
d.CA15─3
e.CA19─9
f.CA546
g.CA72─4
h.CA125
i.GAT
j.NCC─ST439
k.NSE
l.SCC抗原
m.CYFRA
n.PSA
o.その他
6 化学検査
a.急性相反応蛋白
b.血清蛋白
c.血清酵素
d.脂質代謝異常の指標
e.糖質代謝異常の指標
f.非蛋白窒素NPN
g.血清電解質と酸・塩基平衡
h.消化管の病態検査
i.ホルモン
7 直視診断と光学的診断
a.X線単純撮影検査
b.X線造影撮影検査
c.CT(コンピュータ断層)検査
d.MRI(磁気共鳴像)検査
e.PET検査
f.超音波(echo)検査
g.内視鏡検査
4 遺伝子、DNA診療と染色体分析
1 遺伝、染色体
2 DNAの構造・複製と、遺伝情報の転写・翻訳
3 遺伝子関連検査の基本技術
a.DNAの性質
b.DNA抽出法
c.サザンブロットハイブリダイゼーション
d.PCR、RT─PCR、リアルタイムPCR
e.DNAシークエンス法(サンガー法)
f.染色体核型分析
g.FISH法
h.アレイCGH
4 遺伝子関連検査の実際(2010年現在)
a.感染微生物の検出
b.白血病、腫瘍の診断
c.遺伝性疾患の診断
5 移植・再生医療の現状と展望
1 移植医療
a.わが国の移植医療の歴史と現状
b.拒絶反応と免疫抑制療法
2 再生医療
a.再生医療の臨床
b.多能性幹細胞を利用した再生医学
3 終わりに
6 臨床検査における医療安全システム
a.医療事故にかかわる用語の定義
b.医療事故の頻度
c.医療事故の種類
d.医療事故の原因
e.医療過誤の法律上の責任
f.医療事故と医療安全管理の歴史
g.医療安全管理の考え方
h.医療機関内の医療安全管理体制
i.重大事故への対応
j.臨床検査におけるインシデント・医療事故の実態
k.臨床検査における医療安全管理
IV 疾患各論──予防と診療
1 アレルギー性疾患
1 アレルギー性鼻炎、花粉症
2 喘息
3 食物アレルギー
4 じんま疹
5 アトピー性皮膚炎
6 アナフィラキシー
7 薬物過敏症
a.血清病
8 接触皮膚炎
2 膠原病および類縁疾患
1 全身性エリテマトーデス
2 抗リン脂質抗体症候群
3 混合性結合組織病
4 関節リウマチ
5 多発性筋炎・皮膚筋炎
6 結節性多発動脈炎
7 リウマチ熱
8 ベーチェット病
9 シェーグレン症候群
10 全身性硬化症(強皮症)
11 免疫不全症
a.原発性免疫不全症
b.続発性免疫不全症
3 感 染 症
1 ウイルス性疾患
a.呼吸器系
b.発疹性
c.出血熱
d.CNS
e.悪性腫瘍
2 リケッチア性疾患
a.発疹チフス
b.恙虫病
c.Q熱
3 クラミジア性疾患
a.オウム病
b.肺炎クラミジア感染症
c.性器クラミジアトラコマーチス感染症
4 スピロヘータ症
a.梅毒
b.ワイル病
c.鼠咬熱
d.回帰熱
e.ライム病
5 細菌性疾患
a.ペスト
b.細菌性赤痢
c.コレラ
d.腸チフス
e.カンピロバクター感染症
f.ヘリコバクター・ピロリ感染症
g.腸管出血性大腸菌感染症
h.レジオネラ症
i.百日咳
j.軟性下疳
k.淋病
l.鼠径部肉芽腫症
m.緑膿菌感染症
n.ジフテリア
o.リステリア症
p.破傷風
q.ボツリヌス食中毒
r.偽膜性大腸炎
s.ガス壊疽
t.連鎖球菌感染症
u.結核
v.ハンセン病
w.放線菌症
x.敗血症
6 真菌性疾患
a.白癬/皮膚糸状菌感染症
b.カンジダ症
c.アスペルギルス症
d.クリプトコッカス症
e.ヒストプラスマ症
f.ニューモシスチス肺炎
7 寄生虫感染症
a.原虫性疾患
b.線形虫症
c.扁形(条・吸)虫症
d.環形虫その他による疾患
4 呼吸器疾患
1 感染性肺疾患
a.細菌性肺炎
b.非結核性抗酸菌症
c.ウイルス性肺炎
d.肺真菌症
e.マイコプラズマ肺炎
f.クラミジア肺炎
g.レジオネラ肺炎
2 アレルギー性肺疾患
a.気管支喘息
3 閉塞性肺疾患
a.COPD
b.細気管支炎
4 拘束性肺疾患
a.間質性肺炎(肺線維症を含む)
b.胸郭拘束性肺疾患
5 肺循環障害
a.肺血栓塞栓症
b.原発性肺高血圧症
6 胸膜疾患
a.胸膜炎
b.気胸
7 悪性腫瘍
a.肺癌
8 その他
a.過換気症候群
b.サルコイドーシス
9 睡眠時無呼吸
5 血液疾患
1 赤血球系の疾患
a.貧血
b.骨髄異形成症候群
c.赤血球増加症(多血症)
2 白血球系の疾患
[白血病]
a.急性白血病
b.慢性白血病
c.骨髄増殖性疾患
d.骨髄腫
e.悪性リンパ腫
3 出血性疾患
a.血管の異常による出血性疾患
b.血小板の異常による出血性疾患
c.凝固異常による出血性疾患
4 血栓性疾患
a.先天性血栓性疾患
b.後天性血栓性疾患
6 循環器疾患
1 先天性心疾患
a.心房中隔欠損症
b.心室中隔欠損症
c.動脈管(Botallo管)開存症
d.ファロー四徴症
e.その他の先天性心疾患
2 リウマチ熱
3 後天性弁膜症
a.僧帽弁狭窄症
b.僧帽弁閉鎖不全症
c.大動脈弁狭窄症
d.大動脈弁閉鎖不全症
4 細菌性心内膜炎
5 高血圧症
6 動脈硬化症
7 虚血性心疾患
a.狭心症
b.心筋梗塞
8 特発性心筋症
a.肥大型心筋症
b.拡張型心筋症
9 心不全
10 循環虚脱(ショック)
11 不整脈
12 解離性大動脈瘤
7 泌尿器・男性生殖器疾患
1 糸球体腎炎
a.急性糸球体腎炎(急性腎炎症候群)
b.急速進行性糸球体腎炎(急速進行性腎炎症候群)
c.再発性、持続性血尿
d.慢性糸球体腎炎(慢性腎炎症候群)
e.ネフローゼ症候群
2 尿細管性アシドーシス
3 腎・尿路感染症
4 腎・尿路結石症
5 腎不全と尿毒症
a.急性腎不全
b.慢性腎不全
6 腎腫瘍
7 膀胱癌
8 前立腺肥大症
9 排尿困難・排尿障害
a.排尿困難
b.排尿障害
10 尿失禁
11 前立腺癌
12 精巣腫瘍
8 女性生殖器疾患
1 月経周期
2 子宮癌
a.子宮頸癌
b.子宮体癌
3 子宮内膜炎
4 子宮内膜症/子宮腺筋症
5 子宮筋腫
6 卵巣癌
7 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
8 乳癌
9 消化器疾患
1 炎症性疾患
a.食道炎
b.胃炎
c.感染性腸炎
d.潰瘍性大腸炎
e.クローン病
f.腸結核
2 消化性潰瘍
a.胃・十二指腸潰瘍
b.Zollinger─Ellison症候群
3 腸閉塞(イレウス)
4 過敏性腸症候群
5 悪性腫瘍
a.口腔咽頭部の癌
b.食道癌
c.胃癌
d.大腸癌
e.大腸ポリープ
10 肝・胆・膵疾患
1 肝炎(急性、慢性、ウイルス性、劇症)
a.急性ウイルス性肝炎
b.慢性肝炎
c.劇症肝炎
2 肝硬変
3 肝癌
4 自己免疫性肝疾患
a.自己免疫性肝炎
b.原発性胆汁性肝硬変
5 脂肪肝
a.非アルコール性脂肪肝
b.アルコール性肝疾患
6 胆石症
7 胆嚢炎/胆管炎
8 膵炎
a.急性膵炎
b.慢性膵炎
9 自己免疫性膵炎
10 膵癌
11 インスリノーマ
12 ガストリノーマ
11 内分泌疾患
1 視床下部─下垂体
1─1 下垂体前葉
a.巨人症、先端巨大症
b.プロラクチン産生腫瘍
c.思春期早発症
d.成長ホルモン分泌不全性低身長症
e.下垂体前葉機能低下症
1─2 下垂体後葉
a.尿崩症
2 甲状腺
a.甲状腺機能亢進症
b.甲状腺機能低下症
c.亜急性甲状腺炎
d.慢性甲状腺炎(橋本病)
e.甲状腺癌
3 副甲状腺
a.副甲状腺機能亢進症
b.副甲状腺機能低下症
4 副腎皮質
a.Cushing症候群
b.原発性アルドステロン症
c.副腎性器症候群
d.Addison病
5 副腎髄質
a.褐色細胞腫
6 性腺
a.性腺機能低下症
7 その他
a.カルチノイド
12 代謝栄養疾患
1 先天性代謝異常症
a.フェニルケトン尿症
b.チロシン血症
c.アルカプトン尿症
d.ホモシスチン尿症
e.メープルシロップ尿症
f.ポルフィリン症
g.ゴーシェ病
h.ニーマン・ピック病
i.糖原病
j.ウィルソン病
2 糖尿病
3 痛風
4 その他の疾患
a.アミロイドーシス
5 ビタミン欠乏症・過剰症
a.ビタミン欠乏症
b.ビタミン過剰症
13 脳神経・運動器(筋)疾患
1 脳血管障害
a.脳梗塞
b.一過性脳虚血発作
c.頭蓋内出血
2 感染性疾患
a.脳炎
b.髄膜炎
c.遅発性ウイルス感染症
d.プリオン病
3 脳腫瘍
4 水頭症
5 脱髄性疾患
a.多発性硬化症
6 神経変性疾患
a.アルツハイマー病
b.パーキンソン病
c.脊髄小脳変性症
d.多系統萎縮症
e.筋萎縮性側索硬化症
f.ハンチントン病
7 末梢神経障害
a.ギラン・バレー症候群
b.慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー
c.末梢性顔面神経麻痺
8 筋疾患
a.進行性筋ジストロフィー
b.Duchenne型ジストロフィー
c.筋強直性ジストロフィー
d.多発性筋炎、皮膚筋炎
e.周期性四肢麻痺
f.重症筋無力症
9 機能性発作性疾患
a.てんかん
b.ナルコレプシー
c.Meniere病
d.三叉神経痛
e.頭痛
f.片側顔面けいれん
14 感覚器・精神疾患
1 感覚器疾患
a.赤緑色盲
b.白内障
c.緑内障
d.加齢黄斑変性
e.網膜剥離
f.急性中耳炎
g.慢性中耳炎
h.滲出性中耳炎
i.乾癬
j.掌蹠膿疱症
k.尋常性座瘡
l.ウイルス性疣贅
m.毛包性膿皮症
2 精神疾患
a.心身症
b.身体表現性障害
c.双極性障害
d.統合失調症
15 環境医学と中毒症
1 一酸化炭素中毒
2 大気汚染物質
a.オキシダント
b.亜硫酸ガス
c.窒素酸化物
d.シンナー
3 重金属中毒
a.カドミウム中毒
b.鉛中毒
c.有機水銀中毒
d.無機水銀中毒
e.スズ中毒
4 ヒ素中毒
5 自然毒中毒
a.フグ
b.毒キノコ
c.青酸
6 薬物中毒
a.麻薬・覚せい剤
b.睡眠薬・抗精神病薬中毒
c.ジギタリス中毒
d.アルコール中毒
7 農薬中毒
a.有機リン中毒
b.パラコート中毒
8 内分泌攪乱化学物質
a.医薬品
b.植物性エストロゲン
c.有機塩素系殺虫剤
d.ビフェニル
e.アルキルフェノール類
f.人体への影響
9 エアロゾル
〈付録〉
SELF ASSESSMENT─Reversed CPC 病態解析演習
索引
21世紀以後は国際的にも少子高齢化社会の時代、宇宙の時代、こころ(脳)の時代あるいは予防医学の時代といわれる。最新文献的研究成果に基づく、患者個々の全人(心身一体)医療実践の中で、医人のみならず万人にとってある種の意識改革を必要とするほどの高水準化、高人格化が求められている。
自らを顧みず、相手の身になりきって考え行動することを「恕」という。患者への共感心(compassion)の極、医の原点である「愛」と同義語である。精神免疫(こころの支え)としての「恕」と良心(conscience)、すなわち「宗教心」と、それも内包したヒト遺伝子プログラムや全宇宙を統括する「真理」(擬人的にこれは神、仏あるいは他力とも呼ばれる)への畏敬、帰命、追求(真理コードの解読が「科学」)の心(spirit)(擬人的に換言すれば「信仰と祈り」)の有無が、有意差をもって余命を左右することが、最近米国で次々とEBM(evidencebased medicine)データとして報告されている。
難解と思われがちな膨大量の最先端医学を、疾病のプロセス(病態)を楽しみながら理解できるよう解説し、誰もが正確に自分の知識とできるよう全科的にまとめた最新医療入門書が今までになかった。今回私どもは、21世紀国際レベルの新カリキュラム実施を契機として、医学概論、臨床病理学主軸の基礎・臨床医学全科を主内容とした『臨床病態学改訂第4版』を著わした。本書はまた単に上記のレクチュア、病院臨床実習や卒後の臨床現場でのマニュアル、あるいは巻末の演習や工夫された索引による自己チェックで自信(confidence)もできる国家試験実力養成書としてだけでなく、現今の予防医学・健康増進時代における生涯教育コースも含めたセミナーや第一、第二の人生門出のプレゼント、大学一般教養テキスト用、医・歯・薬・栄養・理・工その他全学部、学科における先端予防・全人医学入門書としても役立つよう編集されている。全科疾患の病態把握は実地医家の日常診療にも欠かせない。
“最新医学のすべてを平易なことばで”をモットーとして1988年春に誕生した本書が、毎年増刷を重ね、新鋭の編集・執筆者による大改訂新版を出版することで、今求められている高度の水準と人格を備えた真に実力(competence)のある国際医療人を生み出し、患者の身になったEBM行動と現場のニーズに十二分に応えることができるようになれば、私どもの企図が大方叶えられたことになる。どうか意のあるところを多とされ、上記目的達成のために本書を縦横に活用して戴きたい。と同時に、今後共諸賢の御叱正を得て、将来共に十分批判に堪えうる決定版に仕上げていきたいと、編集・執筆陣あげて念願している。尚一層のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げ、序にかえさせて戴きたい。
2011年早春
監修者