教科書

Ross組織学原書第7版

監訳 : 内山安男/相磯貞和
: Wojciech Pawlina
ISBN : 978-4-524-25929-8
発行年月 : 2019年4月
判型 : A4変型
ページ数 : 1006

在庫あり

定価10,120円(本体9,200円 + 税)

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  • 主要目次
  • 序文

原書『HISTOLOGY』(Ross・Pawlina著)は、医学生や歯学生向けの組織学のテキストとして世界的なベストセラーとなっている。美しく染色された組織の光学顕微鏡写真が、750点以上の図とともに全章にわたって大きく掲載されている。本文では基礎的事項の詳細な解説はもちろん、臨床に関連する内容も豊富に盛り込まれている。今版では、各章の要点をまとめた項目”HISTOLOGY 101”が新たに加わり、読者の効率的な学習を助けている。

はじめに
謝辞
監訳者序文
1 方法
 1.組織学に用いる方法の概要
 2.組織の前処理
 3.組織化学法と細胞化学法
 4.顕微鏡観察(検鏡)
2 核以外の細胞構造
 1.細胞と細胞質の概要
 2.膜を持つオルガネラ
 3.膜を持たないオルガネラ
 4.封入体
 5.細胞質マトリックス
3 細胞核
 1.核の概要
 2.核の成分
 3.細胞の更新
 4.細胞周期
 5.細胞死
4 組織:概念と分類
 1.組織の概要
 2.上皮
 3.結合組織
 4.筋組織
 5.神経組織
 6.組織形成
 7.組織の同定
5 上皮組織
 1.上皮の構造と機能の概要
 2.上皮の分類
 3.細胞極性
 4.頂上領域とそれが変化した構造
 5.外側領域とその細胞間接着のための特殊化
 6.基底領域とその細胞・細胞外マトリックス接着における特殊化
 7.腺
 8.上皮細胞の更新
6 結合組織
 1.結合組織の概要
 2.胎児性結合組織
 3.本来の結合組織
 4.結合組織の線維
 5.細胞外マトリックス
 6.結合組織の細胞
7 軟骨組織
 1.軟骨の概要
 2.ガラス軟骨
 3.弾性軟骨
 4.線維軟骨
 5.軟骨の形成と成長
 6.ガラス軟骨の修復
8 骨組織
 1.骨の概要
 2.骨の一般構造
 3.骨組織の種類
 4.骨組織にみられる細胞
 5.骨形成
 6.生物学的石灰化とマトリックス小胞
 7.骨の生理学的機能
 8.骨修復の生物学
9 脂肪組織
 1.脂肪組織の概要
 2.白色脂肪組織
 3.褐色脂肪組織
 4.脂肪組織の分化転換
10 血液
 1.血液の概要
 2.血漿
 3.赤血球
 4.白血球
 5.血小板
 6.全血(液)算定
 7.血液細胞の産生(造血)
 8.骨髄
11 筋組織
 1.筋組織の概要と分類
 2.骨格筋
 3.心筋
 4.平滑筋
12 神経組織
 1.神経系の概要
 2.神経組織の構成
 3.ニューロン(神経細胞)
 4.神経系の支持細胞:グリア
 5.神経組織の起源
 6.末梢神経系の構成
 7.自律神経系の構成
 8.中枢神経系の構成
 9.傷害に対するニューロンの反応
13 心血管系
 1.心血管系の概要
 2.心臓
 3.動静脈の一般構造
 4.動脈
 5.毛細血管
 6.動静脈短絡路
 7.静脈
 8.非定型的な血管
 9.リンパ管
14 リンパ系
 1.リンパ系の概要
 2.リンパ系の細胞
 3.リンパ組織および器官
15 外皮系
 1.外皮系の概要
 2.皮膚の層構造
 3.表皮の細胞
 4.皮膚の構造
16 消化器系I:口腔とその関連構造
 1.消化器系の概要
 2.口腔
 3.舌
 4.歯とその支持組織
 5.唾液腺
17 消化器系II:食道,胃と腸
 1.消化管の概要
 2.食道
 3.胃
 4.小腸
 5.大腸
18 消化器系III:肝臓,胆嚢,膵臓
 1.肝臓
 2.胆嚢
 3.膵臓
19 呼吸器系
 1.呼吸器系の概要
 2.鼻腔
 3.咽頭
 4.喉頭
 5.気管
 6.気管支
 7.細気管支
 8.肺胞
 9.血液循環
 10.リンパ管
 11.神経
20 泌尿器系
 1.泌尿器系の概要
 2.腎臓の基本構造
 3.腎尿細管の機能
 4.間質細胞
 5.腎臓の組織生理学
 6.血液供給
 7.リンパ管
 8.神経支配
 9.尿管,膀胱および尿道
21 内分泌系
 1.内分泌系の概要
 2.下垂体
 3.視床下部
 4.松果体
 5.甲状腺
 6.上皮小体(副甲状腺)
 7.副腎
22 男性生殖器系
 1.男性生殖器系の概要
 2.精巣
 3.精子形成(精子発生)
 4.精細管
 5.精巣内導管
 6.排出導管系
 7.付属生殖腺
 8.前立腺
 9.精液
 10.陰茎
23 女性生殖器系
 1.女性生殖器系の概要
 2.卵巣
 3.卵管
 4.子宮
 5.胎盤
 6.腟
 7.外生殖器
 8.乳腺
24 眼
 1.眼の概要
 2.眼球の全体像
 3.眼球および付属器の微細構造
25 耳
 1.耳の概要
 2.外耳
 3.中耳
 4.内耳
索引

監訳者序文

 本書の第5版を翻訳出版して8年が過ぎた。私たちが翻訳にあたって新鮮に感じたことは、Rossの従来の組織学に加え、組織細胞の理解を進めるための分子細胞生物学的な説明がなされ、さらに疾患の説明も分子レベルで行われていること、また非常に見事な図説が掲載されていることである。『Ross組織学』の制作過程には、多くの人々が関わっている。学生も含め、さまざまな分野の人たちの意見を聞いて教科書の制作に役立てている。教科書を制作するこの姿勢は、今回の第7版においても全く同様である。
 原書第5版が翻訳出版された2010年には、Ross博士はすでに逝去されていた。Michael H.Rossは1930年にジャマイカで生まれ、ニューヨークで育ち高校を出た。その後、ペンシルベニアの大学を卒業後、修士課程、博士課程(1960年)をNew York大学(NYU)の生物学で修了した。NYUの医学部で研究と教育を10年間経験した後、Florida大学医学部病理学講座の解剖科学の主任教授として働き、最先端の研究と教育の講座として解剖学教室(現在は解剖学細胞生物学講座)を新たに立ち上げた(1976年)。彼は電子顕微鏡分野のみならず、共焦点レーザー顕微鏡をはじめイメージング分野で大きな貢献をなした。1996年に退職するまでFlorida大学で主任教授を務めた。Ross博士は、1985年にこれまでの教科書から発展した形でHistology:A Text and Atlasの初版を出版し、2010年までの25年間で5版まで改訂した。Ross博士が亡くなったことを受け、本書はWojciech Pawlina博士に引き継がれた。
 いわゆる組織学は、私たちの身体を構成する組織細胞の正常編である。本来、学生に正常な構造を理解させるのは大変難しいことである。肉眼解剖の実習では、しばしば臓器、筋、神経、血管の異常なあり方(変異)を経験する。この変異、たとえば異常の出現頻度や走行の違い(頻度)などを追求するとともに、発生学的な知識とを組み合わせることで、異常の成り立ちを理解することができる。異常を知ることで正常を理解する。さらに、医学・生物学に関する情報量の増加によって、解剖学/組織学の講義と実習の時間は医学全体の中で急速に減少している。これに伴い、教育技法の重要さも指摘されるようになってきた。本書はこの観点から、適切な臨床例を各章で引用することで、正常な構造の理解につなげている。著者が指摘するように、本書の構成で一番大切にされている点は、学生の意見である。確かにこれは教育効果を上げるための最大のポイントと思われる。学生の理解を得やすいように随所で適切な臨床例を引用することで、正常な構造の理解につなげている。本書の基本的な構成は、初めの12のCHPTERが総論にあたり、かなり細分化してまとめられている。CHAPTER13〜25が各論にあたり、各器官の組織学に関する章となる。
 細胞と組織の成り立ちを従来の総論に相当する部分で扱い、分子レベルでの解説、非常にわかりやすい図解、定型的な光学および電子顕微鏡像に加え、高画質の顕微鏡像、免疫組織細胞化学的アプローチをふんだんに使って説明している。各論論部分では、各器官の肉眼レベルで、の構造と簡潔な発生学的な背景を説明し、器官の顕微鏡レベルの特徴を写真と模式図で的確にわかりやすく解説している。全章を通して新たに導入入された項目がいくつかある。その第1はFOLDERで、ここで臨床関連事項や分子レベルの新たな知見を説明している。これによってそのCHAPTERの特徴的な事象をより明確に理解できるよう意図されており、学生がそれぞれの特徴を理解するのに十分なモチベーシヨンを持つことが可能となる。第2は、HISTOLOGY101として、アトラスページの前にそのCHAPTERの簡潔なまとめを付している点だ。これは、学生が試験前に知識を整理するのに役立つことを狙っている。CHAPTER末尾のアトラスページも、説明に役立つ標識を十分に使ってわかりやすい解説に努めている。本書は、医学、歯学、健康科学(わが国でいうと医科学、獣医学、薬学、理学、工学系の生物学)の学生に向けた教科書である。しかし、本書の内容を詳細に監修してみると、大学院、専門分野に入った若き研究者にも十分に利用してもらえる内容であることがわかる。
 翻訳にあたって、極力、適切で平易な文章になるように心掛けた。用語は解剖学用語集に準拠した。しかし、原文の意味するところに適切な訳をつけられない場合、あるいは明らかに説明の不足している箇所などには、読者の理解を深めるべく訳注を付けた。訳者はすべて、解剖学/細胞生物学の分野の第一線で研究と教育に活躍されている方々であり、訳注も最新の知見に基づくものばかりである。しかし、いまだ訳の不備な点もあろうかと思われる。読者の方々の忌憚のないご意見を受けられれば幸甚である。最後に、翻訳を進めるにあたっては南江堂の宮下直紀氏と上田美野里氏に大変助けられた。ここに感謝します。

2019年2月
監訳者