教科書

看護学テキストNiCE

ヘルスアセスメント〈Web動画付〉改訂第2版

臨床実践能力を高める

編集 : 三上れつ/小松万喜子
ISBN : 978-4-524-25748-5
発行年月 : 2017年10月
判型 : B5
ページ数 : 270

在庫あり

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「ヘルスアセスメント」は看護過程の要であり、個々に合った看護ケアに欠かせない。人体の構造・機能といった基礎的知識や診査手順・方法を、図表や写真を多数用いて根拠をもって解説。フィジカルアセスメントの実演動画を新たにWeb掲載とし、再生・視聴が容易に。心理社会的側面のアセスメントについても、必要な中範囲理論を含めてわかりやすく解説し、看護実践能力を高める一冊。

第I章 ヘルスアセスメントの概要
 1.看護過程とヘルスアセスメント
  A.看護過程におけるアセスメントの重要性
  B.ヘルスアセスメントとは
  C.情報収集と看護データベース
  D.倫理的配慮
 2.ヘルスアセスメントの基本技術(面接・問診,観察,測定,身体診査,記録)
  A.面接・問診
  B.観察
  C.測定
  D.身体診査
  E.記録
 3.アセスメントの具体的な進め方
  A.アセスメントに不可欠な思考
  B.アセスメントの具体例
  C.看護過程の具体例
  D.フィジカルアセスメントの事例
  E.ヘルスアセスメントと評価
第II章 対象を理解するための系統的アセスメント−ゴードンの機能的健康パターンに沿って
 1.身体的側面のアセスメント
  A.栄養-代謝
  B.排泄
  C.活動-運動
  D.睡眠-休息
  E.認知-知覚
  F.セクシュアリティ-生殖
 2.心理社会的側面のアセスメント
  A.健康知覚-健康管理
  B.自己知覚-自己概念
  C.価値-信念
  D.役割-関係
  E.コーピング-ストレス耐性
 3.背景となる理論
  3-1 健康信念モデル,計画的行動理論
  3-2 病みの軌跡
  3-3 自己効力感
  3-4 自己概念
  3-5 自尊感情(自尊心)
  3-6 役割理論
  3-7 発達理論
  3-8 家族看護学で用いられる諸理論
  3-9 悲嘆過程
  3-10 ストレス・コーピング理論,危機理論
  3-11 レジリエンス
 4.対象を理解するための系統的アセスメント−事例
  A.情報とアセスメント
  B.事例
第III章 フィジカルアセスメント
 1.フィジカルアセスメント総論
  A.フィジカルイグザミネーションの基本手技
  B.バイタルサインズの測定とアセスメント
 2.外皮系
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 3.特殊感覚(眼,耳,鼻,舌)
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 4.筋・骨格系
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 5.神経系
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 6.呼吸器系
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 7.循環器系
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 8.消化器系
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 9.腎・泌尿器系,男性生殖器
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 10.女性生殖器
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
 11.乳房
  A.基礎知識
  B.アセスメント方法
索引

〔動画タイトル一覧〕
1.フィジカルアセスメント総論 【03:51】
 動画1-1 患者への説明と同意の確認 【00:27】(p.96)
 動画1-2 肋骨と肋間のさがしかた前胸部 【00:51】(p.177)
 動画1-3 背部のみかた 【01:21】(p.177)
 動画1-4 腹部の触診 【00:23】(p.101)
 動画1-5 打診の方法 【00:30】(p.103)
 動画1-6 打腱器の使い方 【00:19】(p.103)
2.外皮系 【00:36】
 動画2-1 全身,皮膚のアセスメント 【00:36】(p.121,122,195)
3.特殊感覚 【01:06】
 動画3-1 眼の検査(1)瞳孔の計測 【00:18】(p.134)
 動画3-2 眼の検査(2)眼底検査 【00:48】(p.134)
4.筋・骨格系 【01:36】
 動画4-1 関節可動域股関節 【01:36】(p.155)
5.神経系 【07:24】
 動画5-1 知覚検査(1)触覚 【00:26】(p.167)
 動画5-2 知覚検査(2)痛覚 【00:43】(p.167)
 動画5-3 知覚検査(3)温度覚 【00:35】(p.167)
 動画5-4 知覚検査(4)振動覚 【00:30】(p.168)
 動画5-5 知覚検査(5)位置覚 【00:33】(p.168)
 動画5-6 知覚検査(6)立体認知 【00:29】(p.168)
 動画5-7 知覚検査(7)書字覚 【00:30】(p.168)
 動画5-8 知覚検査(8)二点識別覚 【00:48】(p.169)
 動画5-9 膝打ち試験 【00:17】(p.171)
 動画5-10 踵-脛試験 【00:23】(p.171)
 動画5-11 対光反射 【00:23】(p.172)
 動画5-12 上腕二頭筋反射 【00:12】(p.173)
 動画5-13 上腕三頭筋反射 【00:09】(p.173)
 動画5-14 腕橈骨筋反射 【00:08】(p.173)
 動画5-15 膝蓋腱反射 【00:07】(p.173)
 動画5-16 アキレス腱反射 【00:08】(p.173)
 動画5-17 腹壁反射 【00:26】(p.174)
 動画5-18 バビンスキー反射 【00:13】(p.174)
 動画5-19 クローヌス 【00:24】(p.174)
6.呼吸器系 【08:18】
 動画6-1 触診(1)胸郭拡張前胸部 【00:33】(p.181)
 動画6-2 触診(2)胸郭拡張背部 【00:26】(p.181)
 動画6-3 触診(3)音声伝導 【00:45】(p.182)
 動画6-4 打診(1)前胸部 【00:43】(p.183)
 動画6-5 打診(2)側胸部 【00:20】(p.183)
 動画6-6 打診(3)背部 【00:41】(p.183)
 動画6-7 打診(4)横隔膜可動域 【00:55】(p.184)
 動画6-8 聴診(1)前胸部 【02:06】(p.186)
 動画6-9 聴診(2)側胸部 【00:44】(p.186)
 動画6-10 聴診(3)背部 【01:05】(p.186)
7.循環器系 【07:50】
 動画7-1 動脈の触知 【02:10】(p.194)
 動画7-2 頸静脈の拍動の視診 【01:08】(p.196)
 動画7-3 心臓の振動(スリル)の触診 【00:24】(p.197)
 動画7-4 心尖拍動の視診・触診 【01:14】(p.198)
 動画7-5 リンパ節の触診(頸部から腋窩) 【02:12】(p.200)
 動画7-6 心音の聴診 【00:42】(p.203)
8.消化器系 【04:34】
 動画8-1 腹部全体の視診 【00:18】(p.223)
 動画8-2 聴診(1)腸蠕動音 【00:24】(p.223)
 動画8-3 聴診(2)血流音 【00:49】(p.204,224)
 動画8-4 打診(1)腹部全体 【00:19】(p.225)
 動画8-5 打診(2)肝臓垂直範囲の濁音の測定 【00:42】(p.225)
 動画8-6 腹水のみかた 【00:20】(p.227)
 動画8-7 触診(1)腸管 【00:34】(p.228)
 動画8-8 触診(2)肝臓 【00:34】(p.229)
 動画8-9 触診(3)脾臓 【00:34】(p.229)
9.腎・泌尿器系 【00:52】
 動画9-1 腎臓の触診 【00:32】(p.237)
 動画9-2 腎臓の打診 【00:20】(p.238)
10.乳房 【01:19】
 動画10-1 乳房の触診 【01:02】(p.249)
 動画10-2 乳汁分泌 【00:17】(p.251)
11.聴診音 【06:55】
 動画11-1 正常な心音(1)I音>II音 【00:29】(p.203)
 動画11-2 正常な心音(2)I音<II音 【00:27】(p.203)
 動画11-3 異常な心音(1)III音:うっ血性心不全 【00:31】(p.203)
 動画11-4 異常な心音(2)IV音:初期急性心筋梗塞 【00:35】(p.203)
 動画11-5 正常な肺音(1)肺胞呼吸音 【00:36】(p.185)
 動画11-6 正常な肺音(2)気管支呼吸音 【00:37】(p.185)
 動画11-7 異常な肺音(1)笛声音:気管支喘息 【00:34】(p.185)
 動画11-8 異常な肺音(2)類鼾音:慢性気管支炎 【00:44】(p.185)
 動画11-9 異常な肺音(3)水泡音:回復期の肺炎,肺水腫 【00:43】(p.185)
 動画11-10 異常な肺音(4)捻髪音:肺線維症,心不全初期 【00:51】(p.185)
 動画11-11 正常な腸蠕動音 【00:48】(p.223)
(「11.聴診音」は3M Littmann™製作『聴診音アセスメントVersion 2』より転載)

はじめに

 わが国における少子高齢化による人口構造の変化と近年の社会経済状況は、保健・医療・福祉サービスに大きな影響を及ぼしています。団塊世代が75歳以上となる「2025年」には医療・介護ニーズが増大するだけでなく、多死社会となり人々の持つ健康上の問題も複雑化・多様化することが予測されています。また、ケアが提供される場所も、従来の病院完結型から地域完結型へと急速に変化し、地域で生活している人を中心に支える視点が不可欠になっています。
 こうした変化に対して、看護専門職者には、人々の健康の維持・増進を図り、施設や地域と連携して療養生活を支え、最期までその人らしい生活が送れるように支援していくことがますます期待されています。とくに、地域医療構想に基づく医療提供体制と地域包括ケアシステムとの構築が求められているなかで、さまざまな場面で多様な状況に応じた適切な対応ができる看護実践能力の修得が重要になります。すなわち、ヘルスプロモーションや予防も含めて、人々の健康状況を観察・判断できるヘルスアセスメント能力の向上とともに、チームや多職種と連携して人々の健康問題の解決を図る問題解決能力の修得が求められているといえます。

 本書では初版から、看護におけるアセスメントは、フィジカルアセスメントのみならず心理社会的側面からもアセスメントし、対象を全人的にとらえ、看護診断や看護ケアを方向づけていくことが重要であると考え、書名ならびに構成にこだわりました。
 第2版では、心理社会的側面のアセスメントに必要な中範囲理論について要点をまとめ、看護診断を導いていくときの理論的根拠となるようにしました。また、フィジカルアセスメントについても、部位の特定などが円滑にできるよう大幅に全体を改訂しました。
 ヘルスアセスメントが看護過程の要である理由は、看護専門職者が個々の対象者に合った看護ケアを実践し、対象者とともに新しい状態をつくっていくためにほかなりません。したがって、看護学生や看護専門職者の皆様が、問題解決過程のアセスメントを充実させ、看護実践能力を高めていけるように配慮しました。

 本書は、3つの章から構成されています。
 第I章は、ヘルスアセスメントの概要、看護過程における位置づけ、基本技術について述べ、ヘルスアセスメントの基本的事項を理解・確認・復習できるようにしました。第II章は、ゴードンの機能的健康パターンに沿って身体的側面、心理社会的側面のアセスメントが具体的にわかるよう解説しました。また前述のとおり、中範囲理論について初学者にもわかりやすくまとめ、心理社会的側面のアセスメントにつながるようにしました。第III章は、基礎的な知識から診査手順・方法、その後の対応までを解説しています。どうして逸脱といえるのか根拠をもって理解できる内容とし、アセスメント能力を高めるようにしました。また、フィジカルアセスメントの熟達者による実演もWeb配信していますので、本文とともに活用し、身体診査技法のさらなる習熟を目指していただきたいと思います。
 最後に、多忙にもかかわらずお力添えをいただいた執筆者ならびに実演者、初版より聴診音の使用を快く許可くださいましたスリーエムジャパン株式会社、本書の完成まで支えていただいた南江堂の竹田博安氏、網藏久美子氏に深謝いたします。

2017年8月
編者

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