教科書

免疫生物学原書第9版

監訳 : 笹月健彦/吉開泰信
ISBN : 978-4-524-25115-5
発行年月 : 2019年3月
判型 : A4変型
ページ数 : 910

在庫あり

定価9,350円(本体8,500円 + 税)

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サポート情報

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

免疫学の基礎から臨床上重要な病態まで、分子生物学的に解説した世界的ベストセラーの第9版。簡潔な図でわかりやすくまとめられ、免疫学の膨大な知識を一冊で体系的に理解できる。今改訂では、新知見の追加、古くなった知識の圧縮を行い大幅に内容をアップデート。大きな特徴である図版が100点以上増え、より視覚的に理解できるようになった。

第I部 免疫生物学と自然免疫への導入部
 1 免疫学の基礎概念
 2 自然免疫:生体防御の最前線
 3 自然免疫の誘導性応答
第II部 抗原認識
 4 B細胞レセプターとT細胞レセプターによる抗原認識
 5 リンパ球抗原レセプターの形成
 6 T細胞への抗原提示
第III部 成熟リンパ球のレセプターレパートリーの生成
 7 リンパ球レセプターシグナル
 8 B細胞とT細胞の分化
第IV部 適応免疫応答
 9 T細胞性免疫応答
 10 液性免疫応答
 11 自然免疫と適応免疫の一体的な動態
 12 粘膜免疫系
第V部 健康と疾患における免疫系
 13 宿主防御機構の破綻
 14アレルギーとアレルギー疾患
 15自己免疫と移植
 16免疫応答の操作
付録
 I 免疫学研究者のための道具箱
 II CD抗原
 III サイトカインとそのレセプター
 IV ケモカインとそのレセプター
人物紹介
写真への謝辞
用語解説
索引

監訳者序

 Charles A.Janeway Jr.とPaul Traversによって1994年に出版された『Immunobiology』(邦訳『免疫生物学』)は改訂を重ね第9版が出版された。
 免疫システムは、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など多様な病原体との永い戦いの歴史を通して、今日みるような高次で複雑精緻な生体防御システムとなった。その進化の歴史の大半は感染症からの脅威によって創られてきたものである。アレルギーや自己免疫、さらにがん免疫や移植免疫は、直接感染防御にはかかわらないが、同じ免疫応答の一方の側面であり、その主たる違いは抗原の性質であると捉えることができる。このようなシステムの全貌を分子、細胞、組織、臓器そして個体のレベルで、正しく理解することは至難の業である。それは一つには免疫システムの解明がいまだ完全ではないことに由来し、それは逆に、免疫学が新しい技術と知見を導入しながら、急速なスピードで進歩し続けていることを意味している。そのゆえにこそ、『Immunobiology』は23年の間に9回にわたる改訂が行われ、最新の情報を加えて、免疫システムの全貌の理解がさらに深まるよう配慮されている。
 今回の改訂第9版においても、第6版から改訂の中心的役割を担っているKenneth Murphy教授を中心としてJaneway教授の遺志を継いで、免疫システムの理解に際しては、感染病原体との相互作用を通した進化の視点を柱とすること、時をおかずして常に最新の情報を取り込むことの2点に意を注いで創り上げられている。自然免疫リンパ球の発見、γδ型T細胞抗原認識機構などの新知見を加え自然免疫系のより深い理解のための最新情報を強化している。一方、適応免疫系では新しいCD4+T細胞サブセットである濾胞ヘルパーT細胞の抗体クラススイッチや高親和性成熟調節を詳述し、また粘膜免疫の最新の進歩をも加えている。免疫システムを活用した治療法として、感染症に対するワクチン療法の進展についても議論を深めている。一方、最新のがん免疫療法として革新的展開を示しつつある免疫チェックポイント阻害(immune checkpoint blockade:ICB)療法やキメラ抗原レセプター(chimeric antigen receptor:CAR)T細胞療法について、一部の患者に対する画期的治療効果を含め臨床に関しても見識を示している。
 すでに述べたように免疫システムが感染防御を基盤として進化してきた結果、これを人為的に操作することで感染症ではないがんに対する強力な治療効果を発現させることが可能であることの証明をみる今、Janeway教授は、この『Immunobiology』が単に免疫システムの知識を提供するだけでなく、免疫生物学を通して、生命の成り立ちがかくも複雑・魅惑的であることを伝えようとしたのではないかと思われる。『Immunobiology』が世界中で広く読み継がれ、免疫学のテキストとして不動の地位を築くこととなったのも当然である。
 本書は大幅に新知見を導入することにより刷新され、さらに初版から親しまれてきた4つの付録、「I。免疫学研究者のための道具箱」にはCRISPR/Cas9を始め新技術を加え、「II。CD抗原」、「III。サイトカインとそのレセプター」、「IV。ケモカインとそのレセプター」もいっそう新しくかつ充実された。
 本書の訳出にあたっては、これまでと同様、それぞれの分野の第一線で研究を遂行している研究者にお願いして、正確で読みやすい訳出をしていただいた。心からお礼を申し上げたい。さらに過去2回の訳出に際してと同様、今回も主要な役割を演じていただいた吉住秀之博士に、心からの感謝を申し上げる。いうまでもなく、訳語の統一を始め、最終的な出来上がりについては、すべて監訳者の責任である。読者諸賢よりのご叱正を待ちたい。
 南江堂出版部の宮下直紀氏、赤間恵氏、佐竹剛季氏、杉山由希氏には、並々ならぬご努力をいただいた。心からお礼を申し上げたい。免疫学を学ぶことは生命を理解することへと導き、その免疫学の理解が人類最大の敵である感染症とがん克服への道を確実に拓いたことの歓びをもって、若い学生、大学院生、研究者へ『Janeway’s Immunobiology 9th Edition』の邦訳『Janeway’s免疫生物学』をお届けする。

2019年早春の福岡にて

九州大学高等研究院 特別主幹教授
国立国際医療研究センター 名誉総長
笹月健彦

九州大学生体防御医学研究所 名誉教授
吉開泰信