教科書

予防と産業の理学療法

  • 新刊

編集 : 樋口由美/浅田史成/牧迫飛雄馬
ISBN : 978-4-524-24693-9
発行年月 : 2020年3月
判型 : B5変型
ページ数 : 336

在庫あり

定価4,950円(本体4,500円 + 税)

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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

予防分野での理学療法をわかりやすく解説した教科書。なかでも、労働災害の予防を目的に理学療法士の積極的な介入が期待される産業分野にも焦点をあて、その概念や臨床例について解説。ライフステージで区切り、各時期に起こりうる障害に着目した構成や、評価表をまとめて巻末に掲載するなど使いやすさにつながる工夫がちりばめられた一冊。

第1部 予防理学療法・産業理学療法とは
 第1章 予防理学療法とは
  1-1.地域における予防理学療法
   A.理学療法と予防
   B.健康増進・介護予防と予防理学療法
   C.今後の展望
  1-2.医療における予防理学療法
   A.疾病予防と健康増進の重要性
   B.医療現場での予防的アプローチ
   C.今後の展望
 第2章 産業理学療法とは〜労働における予防理学療法〜
  A.産業理学療法とは
  B.産業衛生とは
  C.衛生管理者とは
  D.労働衛生と産業衛生
  E.労働衛生の3管理
  F.産業理学療法の今後の展望
第2部 予防理学療法の役割
 第3章 高齢期における予防理学療法
  3-1.高齢期の予防理学療法の考え方
   A.高齢者の特性
   B.高齢期における予防理学療法の考え方
   C.高齢期における予防理学療法の留意点
  3-2.転倒・骨折予防
   A.転倒・骨折予防の意義と目的
   B.リスク要因・評価
   C.アプローチ
  3-3.運動器障害の予防
   A.運動器障害について
   B.リスク要因
   C.アプローチ
  3-4.認知症予防
   A.認知症予防の意義と目的
   B.認知症および認知機能障害(形態的・機能的)
   C.リスク要因・評価
   D.アプローチ
  3-5.廃用症候群の予防
   A.廃用症候群について
   B.リスク要因・評価
   C.アプローチ
  3-6.咀嚼,嚥下障害の予防
   A.咀嚼,嚥下障害について
   B.リスク要因・評価
   C.アプローチ
  3-7.排尿障害の予防
   A.排尿障害について
   B.排尿障害をきたす代表的な疾患
   C.リスク要因・評価
   D.アプローチ
 第4章 壮年期における予防理学療法
  4-1.壮年期の予防理学療法の考え方
   A.壮年期の特性
   B.生活習慣病とは
   C.壮年期における予防理学療法
   D.適切な予防理学療法提供のために
  4-2.代謝障害の予防
   A.代謝障害について
   B.リスク要因・評価
   C.アプローチ
  4-3.脳血管障害の再発予防
   A.脳血管障害について
   B.リスク要因・保護要因・評価
   C.アプローチ
  4-4.心疾患の再発予防
   A.心疾患について
   B.リスク要因・保護要因・評価
   C.アプローチ
  4-5.悪性新生物(がん)の予防
   A.悪性新生物(がん)について
   B.リスク要因・評価
   C.アプローチ
 第5章 学童期・思春期における予防理学療法
  5-1.学童期・思春期の予防理学療法の考え方
   A.学童期・思春期の成長の特性
   B.学童期・思春期の成長に伴って生じる整形外科疾患
   C.学童期・思春期における予防理学療法
  5-2.肢体不自由児
   A.肢体不自由児について
   B.リスク要因・保護要因・評価
   C.アプローチ
  5-3.スポーツ障害の予防
   A.スポーツ障害について
   B.リスク要因
   C.アプローチ
  5-4.競技大会/学校におけるスポーツ損傷の予防
   A.競技大会の支援活動
   B.縦断的な支援活動
   C.学校における運動器に関わる保健指導の制度と今後の展望
第3部 産業理学療法の役割
 第6章 産業理学療法の理解のために
  6-1.人間工学の概要と用い方
   A.人間工学とは
   B.産業理学療法で用いる人間工学的評価と思考
  6-2.行動変容理論の概要と用い方
   A.行動変容理論とは
   B.産業理学療法で用いる行動変容理論
 第7章 産業理学療法の実際
  7-1.労働環境における筋骨格系障害の予防
  1.職業性腰痛の予防
   A.産業保健における腰痛予防について
   B.職業性腰痛の疫学
   C.評価
   D.予防的アプローチ
  2.頸肩腕症候群の予防
   A.頸肩腕症候群の疫学
   B.評価
   C.予防的アプローチ
  3.転倒予防
   A.転倒災害について
   B.評価
  C.予防的アプローチ
  7-2.労働環境におけるメンタルヘルス問題の予防
   A.産業理学療法とメンタルヘルス
   B.労働者に多いメンタルヘルス問題
   C.メンタルヘルスと運動療法
   D.運動療法のさらなる可能性
  7-3.女性特有の労働対策と予防
   A.働く女性の現状
   B.女性労働者の健康問題
   C.予防的アプローチ
  7-4.就労・復職支援対策
   A.就労・復職支援と理学療法
   B.就労・復職支援の実際
   C.労災患者に対する職場訪問について
   D.今後の課題
巻末資料
 1.転倒評価
 2.Morse Fall Scale
 3.STARTIFY
 4.入院患者を対象としたアセスメントシート
 5.ロコモ
 6.臨床的認知症尺度(CDR)の判定表
 7.日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)の検査用紙
 8.簡易栄養状態評価表(Mini NutritionalAssessment-ShortForm)
 9.介護予防基本チェックリスト
 10.EAT-10 嚥下アセスメントツール
 11.聖隷式摂食嚥下質問紙
 12.過活動膀胱症状質問票(Overactive BladderSymptomScore:OABSS)
 13.The Activities-specific Balance Confidence(ABC)scale
 14.Life SpaceAssessment(LSA)scale
 15.Bleckの予後予測スコア
 16.GMFCS E&Rの説明とイラスト(6-12歳の誕生日の前日までの子ども)
 17.こどものための機能的自立度評価(WeeFIM)の評価項目および尺度
 18.PEDIの項目と尺度
 19.運動器についての保健調査票
 20.OWAS法
 21.RULA:日本語版
 22.REBA:日本語版
 23.運動セルフエフィカシー評価表
 24.腰痛健康診断問診票(例)
 25.腰痛健康診断個人票(例)
 26.STarTBackスクリーニング(心理・社会的要因)
 27.転倒災害防止のためのチェックシート
 28.うつ病チェックリスト
 29.ADHDの特徴
参考文献
索引

序文

 急速な高齢化の進展に伴い、近年ではこれまで以上に健康長寿社会の実現をめざした高度医療の発展や施策の展開が図られています。そのなかで、理学療法士に求められる役割や知識も変化してきました。高度化する医療ニーズに対応しつつも、保健・医療・福祉を取り巻く環境の変化に即した理学療法を実践することが期待されています。それは、地域包括ケアシステムにおける介護予防事業等への参画によって、高齢者の生活機能を支援することだけにとどまりません。退院後に再転倒で骨折・再入院した患者、運動を続けることができず糖尿病のコントロールに難渋する患者、成人後に二次障害のために歩けなくなった脳性麻痺者など、あらゆる人々の健やかな生活を支援するためには、障害の回復に努めるアプローチだけでは不十分な現状に多くの理学療法士が直面しています。
 いわゆる「リハビリ」は障害を克服・回復するための努力行為ですが、たとえ努力が必要だとしても、自宅で元気に暮らし続けたい、入院治療を避けたい、二次障害を防ぎたいという人は大勢います。そして、そのような人々に対して提供される予防的見地にたった理学療法は、今後ますます需要が高まると考えられます。失禁のために旅行ができなくなった高齢女性、ケガのために競技活動ができなくなった中学生、職業性腰痛のために休職した勤労男性などに対し、予防的な理学療法の提供が拡張していけば、個々の人生や生活の質を改善することができるでしょう。しかし、その実践のためには、対象となる前駆症状や状態を把握すること、障害発生のリスク要因や保護要因を理解すること、人間工学や行動変容の理論を習得することなど、これまでの理学療法士の養成課程では十分に教授されていない知識や技術が必要とされます。
 そこで、今後さらなる理学療法士の活躍が期待される予防と産業の2領域について、それぞれの基本となる考え方と基礎知識、評価とアプローチの知見を集約する本書を企画しました。ライフステージ別に高齢期、壮年期、思春期・学童期の特性に応じた理解ができるよう、産業理学療法の領域では就労者としての高齢者や女性特有の課題にも気づきができるよう編集をしました。各分野で研究・実践の最前線に従事される先生方にご執筆の労を執っていただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
 本書が、これから理学療法士をめざす学生諸氏の知識欲を満たすのみならず、地域で、施設で、病院で、学校で、競技会場で、就労者支援の場で、対象者の身体機能や運動能力の将来を見据えつつ、傍らで支援する理学療法士の助けになることを期待しています。あわせて、保健、医療、福祉、産業の現場に従事する医師、看護師や保健師、作業療法士、社会福祉士、ケアマネジャーなど理学療法士と協働する、多くの専門職に対して理学療法の可能性を伝える書となれば幸いです。

令和2年3月
編集者一同