教科書

運動学とバイオメカニクスの基礎

監訳 : 黒澤和生/赤坂清和/河西理恵
ISBN : 978-4-524-24692-2
発行年月 : 2019年9月
判型 : A4変型
ページ数 : 366

在庫あり

定価5,280円(本体4,800円 + 税)

  • お気に入りに登録
  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

暗記に頼ることなく、運動学の概念的基礎の修得と、運動障害やリハビリテーションに必要な学問的背景を理解することをめざしたテキスト。多数のイラストやわかりやすい解説で、損傷や疾患から生じるヒトの運動の障害が、どのように動きの限界や機能不全につながるかを理解することができる。各章に設けられた“クリニカル・コネクション”や“症例検討”により、その章で学習した運動学やバイオメカニクスの概念や知識を臨床的な課題に応用できる。基礎運動学と臨床運動学の橋渡しに最適な一冊。

第I部 総論
 第1章 身体運動学とバイオメカニクスの原則
  1.方向を表わす用語
  2.骨運動
  3.運動学(キネマティクス)
  4.力
 第2章 関節の構造と機能
  1.骨格系の機能
  2.関節の構成
  3.関節の分類
  4.関節運動
 第3章 筋の構造と機能
  1.筋活動に関する用語
  2.筋の構造
  3.筋収縮(活動)
  4.筋の構成
  5.筋の長さと張力の関係
  6.神経系の構造と運動の出力
  7.年齢や不活動(廃用)に伴う骨格筋の変化
 第4章 バイオメカニクスにおけるその他の法則
  1.ニュートンの運動法則
  2.仕事とエネルギーの関係
  3.仕事率
  4.てこの原理
  5.力学的優位性
  6.解剖学的滑車
第II部 脊柱
 第5章 脊柱の構造と機能
  1.脊柱の構造
  2.脊柱の運動学
  3.領域ごとの脊柱の特徴
  4.脊柱の筋群
  5.脊柱の安定筋群とアライメント
 第6章 胸郭の構造と呼吸機能
  1.胸郭の構造
  2.呼吸
  3.呼吸の運動学
  4.呼吸に関わる筋
  5.加齢や疾病に伴う呼吸器の変化
 第7章 顎関節の構造と機能
  1.関節構造
  2.運動学
  3.筋群
  4.加齢や疾病に伴う顎関節機能障害
 付録A 体幹の筋の起始停止と神経支配・骨格の構造
  1.脊髄の構造
  2.体幹のデルマトーム
  3.体幹の筋
  4.主な咀嚼筋群
  5.舌骨上筋群
  6.舌骨下筋群
  7.呼吸に関わる筋群
第III部 上肢
 第8章 肩関節複合体の構造と機能
  1.肩関節複合体の構造
  2.肩関節複合体の運動学
  3.肩関節複合体の筋群
  4.肩関節複合体の機能障害
 第9章 肘関節複合体の構造と機能
  1.肘関節複合体の構造
  2.肘関節複合体の筋群
  3.機能的な活動における筋の動員
 第10章 手関節と手関節複合体の構造と機能
  1.手関節複合体の構造
  2.手関節複合体の構造
  3.手関節と手の機能的な運動
 付録B 上肢の筋の起始停止と神経支配・構造
  1.腕神経叢
  2.上肢の末梢神経
  3.肩の筋
  4.肘と前腕の筋
  5.手関節の筋
  6.手外来筋
  7.手内在筋
第IV部 下肢
 第11章 股関節複合体の構造と機能
  1.股関節複合体の構造
  2.運動学
  3.股関節複合体の筋
 第12章 膝関節の構造と機能
  1.膝関節の構造
  2.運動学
  3.筋
  4.股関節の肢位が膝関節の機能に及ぼす影響
 第13章 足関節と足部複合体の構造と機能
  1.骨
  2.関節
  3.足部アーチ
  4.筋
  5.足部の機能的運動
 第14章 歩行の運動学
  1.歩行周期
  2.歩行時の重心移動
  3.歩行時の関節運動学
  4.歩行時の筋活動
  5.異常歩行
 付録C 下肢の筋の起始停止と神経支配・構造
  1.下肢のデルマトーム
  2.下肢の末梢神経
  3.股関節と膝関節の筋
  4.足関節と足部の筋
  5.足部の内在筋
用語解説
索引

監訳者まえがき

 今から1年半ほど前になるが、南江堂から本書の翻訳を打診された際、不安と期待が入り混じった気持ちでお受けしたことを覚えている。当初、心配事は二つあった。一つは、運動学やバイオメカニクス関連の本はすでに数多く出版されており、今から出版するとなると相当インパクトのあるものでないと注目されないだろうという不安、もう一つは、果たしてよい翻訳本が作れるだろうかという不安だった。
 しかし、原著を読み始めてすぐに一つ目の不安は私の頭の中から消えていった。まず気づいたのが、これはありがちな運動学やバイオメカニクスの本とは少し違うということだ。特に感銘を受けたのが、著者であるVickie Samuels氏の以下の言葉である。「現在使われている運動学の教科書は、暗記に多くのページを割きすぎている。運動学を学ぶ上でより重要なのは、概念的基礎の修得に多くの時間を費やすことであり、それによって運動障害やリハビリテーションに必要な学問的背景を理解することができる。」彼女のこの信念は、本書の至る所に余すところなく発揮されている。読者はページをめくるとすぐに、運動学の基礎となる重要な概念や、臨床との繋がりを意識した記述が随所にあることに気づくだろう。また、各章に設けられたクリニカル・コネクションや症例検討により、その章で学習した運動学やバイオメカニクスの概念や知識を臨床的な課題に応用できるのも、実践を重視した本書の魅力である。
 本書のもう一つの魅力は、内容の充実度とわかりやすい解説である。本書には大学院レベルの高度な専門知識も多く含まれているが、ていねいな解説と多くの効果的な図やイラストにより、初学者でも円滑に学習が進むよう工夫されている。たとえば、多くの学生が苦手意識を抱きやすいバイオメカニクスの項では、文章によるていねいな説明に加え、図やイラストを多用し、細かいところまで配慮が行き届いた解説となっており、長年運動学を教えてきた著者の教育者としての知恵と才能を垣間みることができる。一方、第II部〜第IV部の脊柱編、上肢編、下肢編では基礎知識にとどまらず、高度な専門知識まで惜しみなく提供している。こうした理由から、本書は初学者のみならず、あらためて運動学やバイオメカニクスを学び直し、臨床に活用できる実践的な知識を身につけたいと考えている方々にも推薦できる1冊である。
 さて、もう一つの心配の種であったよい翻訳本が作れるかについては、こちらも翻訳メンバーが決まり、実際の作業が始まるとまったくの杞憂であることがわかった。私が特にこだわったのは、英語を直訳しただけの読みづらい翻訳本にはしたくないということだったが、翻訳者の中には留学経験のある人も多く、いずれの章も正確でわかりやすい文章に仕上げていただいた。こうして翻訳メンバーにも恵まれ、今では本書を完訳できたことに私自身とても満足している。
 最後に、お忙しい中、共に監訳を引き受けて下さった黒澤和生先生、赤坂清和先生、そしてすべての翻訳者の皆様に感謝申し上げます。また、きめ細かい編集作業をして下さった南江堂の藤原さん、笠井さんに深謝いたします。

2019年9月
監訳者を代表して 河西理恵