シンプル理学療法学シリーズ
理学療法評価学テキスト
[CD-ROM付]
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 星文彦/伊藤俊一/盆子原秀三 |
ISBN | : 978-4-524-24308-2 |
発行年月 | : 2010年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 614 |
在庫
定価6,270円(本体5,700円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
専門科目の中でも主要な科目である評価学を、臨床的意義の解釈のもとに習得できるテキスト。基本技術の各項目に関して、養成校の教員と臨床家の各々の立場から解説。DVD動画には動作分析・歩行分析を収載し、学生が自主的に学習できるよう工夫した。さらに、代表的疾患に関して、評価から問題点の把握までの思考過程を解説。養成課程にとどまらず、卒後の学生指導や臨床での評価の客観性向上、問題点の把握に至るまでの思考過程構築にまで使用できる一冊。
総論
1 理学療法評価総論
A 理学療法評価の目的
B 障害モデルと理学療法評価の関連性
1 障害モデル
a.ICIDH(国際障害分類、WHO)
b.Nagi Model(ナギモデル)
c.NCMRR(米国国立医学的リハビリテーションセンターモデル)
d.障害過程論モデルDisablement Process Model
e.ICF(国際生活機能分類、WHO)
2 理学療法と障害モデル
3 検査、評価の定義
C 理学療法評価の意義
D 検査法と検査対象
1 検査法と尺度
2 検査法の信頼性、妥当性、感受性、特異性
3 検査法の特異性分類
4 検査法と障害モデル
5 運動課題指向型評価の構成および階層性(検査の3つのレベル)
6 定量的検査と質的検査
7 遂行能力依拠型検査と自己申告型検査
E 理学療法(士)−患者関係と理学療法評価
F 理学療法評価と医療倫理
G 理学療法評価と理学療法の専門分化
2 評価の基本(1)情報収集・医療面接
A 医療面接とは
B 医療面接の対象者
C 医療面接者
D 医療面接で収集すべき医学的情報
1 主観的情報
a.主訴
b.現病歴
c.既往歴
d.対象者の人物像素描
e.家族歴(医学的観点からの)
f.その他
2 客観的情報
E 情報管理
a.リハビリテーション総合実施計画書
各論
3 評価の基本(2)ICFとICIDH
A ICFおよびICIDHとは
B ICIDHおよびICFの歴史
C WHO-FICの分類
D ICDの分類
E ICIDHの分類
F ICFの分類
G ICFとICIDHの評価法としての有用性
4 基本技術(1)形態測定
A 形態測定の意義・目的
B 形態測定の方法と解釈
1 身長
2 体重
3 体格指数
4 皮脂厚測定
5 座高
6 指極長
7 頭囲
8 胸囲
9 腹囲
10 四肢長と肢節長
a.上肢長
b.上腕長
c.前腕長
d.手長
e.棘果長spino-malleolus distance(SMD)
f.転子果長trochanto-malleolus distance(TMD)
g.臍果長
h.大腿長
i.下腿長
j.足長
11 四肢周径
a.上腕周径:伸展位上腕周径
b.上腕周径:屈曲位上腕周径
c.前腕周径:最大前腕周径
d.前腕周径:最小前腕周径
e.大腿周径
f.下腿周径:最大下腿周径
g.下腿周径:最小下腿周径
12 上肢あるいは下肢切断の場合
a.断端長
b.断端周径
5 基本技術(2)関節可動域(ROM)検査:運動器系疾患
A 運動器系疾患におけるROM測定の意義
1 ROMを決定する要素
2 ROMの異常
3 ROM測定の種類
4 ROMの測定
a.腸腰筋:トーマス(Thomas)テスト
b.大腿筋膜張筋:オーバー(Ober)テスト
c.大腿直筋
d.ハムストリングス:下肢伸展挙上テストstraight leg raising test(SLRテスト)
e.腓腹筋
5 最終域感
B ROM測定の留意点
1 リスク管理
2 ROM 測定のポイント
a.上肢のROM測定(肩関節を例に)
b.下肢のROM測定(股関節を例に)
c.頸部・体幹のROM 測定(胸腰椎部を例に)
3 ROMが制限された関節と隣接関節との関係
4 日常動作とROM
a.主な日常動作と上肢ROM
b.主な日常動作と下肢ROM
c.主な日常動作と頸部・体幹ROM
C ROMの測定結果のとらえ方
D 疾患別ROMの特徴
1 肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
2 変形性関節症
3 関節リウマチ
4 骨折
6 基本技術(3)関節可動域(ROM)検査:中枢神経系疾患
A 中枢神経系疾患におけるROM-Tの意義
B 中枢神経系疾患における正常ROMの保証因子
C ROM-Tの準備
1 リラックスできる環境の準備(リラクセーション)
2 測定に必要な器具の準備
a.測定器具
b.記録用具
c.その他
D ROM-Tの実際
1 説明と同意
2 静的姿勢でのROM-T
a.リラクセーション
b.ROM-Tの実施
3 ROM-Tの工夫
4 検査中の注意点
a.痙縮を増強させない
b.粗雑な関節運動を行わない
c.バイタルサインと自覚症状をチェックする
d.各種ラインや医療機器に配慮する
E 動作時ROM観察の重要性
F ROM-Tの結果の解釈
1 ROM制限がある場合
2 過可動性や変形がある場合
3 他動的ROM-Tと動作時ROMに違いがある場合
G 疾患別ROM制限の特徴
1 脳卒中後の片麻痺
2 脊髄損傷
3 除脳硬直
4 除皮質硬直
5 パーキンソン病
6 ジストニー
7 基本技術(4)徒手筋力検査(MMT):運動器系疾患
A 筋力とは
B 筋力測定の意義
C MMTの目的、特徴、信頼性、妥当性
1 目的
2 特徴
3 信頼性と妥当性
D MMT実施上の留意点
1 測定前
2 測定中
3 測定後
E 評価結果のとらえ方、結果の解釈
1 MMTの結果に及ぼす因子
a.患者側の問題
b.検者側の問題
c.判定結果の解釈の問題
F 疾患別MMT施行時の注意点
1 腰痛症
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
2 頸部疾患
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
3 変形性脊椎症
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
4 肩関節疾患
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
5 骨折
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
6 切断
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
7 脊髄損傷(SCI)
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
8 関節リウマチ(RA)
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
9 変形性股関節・膝関節症
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
10 膝靱帯損傷
a.特徴
b.筋力評価の注意点
c.結果の解釈
G MMTの限界と臨床応用
8 基本技術(5)筋力評価:中枢神経疾患
A 中枢神経疾患の筋力低下と神経機構
B 中枢神経疾患の一次障害と二次障害
C 中枢神経疾患の筋力低下(運動麻痺)
D 筋力の評価
E 動作観察による筋力評価
F 中枢神経疾患の筋力測定の実際と留意点
1 脳卒中片麻痺
2 失調症
3 パーキンソン病
9 基本技術(6)反射・反応検査
A 体性運動反射と中枢
B 反射検査実施の注意点
1 腱反射
2 表在反射
3 病的反射
C 反射検査の実施法
1 腱反射
2 間代の診かた
3 表在反射
4 病的反射
D 反射検査(反射異常)の記録法
a.腱反射の記録法
b.表在反射の記録法
c.病的反射の記録法
E 検査結果の解釈
F 姿勢反射・反応
1 種類
a.発達段階で減弱、消失する脳幹レベルの姿勢反射
b.身体運動時に動的バランスを保つ反応
2 実施法
a.座位でみる反応
b.立位でみる反応
3 姿勢反応の評価と意義
10 基本技術(7)感覚検査
A 感覚の定義および種類
1 感覚とは
2 感覚の種類
a.特殊感覚special sense
b.一般体性感覚somatic sense
c.内臓感覚visceral sense
B 感覚検査の実際
1 感覚検査の目的
2 感覚検査から得られる情報と記載法
3 感覚検査を実施する際の一般的注意点
C 実際の検査方法
1 表在感覚
a.触覚
b.痛覚
c.温度覚
2 深部感覚
a.関節位置覚
b.関節受動運動覚
c.関節定位覚
d.振動覚
3 複合感覚
a.2点識別覚
b.皮膚書字覚
c.立体認知覚
d.2点同時刺激識別覚
D 感覚検査の意義
1 感覚伝導路
2 皮膚の神経分布
a.デルマトーム
b.皮膚末梢神経支配
c.感覚障害範囲の規定
3 主な疾患の感覚障害
a.末梢神経障害
b.脊髄根(後根)障害
c.脊髄障害
d.脳幹障害
e.視床障害
f.大脳障害
11 基本技術(8)協調性検査
A 協調性とは
B 協調性を支えるメカニズム
1 生理学的メカニズム
2 神経学的メカニズム
C 協調性の障害と症状
D 検査の実際
1 理学的検査
a.測定異常の検査
b.変換運動障害の検査
c.共同運動障害の検査
d.立位、歩行の平衡機能検査
2 測定器具を用いた検査
E 検査結果の解釈
12 基本技術(9)筋緊張の評価(1)
A 筋緊張とは
1 正常と異常の一般定義と症候学からみた定義
B 筋緊張の評価方法
1 視診
2 触診
3 被動試験
a.関節伸展性
b.筋被動応答性
4 その他のテスト方法
a.姿勢テスト
b.動作テスト
C 筋緊張テストの判定と障害部位
1 評価結果の解釈、臨床的意義
2 鑑別診断テスト
13 基本技術(10)筋緊張の評価(2)中枢神経疾患
A 筋緊張とその異常
1 筋緊張
2 筋緊張異常を認める中枢神経疾患とその病態
a.筋緊張亢進を認める疾患
b.筋緊張低下を認める疾患
c.理学療法における筋緊張の考え方
B 筋緊張異常検査
1 静止時筋緊張検査
2 他動運動での筋緊張検査
a.一般的な方法
b.客観的検査法
c.筋緊張低下に関する検査
3 動作時筋緊張検査
4 深部腱反射検査
a.検査方法
b.判定方法
C 筋緊張評価を行う際の注意点
1 評価の方向性
2 適切な筋緊張検査の選択
3 筋緊張評価の結果の解釈
a.静止時筋緊張検査
b.他動運動における筋緊張検査
c.動作時筋緊張検査
d.深部腱反射
14 基本技術(11)筋緊張の評価(3)姿勢筋緊張
A 姿勢調節としての姿勢筋緊張
1 姿勢筋緊張
B 姿勢筋緊張検査の留意点
C 姿勢筋緊張検査に必要な知識と留意点
D 姿勢筋緊張検査の判断
E 観察と動作援助からの評価
15 基本技術(12)運動発達の評価
A 運動発達評価の意義
1 正常発達
2 脳性麻痺
3 脳性麻痺の鑑別
4 脳性麻痺の個別性
5 運動発達評価の意味
B 運動発達と姿勢反射
1 ミラーニチャート
2 原始反射
3 立ち直り反応
4 保護伸展反応
5 傾斜反応
6 運動発達と姿勢反射の関係
C 運動発達評価表
1 日本版デンバー式発達スクリーニング検査(JDDST)
2 ボバース(Bobath)による「乳児の運動発達表」
3 ジョンソンによる運動年齢検査表
4 その他の評価方法
D 指標となる運動発達と月齢
1 粗大運動の発達
2 歩行の発達
3 微細運動の発達
E その他の発達評価
1 知的状態の評価
2 発達全体の評価方法
3 精神発達
F 理学療法関連のエビデンス
16 基本技術(13)ADL・QOL評価
A ADLとは
B ADLの概念
C ADLの構成と分類
a.基本的ADL basic activities of daily living(BADL)
b.手段的ADL instrumental activities of daily living(IADL)
c.生活関連動作activities parallel to daily living(APDL)
d.拡大ADL extended activities of daily living(EADL)
D ADL評価の目的と意義
a.目的
b.意義
E ADL評価の実際
a.バーセルインデックス(BI)
b.機能的自立度評価法(FIMフィム)
c.カッツインデックスKatz index of ADL
d.PULSES Profile改訂版
e.旧厚生省による障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
f.旧厚生省による認知症老人の日常生活自立度判定基準
g.日本整形外科学会による各種機能評価表に含まれる日常生活活動の判定基準
F ADL評価の注意点
G QOLとは
H QOLの概念
I QOLの構成と分類
J QOL評価の目的と意義
a.目的
b.意義
K QOL評価の実際
a.包括的評価法(すべての疾患や健康状態に適応)
b.疾患特異的評価法(ある特定の疾患だけに用いられる)
L QOL評価の注意点
17 基本技術(14)痛みの評価
A 痛みの定義
B 痛みの種類と特性
1 発生部位による分類
2 器質的病変の有無による分類
3 原因による分類
C 痛みの臨床的評価スケール
1 痛み強度の評価
2 痛みの性質の評価
3 痛みの局在性の評価
4 外部刺激に対する疼痛閾値の評価
5 痛みに随伴する生体変化の評価
6 痛みの行動変容(逃避行動)の評価
7 痛みの心理的要因の評価
a.人格検査
b.うつ病スケール
8 痛みのQOL評価
D 痛みの評価方法
1 面接
2 観察
3 触診
4 動作検査:安静時痛、運動時痛(自動・他動)
5 パフォーマンス評価
18 基本技術(15)片麻痺機能検査
A 脳卒中と随伴症状
a.運動麻痺
b.姿勢調節機構の障害
c.感覚障害
d.高次脳機能障害
e.精神機能障害
f.意識障害
B 片麻痺機能検査
C 運動機能検査
1 ブルンストロームステージの基本概念と診方
a.実際に評価する際の手順
b.臨床場面でよくありがちな問題点とそれに対する解釈
c.評価結果の解釈
d.一度の評価で解釈する結果と、経時的にみていく結果
2 上肢
3 手指
4 体幹と下肢
5 速度テスト
6 歩行分析
D 感覚機能検査
1 他動運動感覚
2 指先認知
3 足底感覚
E 理学療法関連のエビデンス
19 基本技術(16)バランス検査
A バランスとは
B 平衡機能とバランス能力の違い
C バランスに影響を与える求心性感覚情報
1 視覚
2 前庭・迷路覚
3 体性感覚
D バランスに影響を与える生体力学要因
1 支持基底面
2 重心の高さ
3 重心線の位置
4 質量
E 姿勢制御ストラテジーからみたバランス検査
1 足関節ストラテジー
2 股関節ストラテジー
3 ステッピングストラテジー
4 姿勢制御ストラテジーの異常
5 側方動揺に対する姿勢制御ストラテジー
F 注意機能とバランス
G 代表的な定量的バランス検査
H 臨床的帰結outcomeとしてのバランス検査
1 姿勢保持時間の測定
2 静的・動的な姿勢アライメントの観察
3 課題遂行時間や動作遂行範囲の測定
4 バランス能力評価のための検査バッテリー
a.座位
b.立位
20 基本技術(17)高次脳機能・精神知能検査
A 高次脳機能障害の概略
1 高次脳機能障害とは
2 高次脳機能障害評価の進め方
B 全般的症状
1 前頭葉症状
a.実際の症状
b.検査方法
2 認知症
a.認知症の種類
b.認知症の評価
C 言語、運動、認知の高次脳機能障害
1 失語
2 失行など運動の高次脳機能障害
a.観念失行ideational apraxia
b.観念運動失行ideomotor apraxia
c.肢節運動失行limb kinetic apraxia
d.着衣失行dressing apraxia
e.運動維持困難motor impersistance
f.構成障害constructional disability
3 失認
a.視覚(物体)失認visual(object)agnosia
b.相貌失認prosopagnosia
c.触覚失認tactile agnosia
d.半側無視(半側空間無視)(USN)
e.身体失認および病態失認asomatognosia, anosognosia
21 基本技術(18)整形外科的検査
A 整形外科疾患に対する評価の意義と目的
1 評価の意義と目的
a.初期評価
b.中間評価
c.最終評価
2 評価の進め方と注意点
a.問診
b.視診
c.触診
d.日常生活活動検査
B 代表的整形外科疾患
1 変形性膝関節症(膝OA)
2 膝靱帯損傷
C 検査の実際
1 膝関節不安定性に対する徒手検査
a.外反および内反不安定性検査
b.前方不安定性検査
c.後方不安定性検査
d.定量的前後動揺性検査
22 基本技術(19)呼吸機能検査法
A 疾患の理解
a.呼吸不全とは
b.呼吸不全の原因
B 呼吸機能検査
1 血液ガス
a.動脈血ガスの正常値
b.酸素瀑布O2 cascade
c.拡散diffusion
d.動脈血酸素飽和度oxygen saturation of arterial blood measured by pulse oximeter(SpO2)
e.動脈血酸素分圧に影響を与える因子
f.動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)に影響を与える因子
g.組織に運ばれる酸素の量を規定するもの
h.呼吸性アシドーシス(アルカローシス)と代謝性アシドーシス(アルカローシス)
i.アニオンギャップanion gap(AG)
2 呼吸機能検査
a.スパイロメトリーspirometry
b.換気障害の型
3 肺気量分画
4 クロージングボリューム
5 肺のメカニクス(換気力学)
a.コンプライアンス
b.抵抗
c.人工呼吸中の肺メカニクス
d.呼吸筋力
6 運動負荷テスト
a.慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動負荷試験時の換気の特徴
b.6分間歩行テストsix minutes distance(6MD)
c.シャトルウォーキングテストshuttle walking test(SWT)
d.漸増運動負荷試験:トレッドミル法、エルゴメータ法
7 胸部X線、CT
a.撮影肢位の違い
b.見るポイント
c.肺胞性陰影
d.間質性陰影
e.シルエットサイン
f.無気肺
g.肺気腫
C 理学療法評価
1 情報収集
a.カルテ
b.主観的評価
c.視診
d.触診
e.胸部の聴診
f.筋力
23 基本技術(20)循環・代謝機能評価
A 循環・呼吸・代謝機能の連関
B 循環器機能の基礎
C 循環機能評価の基本技術
1 脈の触診
2 血圧測定
3 心拍数と運動強度(カルボネンの式)
4 自覚的運動強度(ボルグスケール)
D 心機能と検査・測定
1 心拍出量および心血管圧
2 刺激伝導系と検査、測定
3 心臓弁の機能と検査、測定
E 脈管系の機能と検査、測定
F 理学療法における循環器機能の重要な検査、測定
1 心電図(ECG)
2 運動負荷試験
3 持久力テスト
G 代謝系機能の基礎
H 糖代謝と検査、測定
I 脂質代謝と検査、測定
J 蛋白代謝
K 循環・代謝機能と日常生活活動
24 基本技術(21)電気的検査(表面筋電図)
A 電気的検査法
B 筋の電気的検査とは
1 運動単位
2 神経支配比
3 サイズの原則
4 筋の活動電位
5 表面筋電図とは
6 筋力の調節
C 表面筋電計
1 電極と皮膚の前処置
2 筋電計
D 表面筋電図の測定
1 表面筋電図に影響する因子
2 デジタル解析
3 解析の前処理
4 表面筋電図の記録
E 表面筋電図の解析
1 整流
2 正規化
3 時間積分解析
4 RMS(平均二乗平方根root mean square)解析
5 FFT(高速フーリエ変換)解析
6 WT(ウェーブレット変換)解析
F 表面筋電図と筋力
1 表面筋電図と筋力の関係
2 %最大随意的収縮(%MVC)による正規化
3 表面筋電図と筋線維タイプ
G 表面筋電図と疲労
H 表面筋電図と動作
I 麻痺肢の表面筋電図
J 表面筋電図の問題と応用
疾患別評価ポイント
25 運動分析・動作分析・歩行分析
A 運動・動作分析の歴史
1 運動の時間的空間的分析
B 身体運動の分析
1 運動行動の3つの階層
2 分析のレベルと手法
3 身体運動を分析するための手法
C 姿勢とは
D 分析の基準
E 観察による運動分析・動作分析
1 運動分析の実際
a.分析の手順
b.いすからの立ち上がり動作の分析(演習)
c.背臥位からの立ち上がり動作の運動分析
2 動作分析の実際
a.動作分析の手順
b.健常者と片麻痺者の相違
F バランス能力の観察
1 姿勢維持におけるバランス能力の見方
a.姿勢の確認
b.外乱刺激に対する応答の確認
c.自らが運動する場合の確認
2 動作中のバランス能力の見方
G 歩行分析の実際
1 観察による歩行分析
a.歩行分析の基本
b.歩行分析の具体的手順
2 臨床での歩行分析
26 運動器疾患(1)上肢
A 肩関節の特徴
B 肩関節の評価
1 痛みの評価
2 姿勢(アライメント)の観察
3 関節可動域(ROM)の評価
4 筋力の評価
5 肩の安定性の評価
6 肩甲上腕リズムの評価
C 肘関節の特徴
D 肘関節の評価
1 痛みの評価
2 姿勢の観察
3 ROMの評価
4 関節の安定性の評価
E 手と手関節の特徴
F 手と手関節の評価
1 痛みの評価
2 手の観察
3 ROMの評価
4 筋力の評価
5 知覚機能評価
6 神経機能評価
G 代表的な肩疾患の評価
1 肩関節周囲炎
a.疼痛の評価
b.ROMの評価
c.筋力の評価
d.肩甲郭関節の評価
2 腱板断裂
a.疼痛の評価
b.挙上障害の評価
c.筋力の評価
3 肩関節脱臼
a.疼痛の評価
b.筋力の評価
c.不安定性の評価
H 理学療法関連のエビデンス
27 運動器疾患(2)下肢
A 大腿骨骨折
1 情報収集
2 視診と触診
3 形態測定
4 関節可動域(ROM)評価と筋力評価
5 感覚・平衡機能検査
6 動作分析、歩行分析
7 ADL評価
B 下腿骨骨折
1 情報収集
2 理学療法評価
C 踵骨骨折
1 情報収集
2 理学療法評価
D 膝靱帯損傷、半月板損傷
1 前十字靱帯損傷の概略
2 半月板損傷の概略
3 情報収集
4 視診と触診
5 形態測定
6 ROM評価
7 筋力評価
8 機能評価
9 特殊検査
a.ラックマン(Lachman)テスト
b.引き出し徴候
c.Nテスト
d.内・外転ストレステスト
e.アプレー(Apley)牽引テスト
f.マックマレー(McMurray)テスト
g.アプレー圧迫テスト
E アキレス腱損傷
1 情報収集
2 視診と触診
3 周径
4 ROM評価
5 筋力評価
6 機能評価
7 ADL評価
F 変形性股関節症
1 情報収集
2 視診と触診
3 疼痛
a.問診と触診
b.徒手的検査
4 形態測定
5 ROM評価
6 筋力評価
7 歩行分析
8 ADL評価
G 変形性膝関節症
1 情報収集
2 視診と触診
3 疼痛
4 形態測定
5 ROM評価
6 筋力評価
7 動作分析、歩行分析
8 ADL評価
28 運動器疾患(3)腰痛症
A 腰痛の病態
1 障害部位による分類
a.椎間板性の腰痛
b.椎間関節性の腰痛
c.仙腸関節由来の腰痛
d.筋・筋膜性腰痛
2 病期による分類
a.急性腰痛
b.慢性腰痛
B 腰背部の支持機構
1 受動的支持機構
2 能動的支持機構
3 神経系制御システムneural subsystem
C 腰背部の評価
1 問診による情報収集
a.主訴の把握
b.痛みの程度
c.発症経過と罹病期間の把握
d.自発痛、運動痛など痛みの種類と変化の確認
e.他の治療の内容
2 理学療法評価および検査
a.立位、座位姿勢でのアライメント
b.自動運動評価
c.ROMテスト
d.徒手筋力検査(MMT)
e.筋持久力
f.他動運動評価(いわゆる疼痛誘発検査)
g.神経学的検査
h.ADL、QOL
i.心理
D 腰痛予防
29 神経疾患(1)片麻痺(1)
A 片麻痺の機能障害
1 知覚循環
2 自己組織化の発達
3 片麻痺の身体図式の再構築
B 呼吸
1 呼吸運動のとらえ方
2 呼吸と横隔膜
C 脊部の筋の硬さの評価
1 姿勢制御にかかわる筋
2 評価法
D 治療的アプローチ
1 運動学習
2 定位の学習
E 終わりに
30 神経疾患(2)片麻痺(2)
A 片麻痺の障害構造と理学療法介入対象
B 片麻痺患者の障害のとらえ方と評価過程
C 生活機能モデルとの関連からみた片麻痺患者の評価
1 運動発現経路と運動・動作分析の経路
2 片麻痺患者の観察による運動・動作分析
a.日常生活活動を支える基本動作を観察する
b.基本動作を単位動作に分解し関節運動の協調性を検討する
c.運動の異常はこの運動をつくりだす運動能力の諸因子に還元して調べる
d.形態学的・生理学的制約条件(機能障害)を推論する
e.機能障害が、「運動」、「動作」にもたらしている影響を確認する
f.必要な検査測定を実施し原因を追究(仮説の検証)する
g.最適な動作の再建を探る
h.機能的制限から「活動」レベルの問題点を推論する
i.治療目標を設定し、理学療法プログラムを立案する
31 神経疾患(3)運動失調症
A 随意運動における小脳の役割
B 小脳の構造と入出力関係
C 運動失調の分類と主な疾患
D 小脳症状
1 要素的な運動失調症状
a.共同運動障害、協働収縮不能(異常)asynergia、dyssynergia
b.測定障害dysmetria
c.運動分解decomposition of movement
d.反復拮抗運動不能dysdiadochokinesis, dyadiadochokinesia
e.筋緊張低下hypotonia
f.振戦tremor
g.眼振nystagmus
h.小脳性構音障害cerebellar dysarthria
2 姿勢、動作にみられる小脳性運動失調
a.座位
b.立位
c.立ち上がり
d.歩行
E 運動失調の検査方法
1 四肢、体幹の運動失調の評価
2 動作分析による運動失調の評価(姿勢保持、起居動作、歩行の観察のポイント)
a.動作分析の順序
b.動作分析の視点
c.運動失調症患者にみられる代償動作
d.諸動作と運動失調によるバランス能力との関連性
3 運動失調に関連する評価指標
a.重症度分類
b.総合的な運動失調評価指標
4 バランス能力の見方
a.バランスの序列
b.バランス能力の評価指標
F 検査結果の統合
1 疾患の予後による理学療法の基本的対応
a.回復型
b.停止型
c.進行型
2 運動失調症患者に関する検査項目
3 目標設定やプログラム作成にあたっての留意点
32 神経疾患(4)パーキンソン病とその他パーキンソン症候群
A パーキンソン病とパーキンソン症候群とは
1 パーキンソン病
2 パーキンソン症候群
B パーキンソン病とその他パーキンソン症候群の臨床症状
1 4大徴候
a.振戦
b.固縮
c.無動
d.姿勢反射障害
2 その他の症状
a.運動プログラムの障害
b.自律神経症状
c.精神症状
d.On-off現象とwearing-off現象
C 評価の意義と目的
1 ヘーン−ヤールの重症度分類
2 パーキンソン病統一スケール(UPDRS)
3 日常生活活動評価
4 関節可動域測定(ROM-T)
5 徒手筋力検査法(MMT)
6 30秒間いす立ち上がり検査(CS-30)
7 筋緊張
8 呼吸機能
9 精神面
a.抑うつ、認知障害
b.心理面
10 バランス評価
a.バランス評価のテストバッテリー
b.座位・立位姿勢のバランス評価
11 動作分析
a.寝返り、起き上がり
b.立ち上がり
c.歩行分析
33 神経疾患(5)脳性麻痺
A 脳性麻痺とは
B 時間とともに変化するCPの問題点
C 各時期で考慮すべきこと
1 乳児期
2 幼児期
3 就学期
4 成人期
D CP評価の概念
E 評価の構成要素
1 総合的評価、運動分析的評価…個体発達的視点からの評価
a.評価項目
b.運動分析、ADL分析を行う際の留意点
2 一次的問題に対する評価…神経学的視点からの評価
a.類型別の一次的問題の特徴
b.評価項目
3 二次的問題に対する評価…整形外科的視点からの評価
a.類型別の二次的問題の特徴
b.評価項目
34 内部疾患(1)呼吸器疾患
A 呼吸器疾患・障害における評価のポイント
B 病態把握
1 呼吸不全とは
2 慢性呼吸不全
3 急性呼吸不全
C 評価の手順
D 問診(病歴聴取)
1 病歴聴取
2 問診
E 身体所見
1 視診
2 触診
3 打診
4 聴診
F 臨床検査所見
1 肺機能検査
2 動脈血ガス
3 栄養状態
4 その他
G 画像所見
1 胸部単純X線検査
2 胸部CT検査
H 人工呼吸
1 換気モードの確認
2 人工呼吸管理中の評価
I 検査・測定
1 関節可動域(ROM)、徒手筋力検査(MMT)、呼吸筋力
2 運動耐容能
3 ADL・QOL
35 内部疾患(2)循環器疾患
A 心筋梗塞
1 急性期プログラムの概要
a.急性期プログラム1週目の評価のポイント
b.急性期プログラム2週目の評価のポイント
c.急性期プログラム3週目の評価のポイント
2 回復期プログラムの概要
a.回復期プログラムの評価のポイント
3 維持期プログラムの概要
B 心臓手術後
1 手術後急性期プログラム開始時点の評価のポイント
2 手術後回復期、維持期(リハビリテーション)プログラム
C 慢性心不全
1 評価のポイント
D 末梢循環障害
1 閉塞性動脈硬化症(ASO)の診断評価のポイント
36 内部疾患(3)代謝疾患
A 疾患の概念
1 糖尿病の分類
2 メタボリックシンドローム
B 理学療法評価
1 糖尿病、および代謝状態に関する情報収集
a.コントロールの指標
b.血糖値、インスリンに関する指標
c.合併症に関する情報
d.薬物療法について
e.低血糖
f.シックデイ
2 患者からの情報収集
a.主訴および自覚症状
b.現病歴
c.生活習慣
d.疾病や運動に対する意識
e.周囲の環境、社会的背景
f.心理的状態
3 体格の評価
a.BMI(body mass index)
b.体脂肪
c.周径
4 活動量の評価
a.生活時間調査による活動量の推定
b.厚生労働省による身体活動量の評価
c.歩数計を用いた測定
5 運動負荷試験
6 血圧測定
7 体力の評価
a.全身持久力
b.筋力
c.立位バランス
8 合併症の評価
a.神経障害
b.足病変
c.末梢血管障害
9 肥満に対する整形外科的評価
C 理学療法関連のエビデンス
37 その他(1)高齢者の体力(身体運動能)
A 身体運動能の加齢変化
1 体力とは
2 高齢者の体力(身体運動能)
3 体力(身体運動能)の測定
a.主観的方法
b.客観的方法
4 筋力の測定
B 体力(身体運動能)の測定法と注意点
1 健脚度の測定
2 バランス能力の測定法
3 高齢者の体力(身体運動能)を評価するための他の測定法
a.バーグバランススケール(BBS)
b.タイムドアップアンドゴウ(TUG)
c.ファンクショナルリーチ(FR)
d.各種測定法の比較
C 評価結果のとらえ方と結果の解釈
1 結果の解釈
2 転倒に関する臨床的意義
3 結果と運動指導
4 健脚度ソフトの開発
38 その他(2)スポーツ外傷・障害
A スポーツ外傷・障害とアスレチックリハビリテーション
1 スポーツ外傷・障害とは
2 スポーツ外傷・障害の発生メカニズム
3 アスレチックリハビリテーション
B 評価の考え方
1 安全性と効率性の確保に向けて
2 患部外運動機能
3 全身性のフィジカルフィットネス
C アライメント評価
1 アライメント評価の意義
2 静的アライメントと動的アライメント
D アスレチックリハビリテーションのプロセスと評価
1 受傷期
2 運動許可期
3 運動充実期
4 競技復帰期
E スポーツ外傷・障害に対する評価の留意点
1 症状の惹起要因と病態の本質
2 治療効果に対する臨床的・統計的有意とスポーツ選手の主観的評価の差異
39 その他(3)在宅リハビリテーション
A 地域リハビリテーションの概念
B 生活障害
C 対象者の状態による評価の考え方
D 問題指向と目標指向の融合
E 評価の視点
1 ニーズ、ディマンド
2 医学的評価
3 神経心理系評価
4 家族評価
5 活動評価
6 生活環境評価
7 経済状況評価
8 身体的機能評価
9 動作能力評価
F 評価の流れ
G 回復期途上の一症例
参考文献
索引
和文索引
英文索引
理学療法評価とは、問診にはじまり、観察・検査・測定・統合・解釈へと続く一連の思考過程である。したがって、理学療法の分野において「評価」はそれ自体で帰結することなく、対象者の問題点の把握、治療計画の立案、介入、介入効果の判定など、幅広く活用される重要な情報の一つとなる。すなわち、理学療法評価は治療と表裏一体の関係を持ち、臨床での諸現象の理論的な分析・解釈・判断に不可欠な根拠や判断基準となる。
評価自体に求められる条件は、評価自体が標準化されていること、評価値の信頼性や妥当性があること、評価尺度が明確であること、評価法の実用性があること、などが挙げられる。しかし、理学療法評価には主観的な評価(おもに定性的評価)と客観的な評価(おもに定量的評価)が混在するため、評価結果の統合や解釈には理学療法士間で違いがある場合もあり、評価の重要性が言われ続ける中でその標準化や定型化が極めて難しいとされる所以ともされている。
本テキストでは、各評価項目にシリーズ共通の執筆ポリシーである「一般目標」、「行動目標」、「調べておこう」、「学習到達度」を整理するとともに、それぞれの評価項目に関してできる限り信頼性や妥当性を意識した客観的で標準的な評価項目や評価方法を明示していただいた。さらに、項目によって機能障害の臨床的判断をどのように下しているかをその解釈が多くの側面から捉えられている評価に関して、複数の理学療法士に論述していただき、臨床評価が多面的に行われている実例を示した。
また、多くの学生が臨床実習で最も難渋することが多いとされている動作分析の中で、特に歩行分析に関して付属のCD-ROM 動画に基づいて臨床経験別に分析・評価・結果例を掲載して、問題解決のために必要と考えられる評価からの思考過程の具体例を示した。
今後、本書が理学療法評価に関する教育の標準化を図るための一助を担うとともに、学生の系統的学習ツールとして活用されることを大いに期待したい。
2010 年3 月
星文彦
伊藤俊一
盆子原秀三