シンプル理学療法学シリーズ
運動学テキスト
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 藤縄理/赤坂清和/石井慎一郎 |
ISBN | : 978-4-524-24285-6 |
発行年月 | : 2010年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 446 |
在庫
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
理学療法学を学ぶ学生にとって、最も重要な科目の一つであり、講義にも多くの時間が割かれている運動学について、部位別に、正常解剖から障害がある場合の病態についてわかりやすく解説。基礎と臨床の両面からアプローチした構成としている。本シリーズの特長であるGIO、SBO、学習のヒント、学習到達度自己評価問題、PBLなども盛り込んだ“教えやすく、理解しやすい”テキスト。
1 運動学と理学療法
A 運動学とはどのような学問か
B 運動のとらえ方
a.物理学的視点
b.解剖学的視点
c.生理学的視点
d.運動学的視点
C 理学療法における運動学の重要性
D 人間の運動行動と姿勢、運動、動作
1 姿勢
2 運動
a.運動面と運動軸
b.運動連鎖
c.運動分析
3 動作
E 骨・関節の運動を分析するときの2つの見方
1 骨運動学
2 関節運動学
3 骨の運動と関節副運動
4 運動学と理学療法評価
5 関節可動域制限がある場合の運動学的分析と治療
2 生体力学
A 力とは
1 理学療法の場面から力を考えてみよう
2 ベクトル
3 ベクトルの合成と分解
a.ベクトルの合成方法(2つの力を1つに合成する場合)
b.ベクトルの分解方法(1つの力を2つに分解する場合)
B 力の釣り合い
1 力の釣り合い
a.釣り合いの定義
b.2つの力が釣り合うときの条件
2 作用・反作用の法則(運動の第3法則)
C テコの原理
1 テコの種類
2 力のモーメント
a.力のモーメントの求め方
D 力と速度、加速度、仕事
1 速さと速度
a.速さ
b.速度
2 加速度
a.加速度の定義
b.運動の法則
c.質量と重さの違い
3 仕事
a.仕事
b.仕事率
4 回転運動とトルク
E 姿勢分析
1 重心の合成
2 支持基底面
a.構え
b.体位
F 動作分析
1 力のモーメントと関節運動
G まとめ
3 神経筋骨格系の機能
A 関節の構造と機能
1 関節の分類
a.不動関節
b.半関節
c.可動関節
2 可動関節の構造
a.関節軟骨
b.関節包と靱帯
c.滑膜
d.滑液
e.関節円板または関節半月
f.関節唇
g.滑液包
3 可動関節の種類
a.蝶番関節
b.平面関節
c.鞍関節
d.顆状関節
e.楕円関節
f.球関節
g.車軸関節
4 骨および関節の機能
a.骨の機能
b.関節の機能
B 筋の構造と機能
1 骨格筋の基本構造
2 骨格筋の収縮のしくみ
3 筋線維のタイプ
4 骨格筋の種類
a.平行筋
b.羽状筋
c.多頭筋
d.板状筋
5 筋長と張力
C 筋収縮、筋出力のメカニズム
1 筋収縮の種類
a.等尺性収縮
b.求心性(短縮性)収縮
c.遠心性(伸張性)収縮
d.等張性収縮
e.等速性収縮
2 筋張力に影響する要因
a.筋断面積
b.筋線維長
c.神経系による要因
d.筋線維組成
3 関節トルクに影響する要因
D 神経の構造と機能
1 神経の基本構造
2 シナプスにおける興奮の伝達
3 神経系の分類
4 神経系における興奮の伝導
5 神経系の機能
4 運動と呼吸・循環・代謝
A 運動と呼吸
1 呼吸とは
2 呼吸器系の機能
a.換気機能
b.ガス交換能
3 運動時の換気
4 有酸素運動と無酸素運動
5 呼吸中枢
6 呼吸中枢の自己調節機能
a.機械的刺激による反射
b.呼吸の化学的調節
B 運動と循環器系の機能
1 心臓の機能
a.心拍数
b.心拍出量と1回拍出量
2 運動時の循環
a.運動時の心拍出量
b.運動時の血液分布
3 運動時の血圧
C 運動継続によるトレーニング効果
D 運動と体温調節
a.体温調節
b.運動と体温
E 運動と血液ガス
a.動脈血酸素分圧(PaO2)と動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)
b.水素イオン指数(pH)
F 運動時のエネルギー産生
1 ATP-CP系エネルギー(非乳酸系エネルギー)
2 解糖系エネルギー(乳酸系エネルギー)
3 有酸素系エネルギー
5 頭部と頸部の運動
A 機能解剖
1 頭部を支える頸部の役割
2 頸部の概観
3 上部頸椎の特徴
a.第1頸椎(C1)
b.第2頸椎(C2)
c.環椎後頭関節
d.正中環軸関節
e.外側環軸関節
4 下部頸椎の特徴
a.椎体
b.椎弓根と横突起
c.椎弓と棘突起
d.椎体と椎間板の連結
e.椎弓と棘突起の連結
f.椎間板
g.椎間関節
h.鉤椎関節(鉤状関節)
B 頭部の保持
C 骨運動学
1 上部頸椎の運動
a.環椎後頭関節
b.環軸関節
2 下部頸椎の運動
a.椎体と椎間板の連結
b.鉤椎関節
c.椎間関節
D 関節運動学
1 環椎後頭関節の運動
2 正中環軸関節の運動
3 外側環軸関節の運動
4 椎体-椎間板連結(軟骨結合)の運動
5 鉤椎関節(鉤状関節)の運動
6 椎間関節の運動
E 運動に作用する筋
6 頭部と頸部の運動障害
A 病態運動学
1 関節可動域(ROM)障害があるときの運動
a.頸椎椎間関節の問題
b.靱帯の問題
c.筋の問題
d.疼痛の問題
2 筋力低下があるときの運動
a.頭・頸部に作用する筋
b.頭部前方位姿勢時の筋活動
B 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.静的アライメントのチェック(姿勢分析)
b.動的アライメントのチェック(運動分析)
2 触ったり介助するときの注意点
a.骨の触診
b.筋の触診
c.動かすときの注意点
7 胸椎・腰椎の運動
A 機能解剖
1 椎体と椎間関節
2 椎間板
3 胸・腰椎の靱帯
a.前縦靱帯
b.後縦靱帯
c.黄色靱帯
d.棘上・棘間靱帯
e.横突間靱帯
B 骨運動学
1 胸・腰椎の骨運動
2 胸椎の可動域
3 腰椎の可動域
C 関節運動学
1 胸・腰椎の関節運動
2 胸椎の関節運動
3 腰椎の関節運動
D 運動に作用する筋
1 腹壁の筋群
2 腹壁の筋群の作用
3 背部の筋群
4 背部の筋群の作用
8 胸椎・腰椎の運動障害
A 病態運動学
1 関節可動域(ROM)制限があるときの運動
a.椎間関節の問題
b.椎骨の問題
c.椎間板の問題
d.靱帯の問題
e.その他の問題
2 筋力低下があるときの運動
a.筋力低下の臨床的視点
b.胸椎部における体幹後面筋の筋力低下
c.腰椎部における体幹後面筋の筋力低下
d.体幹前面筋の筋力低下
B 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.静的アライメントのチェック
b.動的アライメントのチェック
2 触ったり介助するときの注意点
a.座位における注意点
b.立位における注意点
9 胸郭と呼吸運動
A 呼吸とは
B 機能解剖
1 胸郭
a.胸椎
b.肋骨
c.胸骨
d.横隔膜
2 胸郭の関節構造
a.肋椎関節
b.胸肋結合
3 胸郭の運動
a.上下方向への拡大
b.前後方向への拡大
c.左右方向への拡大
d.水平面上での運動
C 吸息筋と呼息筋
1 胸部の筋
2 吸息筋
a.安静吸息筋
b.強制吸息筋
3 呼息筋
a.安静呼息筋
b.強制呼息筋
c.呼吸運動における内肋間筋と外肋間筋の作用
10 胸郭と呼吸運動の障害
A 病態運動学
1 閉塞性換気障害
2 拘束性換気障害
3 呼吸の協調運動
a.胸郭の呼吸運動を阻害する胸郭変形
b.横隔膜下降運動の阻害要因
2 コンプライアンスとエラスタンス
a.コンプライアンス
b.エラスタンス
c.胸郭の呼吸運動
B 姿勢と呼吸運動
1 脊柱の変形と胸郭の運動
a.側彎と胸郭運動
b.後彎と胸郭運動
2 体位と呼吸運動
a.立位の呼吸運動
b.背臥位の呼吸運動
c.側臥位の呼吸運動
d.腹臥位の呼吸運動
C 呼吸効率と呼吸運動パターン
1 呼吸効率とは
a.呼吸筋の収縮効率
b.循環動態
c.換気運動
2 呼吸パターン
a.部位による違い
b.性別による違い
c.随意的コントロール
d.上部胸式呼吸の問題点
e.腹式呼吸の優位性
D 呼吸の奇異運動
1 シーソー呼吸
2 リッテンの徴候
3 フーバー徴候
4 陥没呼吸
11 肩複合体の運動
A 機能解剖
1 肩関節複合体
a.肩甲上腕関節
b.肩甲胸郭関節
c.肩鎖関節
d.胸鎖関節
e.第2肩関節
2 肩関節の靱帯
a.関節上腕靱帯
b.烏口上腕靱帯
B 骨運動学
1 相対的肢位
2 肩の運動
a.屈曲および外転による最大挙上
b.内旋、外旋
c.肩甲上腕リズム
d.分回し運動
C 関節運動学
1 肩甲上腕関節の運動
2 胸鎖関節の運動
3 肩鎖関節の運動
D 運動に作用する筋
a.肩甲上腕関節
b.肩甲骨の運動
c.腱板の安定化作用
12 肩複合体の運動障害
A 病態運動学
1 肩関節の病態
a.外傷性病態
b.非外傷性病態
2 病態の発生と関節運動メカニズム
a.器質的変化による病態例(肩関節脱臼)
b.器質的および機能的変化による病態例(腱板損傷)
3 関節可動域(ROM)制限があるときの運動
a.肩疾患における異常肩甲上腕リズムの例
4 筋力低下があるときの運動
B 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.前方、側方からの観察部位
b.後方からの観察部位
c.肩甲骨の動きの観察
2 触ったり介助するときの注意点
a.動的安定化機構の機能評価
b.触診による評価
13 肘・前腕の運動
A 機能解剖
1 肘関節を構成する関節
a.肘関節
b.肘関節の靱帯
2 前腕を構成する関節
a.関節
b.靱帯と骨間膜
3 肘関節のアライメント
a.肘角(運搬角)
b.ヒューター線とヒューター三角
B 骨運動学
1 肘関節の運動
2 前腕の回内と回外
C 関節運動学
1 屈伸運動時の関節包内運動
2 回内・回外運動時の関節包内運動
D 運動に作用する筋
1 肘関節
a.屈曲
b.伸展
2 前腕
a.回外
b.回内
14 肘・前腕の運動障害
A 病態運動学
1 関節可動域(ROM)障害があるときの運動
a.可動域と関節の最終域感
b.関節の運動制限
c.関節機能異常
d.筋の短縮
2 筋力低下があるときの運動
a.正中神経麻痺
b.尺骨神経麻痺
c.橈骨神経麻痺
B 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.視診のしかた
2 触ったり介助するときの注意点
a.骨と軟部組織の触診
b.筋の触診
15 手根・手の運動
A 機能解剖
1 手関節
a.橈骨手根関節
b.手根中央関節
c.手根管
2 手指の構造
a.手根中手関節(CM関節)
b.中手指節関節(MP関節)
c.近位指節間関節(PIP関節)
d.遠位指節間関節(DIP関節)
B 骨運動学
1 手関節の運動
a.掌屈、背屈
b.橈屈、尺屈
2 手指の運動
a.手根中手関節(CM関節)
b.中手指節関節(MP関節)
c.指節間関節(IP関節)
d.手指の内転・外転運動
C 関節運動学
1 手関節
a.掌屈、背屈
b.橈屈、尺屈
2 中手指節関節(MP関節)
a.屈曲、伸展
b.外転、内転
3 指節間関節(IP関節)
a.屈曲、伸展
D 運動に作用する筋
1 手関節の筋・腱
2 手内筋(内在筋)
a.母指球筋
b.小指球筋
c.虫様筋
d.骨間筋
3 手外筋(外在筋)
a.手指の伸展
b.手指の屈曲
c.母指の運動
E 腱鞘
16 手根・手の運動障害
A 病態運動学
1 疾患による機能障害
a.手のアーチの崩れ
b.手指筋力のアンバランスと手の変形
2 関節可動域(ROM)障害があるときの運動
a.手関節
b.手根中手関節(CM関節)
c.中手指節関節(MP関節)
d.指節間関節(IP関節)
3 筋力低下があるときの運動
B 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.皮膚の観察
b.手の肢位の観察
c.X線画像による観察
d.筋の観察
2 触ったり介助するときの注意点
a.皮膚
b.骨
c.関節
d.筋
e.知覚
C エビデンス
17 骨盤・股関節の運動
A 機能解剖
1 骨盤環
2 腰仙部
3 仙腸関節
4 恥骨結合
5 股関節
B 骨運動学と関節運動学
1 骨盤
2 仙腸関節
3 股関節
a.骨運動学
b.関節運動学
C 運動に作用する筋
D バイオメカニクス
1 股関節合力
2 関節接触面応力
18 骨盤・股関節の運動障害
A 病態運動学
1 疾患による構築学的異常
2 関節可動域(ROM)制限があるときの運動
a.屈曲、伸展
b.内転、外転
c.回旋
3 筋力低下があるときの運動
a.筋力と関連する構築学的異常
b.屈曲、伸展
c.内転、外転
d.回旋
B 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.肢位、可動性を観察するときの注意点
b.動作を観察するときの注意点
2 触ったり介助するときの注意点
19 膝関節の運動
A 機能解剖
1 膝関節複合体
a.大腿脛骨関節(FT関節)
b.膝蓋大腿関節(PF関節)
2 膝関節のアライメント
3 膝関節の靱帯
a.側副靱帯の解剖と機能
b.十字靱帯の解剖と機能
4 関節半月の解剖と機能
B 骨運動学
1 屈曲、伸展
2 内旋、外旋
C 関節運動学
1 屈伸運動時の関節包内運動
2 自動回旋
D 膝蓋骨の機能
E 運動に作用する筋
1 伸筋と屈曲-回旋筋
a.大腿四頭筋
2 膝関節の屈曲-回旋筋群
a.ハムストリング
b.縫工筋と薄筋
c.膝窩筋
20 膝関節の運動障害
A 膝関節の特徴
B 病態運動学
1 関節可動域(ROM)障害があるときの運動
a.大腿脛骨関節
b.膝蓋大腿関節
2 筋力低下があるときの運動
a.伸展筋力低下
C 観察と触診
1 観察するときの注意点
a.立位姿勢
b.歩行
D 触ったり介助するときの注意点
21 下腿・足根・足部の運動
A 機能解剖
1 下腿、足関節
a.脛腓関節
b.距腿関節
2 足根、足部
a.距骨下関節
b.横足根関節
c.足根中足関節
d.中足間関節
e.中足指節関節
f.指節間関節
3 足のアーチ
B 骨運動学
1 足関節・足部の運動
2 上・下脛腓関節の運動
3 距腿関節の骨運動と運動軸
4 距骨下関節の骨運動と運動軸
5 横足根関節の骨運動と運動軸
6 足根中足関節の骨運動と運動軸
7 中足指節関節の骨運動と運動軸
C 関節運動学
1 上脛腓関節の運動
2 下脛腓関節の運動
3 距腿関節の運動
4 距骨下関節の運動
5 横足根関節の運動
a.距踵舟関節
b.踵立方関節
6 足根中足関節の運動
7 中足指節関節の運動
8 指節間関節の運動
D 運動に作用する筋
1 外在筋
a.前側コンパートメントの筋と作用
b.外側コンパートメントの筋と作用
c.後側コンパートメントの筋と作用
2 足の内在筋
a.母指球筋
b.小指球筋
c.中足筋
22 下腿・足根・足部の運動障害
A 病態運動学
1 関節可動域(ROM)制限があるときの運動
a.内反足
b.外反足
c.尖足
d.踵足
e.凹足
f.外反母指
2 筋力低下があるときの運動
a.下垂足
b.扁平足
3 不安定性があるときの運動
a.アキレス腱断裂
b.足関節靱帯損傷
B 見方と動かし方
1 観察するときの注意点
2 触ったり介助したりするときの注意点
3 病態別の見方と動かし方
a.内反足
b.外反足
c.尖足
d.踵足
e.凹足
f.外反母指
g.扁平足
h.アキレス腱断裂
i.足関節靱帯損傷
j.外反捻挫の場合
23 神経ダイナミクス
A 末梢神経の構造
B 神経の連続性
C 運動に対する神経の適応
D 神経に対する整形外科徒手検査
E 神経に対する徒手(神経ダイナミクス)検査の実施上の注意
1 正中神経に対する神経ダイナミクス検査
a.上肢神経ダイナミクス検査1(ULNT1)
b.上肢神経ダイナミクス検査2 ─正中神経(ULNT2-median nerve)
2 尺骨神経に対する神経ダイナミクス検査
a.上肢神経ダイナミクス検査3(ULNT3)
3 橈骨神経に対する神経ダイナミクス検査
a.上肢神経ダイナミクス検査2 ─橈骨神経(ULNT2-radial nerve)
4 大腿神経と坐骨神経
a.腹臥位膝屈曲(PKB)
b.スランプ検査
5 神経症状
24 感覚と運動
A 感覚と運動に関連する脳領域
B 感覚に関する基本事項
C 随意運動と脳の情報伝達経路
D 随意運動の制御システム
1 視覚制御システム
2 体性感覚制御システム
E 運動学習
1 運動学習とは
2 運動学習理論
a.アダムスの閉回路理論
b.シュミットのスキーマ理論
3 運動学習の3段階
a.初期認知段階
b.中間段階
c.後期自律学習段階
4 運動学習における誤差修正モデル
5 運動学習モデル
25 運動発達と姿勢反射
A 運動発達
1 正常運動発達
2 運動発達指標
B 運動発達と姿勢反射
1 姿勢の成り立ち
2 姿勢反射の分類
a.姿勢反射の名称
b.姿勢反射の大分類
3 運動発達と姿勢反射の関係
a.Milani-Comparetiiによる運動発達評価表(ミラーニチャート)
b.ミラーニチャートの構成
C 姿勢反射評価の意義
D 姿勢反射の評価方法
a.陽性支持反応
b.緊張性迷路反射(TLR)
c.手掌把握反射
d.非対称性緊張性頸反射(ATNR)
e.モロー反射
f.対称性緊張性頸反射(STNR)
g.足底把握反射
h.空間での頭部の立ち直り反応
i.矢状面での体幹の立ち直り反応(ランドウ反応)
j.巻き戻し反応
k.下方への下肢のパラシュート反応
l.前方パラシュート反応
m.側方パラシュート反応
n.後方パラシュート反応
o.傾斜反応
p.前方立位平衡反応
q.後方立位平衡反応
r.側方立位平衡反応
E 脳性麻痺における姿勢反射
1 発達に伴う姿勢反射の変化
2 原始反射統合の遅れ
26 姿勢制御機構とその異常
A 姿勢制御の基礎
B 姿勢制御の理論的背景
1 反射階層理論
a.反射学説の発展
b.反射-反応の体系
c.神経発達学との関連
2 システム理論
3 意図的運動とバランス
C 定位と表象
a.定位
b.表象
D 運動力学からみた姿勢制御
1 運動力学の基礎
a.重心と圧中心
b.剛体の運動
2 姿勢制御における運動力学的方策
E 安定と不安定
F 静的バランスと動的バランス
G 外乱負荷時の姿勢制御機構
1 反射階層理論からみた外乱負荷時の姿勢制御とその異常
2 システム理論からみた外乱負荷時の姿勢制御とその異常
27 基本動作の種類と分析
A 基本動作の理解
1 基本動作の種類
2 動作の理解に必要な事項
a.身体の重心と重心線
b.重心と支持基底面
c.関節周りのモーメント
3 健常者と障害者の動作の違い
B 基本動作の分析
1 分析の基本的な流れ
a.動作の全体像を把握
b.重心の軌跡を確認
c.支持基底面の変化を確認
d.関節の運動と活動している筋を確認
e.動作を相に分ける
f.動作の意味づけ
2 動作分析の実際
a.寝返りの分析
b.起き上がりの分析
c.立ち上がりの分析
3 動作分析結果の表現
28 正常歩行と異常歩行
A 正常歩行について
a.歩幅(ステップ幅)
b.重複歩距離(ストライド距離)
c.歩隔
d.足角
e.歩行率(ケイデンス)
f.歩行速度
B 歩行周期
a.歩行周期
b.歩行周期の詳細分類
C 歩行時の下肢関節運動
D 歩行時の下肢関節モーメント
E 歩行時の下肢筋活動
F 歩行時の骨盤の動きと重心軌跡
G 異常歩行
a.トレンデレンブルク歩行
b.大殿筋歩行
c.パーキンソン歩行
d.痙性片麻痺歩行
29 身体運動の分析法
A 身体運動の分析とは
B 映像の3次元解析装置による分析法
1 光学的(映像による)解析方法の歴史
2 2次元解析
3 3次元解析
4 示標
5 カメラレンズの限界
6 光学的解析以外の解析手段
7 床反力計と3次元解析
C 圧センサーやトルクマシーンなどの筋力計による分析法
1 徒手筋力測定と圧センサーやトルクマシーンなどの筋力計の違い
a.徒手筋力測定
b.ハンドヘルドダイナモメータ
c.トルクマシーン
2 ハンドヘルドダイナモメータで計測できる筋力
3 トルクマシーンで計測できる筋力
4 最大努力
D 筋電図による分析法
1 筋電図とは
2 動作筋電図
3 積分筋電図に影響を与える要素
E 呼吸循環分析装置による分析法
1 呼吸循環分析装置(呼気ガス分析装置)
2 最大酸素摂取量
30 体力良好と運動負荷
A 体力良好
1 健康・体力つくりの必要性
2 健康維持と体力の関係
3 健康と運動の関係
a.エネルギー代謝率
b.METs
c.最大酸素摂取量
d.心拍数
B 運動処方
1 運動処方とは
2 一般的手順
3 運動処方の内容
a.運動種目
b.運動強度および持続時間
c.運動頻度
d.運動処方の交付
e.運動継続期間と運動処方の調整
f.運動時の安全管理
g.運動の中止
C 運動負荷試験
a.目的
b.測定項目
c.運動種目
d.本試験の実際
e.禁忌事項と中止基準
31 運動学と理学療法評価・治療
A 理学療法評価とは
B クリニカルリーズニングとは
C 評価、治療における運動学の役割
D 運動学の知識を応用した評価、治療
1 症例紹介
a.主観的評価
b.理学的評価
c.肩関節以外に原因がある場合との鑑別
d.他の肩関節疾患とその鑑別検査
e.その他の情報
f.問題点の列挙
g.問題解決へ向けた治療手技の展開
h.評価、問題点、問題解決のまとめ
32 運動学の学習を深めるためのPBL
参考文献
索引
和文索引
英文索引
理学療法士の専門性を一言で表せば、神経筋骨格系組織あるいは運動に関係する器官の機能を評価しその障害や異常に対して治療的に関わる、といってよいのではないだろうか。医師が治療的に関わる分野は病理学的変化であり、理学療法士が関わるのは病理学的変化の結果生じた機能異常(dysfunction)あるいは機能障害(impairment)である。対象は運動器障害、中枢神経障害、内部障害と広範ではあるが、あくまでも治療的に関わるのは機能に対してである。機能異常や機能障害を評価し治療するには、正常な機能を十分理解していなければならない。そのために解剖学、生理学、運動学は理学療法学を学習するための基礎となる。
運動学は運動を解剖学、生理学、力学、さらには心理学や社会学的視点も含めて理解する学問であり、かなり広い領域にわたっている。理学療法教育の中では通常解剖学や生理学に引き続いて教えられているか、場合によっては並行して教えられることもある。一方、学生は高校での教育に選択の幅が広がり、なかには理科科目のうち生物、化学、物理のうち一部しか選択しておらず、入学後に解剖学や生理学の学習で困難を感じたり、運動学の基礎である力学に拒絶反応を示したりする学生もいる。そこで編集方針として、解剖学、生理学、物理学の学習が不十分であっても理解できる説明を心がけることとした。
授業回数は15コマ、あるいは30コマを基本とすることが多い。授業内容は正常な機能に関する「基礎運動学」と臨床的内容に関する「臨床運動学」から構成されることもあると思う。そのため、本書は32章からなるように構成し、1章から30章のうち15章分は「基礎運動学」として講義し、残りの15章分を「臨床運動学」として講義できるような内容とした。章の配置としては、部位別に正常機能を説明した次の章で同じ部位の運動障害について述べるようにした。さらに31章で運動学と理学療法評価・治療についての関係を理解できるように臨床的推論(clinical reasoning)を紹介し、32章で問題解決型学習(PBL;problem based learning)に役立つ演習問題を提示した。
頭部、体幹、四肢の章では、生理学的運動、すなわち屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋というような用語で運動をとらえる骨運動学(osteokinematics)と、骨運動と同時に起こっている関節包内の転がり(roll)、滑り(slide)、軸回旋(spin)などの運動を分析する関節運動学(arthrokinematics)とを紹介した。この領域は、これまでわが国で出版されてきた運動学の教科書にはないものである。
本書は初学者が容易に理解できるような記述を心がけたが、内容は臨床実習や卒業後に対象者の運動機能を評価し、運動障害や機能障害の治療を行うために必要なものを取り上げた。新しい試みも多いため、不適切、不十分な部分もあるかと思われる。講義に使用された先生方や本書で学んだ学生の皆さんによる忌憚のないご意見、ご批評をお寄せいただければ幸いである。
2010年3月
編者を代表して 藤縄 理