基礎看護学テキスト改訂第3版
EBN志向の看護実践

編集 | : 深井喜代子/前田ひとみ |
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ISBN | : 978-4-524-23495-0 |
発行年月 | : 2023年12月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 528 |
在庫
定価5,940円(本体5,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

研究データに裏付けされた看護実践の実現を目指し,基礎看護学の広範で多様な内容について可能なかぎり多くの根拠を示しながら解説した好評テキストの改訂版.今版では,新しいエビデンスをもとに全体を見直し,新項目として「ゲノム医療と看護」「情報テクノロジーと看護」「排便障害とケア」等を追加.看護の科学性を希求する高い志と深い学びをサポートする,看護学系教員,看護学生必携の書.
T 新時代の看護
@看護の対象と看護学
1 看護の対象とは
2 看護学体系における基礎看護学
3 基礎看護学の構成要素
A新時代の看護の役割
1 社会における看護のアイデンティティ
2 時代が求める看護
3 倫理的課題に挑む看護
4 災害看護
B科学的看護の推進
1 看護学における経験主義と基礎理論
2 ケア技術の進歩とEBN
3 実践における研究活用
Cゲノム医療と看護
1 ゲノム医療の登場
2 遺伝看護
3 ゲノム医療における看護の役割
D看護のグローバリゼーション
1 グローバルな視点で看護をとらえる必要性
▶コラム▶行動変容
2 グローバル社会における看護指針
▶コラム▶ウェルネス
▶コラム▶セクシャリティ
E患者・家族の意思決定
1 意思決定を取り巻く状況
2 意思決定とは
3 看護職としての意思決定支援
4 意思決定支援のポイント
F政策と看護
1 看護に関わる制度と政策の動向
▶コラム▶SDGs
2 政策の具現化
▶コラム▶地域包括ケアシステム
U 看護活動展開の方法
@看護過程
A 看護過程とは
1 看護過程の歴史的発展
2 看護活動における看護過程の意義
3 わが国における看護過程の発展
B 看護過程の構成要素と循環特性
1 看護過程の構成要素
2 看護過程の循環特性
C 看護過程の基盤となる理論
1 看護過程と一般理論
2 看護過程と看護理論
3 看護過程とクリティカルシンキング
D 看護過程の課題と展望
1 改めて看護過程とは
2 看護におけるケアリングの再考
A看護活動の情報
A 看護活動
1 活動の場の多様化
2 チーム医療
B 看護活動の情報
1 看護活動における情報の特徴
2 情報とアセスメント
3 電子カルテと個人情報の保護
C 看護活動の記録と情報活用
1 看護活動の記録
2 看護情報の活用
B情報テクノロジーと看護
A 医療情報とICT
B ICTと遠隔看護
1 遠隔看護とは
2 遠隔看護の具体例
3 遠隔医療,遠隔看護を可能にするために
C 情報化と看護の未来
C健康情報とヘルスリテラシー
A ヘルスリテラシーの定義
B ヘルスリテラシーの2つの場面
1 ヘルスケアの場面
2 ヘルスプロモーションの場面
C ヘルスリテラシーの評価と要因
1 ヘルスリテラシーに関する調査の概要
2 「評価」について
3 「意思決定」について
D ヘルスリテラシーに必要な情報の評価と意思決定のスキル
V 看護活動の前提となる技術
@看護における人間関係とコミュニケーション
A 看護と人間関係
1 人間関係のプロセスのうえに成立する看護
2 患者-看護者間の援助的人間関係
3 人間関係を発展させるための自己理解・他者理解
B コミュニケーションの基礎知識
1 コミュニケーションの分類
2 コミュニケーションの構成要素と成立過程
3 言語的・非言語的コミュニケーション
4 看護におけるコミュニケーションの特性
5 コミュニケーションに影響する因子
C 援助的コミュニケーションスキル
1 対人関係を発展させるコミュニケーションの心がけ
2 援助的コミュニケーションの基本
3 治療的コミュニケーション
D 医療チームのコミュニケーション
▶コラム▶グループ・ダイナミックス
E 機器を用いたコミュニケーション
1 電話やナースコールの役割と留意点
2 拡大・代替コミュニケーションと留意点
3 ビデオ通話・ロボット活用
A感染看護
A 感染の基礎知識
B 感染症の成立
1 病原体の侵入
2 感染症と生体防御機構
3 易感染宿主と看護
C 感染予防のための看護技術
1 病原体を除去する
2 病原体の侵入経路を遮断する
D 医療関連感染と職業感染
1 医療関連感染と感染管理
2 職業感染防止と安全管理
B看護動作とボディメカニクス
A ボディメカニクス
1 ボディメカニクスとは
2 ボディメカニクスと人間工学
3 ボディメカニクスの限界
4 人間の構造的・機能的なボディメカニクス
5 人間の姿勢(posture of human)
6 作業的なボディメカニクス
7 力学からみた動作の基本
B 看護動作におけるボディメカニクス
1 看護動作
2 患者や物の移動
3 環境・用具の活用
4 患者への適応
C医療安全(リスクマネジメント)
A To Err is Human
1 医療安全
2 ヒューマンエラー
3 医療事故の現状と分析
B 医療安全管理におけるヒューマンエラー対策
1 戦術的エラー対策
2 レジリエンス・エンジニアリング
3 医療安全におけるゲーミングシミュレーションの活用
W ヘルスアセスメント
@身体的健康状態のアセスメント
A ヘルスアセスメントとは
B フィジカルアセスメントの方法
1 体表から見たヒトのからだを観察する
2 バイタルサインによるアセスメント
▶コラム▶ 水銀を使った体温計・血圧計の全廃へ
3 リンパ節と甲状腺の触診
4 感覚器系のアセスメント
5 脳・神経系のアセスメント
A心理状態と社会性のアセスメント
A 人の考え・気持ちを理解する方法
B 人の暮らしぶりを理解する方法
Bセルフケア能力
A セルフケアとセルフケア能力
B セルフケア能力のアセスメント
X 日常生活の援助
@生活の場を整える
1-1 健康生活と居住環境
A 健康生活のための環境調整の視点
1 物的環境
2 対人的環境
3 教育・管理的環境
B 援助の場に応じた居住環境の視点
1 一般病床
2 療養病床
1-2 光環境─明るさと色彩
A 光と生活
1 太陽と生活リズム
2 異なる波長光が人体に与える影響
3 生活空間に用いられる色
B 明るさと色彩
1 明るさの測定
2 色の測定
C 生活に適した光環境
1 国が定めた明るさの基準
2 明暗と色温度環境
3 季節変化
4 加 齢
1-3 空気と臭い環境
A 日常生活における臭い
1 健康な人から発生する臭い
B 病院環境における臭い
1 環境因子によるもの
2 患者自身から発生するもの
C 除 臭
D 治療・症状緩和を目的とした匂い
1 身体への作用
2 精神心理面への作用
1-4 居住空間と音環境
A 音の物理的特性
B 病院の集中治療室での音の問題
C 問題となる音への対処方法
1-5 寝床環境 池田理恵
A 生活の場としての寝床
B 寝床内気候
1 寝床内気候とは
2 寝床内気候の変動要因
C 快適な寝床を提供する
1 寝床周辺の環境整備
2 ベッドメーキングの方法
1-6 衣 服
A 健康者の日常における衣服の役割
B 健康障害のある人の衣服
C 病者・床上生活者にとっての寝衣
D 臨床における寝衣交換の方法
A生理的ニードを補充する
2-1 食べる
A 栄養の基礎知識
1 看護における栄養の意義
2 日本人の食事摂取基準
3 消化と吸収
B 現代人の食の特徴
1 栄養摂取量
2 食習慣
3 食行動
C 食事援助のための看護技術
1 病院食
2 口から食べることを援助する
3 経口以外の栄養補給方法を援助する
2-2 呼吸する
A 呼吸の基礎知識
1 呼吸器系の形態と機能
2 呼吸運動と呼吸調節
B 呼吸のアセスメント
1 呼吸の性質
2 呼吸器に特徴的な症状
3 動脈血酸素飽和度,血液検査などのデータ
C 呼吸を安楽にする看護技術
1 安楽な体位
2 呼吸訓練
3 排痰法
4 吸引療法
5 吸入療法
6 酸素療法
7 ケアの評価
2-3 排泄する
2-3-1 排 尿
A 排尿のメカニズム
B 排尿に影響する要因
C 排尿に関するアセスメント
1 主観的情報
2 客観的情報
D 排尿の援助にかかわる看護技術
1 自然排尿を促す看護技術
2 蓄(貯)尿障害に対する看護技術
3 排出障害に対する看護技術―導尿
2-3-2 排 便
A 排便の意義とメカニズム
1 人間の健康と排便
2 排便のメカニズム
3 排便に影響を及ぼす因子
B 快適な排便を促す援助
1 排便のアセスメント
2 自然排便を促す援助
3 床上での排便の援助
C 排便の異常に対する援助
1 下痢時のケア
2 排便困難時のケア
2-4 清潔を保つ
A 身体を清潔に保つことの意義と看護の役割
1 清潔の意義
2 皮膚・粘膜の構造と機能
B 清潔のニードのアセスメント
1 身体状況のアセスメント
2 清潔行為・行動のアセスメント
C 清潔の援助技術
1 石けんと洗浄剤の洗浄効果
2 全身清拭と部分清拭
3 入浴およびシャワー浴
4 陰部の清潔
5 部分浴
6 洗 髪
7 口腔の清潔
8 眼・耳・鼻の清潔
2-5 活動する
A 活動・運動に関する基礎知識
1 活動・運動の意義
2 活動・運動の身体への影響
B 活動・運動機能のアセスメント
1 運動機能の評価
2 日常生活行動の遂行に関するセルフケア能力
3 動こうとする意思
4 生活行動を支える生活環
5 活動と休息のバランス
C 活動を促す援助
1 体位変換の援助
2 車椅子への移乗・移送の援助
D 療養生活におけるレクリエーション
2-6 ポジショニング
A ポジショニングと体位
B 基本的な全身ポジション
1 臥位(lying position)
2 坐位(sitting position)
3 立位(standing position)
C 日常生活に必要なポジショニング
1 体位変換とポジショニング
2 食事ケアとポジショニング
3 排泄ケアとポジショニング
4 清潔ケアとポジショニング
2-7 睡眠と休息
A 睡眠・休息の定義・機能と看護者の役割
B 睡眠の生理学的基礎知識
1 睡眠の調節法
2 睡眠段階と周期
C 睡眠に影響する要因
D 症状のとらえ方
E よりよい睡眠への看護援助
1 アセスメント
2 看護援助の実際とその根拠
2-8 心地よさと看護ケア
A 「心地よさ」とは
B 「心地よい」と感じるときの心身のメカニズム
C 「心地よさ」をもたらす看護ケアの効果
1 看護ケアを受けた人の反応
2 看護師がとらえる患者・家族の変化と自分自身の変化
Y 治癒促進と症状緩和のケア技術
@患部の保護
A 患部の保護と包帯法の歴史
B 包帯法の基礎知識
1 包帯の目的
C 包帯法に共通する実施上の原則
1 目的にあった材料や方法である
2 循環障害を予防する
3 運動障害を予防する
4 感染を予防する
5 安楽である
D 包帯とドレッシング
1 包 帯
2 ドレッシング
E 症状緩和技術としての包帯法
1 下肢圧迫包帯による静脈還流の促進
2 生活支援技術としての包帯法
A体液バランスを保つケア
A 体液についての基礎知識
1 体液の区分
2 体液の量・分布
3 体液の成分
4 体液バランス(成分バランスと体液量バランス)
B 体液バランスの乱れ
1 脱水症
2 浮 腫
C 体液バランスのアセスメント指標
1 日常生活の中で判断できる指標
2 検査所見
3 診察所見
D 体液バランスを整えるためのケア
1 日常生活におけるケア
2 輸液の管理
B浮腫のケア(用手リンパドレナージ)
A リンパ浮腫の基礎知識
1 浮腫の原因と背景
2 リンパ浮腫の鑑別とケアの重要性
B 用手リンパドレナージ(ML)の実際(看護者が行うもの)
1 リンパ管系の走行
2 MLの実施時期
3 MLの方法
C褥瘡の予防ケア
A 褥瘡の定義
B 褥瘡の重症度分類と状態評価
C 予防ケアの基本
D 全身皮膚観察
E リスクアセスメント
1 ブレーデンスケール
2 K式スケール
3 厚生労働省 褥瘡発生危険因子評価票
F 圧迫・ずれ力の管理
1 体位変換・ポジショニング
2 体圧分散寝具の使用
3 圧管理を評価する
G スキンケア
1 皮膚の清潔
2 保 湿
3 マッサージの禁止
4 便・尿失禁などの湿潤からの回避
H 栄 養
Dストーマケア
A ストーマの種類
B ストーマ装具
1 ストーマ袋
2 面 板
C ストーマの基本的なケア
1 ストーマ造設前のケア
2 ストーマ造設後のケア
D ストーマ周囲皮膚障害の早期発見とその対応
E安楽・安寧を保つケア
A こころと身体の調和を保つ
1 リラクセーションの基礎知識
2 リラクセーションのための看護技術
3 リラクセーション法の適用と効果
4 ケアのポイントと留意事項
B 温熱・寒冷刺激による安楽・安寧の促進
1 温熱・寒冷刺激の基礎知識
2 温熱刺激の安楽・安寧促進効果
3 寒冷刺激の安楽促進効果
4 温度刺激としての罨法の活用
5 罨法の種類と実際
F悪心・嘔吐のケア
A 悪心・嘔吐の基礎知識
1 悪心・嘔吐の定義
2 悪心・嘔吐のメカニズム
B 悪心・嘔吐の原因
1 中枢性嘔吐
2 末梢性嘔吐
C 悪心・嘔吐のケア
1 アセスメント
2 制吐治療に伴うケア
3 安全・安楽な体位
4 食事・栄養状態への配慮
5 精神面のケア
G排便障害のケア
A 医学モデルにおける便秘
1 診断・治療を目的とした便秘の定義
2 検 査
3 便の性状
B 便失禁
1 定 義
2 疫 学
3 便失禁がもたらす問題
C 直腸がんで肛門温存術後に生じる排便障害
1 直腸がんの手術
2 低位前方切除術後症候群について
▶コラム▶臨床判断
H痛みのケア
A 侵害受容としての痛み
B 体験としてのヒトの痛み
C 痛みの種類と特徴
D 痛みの測定・評価の方法
1 問 診
2 フィジカルアセスメント
E 鎮痛のメカニズム
F 鎮痛ケアの方法
G 関連痛
Iがん疼痛のケア
A がん疼痛に関する看護の実践範囲
1 がん疼痛を緩和する看護師の倫理的責務
2 看護のためのがん疼痛の知識
3 薬物的介
4 非薬物的介入
B がん疼痛のケア
1 患者の痛みを理解する
2 がん疼痛のマネジメントのために患者と周囲が行っている方略を明らかにする
3 痛みをマネジメントする患者のセルフケア能力を査定する
4 患者のセルフケア能力に応じて必要な知識,技術,サポートを提供する
5 ケアの効果を評価し,修正する
▶コラム▶チーム医療
Jタッチのケア
A タッチの基礎知識
1 タッチの伝達メカニズム
2 看護師が行うタッチの種類
B タッチのケア
1 タッチのプロセスとアセスメント
2 タッチの方法と効果
K味覚異常のケア
A 味覚の基礎知識
1 味覚のメカニズムと神経支配
2 味覚に影響する要因
B 味覚異常
1 味覚異常とは
2 味覚異常の原因
3 疾病・治療に関連した味覚異常
4 味覚異常のアセスメント
C 味覚異常を予防・緩和するケア
L視覚障害者のケア(ロービジョンケア)
A ロービジョンケアの基礎知識
1 視覚障害者の動向
2 視覚障害者の理解
B 視覚障害者のアセスメント
1 視機能のアセスメント
2 日常生活状況や見え方のアセスメント
C ロービジョンケアの実践
1 保有視機能の維持
2 網膜像の拡大
3 グレアの軽減
4 コントラスト感度
5 コミュニケーション能力の改善
6 歩行(移動)の支援
7 日常生活行動の工夫
8 遺伝カウンセリング
9 ロービジョン者のこころのケア
10 雇用継続支援
D ロービジョンケアの課題
Mターミナルケア
A ターミナルケアの基礎知識
1 ターミナルケアとは
2 終末期にある患者の理解
B 終末期患者の身体的苦痛を緩和する技術
1 倦怠感とは
2 倦怠感の病態生理とメカニズム
3 倦怠感の感覚
4 倦怠感のアセスメント
5 倦怠感の緩和ケア(palliative care)の方法
C 精神的苦痛を緩和する技術
1 不安とは
2 不安の成因
3 不安のサインとなる反応
4 不安のアセスメント
5 不安を測定する尺度の活用
6 不安のある患者への看護ケア
7 不安のある患者とのコミュニケーション技術
Z 看護の教育的役割
@看護の教育的役割
A 学習者の依存度に応じて教育的役割を発揮する必要性
B 知識・技術を身につける支援をする
1 「指導型」から「学習援助型」への意識の転換
2 わかりやすく教える
3 セルフマネジメントに必要なテーラーメイドの知識・技術を教える
C 自己効力感を高める
D 相手をエンパワーメントする
E 自己教育力を身につける支援をする
F 施設から在宅への支援
1 地域包括ケアシステム
2 医療施設間の機能分化
3 病院の種類と継続看護の必要性
4 病院における退院支援・退院調整
5 介護・医療ニーズの高い在宅療養者への看護
6 施設から在宅への支援に必要な要素
Aヘルスプロモーションの基本理念と方策
A WHOの健康戦略としてのヘルスプロモーション
1 ヘルス・フォー・オール
2 アルマ・アタ宣言,オタワ憲章
3 健康における公正
B ヘルスプロモーションとは
1 オタワ憲章およびバンコク憲章による定義
2 健康についての考え方とヘルスプロモーション活動の基礎
C ヘルスプロモーションのプロセス戦略
1 オタワ憲章の3つのプロセス戦略
2 バンコク憲章の5つのプロセス戦略
D ヘルスプロモーションの活動の方法
1 健康的な公共政策づくり
2 個人の能力・技術の開発
3 健康を支援する環境づくり
4 地域活動の強化
5 保健・医療サービスの方向転換
E ヘルスプロモーションの概念図
F 日本のヘルスプロモーションと健康政策
1 健康日本21
2 特定健康診査・特定保健指導
G ヘルスプロモーションの有効性
[ 診療の補助
@薬物療法の管理
A 看護師が薬について理解する必要性
B 看護師が行う与薬・薬物管理とは
C 与薬・薬物管理の知識・技術
1 医薬品とは
2 薬の正しい情報
3 薬の取り扱い(保管と管理)
D 薬が効く仕組み
1 投与方法
2 体内における薬の動き
3 看護師の薬物療法時の観察ポイント
A注 射
A 薬物療法における注射の意義と看護の役割
1 注射の特徴
2 注射における看護の役割
B 注射実施前のアセスメント
1 薬歴・アレルギー,既往歴
2 フィジカルアセスメント(physical assesment)
C 注射の方法
1 注射器具の選択
2 注射法に共通する手順と留意点
3 各注射法の手順と留意点
B輸 血
A 輸血とは
1 輸血の目的
2 輸血の種類
B 輸血時のインフォームド・コンセントと自己決定権
C 検査と輸血の実施
1 輸血の検査
2 安全に配慮した確実な輸血の実施方法と留意事項
3 輸血に伴う副作用と予防・対処
C検査補助
A 検査における看護師の役割
1 検査の目的と必要性
2 検査における看護の実際
B 検体検査におけるケア
1 血液検査
2 一般検査
3 感染症(細菌・ウイルス)検査
4 病理検査
C 生理機能検査におけるケア
1 循環機能検査
2 呼吸機能検査
3 神経・筋機能検査
D 画像検査におけるケア
1 放射線に関する基礎知識
2 各種画像検査とケア
E 内視鏡検査におけるケア
1 上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸)
2 下部消化管内視鏡検査(大腸)
▶コラム▶バイオマーカー
D外来看護の役割
A 外来の特徴
B 外来における看護の機能と役割
C 外来における業務の実際
1 管理業務
2 診療の補助業務
3 患者指導・教育
4 相 談
D 外来看護師に求められる能力
1 コミュニケーション能力
2 クリニカル・ジャッジメント(clinical judgment)能力
3 調整能力
E 外来看護の専門化
1 専門化の進展
2 外来化学療法
E心肺蘇生と止血法
A 心肺蘇生の基礎知識
1 心停止
2 迅速な一連の救命処置過程
3 一次救命処置
B 止血法
1 一時的止血法の実施
2 止血法実施時の注意点
C 心肺蘇生における感染症予防策
\ 看護現象の測定技術
@脳活動-1 脳波
1 脳波とは
2 測定方法と評価
3 看護学研究の応用例
A脳活動-2 fMRI
1 fMRIとは
2 測定方法と評価
3 看護学研究への応用
B生体リズム
1 生体リズムとは
2 測定方法と評価
3 看護学研究への応用
C微生物の同定
1 微生物の同定とは
2 微生物同定の方法と解析
3 看護学研究への応用
D心拍変動
1 心拍変動とその測定の意義
2 心電図R-R間隔変動係数(CVR-R,CV)
3 心電図R-R間隔変動係数のスペクトル解析と看護学研究への応用
E呼吸測定─体位による変化
1 呼吸機能の測定方法
2 呼吸測定技法を用いた実験例
F生体反応の組織学的評価
1 組織学の点滴漏れケアへの応用
2 測定方法と評価
3 看護学研究への応用
G遺伝子とその発現の解析
1 遺伝子とは
▶コラム▶遺伝子組換え
▶コラム▶ウイルスベクター
2 遺伝子発現検査の看護学研究への応用
3 検査上の注意点
▶コラム▶PCR検査
H病床環境測定
1 病床環境とは
2 病床環境の測定方法と評価
3 看護学研究への応用
I視線計測─看護者の観察眼の解明
1 視線計測(アイトラッキング)とは
2 視線計測機器について
3 主な測定項目
4 測定手順
5 看護学研究への応用
J痛みの測定
1 痛みとは
2 測定方法と評価
3 看護学研究への応用
付 録
1 関節可動域表示ならびに測定法(2022年4月改訂)
2 慢性便秘症の分類
【第3版の序】
良書は版を重ねると聞きます.本書は初版発行(2006 年5 月)から8 年半,改訂第2 版発行(2015 年1 月)から9 年を経て,このほど「基礎看護学テキスト 改訂第3 版」の発行に漕ぎ着けましたことを,編者・執筆者ともども大変嬉しく思います.10 年間支持される理論は当面の真理といわれるように,改訂の間隔は妥当であろうと思う次第です.
初版の序に記しましたように,本書は基礎看護学の教科書を看護技術のマニュアル本でなく,研究データに基づく根拠を示しながら個々のケアの方法と手順を解説する科学のテキストにしたいという想いから誕生しました.本書はほぼすべての単元に看護技術の根拠としての研究データを示す図表を載せた,おそらくはわが国初の看護学の教科書であったと思います.看護学の教科書には体系をなす,いわゆるシリーズ本が多い中で,本書は敢えて基礎看護学に特化した単体のテキストとして刊行しました.その理由は,看護学の急速な進歩をいち早く,そして丁寧に反映させながら,アップデートした科学としての看護学の全体を,初学者から最前線の看護実践者に示すためでもあります.
1990 年代半ばの基礎教育の大学化を皮切りに,日本の看護学は学問として急速に進化しました.今や看護学系の学部・学科を含む大学の数は国内で最多となりました.約30年前には大学は11 校しかなかったことを誰が信じるでしょう.それに伴い大学院も次々と設置され,学術団体の数も増えていきました.原著論文を英文で発表することが看護学界でもようやく常識となりつつあります.当然ながら,看護学の進化は看護実践の場にプロ意識と活力を強化していきました.こうした状況はそもそも本書が望み,目指すところでした.
さて,2019 年暮れに突如として出現し,瞬く間に世界中を強襲したCOVID︲19 パンデミックは,現代社会にパラダイムシフトを強要しました.IT 化・ICT 化が遅れていたわが国の教育現場では,感染予防と遠隔教育を整備・充実させるためのインフラ開発と行動マニュアル作りが猛スピードで進められました.3 年あまり続いたコロナ禍を振り返ると,それを乗り切るために払った(学生や教師の)犠牲の大きさが思い起こされます.コロナ禍を契機に進化のスピードを増した近未来のIT 化・ICT 化社会(ニューノーマル時代)では,どのような看護学教育が求められるでしょうか.スマート化によってバイタルサインの観察が看護技術から削除されたり,テーラーメイドの(痛くない・安楽な)看護用具が3D プリンターで簡単に作れたり,アバターを使った訪問看護が当たり前になる時代が来るのはそう遠くないでしょう.ただ,社会がどのように進化・変化しようとも,不変であるのは看護が対人間の専門技術であるということです.人の感覚や感情を,無機的な機械が制御する時代はまだまだ先のような気がします.本書が詳述する看護実践の根拠や技術理論が古典として次世代の看護(学)の,そしてすべての看護者の拠り所のひとつとなることを願います.
最後になりましたが,発行にあたり大変お世話いただいた南江堂諸氏に心より御礼申し上げます.
2023 年11 月
編者を代表して
深井喜代子
【初版の序】
怒濤のような看護の教育改革が始まって10 数年が経過し,今や看護を目指す受験生たちは近隣の地域でも希望校を選べる時代になりました.そして,看護学系大学院も充実しつつあり,修士号・博士号をもった看護者が教育・研究の場はもちろん,実践の最前線においても活動するようになりました.さらに,欧米先進国の看護の資格化・専門職化の影響を受け,わが国でも看護協会による教育と資格認定制度が発足し,認定看護師や専門看護師が誕生して,実践や研究の場でその高い専門性を発揮しはじめました.一方,こうした時代の流れの中で,看護学系の学会が次々と誕生し,英文誌を含む看護系ジャーナルの数も増えてきました.1986 年に初めて看護学の扉を叩き,学生生活と実践を経験し,看護学の教育と研究に携わるようになった編者(深井)は,図らずも看護学の変革の時代に看護者としてのidentity を育みました.けだし,それは一介の神経生理学者が看護生理学者に変身するためには大変好都合な環境であったのかもしれません.また,看護学から出発し,解剖学・免疫学を修めながら看護学者でありつづけた編者(前田)にとって,看護学の望ましい進化であったようにも思えます.
確かにこの変革は看護にとって画期的な進歩であったかもしれませんが,一歩外の世界から見れば,実は看護学はここにいたってようやく学問(philosophy)の仲間入りを許されたともいえるのです.学問が研究の積み重ねによる理論体系であるなら,看護学を構成する本格的な理論構築の作業が始まったに過ぎないからです.社会に学究の場を得た看護学には,これから学問としての研鑽を積み,看護学の大系をつくりあげる義務が課せられています.
ここ数年来,看護界はEvidence-Based Nursing(EBN)(科学的根拠に基づいた看護あるいは看護実践)を意識するようになりました.EBN はEBM(Evidence-Based Medicine)から派生した概念ですが,大きな経済効果を期待するEBM とは異なり,EBN は,経験だけでなく研究データに基づいた実践を追究することでケアの質を向上させるためのキーワードととらえられています.EBN に必要なエビデンスは研究(とくに実践研究)によってもたらされるわけですから,看護と看護学に携わる者はこの好機を生かして,実践に根ざした地道な研究に励まなければなりません.このような看護界の動きの中で,研究活用でケアの質の向上を目指す看護実践,技術の習得とともにEBN 志向を身につける看護学教育,実践の場が求めるエビデンスを探究する看護学研究,これらは共通の目標に向かって互いに繋がりを保ちながら確かな前進を始めようとしています.
本書は,新時代の看護の実現を目指す看護学教育・研究者の結集によって生まれた基礎看護学の希望の教科書であるとともに,看護実践者に対しては,現代看護学が向かおうとする方向をアピールしています.たとえば,本書では,看護技術の方法を可能なかぎり研究データで説明しようと努めました.そして,小さな疑問につまずくことなく読み進められるよう,多くの注釈をつけました.また,根拠が生まれる過程を実験実習で学ぶ試みも紹介しました.さらに,本書の姉妹本ともいえる『看護生理学テキスト』(南江堂)と同様,重要用語を英語併記し,英語索引も設けました.このように,本書には,時代の要請に応える,新しい看護学の構築に挑戦する看護者たちの想いの丈が丁寧に詰められています.
本書の主張が,看護と看護学の進歩を願い,Evidence-Based Nursing を目指すすべての看護者に受け入れられることを希望します.看護学を学ぶ学生諸君は言うに及ばず,看護実践の最前線で活動する看護者の方々にも大いにご活用いただけることを切望します.また,本書のchallenging な姿勢に対するご意見,ご感想などお寄せいただけましたら幸甚です.
最後になりましたが,本書の企画から完成までの約3 年間,辛抱強くご尽力くださった南江堂の諸氏に深く感謝いたします.
2006 年3 月6 日
編者を代表して
深井喜代子
