教科書

新版 東洋医学臨床論(はりきゅう編)

編集 : 公益社団法人東洋療法学校協会
ISBN : 978-4-524-23116-4
発行年月 : 2022年4月
判型 : B5
ページ数 : 584

在庫あり

定価7,370円(本体6,700円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

鍼灸師養成教育の大きな柱である「東洋医学臨床論」の教科書.各症候を西洋医学と東洋医学の両面から最新の知見を交えて解説.西洋医学と東洋医学に基づく考え方から,鍼灸治療の適否や適切な治療方法の選択が行えるよう解説がなされた本書は,鍼灸臨床の現場でも使える実用的な内容となっている.

目 次
第1章 総 論
 第1節 鍼灸臨床
  T. はじめに
  U. プライマリ・ケア
  V. 医療倫理
  W. 診 察
  X. 治療の原理・原則
  Y. カルテの記載
  Z. POMR
 第2節 治療穴とその応用
  T. 鍼灸臨床における治療部位の分類
  U. 鍼灸臨床における治療目的と治療部位の選定
  V. 治療穴の主治と効能
  W. 治療穴の配穴方法とその運用
 第3節 手技と手法
  T. 治療手法の選択
第2章 各 論
 第1節 疼 痛
  T. 概 説
  U. 頭 痛
  V. 顔面痛
  W. 関節痛
  X. 頸肩腕痛
  Y. 上肢痛
  Z. 肩関節痛
  [. 腰下肢痛
  \. 腰 痛
  ]. 下肢痛
  Ⅺ. 膝 痛
  Ⅻ. 胸 痛
  XIII. 腹 痛
 第2節 臓腑と関連する症候
  2-1 肝系統
  T. 眼精疲労
  U. 気分障害(うつ状態)
  V. めまい
  2-2 心系統
  T. 動悸・息切れ
  U. 血圧異常
  V. 睡眠障害
  2-3 脾系統
  T. 食欲不振
  U. 肥 満
  V. やせ(るい痩)
  W. 悪心・嘔吐
  X. 便 秘
  Y. 下 痢
  Z. 歯 痛
  2-4 肺系統
  T. 咳嗽と喀痰
  U. 呼吸困難
  V. 鼻閉・鼻汁
  2-5 腎系統
  T. 脱毛症
  U. 耳鳴り・難聴
  V. 排尿障害
  W. ED(勃起障害)
 第3節 全身の症候
  T. 疲労と倦怠感
  U. 発 熱
  V. 冷 え
  W. のぼせ
  X. 浮 腫
  Y. 掻痒感(痒み),肌荒れ,発疹
 第4節 その他の症候
  T. 顔面麻痺
  U. 歩行異常
  V. 口 渇
  W. 出血傾向
 第5節 女性特有の症候
  T. 概 説
  U. 月経異常
  V. 性器出血
  W. 帯 下
  X. 不妊症
  Y. つわり
  Z. 骨盤位(逆子)
  [. 乳汁分泌不全
 第6節 小児特有の症候
  T. 概 説
  U. 疳の虫
  V. 夜尿症
  W. 小児喘息(小児気管支喘息)
 第7節 老年特有の症候
  T . 概 説
  U . 認知症
索 引

本教科書は,1993 年に初版が出版されて以来,約30 年ぶりの大幅改訂を行った.この間,社会の少子高齢化や生活習慣病の増加などにより疾病構造は複雑かつ多様化し,医学・医療は急速な発展をとげ,鍼灸臨床や研究においても新たな知見が数多く得られている.
これらをふまえ,今改訂では2015 年に出版された『新版東洋医学概論』との整合性を図り,系統的に臨床知識が学べることを目的とし,各症候を五臓(肝系統,心系統,脾系統,肺系統,腎系統)別に分類することで東西医学を双方向に理解できる組立てとした.さらに,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師国家試験出題基準2020 年版(公益財団法人東洋療法研修試験財団編)をベースに,あはき師教育モデル・コア・カリキュラム(公益社団法人東洋療法学校協会編)に記載されている症候・疾患,鍼灸臨床で遭遇することの多い女性特有の症候,小児特有の症候(小児鍼を含む),そして加速的に高齢化が進む社会をふまえ,老年特有の症候なども幅広く網羅した.
本書は,東洋医学と西洋医学の知識技術を統合し,適切な鍼灸治療が行えるようになることが目的であるため,総論では,鍼灸臨床について説明し,具体的な治療穴とその応用,手技と手法では古典も交えて詳細に解説を行った.
各論では,まず「概説」にて各症候のポイントを示し,「注意を要するもの」では,症状から疾患を類推し,臨床で不可欠である適否(レッドフラッグ)を鑑別する能力を養い,医療機関への紹介が必要か否かを判断できるようにした.次に「西洋医学に基づく病態把握」では,各症候の最新分類・診断基準・ガイドライン等を示し,症状と診察ポイントを挙げた.なお,各疾患の詳細については『臨床医学総論』『臨床医学各論』等に委ね,概要を記載するにとどめた.「東洋医学に基づく病態把握」では,症状が生じた場合の病因病機の概略をダイヤグラムとしてまとめ,臨床像がイメージできるようにした.
本書の目的である東西医学の知識を整理統合し,最終的な治療方法を導き出す力を身につけるため「総合判断」の項目を設けた.続く「西洋医学に基づく治療」では,最新の知見に基づき,よりエビデンスの高い治療法を示し,治療点においてはその目印となる筋肉・神経・部位を極力示した.「東洋医学に基づく治療」では,治療方針に基づく選穴・配穴についても詳細に解説を行った.
また,予防医学の重要性が高まるなか,養生や生活指導は必要不可欠であることから「西洋医学に基づく生活指導」「東洋医学に基づく生活指導」の項目も設けた.是非,臨床現場においても患者指導に役立てていただきたい.
今回の大幅改訂に伴い最新の知見を盛り込むため,執筆担当もそれぞれの領域でご活躍の先生方にお願いし,理解しやすく,卒業後も利用できる実用的な教科書にした.本書で学ぶ皆様が,東洋医学・西洋医学を統合した治療方法を身につけ,それを鍼灸臨床にて活用し,チーム医療の現場で東洋医学を共通言語とした医療連携ができる礎になれば幸甚である.
今後も,本書がより臨床的に有意義な教科書となるよう,忌憚のないご意見をいただき内容の充実を図っていきたいと考えている.
最後に,タイトなスケジュールかつ困難な編集作業に対し,沢山の時間を費やしてくださった教科書検討小委員会の先生方,原稿に対しご指導賜りました有識者の皆様,今回当協会教科書の出版を初めて担当された株式会社南江堂の皆様など,多大なるご尽力をいただいた皆様に厚く御礼を申し上げ,序にかえる.
2022 年3月
教科書検討小委員会
代表 新 井 恒 紀

9784524231164