シンプル作業療法学シリーズ
作業療法管理学テキスト[電子版付]
| 監修 | : 東登志夫 |
|---|---|
| 編集 | : 澤田辰徳 |
| ISBN | : 978-4-524-21056-5 |
| 発行年月 | : 2026年7月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 194 |
在庫
定価4,840円(本体4,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

部門管理からリスク管理に至るまで作業療法の管理にまつわる事項の大枠の理解と興味を増進させる,学生や初学者向けの入門書.労務管理や収益管理も含めた管理部門からの視点について,また諸制度,教育においての管理,マネジメント技法,キャリア管理も取り上げ,実践例も含めて平易にまとめた.
第T部 作業療法管理概論
1 作業療法管理学概論
1 作業療法と管理(マネジメント)
A 管理(マネジメント)とは
B 管理者(マネジャー)の階層と役割
C リーダーシップ
2 組織の仕組み
A 作業療法士における組織とは
B 組織体制の仕組み
3 医療の質的保証
2 作業療法と職業倫理
1 作業療法の職業倫理
A 作業療法士の倫理規定
B ジュネーブ宣言,リスボン宣言
C クライエント中心の概念
D 作業的公正と作業療法
2 コンプライアンスと作業療法
A 守秘義務と個人情報保護
B インフォームド・コンセント
C 身体拘束と虐待
第U部 作業療法管理各論
3 業務管理
1 労務管理
A 労務関連法規
B 労働時間
C 懲戒処分
2 収益管理
A 診療報酬と収益
B 適正収益と人員配置
C 医療広告ガイドライン
3 人事管理
A 人事管理と人材配置
B 給与・昇給の仕組み
C リクルート
4 情報管理
A 臨床記録の管理
B 情報セキュリティ
4 教 育
1 養成教育
A 養成教育と指定規則
B カリキュラム
C 臨床実習
2 卒後教育(職場内)
A 職場内教育の必要性
B 教育システム
C 教育的指導
D 職場内教育と自己研鑽
3 卒後教育(職場外団体など)
A 職能団体による教育
B 学術団体などによる教育
4 教育方法論
A 教育原理
B 教育心理学
C 教授方法
D 教育評価
5 医療安全
1 医療安全総論
A 医療安全とは
B インシデントとアクシデント
C ヒューマンエラー
D リスクコミュニケーション
2 対象者へのリスク管理
A 対象者への安全対策
B 急変時の対応
3 環境面へのリスク管理
A 医療機器保守管理
B 環境への対策
4 感染対策
A 感染対策の基本概念
B スタンダードプリコーション(標準予防策)
C 個人防護具の取り扱い
D ゾーニング
E 環境整備
6 労働安全衛生
1 労働安全衛生
A 労働安全衛生とは
B 安全衛生管理体制
C 健康診断とストレスチェック制度
D ストレスマネジメント
2 ハラスメント
A ハラスメントの定義
B ハラスメントの種類
C ハラスメント予防策
D ハラスメント相談窓口と対応
7 接遇とクレーム対応
1 接 遇
A 接遇とは
B 身だしなみ
C コミュニケーション
2 クレーム処理
A クレームとは
B 傾 聴
C 対 応
8 連 携
1 職務内連携の基本
A 連携とは
B コンフリクトマネジメント
2 各種連携
A 同職種との連携
B 他職種との連携
C 施設間での連携
D 組織間での連携
9 社会保障制度
1 社会保障制度
A 医療保険
B 介護保険
2 障害・福祉サービス制度
A 障害者基本法
B 障害者総合支援法
C その他の法律
3 就労支援
4 介護予防・地域包括ケア
A 地域包括ケアシステム
B 介護予防・日常生活支援総合事業
C 保健指導
D 地域ケア会議
10 問題解決
1 問題解決の視点
A 問題の定義
B 問題解決の視点
2 問題解決技法
A PDCAサイクル
B SWOT分析
C KJ法
D フィッシュボーンチャート
11 作業療法管理と臨床実習
1 臨床実習制度と管理の関係
A 臨床実習制度と養成校側・実習施設側の管理上の課題
B 臨床実習のあり方
C 臨床教育者の育成
D 指導内容と注意点
2 学生に求められる資質
A 学生が目指すべきもの(コンピテンシー)
B 学生が準備すべきこと(レディネス)
C 臨床教育者の学生対応
3 臨床実習の評価
A 実習チェックリスト
B 養成校での発表
第V部 多様な働き方の基礎
12 作業療法とキャリアデザイン
1 キャリアデザインとは
A キャリアとは何か
B 内的キャリアと外的キャリア
C 「ありたい姿」とは何か
2 キャリアデザインのポイント
A 「ありたい姿」を考える
B 過去の出来事を振り返る
C 仕事の意味を問い直す
D 環境の変化に対応する
E 小さな一歩を積み重ねる
F 偶然の出来事を活かす
G 転機を乗り越える
H 働くことを人生に統合する
3 リカレント(学び直し)の必要性
A 生涯教育
B 資格取得
C 大学院進学
4 多様性社会とキャリアデザイン
A 多様化する作業療法士のキャリア観
B 「組織資本」から「個人資本」のキャリアへ
13 作業療法と広域支援
1 国際協力
A 国際協力と作業療法
B 国外における国際協力
C 国内における国際協力
2 災害時対応
A 災害時対応と作業療法
B 日本災害リハビリテーション支援協会
14 作業療法と起業
1 作業療法士と起業
A 作業療法士が起業する意義
B 作業療法士が直面する現代の医療・福祉業界の課題
2 起業の基礎知識
A 起業に必要な6つの要素
B 事業計画に必要な6W2H
3 ビジネスモデルの構築
A 作業療法士が展開する事業とは
B ニーズの特定とエリアマーケティング
C 収支シミュレーション
D 営業と広報戦略・ブランディング
4 起業に必要なマネジメント
A 人材マネジメント
B 財務マネジメント
C リスクマネジメント
D セルフマネジメント
5 起業を通したキャリアの拡大
第W部 作業療法管理と働き方の実際
15 作業療法管理の実践モデル
1 病院で働く・管理する(医療法人社団 輝生会の例)
2 地域で働く・管理する(特定非営利活動法人 いねいぶるの例)
3 施設で働く・管理する(介護老人保健施設 せんだんの丘の例)
4 学校領域で働く(こどもセンターゆいまわるの例)
5 保険外領域で働く(株式会社STROKE LABの例)
6 保護観察領域で働く
7 特別支援学校教員として働く
8 海外で働く
9 災害支援領域で働く
10 研究機関で働く
11 養成校(私立大学)教員として働く
作業療法は,人々の「作業」を通して健康と幸福を支える専門職です.対象者の生活に寄り添い,その人らしい作業への参加を支援することが私たちの本質的役割です.しかし,その実践は決して個人の技量だけで完結するものではありません.作業療法の臨床を持続可能なものとし,社会に対して価値を示し続けるためには,組織運営,制度理解,人材育成,地域連携といった「管理(マネジメント)」の視座が不可欠です.優れた臨床は偶然には生まれません.意図された構造と設計の中でこそ,その効果は最大化されます.
今日,医療・介護・他領域も合わせ作業療法を取り巻く環境は大きな転換点にあります.人口構造の変化,地域包括ケアの推進,専門職連携の深化,爆発的な作業療法士数の増加,さらにはAIを含めたデジタル技術の進展は,作業療法部門の役割と責任を再定義しつつあります.同時に,人材確保や教育の質保証,財務的持続性といった課題は,管理者に戦略的思考と実践力を求めています.もはや管理は補助的業務ではなく,専門職の発展を左右する中核的機能です.
本書では,作業療法管理学を単なる運営技術論としてではなく,「社会実装するための学問」として位置づけます.組織文化の形成,人材育成の体系化,医療安全とリスクマネジメント,制度・診療報酬への戦略的対応,さらには地域連携や多職種協働,キャリア形成や起業的視点に至るまで,本書はこれらを個別論としてではなく,相互に影響し合う1つの統合的システムとして捉えます.そして,作業療法部門を「運営される組織」ではなく,「意図をもって設計される戦略的システム」として構想する視点を提示します.
管理とは統制ではありません.管理とは,組織や個人が最大限に力を発揮できる条件を整える営みです.人を評価することではなく,人が成長できる構造を整えること,業務を監視することではなく,価値を創出できる環境を設計すること,臨床家一人ひとりの専門性が発揮され,その成果が対象者の生活の質向上へと確実に結びつくための基盤を築くことこそが,管理の本質です.作業療法の未来は,個々の実践力だけで決まるものではありません.組織をどう構想し,制度をどう活用し,人材をどう育て,社会とどう接続するか.その構想力と実装力にかかっています.
わが国の作業療法士数は増加し,それを取り巻く環境は大きく変化しています.変化に適応できなければ衰退は避けられません.しかし,その舵取り次第では作業療法はさらに革新的に発展していく可能性を秘めています.過去のスタイルにとらわれることなく,本書を手にする学生および若い世代の作業療法士が,マネジメントという武器を手に,時代を切り拓いていく契機となることを願っています.
2026年5月
澤田辰徳


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