発達系障害作業療法学テキスト[電子版付]
| 監修 | : 東登志夫 |
|---|---|
| 編集 | : 岩永竜一郎/塩津裕康/東恩納拓也 |
| ISBN | : 978-4-524-21048-0 |
| 発行年月 | : 2026年3月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 308 |
在庫
定価5,170円(本体4,700円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

発達系障害の知識や作業療法評価・治療・支援方法について解説した教科書.発達領域の作業療法においてこれまで培われてきた技術だけでなく,現在及びこれからの作業療法実践に必要な情報を伝えることも重視し,理論だけでなく臨床現場での作業療法場面がイメージできる内容とした.
第T部 発達系障害作業療法の基礎知識
1 発達系障害作業療法概論
1 発達系障害の用語について
2 発達系障害作業療法の対象と変遷
3 発達系障害領域における近年の情勢
4 発達系障害領域の作業療法の役割
5 発達系障害領域の介入・支援方法
6 発達系障害領域の作業療法士の主な活動の場
A 医療機関
B 福祉機関
C 教育機関
D 保健機関
7 発達系障害領域における他職種との連携
8 作業療法全体における発達系障害領域の作業療法
9 発達系障害領域の作業療法が目指す方向について
2 運動発達,日常生活活動の発達
1 新生児・乳児期(出生から1歳まで)
A 粗大運動の発達
B 微細運動の発達
C ADLの発達
2 幼児期(1歳から就学まで)
A 粗大運動の発達
B 微細運動の発達
C ADLの発達
3 学齢期以降(就学以降)
A 粗大運動の発達
B 微細運動の発達
C ADLの発達
3 認知,情動,対人関係,遊びの発達,アタッチメント
1 認知(知覚,注意,記憶,学習,判断,思考)の発達
A 発達理論
B 知覚の発達
C 記 憶
2 情 動
3 対人関係
A 愛着(アタッチメント)の形成
B 社会的参照と共同注意の出現
C 二項関係と三項関係
D 幼児期のコミュニケーションの発達
E 心の理論
4 遊びの発達
A 新生児期・乳児期
B 幼児期
C 子どもの遊びの段階
TOPICS|発達過程の一覧表 岩永竜一郎
4 発達系障害作業療法の評価・介入
1 クライエント中心の実践
A クライエント:client
B クライエント中心の実践
C 家族中心のサービス
D 家族システム理論
2 作業中心の実践
A 作 業
B 作業中心の実践
3 作業療法プロセス
A 評 価
B 介 入
C 再評価
D 成果:継続または終了
第U部 対象の特性ごとの作業療法
Introduction:対象の特性ごとの作業療法に入る前に
5 脳性麻痺児への作業療法
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 情報収集
B 目標設定
C 心身機能・身体構造領域の評価
D 上肢機能の評価
E 視覚機能の評価
F 活動領域(粗大運動・セルフケア)の評価
G 活動の観察
3 介 入
A 一般的な介入
B 具体的な介入
C ライフステージに応じた介入
D 家族支援
E 社会資源の活用 098
4 事例@
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 社会資源の活用
G 結 果
事例A
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 社会資源の活用
G 結 果
6 重症心身障害児者への作業療法
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 情報収集
B 作業遂行評価
C 地域・施設:文化的背景
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
D 社会資源の活用
4 事 例
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定(10年にわたる取り組みの要約)
D 介入(2ー12歳現在まで)
E 家族支援
F 社会資源の活用
G 経 過
7 神経筋疾患がある児への作業療法
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 面 接
B 情報収集(カルテや他部門からの情報)
C 全身状態(身体機能面)の評価
D ADLの評価
E 社会参加への状況の確認
F 認知・心理的側面の評価
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
D 社会資源の活用
4 事 例
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 社会資源の活用
G 経 過
8 整形疾患がある児への作業療法
8-1|二分脊椎
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 情報収集
B 観察・検査
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
8-2|分娩麻痺
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 情報収集
B 観察・検査
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
8-3|骨形成不全症
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 情報収集
B 観察・検査
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
8-4|事例:二分脊椎
A 基本情報
B 評価(6ヵ月時)
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 経 過
9 自閉スペクトラム症児への作業療法
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた支援
C 家族支援
4 事 例
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 保育園の担当保育士とのコンサルテーション
G 社会資源の活用
H 経 過
10 注意欠如多動症児への作業療法
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 質問紙
B 直接検査
C 観察・聞き取り
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
D 社会資源
4 事例紹介
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介入と経過
11 限局性学習症児・知的発達症児への作業療法
11-1|限局性学習症(SLD)
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 読み書きの能力を把握するための評価
B 読み書きの関連機能の問題を把握するための評価
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
D 社会資源の活用
4 事 例
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 社会資源の活用
G 経 過
11-2|知的発達症
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A 知的機能の評価
B 適応機能の評価
C 発達検査
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
12 発達性協調運動症児への作業療法
1 疾患特性
A 診 断
B 特 性
C 原 因
2 評 価
A スクリーニングのための評価
B 症状を把握するための評価
3 介 入
A 一般的な介入
B ライフステージに応じた介入
C 家族支援
D 社会資源の活用
4 事 例
A 基本情報
B 評 価
C 目標設定
D 介 入
E 家族支援
F 社会資源の活用
G 経 過
第V部 環境要因と発達系障害作業療法
13 補装具,支援ツール
1 環境への介入
2 福祉用具
A 福祉用具の支給制度
B 支援技術(AT)
C 支援技術の導入のプロセスとポイント
3 ICT活用
A ものを操作する支援技術
B コミュニケーションの支援技術
4 相談支援システム
14 地域における作業療法
1 地域でつなぐ障害児支援と制度の連携
A 乳幼児期から青年期までの切れ目ない支援の構築に向けて
B 児童福祉法
C 障害者差別解消法と障害者権利条約
D 各年代における法制度
E 障害児支援において作業療法士に求められること
2 発達系障害領域の作業療法士が活動する場所
A 福祉領域
B 保健領域
C 就労領域
D 入所施設における作業療法の実践
15 特別支援教育・保育における作業療法士の関わり
1 特別支援教育と作業療法の始まり
A 障害児教育とノーマライゼーション
B 特別支援教育の施行
2 保育や特別支援教育への作業療法支援
A 意 義
B 学校や園に関わるさまざまな形態
3 園・学校における作業療法支援の基本的な考え
A 姿勢・心構え
B 評価・支援の視点
4 特別支援教育や保育所での作業療法における支援技術
A アセスメント技術
B 専門的な支援技術
C 医学的知識や療育機関,地域資源に関する知識
5 園や学校における作業療法支援の実際
A 特別支援学校における作業療法支援
B 特別支援学級・通級指導教室における作業療法支援
C 通常学級における作業療法支援
序 文
本書では,発達期に何らかの障害や疾病が生じ,その結果として社会適応や生活に困難をきたしている状態を「発達系障害」と総称し,そのような障害のある人,とくに子どもを作業療法士がどのように理解し,どのように支援していくのかを整理・解説しています.
近年,作業療法士が対象とする発達系障害を取り巻く環境には,大きな変化がみられています.21世紀に入ってから,国連での障害者権利条約の採択・批准,発達障害者支援法の施行,特殊教育から特別支援教育への転換など,従来の障害児支援の枠組みを大きく変える動きが,社会全体で急速に進んできました.このような流れのなかで,作業療法の対象や役割も大きく変化してきています.
かつて,作業療法士が関わる発達系障害領域の対象は脳性麻痺が中心であったといえるでしょう.しかし現在では,その状況は大きく変わり,自閉スペクトラム症や注意欠如多動症,発達性協調運動症などが,作業療法の主要な対象となってきています.学校や保育園などの教育・保育現場において,発達系障害のある子どもへの気付きや配慮,支援の在り方も大きく変化し,作業療法士が訓練室を飛び出して教育・保育の現場で活動する機会も増えてきました.また,医療分野に留まらず,福祉分野へと活動の場が広がっていることも特徴的です.
こうした流れのなかで,これまで非常に少数であった発達系障害を専門とする作業療法士が増加し,社会のなかで重要な役割を果たすようになってきていることを実感しています.
障害に対する考え方や支援の対象も大きく変化しています.世界保健機関(WHO)が国際生活機能分類(ICF)を採択したことで,障害を個人内の欠陥の連鎖として捉える国際障害分類(ICIDH)の従来の考え方から,人と環境との相互作用の結果として捉える視点へと転換が図られました.これにより,環境要因が重視されるようになり,ネガティブな側面のみを捉えるのではなく,ポジティブな側面も含めて中立的に理解する姿勢が求められるようになっています.
その結果,作業療法士の評価や支援の焦点は,個人だけでなく環境にも向けられるようになり,「できないこと」だけでなく「できること」を重視した方法が重要視されるようになってきました.また,作業療法士主導の支援から,子ども・家族中心の支援へと考え方が移行してきています.このような時代背景のなかで,現在そして将来において,作業療法士が最大限に社会へ貢献できるような教育が求められていると考えます.
本書は,このような大きな時代の変化を背景に,作業療法士を志す学生がより良い学びを得られるよう,発達系障害領域において最新のエビデンスに基づいた作業療法を研究・実践している作業療法士に執筆を依頼し,まとめたものです.
本書が,読者の将来の臨床実践に役立ち,その学びが,作業療法の対象となる発達系障害のある子どもや大人に対して,最善の支援を届けることにつながることを心より願っています.
2026年2月
編集者を代表して 岩永竜一郎


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