発達系障害作業療法学テキスト[電子版付]
| 監修 | : 東登志夫 |
|---|---|
| 編集 | : 岩永竜一郎/塩津裕康/東恩納拓也 |
| ISBN | : 978-4-524-21048-0 |
| 発行年月 | : 2026年3月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 308 |
定価5,170円(本体4,700円 + 税)
- 商品説明
- 序文

発達系障害の知識や作業療法評価・治療・支援方法について解説した教科書.発達領域の作業療法においてこれまで培われてきた技術だけでなく,現在及びこれからの作業療法実践に必要な情報を伝えることも重視し,理論だけでなく臨床現場での作業療法場面がイメージできる内容とした.
序 文
本書では,発達期に何らかの障害や疾病が生じ,その結果として社会適応や生活に困難をきたしている状態を「発達系障害」と総称し,そのような障害のある人,とくに子どもを作業療法士がどのように理解し,どのように支援していくのかを整理・解説しています.
近年,作業療法士が対象とする発達系障害を取り巻く環境には,大きな変化がみられています.21世紀に入ってから,国連での障害者権利条約の採択・批准,発達障害者支援法の施行,特殊教育から特別支援教育への転換など,従来の障害児支援の枠組みを大きく変える動きが,社会全体で急速に進んできました.このような流れのなかで,作業療法の対象や役割も大きく変化してきています.
かつて,作業療法士が関わる発達系障害領域の対象は脳性麻痺が中心であったといえるでしょう.しかし現在では,その状況は大きく変わり,自閉スペクトラム症や注意欠如多動症,発達性協調運動症などが,作業療法の主要な対象となってきています.学校や保育園などの教育・保育現場において,発達系障害のある子どもへの気付きや配慮,支援の在り方も大きく変化し,作業療法士が訓練室を飛び出して教育・保育の現場で活動する機会も増えてきました.また,医療分野に留まらず,福祉分野へと活動の場が広がっていることも特徴的です.
こうした流れのなかで,これまで非常に少数であった発達系障害を専門とする作業療法士が増加し,社会のなかで重要な役割を果たすようになってきていることを実感しています.
障害に対する考え方や支援の対象も大きく変化しています.世界保健機関(WHO)が国際生活機能分類(ICF)を採択したことで,障害を個人内の欠陥の連鎖として捉える国際障害分類(ICIDH)の従来の考え方から,人と環境との相互作用の結果として捉える視点へと転換が図られました.これにより,環境要因が重視されるようになり,ネガティブな側面のみを捉えるのではなく,ポジティブな側面も含めて中立的に理解する姿勢が求められるようになっています.
その結果,作業療法士の評価や支援の焦点は,個人だけでなく環境にも向けられるようになり,「できないこと」だけでなく「できること」を重視した方法が重要視されるようになってきました.また,作業療法士主導の支援から,子ども・家族中心の支援へと考え方が移行してきています.このような時代背景のなかで,現在そして将来において,作業療法士が最大限に社会へ貢献できるような教育が求められていると考えます.
本書は,このような大きな時代の変化を背景に,作業療法士を志す学生がより良い学びを得られるよう,発達系障害領域において最新のエビデンスに基づいた作業療法を研究・実践している作業療法士に執筆を依頼し,まとめたものです.
本書が,読者の将来の臨床実践に役立ち,その学びが,作業療法の対象となる発達系障害のある子どもや大人に対して,最善の支援を届けることにつながることを心より願っています.
2026年2月
編集者を代表して 岩永竜一郎




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