がん看護≪隔月刊≫
がん薬物療法の看護 〜“意思決定につなぐ力”で実践!(Vol.31 No.1)2026年1-2月号
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

がんの医学・医療的知識から経過別看護、症状別看護、検査・治療・処置別看護、さらにはサイコオンコロジーにいたるまで、臨床に役立つさまざまなテーマをわかりやすく解説し、最新の知見を提供。
施設内看護から訪問・在宅・地域看護まで、看護の場と領域に特有な問題をとりあげ、検討・解説。
告知、インフォームド・コンセント、生命倫理、グリーフワークといった、患者・家族をとりまく今日の諸課題についても積極的にアプローチし、問題の深化をはかるべく、意見交流の場としての役割も果たす。
特集
がん薬物療法の看護 〜“意思決定につなぐ力”で実践!〜 編集:淺野耕太
●特集にあたって 淺野耕太
●がん薬物療法の「学び」や「知識」をどう実践に活かすか 淺野耕太
●看護師にとって薬物療法の意思決定支援に必要な知識
〜stage W 切除不能な進行再発膵がん GnP療法(GEM+nab-PTX)を例に〜 淺野耕太
●大腸がんの薬物療法における意思決定を支える看護
〜stage V 大腸がん 術後補助化学療法に対するCAPOX療法を例に〜 淺野耕太
●手術不能な進行再発大腸がんにおける意思決定を支える看護
〜stage W 大腸がん FOLFOX+EGFR阻害薬(パニツムマブ)療法を例に〜 畠山明子
●肺がんの薬物療法における意思決定を支える看護
〜Stage W 非小細胞肺がん CDDP/CBDCA+PEM+pembrolizumab療法を例に〜 服部千恵子
●乳がんの薬物療法における意思決定を支える看護@ 乳がん周術期における化学療法
〜HER2 陰性乳がん AC/EC 療法,PTX療法,DTX療法を例に〜 佐々木理衣
●乳がんの薬物療法における意思決定を支える看護A 乳がん周術期/転移・再発後における薬物療法
〜ホルモン受容体陽性HER2 陰性乳がん 内分泌療法+CDK4/6 阻害薬を例に〜 山本瀬奈
●頭頸部がん(扁平上皮がん)の薬物療法における意思決定を支える看護
〜切除可能局所進行頭頸部がん 導入化学療法(PCE療法)を例に〜 田中 圭
●前立腺がん薬物療法の意思決定支援に必要な知識
〜転移性去勢感受性前立腺がん ADT・ARSI・DTXの3剤併用療法を例に〜 淺野耕太
●血液がんの薬物療法における意思決定を支える看護
〜移植非適応多発性骨髄腫 DLd 療法を例に〜 塚本多恵子
●婦人科がんの薬物療法における意思決定を支える看護
〜卵巣がん 術後補助化学療法(TC療法)を例に〜 服部美景
●胆道がんの薬物療法における意思決定を支える看護
〜進行胆道がん GC療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法を例に〜 淺野耕太
特別寄稿
私の知っている症状緩和レシピ集 相木佐代
連載
▼My Favorite Medicine!!【42】
アザシチジン(ビダーザ®) 菅野かおり
▼リレーエッセイ
●がん看護CNS 巻き込む力を発揮中!
〜複雑で多様化する実践に挑む!〜 【1 家族を巻き込み,支える訪問看護】
連載にあたって 岩月まり子,赤地桂子
患者の療養を支え続ける伴走者として,家族の力を引き出す 高野将宏
▼ガイドラインを読み解いて活かす! がん患者の精神・心理ケア【3】
治療中止や余命の伝えかたに関するコミュニケーション
〜「がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン2022 年版」を読み解く〜 重野朋子,中嶋祥平,白井由紀
▼壁を越えた先へ! チーム医療の実践力【2】
在宅がん看護のチーム医療 〜患者の希望を支える多職種連携の実践〜 富澤あゆみ,佐藤隆裕
▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE4 研究(多施設遺族調査)からの学び〜【27・最終回 海外との比較・予期悲嘆】
付帯研究27 英国の遺族調査質問紙VOICES-SF 日本語版を用いた緩和ケア病棟の遺族による質の評価:英国ホスピスデータとの比較 石田美空
まとめ 予期悲嘆を経験した家族は死別後の悲嘆反応が和らげられるのか? 宮下光令,後藤玲凪
▼がん薬物療法看護のWhat's Trending! Past ☞ Current ☞ Future【34】
二重特異性抗体薬の特徴と副作用マネジメント 〜免疫関連有害事象への対応〜 菅野かおり,薦田 史
化学療法の継続を望みつつ支持療法に拒否を示す患者に対する倫理的アプローチ 西脇可織
BOOK(書評) 造血幹細胞移植の看護(改訂第3版) 〈評者〉近藤仁美
INFORMATION
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次号予告
特集にあたって
がん薬物療法は,新たな薬剤の開発やがんゲノムプロファイリング検査の導入により,治療の選択肢が増え,ますます多様化・複雑化している.従来の標準治療に加え,個別化医療(プレシジョン・メディシン)が発展し,患者ごとの治療戦略が重視される時代となった.
さらに,がん薬物療法の進歩により生存期間が延長したことで,治療選択の意味合いも変化している.かつては手術や強力な化学療法による集中的な治療が主流だったが,現在では手術療法や放射線療法に加えて,薬物療法を組み合わせた集学的治療が一般的になっている.また,治療が長期にわたることも多くなり,治療効果だけでなく,生活の質(QOL)を考慮した選択が重要となっている.このように治療が高度化・長期化するなかで,患者が治療内容を十分に理解し,納得した治療選択ができることを支える意思決定支援の役割がますます重要視されてきている.
たとえば,「副作用の負担を考え治療を変更するのか」「積極的な治療を継続するのか」「現在行っている治療を中断するのか」など,患者と家族が選択を迫られる場面は増えている.こうした状況において,がん薬物療法に携わる看護師には,治療の効果や副作用マネジメントだけでなく,患者の価値観や生活背景を考慮した支援が求められている.
しかしながら,これまでがん薬物療法に携わる看護師は,薬剤の作用機序や副作用を中心に学び,点滴管理や副作用マネジメントを中心に実践してきた.情報提供だけでなく,患者の選択を支える看護が求められる今だからこそ,看護師も単なる薬剤情報の習得だけでなく,いかに意思決定支援につなげるかを学び直すことが不可欠であると考える.
本特集では,がん薬物療法の知識を意思決定支援へと結びつける意義を再確認し,患者の意思決定を支えるために必要な視点や具体的な支援方法について解説する.
淺野耕太(京都第二赤十字病院外来化学療法センター/がん看護専門看護師)


