がん看護≪隔月刊≫
(Vol.30 No.5)2025年9-10月号

- 主要目次
- 序文

特集
ガイドラインを知ろう!
〜成り立ちから,実践での活用まで〜 編集:渡邊知映,徳永えり子
●特集にあたって 渡邊知映
ガイドラインとは?
●診療ガイドラインのいま・これから 〜患者の意思決定における役割〜 中山健夫
●これだけは押さえておきたい! 診療ガイドライン用語「基本のキ」 福田奈津喜
ガイドラインの活用 〜さまざまな立場から〜
●診療ガイドラインとがん診療 〜個々の患者の意思決定にどのように反映させるか〜 徳永えり子
●ケアの現場における意思決定のプロセスに関するガイドライン 渡邊知映
●診療ガイドラインの作成と活用における患者・家族参画の重要性とコミュニケーションの課題 長谷川一男
●がん看護実践のためのガイドライン開発 矢ヶ崎 香
ガイドラインを看護に活用 〜実践編〜
●血管外漏出 〜『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン 2023年版』〜
外来化学療法室での活用ケースと未来の展望 淺野耕太
●高齢者へのケア 〜『高齢者がん診療ガイドライン 2022年版』の活用〜
ガイドラインを活用した組織的な高齢者機能評価スクリーニングフローの作成 本間織重
●アピランスケア 〜『がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版』の活用〜
化学療法誘発脱毛の予防(頭皮冷却)に関する情報提供への活用 大椛裕美
●せん妄 〜『がん患者におけるせん妄ガイドライン 2022年版』の活用〜 せん妄発症予防の薬物療法・非薬物療法
検討,終末期せん妄マネジメント,せん妄に対する組織的な取り組みや改善への活用 前原朝美
●末梢神経障害 〜『がん薬物療法に伴う末梢神経障害診療ガイドライン 2023年版』の活用〜
アセスメント・薬剤選択・日常生活のアドバイスに活用する 縄田修一
連載
▼My Favorite Medicine!!【40】
トレチノイン(ベサノイド®) 菅野かおり
▼リレーエッセイ
●がん看護CNS奮闘中!
〜理想と現実のギャップを乗り越える!!〜【5 更新後:ギャップをどう乗り越えたか,大事にしていることB】
組織のなかで活動してきて思うこと 近藤まゆみ
▼ガイドラインを読み解いて活かす! がん患者の精神・心理ケア【新連載】
連載にあたって 藤澤大介
がん患者における精神・心理ケアの基本的な考え方 藤澤大介,村上好恵
▼遺族の声を臨床に活かす 〜J-HOPE4 研究(多施設遺族調査)からの学び〜【25 肺炎と発熱】
付帯研究43 緩和ケア病棟入院中の進行がん患者に行った肺炎治療や死亡前1週間に生じた発熱への対応に関する遺族の考えを明らかにする質問紙研究 伊藤奈央,小田切拓也
▼がん薬物療法看護のWhat's Trending! Past☞Current☞Future【32】
免疫チェックポイント阻害薬に関連したirAE(immune-related adverse events)へのチームアプローチ 〜かかりつけ医を含めたチーム医療体制の整備〜 菅野かおり,安原加奈
▼直腸がん患者への術前アプローチとストーマ・排便障害のリハビリテーション【5】
低位前方切除後症候群(LARS)を有する患者への看護支援 松原康美
今月の症例
家族の介護を理由に,治療の開始を先延ばしにしている患者とのかかわり
〜治療を先延ばしにしている思いの背景を探る〜 宮田優子
投稿論文
【資料】長期入院を要する小児がん患児のきょうだい支援に関する文献レビュー 飯野矢住代,山本萌恵,浜谷千枝子
INFORMATION
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次号予告
特集にあたって
がん診療の現場では,各がん種の治療方針に関する診療ガイドラインから,支持療法やケアに関するガイドラインまで,幅広いガイドラインが作成されています.看護師は診療ガイドラインにはあまり馴染みがないかもしれませんが,個々の患者の治療方針を決定するための指針として医療チーム内で共有したり,エビデンスに基づいた看護実践を行うために関連するガイドラインを参考にした経験がある方は多いのではないでしょうか.
診療ガイドラインとは,「健康に関する重要な課題について,医療利用者と提供者の意思決定を支援するために,システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し,益と害のバランスを勘案して,最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されています(Minds診療ガイドライン作成
マニュアル編集委員会,2021).診療ガイドラインの真の目的は,患者と家族,医療者との意思決定を支援することにあり,患者-医療者間,また医療チーム間でのコミュニケーションツールとしての役割も期待されています.
その一方で,医療者がガイドラインの推奨を盲信し,その作成背景や推奨される条件を十分に理解せず,準拠することを優先してしまうと,shared decision making(SDM)や,個々の患者に適した看護実践をサポートするツールにはなりえません.がん臨床に携わる看護師も,関連するガイドラインの目的や内容を正しく理解し,幅広く活用することが求められますが,実際には看護師にとってむずかしさを感じることが多いのが現実です.
本特集では,まず総論として診療ガイドラインとは何か,一般的なマニュアルとの違いやその成り立ち,推奨を決定するための総意形成のプロセスをわかりやすく解説します.そのうえで,診療ガイドラインを患者の治療方針の決定の話し合いにおいてどのように活用しているか,その実際と限界について紹介します.また,診療ガイドラインとは異なる患者の意思決定プロセスに関するガイドラインについて,その意義と活用,さらに,看護実践に関するガイドラインを開発する重要性について解説します.患者の立場からはガイドライン作成への患者参画の重要性や,診療ガイドラインに基づいた治療方針決定における患者・医療者間のコミュニケーション課題について解説しています.そして,最後の実践編では,近年発表されたがん看護に役立つガイドラインを取り上げ,臨床でのがん看護実践における活用例を紹介します.
本企画がガイドラインを身近に感じ,エビデンスに基づいた知識を基にした意思決定の支援やがん看護の実践に役立つことを期待します.
編集者を代表して 渡邊知映(昭和医科大学保健医療学部看護学科)
