雑誌

臨床雑誌内科≪月刊≫

脳卒中かもしれない!(Vol.133 No.6)2024年6月号

発行年月 : 2024年6月

在庫あり

定価2,970円(本体2,700円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

特集
脳卒中かもしれない
企画:板橋 亮
 
[Chapter 1]脳卒中かもしれない患者が到着する前に
 病院到着前の状況から何を得るか? 鈴木健太郎
 患者がくる前の院内体制はどうあるべき? 田中弘二・松本省二
 
[Chapter 2]脳卒中かもしれないときの病歴聴取
 脳卒中かもしれない症例の病歴聴取のコツ 矢澤由加子
 
[Chapter 3]脳卒中かもしれないときの症候と診察
 脳卒中かもしれない麻痺や感覚障害 田中瑛次郎・尾原知行
 脳卒中かもしれない失語,半側空間無視 稲富雄一郎
 脳卒中かもしれないめまい 新保淳輔
 脳卒中かもしれない頭痛 竹川英宏 ほか
 脳卒中じゃなさそうだが実は脳卒中の症状(stroke chameleon) 永沢 光
 NIHSSスコアはどうやって評価するのか? 中島 誠
 
[Chapter 4]脳卒中の画像はどうなっているのか
 CT,CTAと灌流画像 尾原信行
 MRIとMRA 青木淳哉
 超音波検査 山口枝里子・斎藤こずえ
 
[Chapter 5]脳卒中かもしれないけれど…… 
 非神経感染症や代謝異常 野末 圭 ほか
 失神および心疾患 齋藤 新
 てんかん 加藤量広
 機能性神経障害(functional neurological disorder) 下畑享良
 頸髄疾患 亀田知明・岡田俊一
 大動脈解離 徳田直輝・永金義成
 
[Chapter 6]知っておこう! 脳卒中の治療
 rt‒PA療法とはなんですか? 藤堂謙一
 血栓回収療法とはなんですか? 神谷雄己
 脳出血だったらどうすれば? 吉村壮平
 急性期抗血栓療法はどうすれば? 阪本宏樹・藥師寺祐介
 急性期リハビリテーションはいつからどうやって? 新見昌央
 
[鼎談]脳卒中を診療する内科医の過去と現在と未来 板橋 亮[司会]・平野照之・山上 宏
 
[連載] 
ほんとに意味あるの? その感染対策・感染症治療
 第5回 手術室の服装,スクラブの効果 中村 造
イメージで捉える呼吸器疾患
 第18回 ウイルス肺炎「家族の風邪がうつって,咳が止まりません」 皿谷 健
Focus On
 AIが見出す心電図の新たな診断的意義 小寺 聡
 
[投稿] 
事例 未成年後見制度を利用することを選択した胃がん終末期の母親の事例 飯田智哉
 
[書評] 
みてわかる! ニキビ診療 虎の巻 藤本 学
緩和ケア 即戦力ノート あなたにもできる,やさしい緩和ケア 柏木秀行
血液専門医テキスト(改訂第4版) 金倉 譲

 日中の救急当番,当直中,またはクリニックでもかかりつけの患者が呼んだ救急車から,こんな電話で“脳卒中かもしれない”患者がやってきます.
 「〇〇救急隊です.80 歳の女性,自宅内で倒れているところを発見されました.血圧は175/90mmHg,酸素飽和度92%,体温37.8℃です.既往は心房細動があります.JCS 3 です.麻痺ははっきりしません」
 ―“倒れていた”って,脳卒中かも……?
 一般内科もしくはプライマリケアに従事される先生方にとって,脳卒中は脳神経外科疾患というイメージが強いかもしれません.でも,脳卒中は内科医には対応できない病気でしょうか.腹痛の初期対応が必ず外科というわけではないのと同様に,そうとは言えませんよね.施設によっては,コンサルト先は脳神経内科かもしれません.
 さてあなたは,とりあえず脳神経外科(内科)の先生に連絡しましたが,こんな返事でした.
 「うーん,この前情報だと脳卒中かどうか微妙ですね.いまちょっと病棟の急変対応中でもう少しかかりそうなんです.すみませんが,まずは診察と画像検査オーダーをお願いします.脳卒中を疑う場合はもう一度連絡ください」
 さあ,“脳卒中かもしれない!”
 あなたが初期対応をしなければならなくなりました.それにしても,この前情報で「脳卒中かどうか微妙」って,どうしてなのでしょうか.そもそも脳卒中が脳神経外科疾患であるというイメージが強い先生にとっては,内科医が脳卒中を診るって,どんなことをするんだろう,と思われるかもしれません.
 これらの疑問は本特集を読んでいただければ,解決できると思います.本特集は「脳卒中かもしれない!」というタイトルで,患者が到着する前から,ファーストタッチの診断,そして専門診療科に引き継いだ後までを,脳卒中診療の最前線で活躍される全国の先生方に執筆をお願いしました.また,一般内科の先生方向けの特集ではありますが,研修医や若手脳神経内科の先生方のお役にも立てるように少し工夫を加えています.たとえば,病歴や診察は基本的な内容ではありますが,内科医の最も得意とするところですので,診察については各症候に分けて執筆をお願いしました.
また,脳卒中かもしれないけれど違う疾患“stroke mimic”の鑑別も内科医が重要な役割を担いますので,エキスパートの先生方に解説いただきました.もちろん,画像検査や急性期治療に関しても最新の内容を盛り込んでいます.
 鼎談では,せっかく「内科」という名前の雑誌で機会をいただきましたので,「内科医が診療する脳卒中」という視点で,私が昔からお世話になっている先生方と楽しく充実したディスカッションを行いました.とても盛り上がり,多くのお話を伺ったため,一部誌面には載せられなかったかもしれません.
 読者の先生方が,明日からの診療で遭遇する“脳卒中かもしれない!”場面で困らないように,本特集がお役に立てば幸いです.

板橋 亮
(岩手医科大学医学部 内科学講座脳神経内科・老年科分野/岩手医科大学附属病院 脳卒中センター)

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