雑誌

臨床雑誌内科≪月刊≫

治りにくい肺炎に出会ったら(Vol.133 No.2)2024年2月号

発行年月 : 2024年2月

在庫あり

定価2,970円(本体2,700円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

[特集]
治りにくい肺炎に出会ったら 企画:立石知也

[Chapter 1]一般的な肺炎:治りにくい肺炎を見抜くために
 一般的な肺炎の診断・治療経過 黒田浩一
 肺炎の画像診断 佐藤晴佳 ほか
 治りにくい肺炎に出会ったときに疑うべき鑑別診断 茂田光弘
 
[Chapter 2]感染性肺炎ではあるが治りにくい理由があった!
 肺膿瘍 荒川 悠・山岸由佳
 誤嚥性肺炎 吉松由貴
 耐性菌による肺炎 大井真里奈・田頭保彰
 肺結核・気管支結核 浅見貴弘
 マイコプラズマ肺炎 櫻井隆之
 レジオネラ肺炎 安藤 諭
 肺アスペルギルス症 野田晃成
 ニューモシスチス肺炎・肺クリプトコックス症 照屋勝治
 ウイルス肺炎 高野賢治
 肺吸虫症 鷲野巧弥
 
[Chapter 3]感染症と考えていたが実は感染性肺炎ではなかった!
 器質化肺炎 山内浩義
 好酸球性肺炎(急性・慢性) 鈴木勇三
 サルコイドーシス 川述剛士
 過敏性肺炎 坂本 晋
 アレルギー性気管支肺真菌症 岡安 香
 薬剤性肺炎 早稲田優子
 
[Chapter 4]気がつかずにいると危機的になりうる疾患
 免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAE) 加藤真衣・藤本大智
 肺がん(閉塞性肺炎を含む) 内堀 健
 リンパ増殖性疾患(悪性リンパ腫,Castleman病) 山田 彩 ほか
 抗MDA5抗体陽性間質性肺炎 渡辺知志
 
[連載] 
ほんとに意味あるの? その感染対策・感染症治療
 第2回 3密 中村 造 
内科医が精神科のくすりを処方する。
 第12回 その気質に気分安定薬 A 國松淳和 
イメージで捉える呼吸器疾患
 第15回 薬剤性肺障害「熱と咳が止まりません」 皿谷 健
Focus On
 在宅医療の障壁 血液疾患の在宅医療を中心に 大橋晃太 
 
[投稿] 
Photo Report
 糖尿病に先行してみられたリポイド類壊死症の1例 奥田浩人
  
[書評]
ここが知りたかった緩和ケア(改訂第3版) 大坂 巌
ようこそ緩和ケアの森 患者・家族とのコミュニケーション 秋月伸哉
ようこそ緩和ケアの森 死亡直前期の患者を診る 永山 淳

 厚生労働省のwebサイトで本邦の死亡統計が確認できる.2022年の死因順位は1位悪性新生物24.6%,2位心疾患14.8%,3位老衰11.4%,4位脳血管疾患6.9%,5位肺炎4.7%となっている.10年前の2012年,肺炎は9.9%(第3位)であり,統計上は肺炎による死亡割合は減っている.ただしこの統計には2016年から誤嚥性肺炎が別に登場しており,こちらは徐々に死亡割合を増やしている(2022年第6位3.6%).誤嚥性肺炎を併せると肺炎はいまだに死因の上位にくる疾患であると言えよう.また以前は「老衰」と死亡診断書に書くことが憚られ「肺炎」と書いていたという話も聞くので,大幅に肺炎が減ったとも言えないようである.
 というわけで,医師になってから一度も肺炎を診たことがない方はほとんどいないだろう.研修医のときに診ただけという方もいるだろうが,その後の医師人生において専門科でなくとも診療せざるをえないのが肺炎である.さらには少なからぬ落とし穴があるのも肺炎診療の事実である.細菌性肺炎と考えて抗菌薬を投与するなかで,なかなか治らず後に結核や肺がんであったということは,想像するだに恐ろしいが,頻繁に起こりうることでもある.
 本特集では,Chapter 1を一般的な肺炎の治療経過と治りにくい肺炎に出会ったときに疑うべき鑑別診断を臨床・画像から概説いただいた.Chapter 2では感染性の肺炎ではあるものの一般的な抗菌薬治療で改善しないものを,疾患それぞれの特性から解説していただいた.Chapter 3では実は感染症ではなかった症例を扱った.呼吸器内科医以外にはなじみがない疾患もあるが,いずれも頻度の高い疾患であるのでぜひご一読いただきたい.Chapter 4では最近のトピックである免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象や膠原病関連間質性肺炎など危機的になりうる疾患を扱っている.なお,診断につながる重要ポイントや注意すべき鑑別疾患については,企画者の判断で太字で表記させていただいた.
 肺炎はcommon diseasesの一つであり,その死亡率の低下が証明するとおり,抗菌薬の適切な使用により転帰が良好になることが多い疾患である.しかしながらその落とし穴は意外と大きく,また落とし穴に落ちていることに医師自身で気がつかないことが一番大きな問題かもしれない.治りにくい肺炎に出会ったら,「はたしてこの抗菌薬で合っているのか?」という視点だけでなく,「はたして細菌性肺炎で合っているのであろうか?」という疑問をもつことが非常に重要である.自戒を込めてであるが,その観点がないといつまでたっても落とし穴のなかにいることに気づけない.本特集が肺炎診療に迷ったときの道しるべとなることを願っている.

立石知也
(東京医科歯科大学 呼吸器内科)

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