雑誌

臨床雑誌内科≪月刊≫

血栓・止血の異常を理解する(Vol.132 No.4)2023年10月号

広くて深い基礎知識

発行年月 : 2023年10月

在庫あり

定価2,970円(本体2,700円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

[特 集]
血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
企画:神田善伸
 
[Chapter 1]血栓・止血の入り口
 止血のメカニズム 大森 司
 血栓・止血関連検査の読み方 朝倉英策・山田真也
 血栓性疾患の背景の考察 窓岩清治
 出血傾向の鑑別診断 森下英理子
 
[Chapter 2]血栓・止血に関連する疾患
A.血栓性疾患
 先天性アンチトロンビン欠乏症,先天性プロテインC欠乏症,先天性プロテインS欠乏症 長屋聡美・森下英理子
 抗リン脂質抗体症候群 五野貴久
 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症) 杉村宏一郎
 下肢閉塞性動脈疾患 望月康晃・保科克行
B.血小板が減少する血栓性疾患
 播種性血管内凝固症候群 池添隆之
 血栓性血小板減少性紫斑病 齋藤健貴・松本雅則
 溶血性尿毒症症候群 澤井俊宏
 ヘパリン起因性血小板減少症 安本篤史
 HELLP症候群 千草義継
C.出血性疾患
 特発性血小板減少性紫斑病 加藤 恒・柏木浩和
 血友病 日笠 聡 ほか
 後天性血友病A 自己免疫性後天性凝固第[/8因子欠乏症 金子 誠
 von Willebrand病 鈴木伸明
 IgA血管炎 山田耕嗣・鈴木祐介
 
[Chapter 3]血栓・止血に関連する薬剤
 抗血小板薬 大林祐樹・塩見紘樹
 warfarin,直接経口抗凝固薬(DOAC) 家子正裕
 ヘパリン類,argatroban 樋口敬和
 線溶薬,抗線溶薬 林 朋恵
 
[Chapter 4]血栓・止血のトピックス
 iPS細胞を用いた血小板の体外製造と輸血 杉本直志・江藤浩之
 血友病の遺伝子治療 宮川義隆
 
[連 載] 
内科医が精神科のくすりを処方する。
 第8回 SSRIを出したくなる人 A 國松淳和
イメージで捉える呼吸器疾患
 第11回 急性好酸球性肺炎「親に隠れてたばこを吸ったら息苦しくなりました」 皿谷 健
 
[投 稿] 
 症例 穿通性Cameron病変症例 山根建樹
 
[書 評] 
患者背景とサイトカインプロファイルから導く IBD治療薬 処方の最適解 安藤 朗
PCI・EVT・SHDインターベンションスペシャルハンドブック 七里 守
Onco-cardiologyガイドライン 平田健一

 本号の特集テーマとして「血栓・止血の異常」を取り上げた.血栓・止血というと,あの複雑な凝固カスケードを含めて,苦手意識が強い人も多いかもしれない.血液を専門とする医師でも,診療業務の大半は造血器腫瘍を対象としているために,血栓・止血については慣れ親しんでいないことがある.一方で,血栓・止血の異常に伴う症候は多岐にわたり,さまざまな診療科で対応が求められる.
 そこで本特集では,Chapter 1を「血栓・止血の入り口」と題して止血機序,検査の解釈,そして鑑別診断の流れについて概説していただいた.Chapter 2は疾患各論として,血栓・止血の異常による疾患を,血栓を主とする病態,出血を主とする病態,両者を伴う病態の三つに分類して解説していただいた.Chapter 3は血栓・止血に関連する薬剤について扱った.血友病に対する二重特異性抗体などの特殊な薬剤の解説は疾患各論に委ね,この章では汎用される薬剤に限定して紹介している.Chapter 4では血栓・止血に関するトピックスについて解説していただいた.いずれもすでに臨床応用されている新規治療を二つ取り上げた.
 「広くて深い基礎知識」というサブタイトルにあるように,まずはChapter 1で広く浅く知識を習得していただいた後に,Chapter 2以降でより深く掘り下げていただくことをねらいとしている.すべての領域にわたって深く,というのは容易ではないので,Chapter 2についてはご自身の診療に関連する疾患だけを選択して,熟読していただくという読み方でもよいかもしれない.血栓・止血学は多彩な専門分野をまたぐ横断的学問として発展してきたものであり,本特集が単に診療現場に役立つということだけではなく,多くの医師が血栓・止血に興味をもつきっかけになることを期待している.

神田善伸
(自治医科大学附属病院/附属さいたま医療センター 血液科)

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