書籍

日本整形外科学会診療ガイドライン

頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン2011

文献アブストラクトCD-ROM付

監修 : 日本整形外科学会,日本脊椎脊髄病学会
編集 : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン策定委員会
ISBN : 978-4-524-26922-8
発行年月 : 2011年10月
判型 : B5
ページ数 : 182

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本整形外科学会の診療ガイドラインの改訂版。「疫学・自然経過」「成因・病理・病態」「診断」「治療」について75のクリニカルクエスチョンを設け、新たに2009年までの文献から信頼性と有益性を評価し、最新のエビデンスに基づいた推奨・要約と解説を示した。診断・治療の指針、また患者への説明のよりどころとなる整形外科医必携の書。付録のCD-ROMに文献アブストラクトを収載。

前文
 1 本ガイドライン作成の目的
 2 疾患概念と診断

第1章 疫学・自然経過
 はじめに
 本章のまとめ
1.1 疫学
 CQ1.頚椎OPLLは日本人に多いか(人種別の発生頻度)
 CQ2.頚椎OPLLは男性に多いか(性差)
 CQ3.本症は中年で発症するか(好発年齢)
 CQ4.頚椎OPLL発生頻度は変化しているか
 CQ5.頚椎OPLL発生頻度は地域により異なるか(地域差)
1.2 自然経過
 CQ6.脊髄症はいったん発症すると進行するか(進行様式)
 CQ7.本症を治療しないと寝たきりになるか(終末像)
 CQ8.本症は生命予後に影響するか(生命予後)
 CQ9.頚椎OPLLがあると、転倒など外傷により脊髄損傷になりやすいか(頚椎OPLLにおける外傷の意味)
 CQ10.CTでようやくわかる大きさの小骨化巣が脊髄を圧迫する大きさに増大するか(小骨化巣の自然経過)
 CQ11.壮年、高齢者と比較して若年の頚椎OPLLの骨化は増大するか(年齢の影響)
 CQ12.家族歴のある患者では頚椎OPLLは増大するか(遺伝的背景の影響)
 CQ13.分節型の頚椎OPLLは連続型になるか(タイプの変化)

第2章 成因・病理・病態
 はじめに
 本章のまとめ
2.1遺伝的要因
 CQ1.頚椎OPLLは遺伝するか
2.2 その他の成因・背景因子
 2.2.1.食事
 CQ2.特定の食品の過剰摂取(不足)は骨化を促進するか(食事の影響)
 CQ3.ビタミンAの過剰摂取は骨化を促進するか
 CQ4.カルシウムの(過剰)摂取は骨化を促進するか
 2.2.2.併存疾患
 CQ5.糖尿病があると、頚椎OPLLが生じやすいか(併存症の影響)
 CQ6.末端肥大症があると、頚椎OPLLが生じやすいか
 CQ7.副甲状腺機能低下症があると、頚椎OPLLが生じやすいか
 CQ8.カルシウム代謝関連異常があると、頚椎OPLLが生じやすいか
 CQ9.ビタミンD抵抗性くる病があると、頚椎OPLLが生じやすいか
 CQ10.筋緊張性ジストロフィーがあると、頚椎OPLLが生じやすいか
 2.2.3.生活習慣・運動
 CQ11.運動、喫煙、飲酒、睡眠は骨化の発症に影響するか
 CQ12.頚椎への繰り返す負荷や動きは頚椎OPLLを引き起こすか(メカニカルストレスの影響)
2.3 脊髄病理・脊髄障害の機転
 CQ13.頚椎OPLLがあっても脊柱管が広ければ脊髄症は発症しないか
 CQ14.骨化占拠率が50%を超えると、脊髄症が生じるか
 CQ15.有効脊柱管前後径が8mm以下になると、脊髄症が生じるか
 CQ16.混合型では骨化の連続性が途絶する部位で脊髄障害をきたしやすいか
 CQ17.骨化が大きく、有効脊柱管前後径が狭くても脊髄症を発症していない人がいるか

第3章 診断
 はじめに
 本章のまとめ
3.1 臨床症候
 CQ1.頚椎OPLLにより生じる症状は(臨床症候)、その頻度は
 CQ2.胸椎後縦靱帯・黄色靱帯骨化が高頻度で合併するか(他の脊椎高位の靱帯骨化)
3.2 画像検査
 CQ3.頚椎OPLLは単純X線検査で診断することができるか(X線診断の基準)
 CQ4.有効脊柱管前後径(あるいは占拠率)から脊髄症の発症を予測できるか(脊髄症発症の予測)
 CQ5.画像検査から外科治療のタイミングを決めることができるか
 CQ6.本症患者に糖負荷試験が必要であるか
 CQ7.本症患者に内分泌機能検査が必要か
3.3 その他の検査
 CQ8.本症患者に電気生理学的検査が必要か
3.4 診断基準
 頚椎後縦靱帯骨化症診断基準
 頚椎後縦靱帯骨化症診断・治療アルゴリズム

第4章 治療
 はじめに
 本章のまとめ
4.1 保存的治療
 4.1.1.保存的治療の種類(現在、選択されている治療)
 CQ1.民間療法(あんま、マッサージ、整体、カイロプラクティック、鍼灸)や漢方薬は本症の頚部痛に有効か
 CQ2.頭蓋直達牽引やハロー固定は本症に有効か
 CQ3.ステロイドは脊髄症の治療に有効か
 CQ4.脊髄症に有効な薬剤はあるのか
 CQ5.ビスホスホネート(ethane-1-hydroxy-1,1-diphosphonate;EHDP)は骨化の進展予防に有効か
 4.1.2.保存的治療の適応と限界
 CQ6.保存的治療(頚椎牽引、固定など)は脊髄症に有効か
 4.1.3.保存的治療の効果
 CQ7.消炎鎮痛薬は本症の痛みに有効か
 4.1.4.保存的治療の効果に影響する因子
 CQ8.MRIで見られる髄内輝度変化と保存的治療の成績は関連するか
4.2 外科治療
 4.2.1.外科治療の種類と内容、後療法
 CQ9.脊髄症に椎弓切除術は有効か
 CQ10.術後のカラーによる頚部固定は必要か
 4.2.2.外科治療の適応・術式選択
 CQ11.予防的外科治療の適応は成り立つか
 CQ12.術式によって手術成績に差があるか
 4.2.3.外科治療の効果
 CQ13.外科治療によりquality of life(QOL)は改善するか
 CQ14.手術によりどのような症状(しびれ感など)が改善するか(治療評価の項目)
 CQ15.頚部痛に外科治療は有効か
 CQ16.術後の職業復帰は
 CQ17.手術の成績は長期的に維持されるか(長期成績)
 CQ18.前方除圧術の適正な除圧幅は
 CQ19.前方手術は骨化摘出が必要か
 CQ20.椎弓形成術により、術後の骨化進展は予防できるか(術後骨化進展)
 4.2.4.外科治療の効果に影響する因子
 CQ21.外傷歴は治療成績に影響するか
 CQ22.術前または術中の電気診断で予後が予想できるか
 CQ23.脊髄症の術前重症度は治療予後に影響するか(予後因子)
 CQ24.胸椎後縦靱帯骨化症は長期経過に影響するか
 CQ25.胸椎黄色靱帯骨化症は長期経過に影響するか
 CQ26.高齢者の手術適応は非高齢者と同じか
 CQ27.年齢は治療成績に影響するか
 CQ28.頚椎後弯変形は治療成績に影響するか
 CQ29.高い骨化占拠率は成績不良因子か
 CQ30.連続型は分節型に比べて成績がよいか
 CQ31.術後骨化進展は成績不良因子か
 CQ32.MRIの髄内輝度変化は予後不良因子か
 CQ33.術前の脊髄面積や圧迫形態は治療成績に影響するか(効果に影響を与える因子)
 4.2.5.外科治療の合併症
 CQ34.外科治療(椎弓形成術、椎弓切除術、前方骨化浮上術など)による神経症状の悪化する頻度は
 CQ35.どのような合併症が生じうるのか、その頻度は
 CQ36.合併症の頻度から術式を選ぶことができるか
 CQ37.術後に頚椎の可動域は制限されるか

 頚椎後縦靱帯骨化症診断・治療アルゴリズム

索引

『頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン』(初版)は2005年に米延策雄委員長のもとで刊行されました。初版刊行時から5年後に改訂を行う予定でしたので、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会のもとに頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン改訂委員会が2008年に組織されましたが、第2版が出来上がるまでには3年の時間を要しました。改訂委員会の組織は、初版からのメンバーとして松永先生と私が参加し、さらに本疾患の診療・研究に精通した新たな委員に加わっていただき改訂作業を行ってきました。
 クリニカルクエスチョンは初版を継承する方針として、検索された論文のエビデンスレベルの分類も初版のまま変更しませんでした。しかし、推奨グレードに関しては初版においてI、すなわち委員会の審査基準を満たすエビデンスがないあるいは複数のエビデンスがあるが結論が一様ではない、といった診療ガイドラインとしては不親切なグレードが多くなってしまった反省点を改良すべく改訂版では変更を加えました。これによって、根拠の強さには違いはあるものの委員会全体として推奨できるクリニカルクエスチョンへの回答ができたものと考えます。
 今回の改訂作業において、諏訪敏幸氏(大阪大学生命科学図書館)に2003年(Medlineは2002年)から2009年末までの論文から頚椎後縦靱帯骨化症の疫学・病因、診断・治療に関する必要な文献を検索する作業をお願いしたところ、快くお引き受けいただきました。また、各委員と査読協力者には、それら膨大な論文から一次検索、論文査読、構造化抄録作成といった一連の作業を経て推奨グレードと解説文に修正を加え、多くの時間と労力を費やして改訂版の作成に尽力いただきました。ご協力いただいた皆様には心から深謝いたします。
 第2版でもまだ多くのクリニカルクエスチョンは推奨グレードIのままですが、これらは今後の研究課題として取り組むべき領域であり、また推奨グレードCのものでも今後より強い根拠が出てくるものと期待します。そして、本ガイドラインが一般臨床医の診療するうえでより良い指標になり、本疾患に苦しむ患者の説明や治療に活用されることを願います。ただし、本疾患の治療は個々の症例によって担当医が幅広い知識と豊富な経験から状況に応じて適切に判断することが前提であり、患者個人の希望や価値観および医師としての裁量が尊重されることを強調しておきます。したがって、本ガイドラインが頚椎後縦靱帯骨化症診療の内容を制限したり否定したりするための材料として使用されることなく、一般臨床医の診療をサポートするガイドとして適切に使用されることを心から願っています。
2011年9月
日本整形外科学会
頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン策定委員会
委員長 岩ア幹季