書籍

難治性貧血の診療ガイド

特発性造血障害の病態・診断・治療の最新動向

編集 : 「難治性貧血の診療ガイド」編集委員会
ISBN : 978-4-524-26805-4
発行年月 : 2011年10月
判型 : B5
ページ数 : 266

在庫あり

定価5,940円(本体5,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

再生不良性貧血、赤芽球癆、不応性貧血など難治性の貧血(特発性造血障害)について、診療のポイントを一冊にまとめた診療ガイド、厚生労働省研究班が作成した「診療の参照ガイド」をもとに、そのエッセンスをわかりやすくダイジェスト。さらに、歴史的に重要な文献を取り上げ、要点を解説する。これからの難治性貧血診療の指針がわかる血液科医、小児科医、実地医家にオススメの一冊。

第I章 再生不良性貧血
 診療のエッセンス
 [資料]診療の参照ガイド

第II章 赤芽球癆
 診療のエッセンス
 [資料]診療の参照ガイド

第III章 不応性貧血(骨髄異形成症候群)
 診療のエッセンス
 [資料]診療の参照ガイド

第IV章 発作性夜間ヘモグロビン尿症
 診療のエッセンス
 [資料]診療の参照ガイド

第V章 自己免疫性溶血性貧血
 診療のエッセンス
 [資料]診療の参照ガイド

第VI章 骨髄線維症
 診療のエッセンス
 [資料]診療の参照ガイド

第VII章 先天性骨髄不全症候群
 診療のエッセンス
 [資料]1.先天性骨髄不全症候群「序論」/診療の参照ガイド
 [資料]2.Fanconi貧血/診療の参照ガイド
 [資料]3.先天性角化不全症/診療の参照ガイド
 [資料]4.Diamond-Blackfan貧血/診療の参照ガイド
 [資料]5.Congenital dyserythropoietic anemia/診療の参照ガイド
 [資料]6.遺伝性鉄芽球性貧血/診療の参照ガイド

第VIII章 輸血後鉄過剰症に対する鉄キレート療法
 診療のエッセンス

索引

厚生労働科学研究費補助金「難治性疾患克服研究事業」の中の「特発性造血障害に関する調査研究」班では、再生不良性貧血・溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症)・不応性貧血(骨髄異形成症候群)・骨髄線維症を対象として、全国規模の調査研究を長年にわたって推進してきている。その研究活動の大きな成果のひとつとして、研究対象疾患の「診療の参照ガイド」が作成された。
 初版は小峰光博班長(当時)の卓越したリーダーシップのもとに平成16年度にまとめられ、その充実した内容は高く評価されている。その後、これらの対象疾患に関する研究が大きく発展し、診療内容の目覚ましい進歩がみられている。そこで、「診療の参照ガイド」改訂作業を平成22年度に行い、この春に研究報告書の資料として全国の主要な医療機関に配布したところである。
 しかしながら、研究対象疾患のような難治性貧血の診療に第一線であたっている全国の血液内科医に、研究報告書としての「診療の参照ガイド」(平成22年度改訂版)をお届けすることは現実的には不可能である。そこで、誰でもが簡単に入手し、日常臨床で活用することができるようにするため、南江堂から成書として出版することになった。
 本書では、研究班の報告書である「特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド(平成22年度改訂版)」を資料として引用し、疾患毎にその要点をわかりやすくまとめた「診療のエッセンス」の執筆を各対象疾患のワーキンググループ責任者にお願いした。「診療の参照ガイド」本体の内容は極めて充実しているが、文章量も膨大であり、忙しい日常診療の中ではすべてに目を通す余裕のないことも多い。一方、本書の「診療のエッセンス」は箇条書きでコンパクトになっており、手軽で利用しやすくなっている。さらに、ごく最新の情報も盛り込むように努めてあり、「診療の参照ガイド(改訂版)」よりも部分的にはアップデートされたものとなっている。また、重要文献を紹介した「重要エビデンスの解説」の欄を新たに設けてあり、有用な情報として活用いただけるものと思う。
 その他、第VIII章として、「輸血後鉄過剰症に対する鉄キレート療法」を追加して取り上げてあり、難治性貧血の診療に役立つものと思われる。
 なお、敢えて「診療ガイドライン」とはせずに、「診療ガイド」としてあるのは、本書が治療内容を制約するものではなく、あくまでも“診療を行う際に参照して欲しい”といった趣旨のものであるためである。
 最後に、「難治性貧血の診療ガイド」編集委員会のメンバーに御協力を感謝するとともに、本書が全国の血液内科医に広く活用され、難治性貧血に苦しむ患者さんの診療に少しでもお役に立つことを期待したい。
平成23年10月
『難治性貧血の診療ガイド』編集代表者
小澤敬也

白血病、リンパ腫、骨髄腫などの造血器腫瘍が難治性疾患であることは広く知られているが、貧血を中心とした赤血球系疾患にも治療に難渋し予後不良な一群があり、重要な研究課題として位置付けられてきた。国はこれらを特定疾患として指定し、全国レベルでの組織的研究を推進してきたのである。中核となったのは再生不良性貧血であり、研究班の編成からすでに40年を経ようとしている。その後、溶血性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄線維症などが順次追加され、班名も「特発性造血障害」と称されたが、近年は(一部例外はあるものの)病態の共通性から骨髄不全症(候群)と呼ばれることもあるようである。各疾患の疫学や臨床実態の把握は大いに進んだが、病因や分子病態、治療法の開発、予後の改善をみるにはやはり長い時間が必要であった。1990年代に入ると大きな変化がうねりのように高まってきた。染色体変化、分子生化学、分子遺伝学へと研究レベルは転換し、免疫抑制療法、造血幹細胞移植の確立などが臨床現場の様相を大きく変貌させ、最近の分子標的治療の展開へと続いている。
 難治性疾患克服研究事業として「特発性造血障害に関する調査研究班」は、平成17〜22年度までの6年間を小澤敬也教授(自治医科大学)のリーダーシップのもとで大きな成果をあげてきた。それらの成果を血液疾患診療の現場に余すところなく還元し、よりよい診療に役立ててほしいとしてまとめられたのが特発性造血障害の「診療の参照ガイド」であり、この度ほぼ全面的な改訂がなされた。内容の充実度をみても、作業にあたった分担研究者・研究協力者の熱意と献身が直に感じられる。参照ガイドの本体だけでも総ページ数は270頁に及ぶが、研究班の年次報告書の補遺ともいうべきその冊子は別途全国の医療機関・施設に配布され、Web上でも公開されている。
 本書では、この参照ガイドの本文そのものをそのまま資料として引用しつつ、疾患ごとに「診療のエッセンス」の項を設け、参照ガイドの作成責任者が疾患ごとに、文字通り本文の骨子となる要点を簡潔に抽出・整理して解説し、実際の利用にあたって読者が目指すべき最新の診療レベルを理解できるように工夫されている。
 取り上げられている疾患は、再生不良性貧血、赤芽球癆、骨髄異形成症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、自己免疫性溶血性貧血、骨髄線維症であるが、今回は新たに先天性骨髄不全症候群の1項を加え、その中にFanconi貧血、先天性角化不全症、Diamond−Blackfan貧血、Congenital dyserythropoietic anemia、遺伝性鉄芽球性貧血が含められている。また、参照ガイドの本体には含まれなかったが、「輸血に起因する鉄過剰症の診断と治療」は小澤班が発足当初から意欲的に取り上げた研究課題であり、本書の末尾に「鉄キレート療法」の1項を設けて診療のエッセンスに加えているのは、臨床的にも重要な寄与であることを記しておきたい。
 「診療の参照ガイド」では、グローバルな視点から病因、病態が論じられ、新しい治療法の評価や位置付けに海外データも広く取り込まれ注意深くupdateされているが、班員・協力者による独自の重要な成績も随所に読み取ることができ、内容に重みが増している。本書でも治療法の発展の方向や現状における課題が適切に論じられており、臨床成績などにはエビデンスレベルも付記されているので、臨床判断に際しての指南役として大いに役立つのではないだろうか。

評者● 小峰光博
内科110巻1号(2012年7月号)より転載