COPDポケットアトラス
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

潜在患者数が530万人とも言われるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について、その解剖、生理、病理、鑑別診断、治療、管理、急性増悪をイラストを中心に解説。携帯しやすいコンパクトサイズの左ページに解説、右ページにイラストの見開き構成。国際ガイドライン「GOLD」メンバーである監訳者のもと、国内の実状に見合った解説を心がけた。
Pocket Atlas COPD
I.呼吸器系の解剖
呼吸のしくみ
呼吸筋
上気道と副鼻腔
耳の解剖
中耳
内耳
咽頭
喉頭
気管
肺
肺門部
肺葉と肺区域(I)
肺葉と肺区域(II)
気管支樹
細気管支と肺胞嚢
縦隔
II.呼吸器系の生理
換気の機序
表面張力、張力調整物質、肺胞虚脱圧
局所の肺血流調節:換気血流比
肺胞毛細血管ガス拡散:呼吸膜
呼吸調節
気道上皮と粘液線毛輸送
咳反射
気道粘液と免疫系
肺の動脈圧調節
III.COPD
COPD:定義
肺気腫
慢性気管支炎
気管支喘息
COPDの危険因子
COPDの自然歴
COPDの病理
COPDの気流閉塞
COPDにおける肺循環の変化
COPDの病因
COPDの病態生理学
COPD増悪の病理、病因、病態生理
COPDを疑う根拠
COPDの臨床診断
機能的評価とCOPDの病期
COPDに用いられる他の診断法
IV.COPDの鑑別診断
嚢胞性線維症
うっ血性心不全
気管支拡張症
結核
閉塞性細気管支炎
他の気管支閉塞の原因:新生物
他の気管支閉塞の原因:サルコイドーシス
V.COPDの管理−総論
喘息の管理と治療の目的
COPDの管理と治療の目的
COPD患者支援の連携と推進
VI.COPDの管理−禁煙
禁煙の一般的原則
禁煙の薬物療法
VII.COPDの管理−薬物治療
気管支拡張薬:β2刺激薬(I)
気管支拡張薬:β2刺激薬(II)
気管支拡張薬:抗コリン薬
気管支拡張薬:キサンチン
ステロイド性抗炎症薬
β2刺激薬とステロイドの併用
吸入器具と手技:治療的分類とその効果
吸入方法:加圧式カートリッジ
吸入方法:吸入チェンバー
吸入装置:ドライパウダー式機器
吸入装置:ネブライザー
VIII.COPDの管理−長期酸素療法
COPDに対する長期間酸素療法の生理学的効果
睡眠時酸素療法
運動時の酸素療法
酸素化の評価のための検査:動脈血ガス分析
酸素化の評価のための検査:パルスオキシメトリー
酸素化の評価のための検査:経皮オキシメトリー
慢性酸素投与に伴う危険
持続的酸素供給機器
IX.COPDの管理−呼吸リハビリテーション
呼吸リハビリテーションの構成要素
X.COPDの管理−栄養
COPDによる栄養状態の変化
筋肉と体重減少の病因
栄養療法の適応
XI.COPDの管理−外科手術
外科手術とCOPD:手術リスクの評価
COPDの外科療法:嚢胞切除術
COPDの外科療法:肺移植
COPDの外科療法:肺容量減少術(LVRS)
XII.COPDの管理−睡眠
睡眠中の生理学的変化
COPDの睡眠の質
COPD患者の睡眠時低酸素血症の機序
閉塞性睡眠時無呼吸の併存(OSAS)
COPDに伴う睡眠障害の治療
催眠薬とCOPD
XIII.COPDの管理−増悪
COPD増悪の定義と分類
増悪の危険因子
増悪の病歴、理学所見、診断手技
外来での増悪治療
増悪の重症度評価の臨床的基準
増悪の入院治療
ICU入室の基準
自宅退院の基準
退院後の再評価と経過観察
略語一覧
参考文献
気流閉塞が徐々に進行する疾患は、全てまとめていわゆるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といわれることがある。これらの疾患は、持続し繰り返す気流閉塞を特徴とする。主な原因は、慢性気管支炎から肺気腫までさまざまであり、気管支喘息も含まれる。(訳注:現在ではCOPDには慢性気管支炎と肺気腫が含まれる)
呼気の気流閉塞は気道の炎症と線維化、また肺胞構造の破壊によってもたらされる。この気流閉塞は肺の過膨張を伴う。
COPDの患者は、朝の湿性咳嗽、粘性または膿性痰、喘鳴、呼吸困難などの症状を呈す。息切れの感覚は、進行すると、わずかな体動や安静時においても認められるようになる。下肢の浮腫や顔面蒼白、胸郭の拡張、肝腫大なども出現する。
現代社会の発展が人類に貢献したのは間違いないとしても、同時に日常生活に有害な影響を与えている部分もある。たとえば、喫煙、大気汚染、劣悪な労働環境などであり、これらは全てCOPDの危険因子となり、したがってCOPDが現在最も多い呼吸器疾患のひとつとなっている。COPDが、40歳代半ばという若い年齢でも発症しその負荷が高まっていくことを考えると、COPDに対する本格的な対策の必要性は高まっていく。
本書では、COPDの病理と診断、治療についての関連した全ての知識を簡潔に説明している。COPDに関した全てのトピックスを正確に説明した本書を手にすることは、医療従事者、患者だけでなく、健康や環境問題に興味のある人にとって有益であり、この情報は長生きしよりよい人生を送ることにつながると考える。
