書籍

これでわかるHIV/AIDS診療の基本

プライマリケア医と病診連携のために

編著 : 白阪琢磨
ISBN : 978-4-524-26072-0
発行年月 : 2009年11月
判型 : A5
ページ数 : 176

在庫僅少

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

HIV感染症/AIDSはこれまで一部の専門施設で診療されていたが、患者数は増加の一途をたどっており、今後は外来治療、病診連携が重要課題となっている。本書は、プライマリケア医を含む非専門医を対象に、HIV/AIDS診療における、診断、治療、予後、社会的支援をわかりやすく解説。HIVに特徴的な皮膚症状、肛門疾患もカラー写真提供。

I HIV感染症/AIDSは治らないのですか?
 A HIVとAIDSの違い(疾患の定義)
 B 昔は治療法のない予後10年までの致死的疾患
 C 今は早期発見されれば治療法のある慢性疾患
 D でも治癒はまだなく治療は半永久的
 E HIV-1とHIV-2

II HIV陽性者は増えているの?
 A エイズ動向委員会の報告
 B どの世代に多いか?
 C 感染経路の特徴は何か?
 D 女性の感染の状況はどうか?
 E 日本国籍、外国国籍のいずれに多い?
 F 感染の場所はどこの国が多いか?
 G どうして増えているのか?
 H どうして以前は血友病患者に多かったのか?

III HIV感染症を疑うコツがありますか?
 A AIDSで多い症状は何か?
 B 早期診断する意義は何か?
 C AIDSでない場合に疑うヒントがあるか?
 D 急性感染症状とは何か?
 E HIV感染症を疑ったときの次のステップは何か?

IV HIV感染者に特徴的な随伴疾患がありますか?
 A HIV急性期感染期の皮膚症状
 B HIV陽性者の皮膚感染症
 C HIV陽性者の皮膚悪性腫瘍
 D HIV陽性者に多い肛門疾患

V HIV感染症はどのように診断すればいいの?
 A HIV感染症診断のガイドライン
 B スクリーニング検査のポイント
 C 確認検査のポイント
 D 検査をオーダーするときに本人に伝えるポイント
 E 本人に結果を知らせるときのポイント
 F 本人以外の誰に伝えるか?

VI HIV感染症はどう治療したらいいの?
 A HIV感染症の治療の概略
 B 治療をどのタイミングで行うか?
 C 治療を行う前のポイント
 D 治療を行うときのポイント
 E 治療でやってはいけないこと
 F 治療を行ったあとのポイント
 G 治療が順調かのチェックポイント
 H 治療が順調でないときのチェックポイント
 I B型肝炎やC型肝炎合併時の治療のポイント

VII HIV感染症患者の将来はどうなるの?
 A HAARTによる予後の変化
 B 薬剤の進歩と予後の改善
 C 予後の延長因子について(薬剤開発、副作用の軽減など)
 D 予後の短縮因子(生活環境、合併疾患、精神心理的負担など)
 E 治癒はあるのか

VIII HIV感染症患者を専門医に紹介するとき
 A 日和見感染症の重症例や難治例
 B 重症の急性感染例
 C 免疫再構築症候群
 D HIV陽性妊婦
 E HIV感染児
 F HIV療法の薬剤選択困難例(副作用例、併用薬のある例、多剤薬剤耐性例)
 G 肝炎、結核、悪性腫瘍などの他疾患の合併例

IX HIV感染症患者への支援
 A HIV感染症と診断をした際の支援
 B 医療費の自己負担軽減の方法
 C 経済的なことがら
 D 役所・行政の支援
 E HIV感染症患者を支援する団体など
 F その他の支援サービス

索引

HIV診療には医療のエッセンスが凝縮していると思う。
 約30年前、不治の病とされたHIV感染症/AIDSも、めざましい治療の進歩によって、今や医学的管理ができる慢性疾患と捉えられるまでになった。AIDSを発症した人も多くは適切な医学的管理下において通常の日常生活を営むことが可能となったし、AIDS発症前に発見された人では治療でAIDS発症を回避できる時代となった。しかし、現時点ではいまだに治癒はないため、杭HIV療法は生涯に及ぶ。服薬遵守の重要性を示すのに、HIV感染症の領域ではコンプライアンスよりもアドヒアランスという用語が使われている。これは患者さんの積極的な服薬を意識したためである。HIVは社会的に脆弱性の高い人々に拡がる傾向があり、医師や看護師に加え、薬剤師、臨床心理士、メディカル・ソーシャルワーカーらも加わったチーム医療の提供が有用である。
 早期発見は本人の健康維持および感染拡大防止の両面から重要である。当院(国立病院機構大阪医療センター)は近畿のエイズ診療におけるブロック拠点病院として累積1,600名を超える患者さんが受診した。AIDS発症による紹介は2割程度であり、残りは保健所などでの自主検査よりも、一般病院や診療所で診断された無症候期キャリアの患者さんが多かった。HIVの感染拡大が続く中、診察する機会は拠点病院に限らない時代が来たと思う。
 最近、HIV感染症診療の入門書が欲しいとの声が多くあり、この度、出版の誘いを頂き、当科の医師にも相談して出来上がったのが、本書である。HIV感染症/AIDSの基本的知識に加え、HIV感染症を疑うコツ、診断方法、治療のコツといったガイドラインにはあまり記載されていない点を書き加えた。
 本書がエイズ拠点病院、一般病院の主治医や診療所の先生方のお役に立つことを望む。なお、医師以外の医療従事者にもわかりやすいように心がけたので、手にとって頂ければ幸甚である。
2009年世界エイズデーを前にして
白阪琢磨