書籍

乳がんカウンセリング改訂第3版

ここまでは患者に伝えたい基礎知識

: 福富隆志
ISBN : 978-4-524-26048-5
発行年月 : 2009年5月
判型 : A5
ページ数 : 142

在庫なし

定価2,808円(本体2,600円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

乳がん診療が直面する問題に「正確に」「分かりやすく」「相手の立場に立って」答えた好評書の改訂第3版。遺伝子プロファイリング、センチネルリンパ節生検、RVS、分子標的薬、CTC、非侵襲手術など、画像診断、薬物療法、手術法の最新の情報をもれなく記載した。さらに、患者・家族の不安を鎮める情報として緩和ケアの概念、患者さんの心の問題にまで言及。

第1章 乳がんの増加とハイリスクグループ
乳がんは急増―なぜだろうか
若い人の乳がんが増えているのだろうか
高脂肪・高カロリーの欧米型食生活は乳がんの増加に関係しているのだろうか―どんな食生活を送ればよいのか
女性のライフスタイルの変化はどのように乳がんの増加につながっているのだろうか
乳がんは遺伝するのだろうか―乳がんの家族歴
両側乳がんとは

第2章 乳がんの臨床
乳がんの発生部位と進行度
乳がんの治療成績
早期乳がんとは
乳がんの病理組織学的分類
乳がんの悪性度とは
若い人の乳がんは治りにくいのだろうか

第3章 乳がんの診断―自己検診が基本
乳がんは自分で発見できるがんである
自己検診の仕方
乳がん検診は有効か
乳房のしこり―間違いやすい良性のしこり
進んだ診断技術―基本はマンモグラフィ、超音波検査、細胞診
腫瘍マーカーの役割

第4章 乳がんの治療
手術療法の種類
手術は縮小化傾向に―大きく手術すればするほど治る可能性が高いという考えは乳がんでは誤りである
生存率ではまったく差のない乳房温存療法―しかし切除範囲を簡単に小さくすることはできない
温存療法はがん遺残のコントロールが鍵である
手術の縮小化にはどんな時代的背景があったのか
乳房温存療法の現状と問題点
早期がんである非浸潤がんがなぜ無条件に温存療法の適応になりにくいのか
日本での乳房温存療法の一般的適応と研究成果
術後放射線治療は乳房温存療法では必ず必要か
腫瘤径の大きなもの(3〜4cm以上)に温存療法は無理なのだろうか―いいえ、もう標準治療の一つとなりつつあります
現時点での基本的適応は
乳房温存療法のまとめ―予後の予測やがんの性質の解明が進めば温存療法が増加する
QOL重視のための乳房再建手術
薬物療法の進歩
臨床試験とは
ホルモン療法の実際
手術後の追跡
手術後の再発と再発後治療の基本方針
手術後の日常生活は活動的に

第5章 告知の問題とインフォームド・コンセント
告知は事実に基づいて正確に、かつ希望・期待が持てるように配慮する―「告知」には温かい心と思いやりが大前提である
乳房温存療法におけるインフォームド・コンセント
臨床試験におけるインフォームド・コンセント

付録1 もう少し深く知りたい方のために―用語解説を中心に
1. リスクファクターとは何か
2. 発がん物質とは何か、女性ホルモンは発がん物質なのか
3. 「がん体質」と「がん家系」とは何か
4. 遠隔転移(他臓器転移)とは何か
5. ディンプリング(dimpling)とは何か
6. 陥没乳頭と乳頭陥凹はどう違うのか
7. マンモグラフィ検査と超音波検査の特徴は
8. 穿刺吸引細胞診とは何か
9. 針生検とは何か
10. センチネルリンパ節生検法とは
11. 術後生存率、無再発生存率とは何か、それぞれどんな意味があるのか
12. 全身療法と局所療法―全身病と局所病
13. 骨シンチグラムとは何か
14. 術後の病理組織学的検査とはどんなことをするのか
15. 予後因子とは何か
16. 非浸潤がんとは何か、「早期がん」とはどう違うのか
17. 術前化学療法はどんな場合に行われるのか
18. 再発後の薬物療法の効果はどのように判定されているのか―再発後の抗がん剤治療はどの程度有効なのか
19. 無作為化比較試験の無作為化(ランダマイズ)にはどんな意味があるのか
20. QOLの調査は実際にはどのように行われているのか
21. 乳がんの予防は可能か
22. 緩和ケアとは

付録2 乳がん治療の最前線―やや専門的な内容を
1. 乳がん手術療法の諸問題
2. 現在検討されている新しい乳がんの低侵襲手術
3. RVS(Real-time Virtual Sonography)―超音波とMRI画像の融合
4. 遺伝性・家族性乳がん
5. 乳がん患者の予後因子とその臨床応用
6. CTC(circulating tumor cell)とは
7. 薬物療法の新しい展開
8. 将来の乳がん治療は

あとがき
参考文献
索引

21世紀に入って乳がんの診療は劇的に変化した。科学的根拠に基づく医療(evidence based medicine)が診療ガイドラインという形で定着しつつあり、がん医療の均てん化が目標とされている。さらに、遺伝子プロファイリング、センチネルリンパ節生検、RVS、分子標的薬、CTC、非侵襲手術などの新しい手法、薬剤が次々に登場している。一方、乳房切除術は乳房温存療法に凌駕され、古典的抗がん剤や大量化学療法なども過去のものとなった。また、緩和ケアの概念も積極的に導入され、鎮痛薬の適正使用あるいは患者さんの心の問題にも何とか手を差し伸べられないかと努力が続けられている。現実には医療の進歩に対する過剰な期待や乳がん治療を担う医師(特に乳腺専門医)の絶対的不足による歪みも生じている。
 改訂版を出さねばならない。内容も最新の成果をもれなく記載し、一層幅広い読者の方に読んでいただけるものを目指そう。著者の強い願いがここに凝縮し、結実したものと信じている。
2009年3月
福富隆志