書籍

臨床現場におけるアスピリン使用の実際

古くて新しい奥深い薬をいかに使用すべきか

編集 : 後藤信哉
ISBN : 978-4-524-24298-6
発行年月 : 2006年10月
判型 : B5
ページ数 : 154

在庫なし

定価3,240円(本体3,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

国内外で古くから使用されるアスピリンについてのさまざまな話題をまとめたユニークな書。心筋梗塞、脳梗塞などの血栓症疾患の発症を予防する効果が注目されているアスピリンについて本邦を代表する各分野のエキスパートが執筆。多くの臨床医の座右にぴったりの読み応えのある内容。

I章 アスピリン―古くて新しい魅力的な薬物―

II章 臨床現場におけるアスピリン使用の実際
 1 心疾患におけるアスピリンの使い方
 2 脳領域におけるアスピリンの使い方
 3 末梢血管疾患におけるアスピリンの使い方
 4 糖尿病、メタボリックシンドロームにおけるアスピリンの使い方
 5 日本人における一次予防のエビデンスの構築

III章 臨床使用におけるアスピリンの問題とその克服
 1 アスピリンは全ての症例に効くわけではない
 2 NSAIDs潰瘍の発症頻度とその対策
 3 アスピリン喘息の発症頻度とその対策
 4 アスピリンとその他の薬物の相互作用

IV章 なぜアスピリンが効くのか―抗血小板効果を超えて―
 1 アスピリンの抗血小板作用とそのメカニズム
 2 抗血小板効果以外のアスピリンによる心血管発症予防メカニズム

V章 アスピリンを超える抗血小板薬への期待
 1 近未来に使用可能となる抗血小板薬とその特徴
 2 アスピリンを超える抗血小板薬に期待される特徴

疾病の予防、治療に用いられる薬物に期待される特徴は何だろうか?対象とする疾病の発症を確実に予防、治療できる有効性、長期間服用しても副作用のリスクが少ない安全性、そして高齢化とともに医療費の経済的負担が増加している社会においては、安価であるという経済性も重視される。本書は、国内外で古くから使用され、名前を知らない医師がいないほど一般的な薬物であるアスピリンに関する話題をまとめたユニークな書籍である。解熱鎮痛薬として知られるアスピリンは、心筋梗塞、脳梗塞などの血栓性疾患の発症を予防する効果ゆえに注目されている。解熱鎮痛薬は複数あるが、動脈血栓症発症予防効果はいまのところアスピリンのみにおいて確認されている。しかも、その血栓症発症予防効果は世界中で行われた大規模臨床試験により科学的かつ明確に確認されている。NSAIDs潰瘍、アスピリン喘息など注意すべき副作用がないわけではないが、血栓症発症予防に用いる量は米国で「baby aspirin」と呼ばれるほどの少量であるため安全性の問題を惹起する可能性も低い。
安価なアスピリンは医療経済的にも優れた薬物である。有効性、安全性は臨床研究による事実としては確認されているが、その作用メカニズムには未知の部分もある。御一読いただくと、単一の薬物に関して一冊の本をまとめるほどの情報と話題をいまだに提供し続けているアスピリンのユニークな特徴をご理解いただけると思う。
 心筋梗塞、脳梗塞は極めて一般的な疾病である。多くの医師がかかわっている高血圧、高脂血症の治療も最終的には心筋梗塞、脳卒中予防を目的としている。ガンと血栓症こそが医療の最大のターゲットである現代社会では、いかなる領域を専門とする医師であってもアスピリンに関する正確な知識は必須である。本書では日常臨床においてアスピリンを使用している多くの一般的な臨床医を読者として想定している。アスピリンによる血栓性疾患発症予防効果、アスピリン抵抗性、NSAIDs潰瘍、アスピリン喘息など安全性に関する話題、作用メカニズム、将来展望など、アスピリンに関するさまざまな話題を各分野の若手のエキスパートがわかりやすく解説している。一般内科医、開業医、研修医、あるいは血栓症とは全く関係のない領域の専門医であっても本書の記述は抵抗なく頭に入るであろう。本書は、血栓症を専門としない、血栓症を何となく難しい病気と考えている多くの医師にとってアスピリンを切り口にした入門書になる。記述は簡明でわかりやすいが、さすがに本邦を代表する各分野のエキスパートが記載しただけあって内容は深い。
心臓、脳、末梢血管などの血栓性疾患を専門とする医師にとっても読み応えのある豊富な内容が含まれている。多くの臨床医が気軽に読み、手元において参照するにふさわしい書籍として受け入れられることを期待している。
2006年9月
後藤 信哉