書籍

呼吸ケア実践ハンドブック

管理とリハビリテーションのすべて

編集 : 永井厚志
ISBN : 978-4-524-24117-0
発行年月 : 2005年12月
判型 : B5
ページ数 : 300

在庫僅少

定価5,400円(本体5,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 序文
  • 書評

専門医・研修医をはじめ、理学療法士、呼吸療法士など呼吸ケアに関わるすべての医療スタッフを対象に、医療現場の実情に即した急性期・慢性期における呼吸ケアを実践的に解説。チーム医療を重視し、呼吸ケアの包括的な内容と目的、評価、必要な疾患や薬剤の知識をわかりやすく示す。関連ガイドラインとも整合性をもたせ、より実際的な呼吸ケアの内容を詳述。

わが国では、団塊の世代が定年を迎えようとしている今日、高齢化社会への急激な移行に伴いさまざまな社会問題が一挙に増幅し、現実的な対応が求められる状況になりつつあります。医療においても、とりわけ高齢者に多い慢性呼吸器疾患患者の数は飛躍的に増大し、その対応は医療経済を含めて重要な国民的課題となることが指摘されています。このような情勢下にあって、この度、南江堂より呼吸ケアの実践的なマニュアルをつくる機会をいただきました。本書を企画するにあたり、施設により異なる医療環境の中でも十分に活用していただけるような呼吸管理や呼吸リハビリテーションの実用書を目標にしました。
 本書は、第I章に「呼吸ケアの目的」として呼吸ケアに対する基本的な考え方や、実践する際に心がけておきたい医療チームのあり方を取り上げています。第II章では「呼吸ケアにおける評価」として、身体所見、生理機能検査、X線画像などの基本的事項にふれたうえで、モニタリングやリハビリテーションに欠かせない運動耐容能、呼吸困難、QOLに関する評価法について詳細に解説されています。第III章では、それぞれの疾患に特徴的な病態像を理解したうえで呼吸ケアを実践することが重要であることから、呼吸ケアが必要となる代表的疾患を取り上げ、疾患の全体像を把握していただくように努めました。第IV章では、呼吸ケアを施行する際に用いられる「薬剤」について解説し、第V章では、「急性期の呼吸ケア」をいかに行えばよいのかを酸素療法、理学療法、気道管理、人工呼吸療法、NIPPVなどの項目に分けて、それぞれの治療法の要点を簡潔に解説していただきました。第VI章では、実践マニュアルとして意図された本書の要となる「慢性期の呼吸ケアの実際」について総論、各論に分けてエキスパートの方々に詳細な解説をしていただきました。
 呼吸ケアは、あらゆる診療領域においても重要で不可欠な医療項目の一つとなっています。本書で呼吸ケアがいかなるものかを十分に理解していただき、明日からの日常診療に役立てていただければ編者として望外の喜びです。
2005年10月
永井厚志
(一部改変)

生命維持のためには、酸素が不可欠であり、換気により空気中の酸素を取り込むのが呼吸器である。呼吸器疾患では酸素の取り込みが障害されるために低酸素血症が問題になる。換気状態を改善し、効率よく肺から酸素を取り込むことができるようになれば、患者はQOLのよい生活を送ることができる。このプロセスに介入する手段が呼吸ケアであろう。呼吸ケアは呼吸器疾患患者のみならず循環器疾患患者や他の生活習慣関連疾患患者も対象になる。さらに、健康な高齢者に対しても有用である。呼吸ケアは単に医療手段としてだけではなく、予防医学的観点からも重要である。

 本書はあらゆる疾患に応用できる呼吸ケアのノウハウを知ることができる優れたテキストである。ページをめくると、図や表が多く、非常に読みやすく、理解しやすい構成になっていることに気づくであろう。じっくり読む時間のない方にとっては、図表を読むだけでも理解できる。執筆者が43名と多いので、ややもするとスタイルが分散して全体としてまとまりのないテキストになりがちであるが、本書はそのようなことがまったくみられない。最初から最後まで、章立ての構成が一定しており、どこの章から読みはじめてもよい。各章ごとに「Summary」がまとめられており、章ごとの記載内容が読み取れる。本書の前半は「呼吸ケア」に関する基礎的な事項が、後半では急性期と慢性期に分けて応用編が記載されている。限られたスペースの中に豊富な内容を体系づけて、しかも簡潔にまとめられている。これはいずれの執筆者も、臨床の第一線で活躍されている方であり、呼吸ケアに関する豊富な経験をベースにまとめられたからと思われる。

 本書には、呼吸ケアにあたっての患者および患者家族を中心とした医師、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士、保健師など医療従事者のみならず、医療機器担当者によるチーム医療へのクリティカルパスの導入の重要性や在宅患者における呼吸リハビリテーションの必要性に関する項目も含まれている。単に呼吸ケアをどうすべきかという観点にとどまらず、わが国における「呼吸ケア」の展望について述べられている。

 編集者である永井厚志先生は、呼吸器病学を「形態と機能」の面から研究しているわが国の第一人者である。形態と機能は車の両輪である。呼吸ケアのストラテジーにおいても「形態と機能」的考え方は重要である。医療の仕組みや疾病の構造を知ったうえで機能の回復をはかる、あるいは潜在的な機能を引き出すことが重要である。一方、機能していない臓器は形態学的異常を起こす。機能を維持あるいは回復させることが正常な構造を保つ、あるいは正常な構造を再構築することができるのである。本書には永井氏のこれまでの臨床研究に対する研究哲学が生かされているといえる。

 一般臨床医、看護師、理学療法士などコメディカルのみならず、これから呼吸ケアを学ぶ医療系学生のみなさん!本書を一度手に取って読んでみていただきたい。手離すことができなくなる内容であることをすぐに理解することができるでしょう。まさしく編集者が目指した呼吸ケアのノウハウを知ることができる実用書であり、家庭の医学書としても手元に置きたい書である

評者● 飛田渉(東北大学保健管理センター所長)
臨床雑誌内科97巻4号(2006年4月号)より転載