書籍

摂食・嚥下障害のVF実践ガイド

一歩進んだ診断・評価のポイント DVD付

監修 : 植松宏
編集 : 千葉由美/山脇正永/戸原玄
ISBN : 978-4-524-24083-8
発行年月 : 2006年5月
判型 : B5
ページ数 : 128

在庫あり

定価5,400円(本体5,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

VF(嚥下造影)検査の具体的な手順について、検査食の調整法、患者に飲ませる順番、撮影時の体位など、必要な物品から実際の検査方法までをわかりやすく紹介。さらに読影のポイントと評価基準も解説。付録DVDには検査手順と症例を動画で収録。VF検査の概要を理解すると同時に、読影のセルフトレーニングができる。これからVF検査を始める医療従事者に最適な一冊。

序章
 1. 本書刊行の背景
 2. スクリーニング
 3. VFの撮影と読影
 4. チームアプローチ
 5. VFの関連内容と本書の構成

第I章 VFの適応と禁忌
 1. VFの目的
 2. VFの適応
 3. VFの禁忌

第II章 VF時に必要な解剖・生理
 1. 摂食・嚥下運動のメカニズム
 2. 摂食・嚥下運動に関する解剖
 3. 嚥下の3期のメカニズム
 4. 嚥下運動で注意すべき点

第III章 VFの具体的手順と留意点
 1. 全体的なすすめ方 -機器・物品も含めた準備から実際の検査手順まで
 2. 歯科医師の役割と留意点 -義歯やPAPなどの口腔内の特別な視点
 3. 言語聴覚士の役割と留意点
 4. 看護師の役割と留意点
 5. 放射線技師の役割と留意点

第IV章 全身のモニタリングと緊急時の対応
 1. VFのリスク
 2. モニタリングのポイント
 3. 緊急時の対応

第V章 画像の読み方
 1. 嚥下障害の正常像と典型的な異常像
 2. VF評価用紙と判断基準

第VI章 リハビリテーションを視野に入れたVF
 1. 嚥下の各段階とVFの有用性
 2. リハビリテーションの流れのなかでのVFの役割

第VII章 摂食・嚥下障害へのチーム医療とVFの位置づけ
 1. 効率的なVFまでの手順の一案
 2. VF結果の病棟観察へのフィードバック

摂食・嚥下障害を評価する信頼性の高い検査法の一つに、Videofluoroscopic examination of swallowing:VF(ビデオX線嚥下検査)があります。この検査は、造影材料の含まれた食品を食べたり、飲んだりしている様子をX線で透視するもので、摂食・嚥下の状態を肉眼で評価できることから、より臨床場面に即した検査法ということができます。VFは、通常使用されているX線機器を用いて行えるといった利便性がある一方で、X線の被曝量を最小限に保ちながら検査を円滑に進めるための体制が必要となります。そのため関係職種は、検査準備や手順についてあらかじめコンセンサスを図っておき、万全の対応で臨むことが大切です。
 また、この検査の主目的である“得られた画像情報の読影と解釈”についての内容こそがもっとも重要な部分となりますが、非常に難易度が高く、十分なトレーニングが不可欠です。摂食・嚥下機能そのものは骨や筋肉などの複雑な一連の動きによって構成されており、一回の正常嚥下の平均時間は0.5秒程度といわれています。そのため異常所見がみられる症例への検査場面では、検者は短時間に摂食・嚥下機能の状況を、迅速かつ正確に判断することが必要とされます。検査のプロセスにおいても、最初の段階でもっとも安全と思われる検査食の形態や体位を選択し、VFを施行し、問題がないことが確認されれば、検査食の形態や体位などを変えて再施行するといった繰り返しの工程を踏むといった特徴があります。そのため、画像記録のための機器が発達してきている現状であっても、リアルタイムでVF画像を読み取る能力は、検者自身に委ねられているといえます。
つまり、VFを進める時々に発揮される読影、解釈といった検者の判断能力こそが、この検査の精度を左右する重要なファクターになるわけです。医療の専門職が新たな知識、技術の獲得、能力向上を図り、実践において能力を発揮できるようにするための第一歩は、正常像や典型的な異常所見を有する症例をいつでもイメージできるよう、自らの五感を養っておくことにあるといえます。
 本書は初心者であっても効率よく学習できるよう最小限必要となるVF症例を付録DVDに収めるとともに、読影や解釈、さらにはチーム医療を推進すべくポイントを踏まえながら、可能な限り平易に内容を解説するよう心がけました。また、検者のみならず読者を介して多くの医療チームメンバーのセルフトレーニングや教育にも広く役立てていただけるよう再現性を重視し、内容を補足しています。目前のクライアントにより質の高い医療を還元していただきたく、本書が少しでも貢献できれば本望です。
2006年4月
東京医科歯科大学
編集者一同
(一部改変)