書籍

リザーバー療法

編集 : リザーバー研究会
ISBN : 978-4-524-22454-8
発行年月 : 2003年12月
判型 : B5
ページ数 : 234

在庫僅少

定価8,640円(本体8,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

リザーバーを用いた治療は多くの場合、根治的外科手術ができない再発、転移などの病巣をもった患者が対象である。多くの施設で有用性と有効性が実証されている。リザーバーを用いた局所化学療法の診療現場での問題点を解決すべく討議を重ねてきた研究会の成果を呈示し、周辺の問題、インフォームドコンセント、臨床試験、診療報酬についても基本的な考え方を解説。

1.リザーバーとは
 A.リザーバーの概念
 B.歴史と現状
 C.局所化学療法の薬理学的背景
 D.腹腔内化学療法時の薬物動態

2.技術
 A.総論
 B.血管/腹腔へのアクセス
  B-1)動脈系
  B-2)静脈系
  B-3)腹腔
 C.各領域における技術
  C-1)肝動注化学療法
  C-2)骨盤内動注化学療法
  C-3)腹腔内化学療法
 D.メンテナンス
 E.薬剤分布評価
  E-1)DSA、CTA、MRA、RI

3.治療の実際
 A.肝動注化学療法
  A-1)転移性肝癌
  A-2)原発性肝癌
 B.骨盤内化学療法
 C.腹腔内化学療法

4.特殊な領域(技術、成績)
 1. 腹腔動脈領域
 2. 門脈領域(門注療法)
 3. 整形外科領域
 4. 頭頸部領域
 5. 中心静脈アクセス

5.応用編−種々の問題に対する考え方−
 1. 肝外病変(原発巣を含む)を有する症例に対する肝動注化学療法
 2. 大腸癌肝転移切除後の予防的肝動注療法
 3. 肝機能高度障害例における肝動注化学療法
 4. 治療中断を考慮すべき場合と対処
 5. 治療終了の目安
 6. Neoadjuvantとしての動注化学療法
 7. 側孔型カテーテルの必要性
 8. NBC-リピオドールの必要性
 9. 他治療(EMS、RT)との併用
 10. 肝動注化学療法と全身化学療法との併用
 11. 転位右肝動脈への一本化の是非
 12. 血流改変術とカテーテル留置
 13. 外来、在宅治療における工夫
 14. カテーテル抜去の必要性と方法
 15. インフォームドコンセントとクリニカルパス

6.実地医療と臨床研究
 A.癌医療における実地医療と臨床研究の考え方
 B.リザーバー領域の臨床試験の歴史と現状
 C.実地医療における問題点
 D.臨床研究課題

付録:現行のリザーバー関連の診療報酬

本書の前身は1990年5月、蟹書房から出版された「リサーバーによる動注化学療法の手技と実際−リザーバー研究会編−」といえよう。その後、13年以上経過するなかでリザーバーを用いた治療法の変革、発展は目覚しいものがあり、本書は内容をまったく一新している。
 本書は「リザーバーとは」からはじまり、第2章の「技術」では血管/腹腔へのアクセスとして動脈に加え静脈系、腹腔内へのアプローチについても詳細に書かれている。
 血流動態の把握と血流改変は本療法のもっとも基本となるもので、これなくしてリザーバー療法は語れない。また、薬剤分布の評価も動注化学療法が成立するために最も重要な部分である。
 第3、4章の治療の実際ではこれまでの肝癌、骨盤臓器などの対象疾患以外に、胆管細胞癌、整形外科、頭頸部領域、中心静脈などとその守備範囲が広がった。切除不能膵臓癌の動注化学療法の可能性も追求しなければならない。
 第5章は臨床上の種々の問題をどう考えどう対処するかについて経験豊かな先生方により執筆されており、これからはじめようとする若い先生方のみならず、本療法をすでに施行している先生にも必読の章である。リサーバー器具、カテーテルの改良開発も驚くばかりで、以前は想像もできなかった部位へのカテーテル挿入があたり前のように行われている。抗癌剤についても然りである。
 本書を通じてこの領域がいかに発展したかが理解できるが、残念ながらリザーバーを用いた治療法の有効性が証明された領域は少ない。
 今、各領域で海外でも高い評価が得られるような癌局所療法のエビデンスを示すための臨床研究が求められている。局所療法のバイブル的存在である本書を有効に活用し、これまでにないすぐれた臨床試験、そしてよりよい治療成績があげられることを切望する。
 最後にリザーバー治療に携わった医師、レントゲン技師、看護師、そして薬剤、器具、カテーテル開発に尽力していただいた各メーカーの方々に深謝する。
2003年10月
リザーバー研究会会長 昭和大学一般・消化器外科
草野満夫
(一部改変)

リザーバー研究会編集の本書が刊行された。現在、学会や研究会の大部分が、特定の疾患に携わる、あるいは診療科に所属する医師の集団により運営されている。それに対して、リザーバー研究会はリザーバーという一つの治療手段を“key”として、癌治療に携わる放射線科、内科、外科、婦人科、泌尿器科、整形外科、耳鼻咽喉科など多くの診療科の医師が、科を横断的に超えて参加している、ある意味でユニークな研究会である。1986年以降現在までにすでに26回の研究会が開催され、手技、治療薬剤、合併症、基礎的研究など毎回多彩な研究成果が発表されている。

10年以上前に、同じくリザーバー研究会が編集した『リザーバーによる動注化学療法の実際』(蟹書房、1990年)が出版され、筆者らが動注治療を行うさいの“バイブル”的な存在であった。しかし最近、カテーテル、リザーバー本体の質に格段の進歩がみられること、カテーテル挿入や血流改変における技術的な進歩、用いる抗癌薬や投与レジメンの進歩の中では新たな“バイブル”の出現が待望されていた.

最近はリザーバーが抗癌薬の経動脈投与ばかりでなく、経静脈投与や腹腔内投与にも使用されているため、本書では三つの経路別に挿入技術が詳細に解説されている。また、実際の臨床で問題となるリザーバーに接続する穿刺針の固定方法や周囲皮膚の管理、薬剤分布の確認、評価方法までそれぞれ項目を設けて解説されており、きわめて親切な実用的な解説書である。

全身化学療法においては、新しい抗癌薬が出現し、欧米を中心に精力的に行われている大規模なtrialの結果に基づいて、毎年のように新しい有力なレジメンが登場している。一方動注治療では、血流改変やカテーテルの挿入技術、装置の工夫に多くの努力が積み重ねられ、着実な進歩が得られてきた。しかし動注は局所治療としての意味合いが強く、ある意味で手術と同様に手技の質が治療の質に大きく影響を与える。この点が、同じ治療レジメンから同等の結果を期待できる全身化学療法との根本的な違いであり、欧米で動注治療が一般化しない要因の一つと考えられている。

このようにリザーバー療法は、技術的な治療手技に術者や施設間で差を生じやすいため、投与薬剤のレジメンについての多施設共同研究は少なく、確立された投与スケジュールは少ない。本書でも疾患別に多種類のレジメンが記載されているが、実際に用いるレジメンの決定は読者に委ねられている。今後、本書に従って質の高い動注治療の一般化が得られることを期待する。さらに、用いるレジメンについて多施設共同研究に基づく新しい成果をぜひ日本から発信したいものである。

〔貞廣荘太郎〕
臨床雑誌外科66巻8号(2004年8月号)より転載