雑誌

がん看護≪隔月刊≫

がん患者の消化器症状マネジメント(Vol.13 No.2)2008年1月増刊号

発行年月 : 2008年2月
判型 : A4変

在庫僅少

定価3,456円(本体3,200円 + 税)

  • 主要目次
  • 序文

がん患者の消化器症状マネジメント

■編集
門田和気(国立がんセンター中央病院麻酔・緩和ケア科)
戸谷美紀(国立がんセンター中央病院看護部/がん看護専門看護師)
浅沼智恵(国立がんセンター中央病院副看護部長)


序文 門田和気
1.消化器症状のアセスメントと看護ケア
口腔
 口腔乾燥(口渇) 西川央江
 口臭(不快臭) 西川央江
 味覚異常 川地香奈子
 口腔潰瘍 内海明美
 カンジダ 関本翌子
 食欲不振 久山幸恵
嚥下障害
 嚥下困難 鈴木恭子
 胸やけ・逆流性食道炎 奥朋子
 吃逆 山岸恵
消化不良 笠谷美保
消化性潰瘍・消化管出血 井手真弓
悪心・嘔吐 小澤桂子
便秘 本田晶子
宿便・糞便停滞 江連久子、増渕和子
腸閉塞・腹部膨満 加藤恵
下痢・直腸分泌 宇野さつき
腹水 林ゑり子
黄疸 山口聖子
脱水 長谷川久巳
悪液質 奥出有香子
上腹部痛 栗原美穂
下腹部痛 山富美子

2.がん治療に伴う消化器症状
オピオイド治療に伴う消化器症状の特徴と問題点 新山幸俊、川股知之
抗がん剤治療に伴う消化器症状の特徴と問題点 橋本堅治、勝俣範之
放射線療法に伴う消化器症状の特徴と問題点 坪倉卓司、西村恒彦

3.消化器症状の医学的治療
嘔気・嘔吐の診断と治療 高橋秀徳、下山直人
嘔気・嘔吐の薬物療法:制吐薬の薬理作用と特徴 倉辻羊子
便秘の診断と治療 橋爪隆弘
便秘の薬物療法:緩下剤の薬理作用と特徴 高瀬久光、加賀谷肇
消化管閉塞の緩和:酢酸オクトレオチド 久永貴之、志真泰夫、長岡広香、木澤義之
終末期における輸液治療 森田達也
がん患者の消化器症状に対する手術療法 澤村明廣
IVR 荒井保明、竹内義人、稲葉吉隆、新槇剛
腹痛の鑑別診断と主な治療 小坂健夫

4.消化器症状を持つ患者の退院調整と在宅ケア
消化器症状を持つ患者の退院調整 菊内由貴
消化器症状を持つ患者の在宅ケア 倉持雅代


___________________________


がん看護13巻2号(増刊)
序文

 がん患者の身体症状は「痛み」と「痛み以外の症状」に分けて論じられることが多い.私自身も大学勤務時代、医学生や看護学生には、この2つを別の項として講義してきたが、はたしてこの枠組みに意味はあるのかと今、自問する.消化器系の臨床症状は「痛み以外の症状」の代表にあげられるが、世界疼痛学会が痛みの定義に用いている“不快な感覚”とは、消化器症状に必ず存在するからである.
 さらに、進行がん患者の60〜80%に存在する食欲不振は、全身倦怠感と同様に、単なる身体症状のひとつの範疇を超えるものであり、多くの消化器症状は終末期におけるADLを著しく損ねる.食べる能力は働く能力よりもQOLの重要な身体的側面であるともいわれる(Padilla,1986).
 この増刊号は4つのテーマから構成されている.最初に、臨床で遭遇する症状について看護師のみなさんに担当していただいた.日々ベッドサイドでケアにあたる目線からのきめ細かいアセスメントとケアになっている.
 次いで、がん治療の特徴である「治療に伴う副作用としての消化器症状」に多くのページを割いた.山室誠先生(東北大学教授)はその著書のなかで「がん性疼痛におけるオピオイド治療の副作用対策は藪(やぶ)医者方式である」と述べられている(『がん患者の痛みの治療』、1994).オピオイド治療には副作用はつきものであるが、その対策は対症療法であり、あたかも藪医者の処方に似ているという主旨である.
 オキシコドン、フェンタニルとラインアップが増え、オピオイドローテーションが確立しつつある現在でもオピオイドによる副作用は主作用を脅かす.抗がん剤治療、放射線療法においても年来の懸案といえる.WHOがん疼痛治療法5原則にあるattention to detail(きめ細かい配慮をすること)とは、鎮痛作用よりも副作用を最小とするための配慮と考えている.
 3番目を治療とした.代表的な症状である便秘、悪心・嘔吐は医師・薬剤師双方からの専門性に基づく解説である.がん性疼痛治療の原則は薬物療法であり、消化器症状の治療も同様であるが、適応や侵襲を考慮した外科的処置が有用な場合も少なくない.腹痛は原因が多岐にわたり、その診断はきわめて重要である.
 そして、最後の項で在宅ケアにおける問題を提示いただいた.消化器症状を最小限に止め、在宅ならではの食を摂取できることが質の高い療養である.
 鎮痛補助薬には2種類ある.第1種鎮痛補助薬は特定の状況下で鎮痛薬(オピオイド)との併用で鎮痛効果を有するが、第2種に分類される薬剤には基本的に鎮痛効果はなく、緩下剤や制吐薬などがこれにあたる.本来の目的ではない作用―副作用を減じることが鎮痛の質を高めるという概念である.疼痛治療と副作用対策は並行するものである.痛みと痛み以外の身体症状は並存している.
 この特集が多くのがん患者の消化器症状改善につながることを期待したい.最後に、臨床、研究、教育に多忙ななか、多くの労をいただいた執筆の方々に感謝する.
2008年1月
編集スタッフを代表して
門田和気

がん患者の身体症状は「痛み」と「痛み以外の症状」に分けて論じられることが多い。私自身も大学勤務時代、医学生や看護学生には、この2つを別の項として講義してきたが、はたしてこの枠組みに意味はあるのかと今、自問する。消化器系の臨床症状は「痛み以外の症状」の代表にあげられるが、世界疼痛学会が痛みの定義に用いている“不快な感覚”とは、消化器症状に必ず存在するからである。
 さらに、進行がん患者の60〜80%に存在する食欲不振は、全身倦怠感と同様に、単なる身体症状のひとつの範疇を超えるものであり、多くの消化器症状は終末期におけるADLを著しく損ねる。食べる能力は働く能力よりもQOLの重要な身体的側面であるともいわれる(Padilla,1986)。
 この増刊号は4つのテーマから構成されている。最初に、臨床で遭遇する症状について看護師のみなさんに担当していただいた。日々ベッドサイドでケアにあたる目線からのきめ細かいアセスメントとケアになっている。
 次いで、がん治療の特徴である「治療に伴う副作用としての消化器症状」に多くのページを割いた。山室誠先生(東北大学教授)はその著書のなかで「がん性疼痛におけるオピオイド治療の副作用対策は藪(やぶ)医者方式である」と述べられている(『がん患者の痛みの治療』、1994)。オピオイド治療には副作用はつきものであるが、その対策は対症療法であり、あたかも藪医者の処方に似ているという主旨である。
 オキシコドン、フェンタニルとラインアップが増え、オピオイドローテーションが確立しつつある現在でもオピオイドによる副作用は主作用を脅かす。抗がん剤治療、放射線療法においても年来の懸案といえる。WHOがん疼痛治療法5原則にあるattention to detail(きめ細かい配慮をすること)とは、鎮痛作用よりも副作用を最小とするための配慮と考えている。
 3番目を治療とした。代表的な症状である便秘、悪心・嘔吐は医師・薬剤師双方からの専門性に基づく解説である。がん性疼痛治療の原則は薬物療法であり、消化器症状の治療も同様であるが、適応や侵襲を考慮した外科的処置が有用な場合も少なくない。腹痛は原因が多岐にわたり、その診断はきわめて重要である。
 そして、最後の項で在宅ケアにおける問題を提示いただいた。消化器症状を最小限に止め、在宅ならではの食を摂取できることが質の高い療養である。
 鎮痛補助薬には2種類ある。第1種鎮痛補助薬は特定の状況下で鎮痛薬(オピオイド)との併用で鎮痛効果を有するが、第2種に分類される薬剤には基本的に鎮痛効果はなく、緩下剤や制吐薬などがこれにあたる。本来の目的ではない作用―副作用を減じることが鎮痛の質を高めるという概念である。疼痛治療と副作用対策は並行するものである。痛みと痛み以外の身体症状は並存している。
 この特集が多くのがん患者の消化器症状改善につながることを期待したい。最後に、臨床、研究、教育に多忙ななか、多くの労をいただいた執筆の方々に感謝する。
2008年1月
編集スタッフを代表して
門田和気