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臨床雑誌整形外科≪月刊≫

高齢者脆弱性骨折の予防と治療(Vol.65 No.8)2014年7月増刊号

発行年月 : 2014年7月
判型 : A4変

在庫僅少

定価6,264円(本体5,800円 + 税)

  • 主要目次
  • 序文

特集/高齢者脆弱性骨折の予防と治療
●編集にあたって 遠藤直人
I.総論
 1.骨粗鬆症による脆弱性骨折の高齢者社会における位置づけとその対応 阿久根徹
 2.病因、病態の最新の知見−感覚神経系による骨代謝調節機構 福田亨
 3.病態の最新知見−画像イメージングから 菊田順一
 4.ガイドラインからみた骨粗鬆症の診断、予防と治療 須藤啓広
 5.続発性骨粗鬆症 宗圓聰
 6.脆弱性骨折における現状の問題点と海外での取り組み 山本智章
 7.脆弱性骨折におけるグローバルな取り組み 細井孝之
II.薬物療法
 1.原発性骨粗鬆症に対する治療薬剤の種類と特徴 遠藤直人
 2.大腿骨近位部の二次骨折 萩野浩
 3.新たに骨折が発生した際の対応 森諭史
 4.副甲状腺ホルモンによる骨癒合促進作用 楊鴻生
 5.高度骨粗鬆症患者の脊椎インストゥルメンテーション手術における固定強化をめざした薬物治療 稲毛一秀
 6.薬剤治療(骨吸収抑制薬)に伴う有害事象とその対応 近藤直樹
III.高齢者脆弱性骨折の治療−部位別各論
 1.上腕骨近位部骨折 玉井和哉
 2.上腕骨遠位、肘関節周囲骨折 大久保宏貴
 3.橈骨遠位端骨折 森谷浩治
 4.新鮮脊椎椎体骨折−保存的治療 豊田宏光
 5.新鮮脊椎椎体骨折−手術的治療の総論 豊根知明
 6.脊椎椎体骨折偽関節例の治療 平野徹
 7.脊椎椎体骨折に対する最小侵襲手術の適応と限界−calcium phosphate cementの活用 武政龍一
 8.脊椎椎体短縮法と後方進入椎体骨切り再建術 吉井俊貴
 9.脊椎椎体形成術−balloon kyphoplast 戸川大輔
 10.大腿骨近位部骨折 中野哲雄
 11.大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折−膝を含めて 山本卓明
 12.膝周囲骨折治療−人工関節を含めて 笹重善朗
 13.骨折治癒促進への取り組み 成瀬康治
IV.高齢者の特徴と周術期管理
 1.高齢者の特徴−老化による心身機能の変化 秋下雅弘
 2.高齢者の入院、周術期管理 森平貴
 3.疼痛管理−骨粗鬆症患者の疼痛発生機序と薬物治療 射場浩介
 4.せん妄への対応 先崎章
 5.認知症への対応 春日健作
V.高齢者における骨粗鬆症予防
 1.運動療法−転倒予防を含めて 宮腰尚久
 2.食事・栄養療法 上西一弘

日本では高齢化が急速に進み、高齢者の増加が大きな関心事となっており、さらに団塊の世代が75歳を迎える2025年以降には、高齢者問題は社会的にも医療の分野においても一層重要になるものと予想される。このような高齢者社会においては、運動器疾患が健康寿命を阻害する因子として注目される。なかでも高齢者の骨粗鬆症を基盤とする脆弱性骨折は日常生活動作(ADL)、生活の質(QOL)を障害し、寝たきり、要介護の状態にいたらせ、健康寿命を阻害するものであり、その対策は急務である。高齢者脆弱性骨折に関わる問題として次のことがあげられる。
 1)骨折危険因子:骨粗鬆症を基盤とする骨折の危険因子として加齢、既存骨折、大腿骨頚部骨折の家族歴などがあり、なかでも既存骨折が注目される。例えば脊椎椎体骨折や大腿骨近部骨折をおこした方はその後、さらなる骨折、すなわち大腿骨近位部骨折をきたすリスクが高い。
 2)骨粗鬆症治療の薬剤選択:骨粗鬆症治療薬は多数あり、それぞれで作用機序と効果が異なるとともに、投与方法、投与間隔に違いがある。骨粗鬆症治療薬の選択と適応はどのように行うのか、また薬剤には、まれではあるが骨壊死、非定型大腿骨骨折、低カルシウム血症などの合併症があり、注意を払う必要がある。
 3)脆弱骨への手術対応:骨折の手術的治療時、骨粗鬆症患者の骨は脆弱であり、インプラントや人工関節の強固な固着が得られず、難航する。その対策と工夫が必要である。
 4)総合的・包括的評価と周術期管理:高齢者では運動器疾患だけを持っている方はむしろ少なく、内臓器疾患や認知機能障害などを合併して有していることから、周術期にはその管理が重要である。高齢者の特徴を知り、評価に基づいた対応をすることが求められる。
 本誌ではそれぞれの専門の方々に骨折の診断、治療と予防、さらには合併症対策、周術期管理について、最新の知見を含めて執筆いただいた。骨粗鬆症を基盤とする高齢者脆弱性骨折は重要な疾患であることを改めて認識いただき、第一線の診療に役立てていただくことを願うものである。

新潟大学整形外科学教授
遠藤直人