書籍

検査診断学への展望

臨床検査指針:測定とデータ判読のポイント

監修 : 第62回日本医学検査学会記念誌編集委員会
編集 : 野村努/正田孝明/横田浩充/香川県臨床検査技師会編集委員会
ISBN : 978-4-524-26643-2
発行年月 : 2013年5月
判型 : B5
ページ数 : 730

在庫あり

定価7,560円(本体7,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本臨床衛生検査技師会による、“専門職”としての検査技師に求められる高度な知識を幅広くカバーしたテキスト。臨床検査における各検査法の測定時の注意点とポイント、検査結果の判読の実際をまとめ、結果の解釈についても具体例を通して解説。主治医や他の医療スタッフ、患者からの質問に適切に回答できるたしかな知識が身につく。これからの臨床検査の指針となる一冊。

発刊にあたって
祝辞
第62回日本医学検査学会特別企画記念誌に寄せて
R−CPC企画・本書編集の序
臨床検査の国際標準化の現状と展望−検査室の質と能力の向上を目指して−
超高齢社会における骨量測定の意義
戦後の医療経済推移と臨床検査への影響およびその遠未来の夢を語る
わが国の臨床検査の進歩と将来への期待

私の提言
 臨床検査学科の教育制度と将来への展望
 臨床検査技師の卒前・卒後教育への提案
 臨床検査部の将来への展望
 R−CPC(reversed−clinicopathological conference)−臨床検査技師の検査データ判読能力の必要性
臨床一般検査領域
 尿検査の注意点と判読への影響
 尿検査結果の判読ポイント
 腎臓疾患における尿検査判読ポイント
 脳脊髄液一般検査の注意点とデータの見方・考え方
臨床化学検査領域
 臨床化学を専門とすることの未来−高い志があればこそ
 糖質関連項目の測定と判読時の注意点
 蛋白質関連項目の測定と判読時の注意点
 酵素・脂質検査の測定と判読時の注意点
 血清蛋白分画およびアイソザイム検査におけるデータ判読時のポイントと注意点
 糖尿病関連の検査
 蛋白質関連項目の判読時のポイント
 酵素検査のデータ判読のポイント
 リポ蛋白質代謝関連項目検査のデータ判読時のポイント
 血液ガス・電解質判読のポイント
 期待される新たな検査項目
血液検査領域
 血液形態検査における標準化の普及に向けて
 血算の読み方と血球減少・増加のメカニズム
 免疫細胞解析(フローサイトメトリー)によるデータ解析
 末梢血液像・骨髄像の判読ポイント
 造血器腫瘍の血液像判読時のポイント
 小児血液疾患の血液像鑑別ポイント
 染色体と形態学からのデータ観察のポイント
 血液疾患における遺伝子検査
 止血・血栓検査の判読のポイント
免疫学・アレルギー検査領域
 血清免疫検査の測定と判読時の注意点
 甲状腺疾患における臨床検査の進め方とデータ判読のポイント
 血清・免疫検査項目の開発および臨床への貢献度
 血清マーカーKL−6の開発と臨床
細菌学的領域
 細菌検査の測定と判読時の注意点
 感染症領域における検査時の注意点と判読時のポイント
 透析液および透析用水における管理−実態調査を含む微生物検査の注意点−
 感染症における炎症マーカー検査の判読時のポイント
 周産期・小児期における感染症検査の進め方とデータ判読ポイント
 遺伝子解析技術を活用した感染症の診断
細胞診・病理学検査領域
 細胞診標本作製法とスクリーニング・細胞判定のポイント
 病理学標本の作製と判読時のポイント
遺伝子領域
 遺伝子検査、遺伝子診療にあたって
 遺伝子関連検査の重要性と展望−造血器腫瘍を例として
 白血病における移植後キメリズム検査−遺伝子・染色体検査からのアプローチ
 悪性腫瘍(大腸癌)における遺伝子検査の診断と将来への展望
 認知症の遺伝子検査診断と将来への展望
生理検査領域生理検査領域
 心電図の解読能力の必要性と注意点
 冠動脈疾患の心電図判読ポイント
 心エコー図検査のポイントと注意点−心臓の形態をみる
 循環器疾患における脈波検査の有用性と判読ポイント
 心エコー検査時の測定と判読の注意点−パルスおよび連続波ドプラ法
 循環器、頸動脈エコー検査の判読ポイント−観察の重要性
 心エコー法による左室機能評価−ここが判読のポイント
 FMD検査の測定と判読時の注意点
 FMD検査の展望とデータ判読のポイント
 肝疾患における腹部エコー検査の判読ポイント
 肝癌のエコー検査の進め方と判読時ポイント
 乳腺疾患、乳癌超音波検査データの判別のポイント
 出生前診断の現況と展望
 日常行われる呼吸機能検査のデータ判読のポイント−検査データを解釈できる技師を目指して(初心者を対象として)
 呼吸抵抗の測定−臨床的有用性と検査データの判読
 呼吸器疾患の呼気一酸化窒素(FeNO)の有用性
 腹部超音波検査の問題点と判読時の注意点
脳波・中枢神経系検査領域
 脳波の測定と判読における注意点
 小児脳波検査データの判読時のポイント
 成人脳波検査データの判読時のポイント
 誘発電位測定と波形解析−体性感覚誘発電位検査と聴性脳幹反応検査を中心に
睡眠障害検査
 睡眠障害検査の測定と判読
 呼吸器疾患における睡眠検査の活用法のポイント
 精神科領域における睡眠障害検査の判読ポイント
 小児の睡眠障害検査時の注意点と判読のポイント
各種疾患・悪性腫瘍と臨床検査領域から学ぶ
 高血圧における検査の進め方とデータ判読ポイント
 腎血管性高血圧の臨床検査−検査の有用性と判読ポイント
 虚血性心疾患における臨床検査の進め方とデータ判読ポイント
 循環器領域における新たな検査法の導入
 動脈硬化性疾患の検査の進め方とデータ判読ポイント
 腎臓疾患と血液(清)検査データ判読ポイント
 肝疾患の検査データ判読のポイント
 肝癌の検査データ−腫瘍マーカー判読のポイント
 肺癌腫瘍マーカーの判読のポイント
 胆道癌の検査データ−腫瘍マーカー判読のポイント
 膵臓癌の検査データ−腫瘍マーカー判読のポイント
 認知症における検査法と意義
 神経内科疾患における検査の進め方と判読ポイント
 リウマチ・膠原病疾患の検査の進め方と判読時のポイント
 眼科領域疾患における臨床検査の進め方と判読ポイント−MRI
 眼科領域における臨床検査の進め方と判読のポイント
 救急医療における敗血症臨床検査の進め方と判読ポイント
 肝移植医療における臨床検査の役割
周辺領域から学ぶ
 お金がないからできた研究もある
 CT・MRIにおける最先端技術と画像診断における役割
 グライコプロテオミクスによる臨床糖鎖腫瘍マーカー開発−グライコームからグライコプロテオームへ
 予期せぬ天災時の感染症対策−東日本大震災を経験して
 アルツハイマー病アミロイドβペプチド(Aβ)の集合化および毒性制御を目的としたペプチド・蛋白質分子の設計
 老化マーカーとしての唾液中グリシンおよびプロリンの動態
 人類進化に伴う顎顔面の変化−現代病の遠因を考える
索引

日常診療を支援する情報源として血液、尿、脳脊髄液、胃液などの体液成分の検査や、心電図検査、脳波検査、呼吸機能検査、超音波検査をはじめとした生理検査などの臨床検査による生体情報は、臨床診療に必須のものとなりました。臨床検査は各種の検査情報・結果を診療情報として提供し、医学・医療の大きな指標として発展してまいりました。測定方法も手動法から半自動化、更に技術革新によって進歩し、完全自動化になった項目も多数に拡大されました。その結果、採血量の少量化、試薬の微量化、測定の迅速化によって、これまでの精度に比べ再現性、特異性が向上し、精度管理された測定値が報告されるようになりました。その検査結果は臨床医からも信頼を得ています。
 検体検査部門は大型化・専門化された自動分析装置の出現によってシステム化され、短時間で多数の検体処理が可能となっていますが、患者さんを知るのは中央採血の場と自動分析から打ち出された結果の情報のみとなりました。臨床検査の重要性は今更ながら言うまでもありませんが、自動化、システム化により臨床検査部の縮小や、外注検査、ブランチへの移行が近年話題になっております。何故でしょうか?何が求められているのでしょうか?
 全国各地で開催される臨床検査関連学会においても先ゆきを案じ「低迷する臨床検査」「再興できるか、臨床検査」などの話題が多くなり、今日の現状と将来への展望、チーム医療への協力など率直に討議しながら対策を考えてまいりました。
 今回、第62回日本医学検査学会(野村努会長)において、その対策案として「R−CPC」を企画致しました。検査データの読み方・判読法の基礎などについて学ぶ必要性を痛感し、日常業務として検査結果報告前に「データを読む−解析能力の育成−」習慣が必要と実感しています。データ判読の習慣化によって、臨床医との検査データの討論に積極的に参加することが、疾患を知り、病態を知ることへの近道と考えます。検査技師にはR−CPCで病名を当てることより、測定値の背景や検査値のメカニズムを理解し、疾患との関係を結びつける考え方が必要ではないでしょうか。検査結果から疾患、病態を考える、その病態を更に詳細に解明するためにどのような検査が必要か、疾患からも検査を考える、オーダー以外のどのような検査を駆使すればその疾患、病態および予後を把握できるかを考えることが重要です。また、検査項目は今後益々広範囲に拡がることが予想され、臨床医が全てを理解し、駆使することは難しく、そのために検査部には、検査データを判読して追加検査や確認検査を主治医にsuggestできる能力も求められていると思います。
 検査値が著明に異常を示す場合、疾患による異常値か、薬剤などの影響か判断・確認できる知識と技術−分析能力の向上−を身につける必要があります。患者さんの社会復帰に検査部の役割として迅速に貢献できるか、今、検査部に示されたひとつの指針かもしれません。
 第2の対策として企画したものが本書の刊行です。学会長特別企画の一環として、香川県臨床検査技師会が協力して「新たな臨床検査を目指して」との位置づけのもと、国内を代表される各分野の先生方に執筆をお願いしました。とくに臨床の先生方、病院管理の先生方(臨床から学ぶ)、医療医学に幅広く貢献されておられる先生方(周辺領域から学ぶ)、検査に携わっておられる先生方にご参画いただいています。臨床の先生方からは検査部を利用される立場から、病院管理の先生方からは管理と運営の立場から、周辺領域の先生からは検査部のものの見方・考え方を更に拡大していただくべくスタチン・糖鎖、iPS細胞、人類遺伝学等の研究、放射線科、工学部、歯学部、および東日本大震災体験など、焦点を絞ってご執筆いただきました。
 内容としては
 1。執筆の先生方の専門領域での臨床検査の使い方、データの読み方
 2。判読時のポイント
 3。先生方の研究の将来への展望
 4。検査部および検査技師への提言
 5。周辺領域から学ぶ
などについて図表を駆使して判りやすく解説いただきました。

 本書は臨床検査に携わる技師、臨床検査医、医師の座右の書物として是非とも熟読をお薦めしたいと思います。
 医学・医療の進歩は急速で、また時の移り変わりと共に対象となる疾患も広範になりました。検査法も多様化しています。また、患者さんたちからは、これまでの「後追い的臨床検査」から「予防医学的臨床検査」、「悪性腫瘍の早期発見」、「再生医療への貢献」などに大きな期待が寄せられています。近年では患者さんたちも医学的知識を積極的に学んでおられます。私たちは採血時に患者さんから質問をされた場合に、簡単で明快な説明ができるでしょうか。
 臨床検査領域の業務を一層充実させるには「データの判読」「疾患を知る」「新たな検査項目の開発と技術力の向上」のみで満足することなく、「近隣者から学ぶ科学の世界」を知り、今日の「チーム医療」「患者のための医療」の言葉だけを一人歩きさせてはならない、と思います。
 本書にご執筆下さいました先生方には、ご多忙のところ短期間にお纏めいただきましたことを深く感謝し厚く御礼申し上げます。臨床検査関係者のみならず他のメディカルスタッフ(コ・メディカル)・医療チームの多くの皆様にもご活用いただければ、日常業務、指導の手引書として参考にしていただけるものと確信しております。

平成25年5月吉日
第62回日本医学検査学会
特別企画顧問 正田孝明