書籍

これでわかる乾癬の新しい治療

生物学的製剤からトータルケアまで

編集 : 瀧川雅浩/白濱茂穂
ISBN : 978-4-524-26366-0
発行年月 : 2011年4月
判型 : A5
ページ数 : 110

在庫僅少

定価3,240円(本体3,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

乾癬治療を専門とする医師はもちろん、専門外の皮膚科医にもわかりやすく、症例を交えながら乾癬治療とそのケアについてコンパクトにまとめた。外用療法、光線療法、内服療法、生物学的製剤など治療のポイントや副作用の注意点、患者のケアなど乾癬を診療する上で必須となる知識を解説する。

薬剤一覧

I 乾癬の基本がわかる
(1)乾癬とは
(2)乾癬にはどんな種類があるのか
(3)小児の乾癬
(4)注意すべき合併症
(5)乾癬と間違えやすい疾患
(6)診断・検査法
(7)重症度の決定

II 乾癬の治療法がわかる
(1)治療法選択の考え方
(2)外用療法
(3)光線療法
(4)内服療法
(5)生物学的製剤

III 乾癬治療の実際
(1)ステロイド外用薬+活性型ビタミンD3製剤
(2)ナローバンド(NB)-UVBによる光線療法
(3)エトレチナート(チガソン)が奏効した尋常性乾癬
(4)シクロスポリン(ネオーラル)の低用量療法
(5)生物学的製剤が奏効した尋常性乾癬
(6)生物学的製剤による薬疹
(7)ステロイド全身投与によって誘発された膿疱性乾癬

IV 乾癬患者へのトータルケアがわかる
(1)患者への病気説明のポイント
(2)生活指導のポイント
(3)乾癬患者の会
(4)今後の治療、研究の方向性
(5)生物学的製剤についての展望


引用文献
索引

病態解明と治療法が著しく進歩した皮膚病をひとつあげるなら乾癬でしょう。
乾癬は紅斑、浸潤・肥厚、鱗屑を特徴とする皮膚病ですが、病名psoriasisは1841年にウィーン大学のFerdinand von Hebraにより記載されました。古くから難治性皮膚病の代表とされてきましたが、有効な治療薬が登場し、それに伴って新たな治療法が行われてきました。近年では、ステロイド薬に始まり、光線療法、チガソン、活性型ビタミンD3、シクロスポリン、そして生物学的製剤と次々と治療薬が登場してきました。これら薬剤の開発の経緯をひもとくと、その根底にはskin biologyへの基礎医学の寄与がうかがわれます。
 多様化した治療法に対応して、治療ガイドラインも作成されています。これにより、従来と比べて、治療の恩恵にあずかる患者さんも増加しています。患者さんのライフスタイルは大きく変化し、それに伴いQOLも著しく改善しました。このような状況を作り出した大きな原動力のひとつに、全国の「乾癬患者友の会」の活発な活動があることも忘れてはなりません。
 本書では、乾癬について、現時点での最新の考え方、治療法などについて、わかりやすく記載いたしました。多くの先生方には、内容について適切な示唆をいただき、また貴重な臨床写真を提供していただきました。この場を借りて深謝したいと思います。
 最後に、表紙の絵ですが、乾癬に特徴的なparakeratosisを起こした角層、Munro微小膿瘍、あるいは真皮コラーゲン線維間の炎症性浸潤細胞を意図して作製しました。
2011年3月
浜松医科大学
瀧川雅浩

乾癬の病態と治療の最前線がよくわかるコンパクトな好書
 本書序文にも記載されているように、近年における乾癬研究は、その病態の飛躍的解明のみならず、治療法を含めた統括的な臨床的概念自体を大きく進歩させ、3種類の生物学的製剤の出現によって、パラダイムシフトと称されるような治療法の大きな変革を生じさせた。まさにその時節にあって出版された本書は、それら最新の所見をコンパクトかつわかりやすく解説しており、乾癬臨床を理解するための最適かつハンディーなガイドブックである。多彩な皮膚所見や治療薬剤がカラー写真で表示され、初学者のみならず、一般臨床諸家にとっても、素早く理解できる嬉しい構成になっている。とくに本書の冒頭に配置された薬剤一覧は、ビジュアル的にも薬剤を瞬時に識別でき、現場臨床を重視した著者の配慮が伺えよう。
 本書は4部構成からなっている。
 「I部:乾癬の基本がわかる」では、従来より示されてきた乾癬病態の免疫ネットワーク理論が最新の知見に基づいてわかりやすく図解されており、知識の整理を大いに助けてくれる。また多彩な臨床像が多くの写真付きで解説、紹介され、また鑑別疾患群、さらには重症度評価法までが、簡潔に説明されていて、診療時の座右の書として用いるにも便利である。
 「II部:乾癬の治療法がわかる」では、現在実施されている一般的な保存的治療法が個別に解説されるとともに、その問題点や注意すべき点が示され、さらには、治療法選択に対する方針も患者の立場が考慮されており、実臨床に則した内容となっている。
 「III部:乾癬治療の実際」では、各種治療法の実症例を提示しながら、その有用性や問題点がコメントされ、また本部後半で生物学的製剤の使用例が紹介されているため、その使い方に試行錯誤がみられる現在においては、示唆に富んだ構成となっている。
 「IV部:乾癬患者へのトータルケアがわかる」では、乾癬はいまだ病因が解明されていないうえに、きわめてQOLが低い皮膚疾患であるため、その治療には医師と患者との信頼関係が重要であるとの視点が強調されるとともに、一方では現在の治療法がいまだ不完全で、生物学的製剤の使用指針の確立を含め、今後の研究への具体的な要望も記載されている所に、著者が永年皮膚免疫のエキスパートとして活躍されてきた原点をみる思いがする。
 これら各部は、まず最初に「POINT」という項目でまとめられ、さらに各所に「用語解説」や「MEMO」という挿入項目で注目点がピックアップされるなど、読者にとって情報の整理を手早く助ける配慮がなされている。あくまで簡潔でわかりやすくという著者の本書に対する考え方が随所に表れた、診療室に常置しておきたい、乾癬治療の指南書といえよう。
評者● 戸田憲一
臨床雑誌内科109巻1号(2012年1月号)より転載