書籍

悪性リンパ腫診療ハンドブック

編集 : 新津望
ISBN : 978-4-524-26323-3
発行年月 : 2010年9月
判型 : B6変
ページ数 : 256

在庫僅少

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

悪性リンパ腫について診療現場でのコツや考え方、エビデンスまで網羅したポケットサイズのハンドブック。基礎から検査、病理、診断、治療までを簡潔にわかりやすく解説。新薬情報や最新の知見も掲載し、充実した内容。「こんな症例に出会ったら?」では、対処が難しい症例に対する現場の意見がわかる。研修医から腫瘍内科医、病理医まで、常に携帯し即実践に活かせる一冊。

I章 総論 悪性リンパ腫診療の基本―最低限知っておきたい知識
A.診断とそれに必要な検査を読み解く
 1.リンパ腫診療の目的と病理診断のポイント
 2.リンパ節生検
 3.免疫表現型(フローサイトメトリーと免疫組織染色)
 4.染色体、SKY、FISH
 5.サザンブロット法とPCR法
 6.病期判定
 7.FDG-PET
 8.予後予測因子
B.悪性リンパ腫の治療方法
 1.放射線療法
 2.化学療法前に行う検査、有害事象への対策
 3.抗体療法
 4.新規薬剤
 5.治療効果判定


II章 各論 悪性リンパ腫診療の実際―症例から読み解く
A.B細胞リンパ腫
 1.濾胞性リンパ腫(FL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療
  こんな症例に出会ったら
   Answer(1)/Answer(2)
  十二指腸濾胞性リンパ腫
 2.マントル細胞リンパ腫(MCL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療
  こんな症例に出会ったら
   Answer(1)/Answer(2)
 3.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非特異群(DLBCL、NOS)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見/臨床病理学的亜型
  治療
  こんな症例に出会ったら
   症例1 Answer(1)/症例1 Answer(2)/症例2
 4.Burkittリンパ腫(BL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療

B.T細胞リンパ腫
 1.末梢性T細胞リンパ腫、非特異群(PTCL、NOS)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療
  こんな症例に出会ったら
   Answer(1)/Answer(2)
 2.未分化大細胞リンパ腫(ALCL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療
 3.血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療
C.節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療
D.Hodgkinリンパ腫(HL)
  疾患概念/頻度/臨床的所見/予後
  形態学的所見/免疫表現型/細胞遺伝学的所見
  治療

III章 付録
A.WHO分類第4版
B.リンパ腫の細胞形質
 1.B細胞リンパ腫の細胞形質
 2.T/NK細胞リンパ腫の細胞形質
C.レジメン一覧
 1.Hodgkinリンパ腫
 2.非Hodgkinリンパ腫
 3.成人T細胞白血病/リンパ腫
D.有害事象共通用語基準

索引

悪性リンパ腫は、2008年に出版されたWHO分類第4版をみても多くの病理組織型(疾患単位)があり、それぞれの病型別の臨床的特徴、予後、病理学的特徴、治療戦略などを理解することがリンパ腫診療を行ううえで重要です。しかし、常にアップデートされる病型分類や分子標的治療薬を含めた新薬による治療戦略を日々理解することは、多忙な日常臨床に追われている血液内科医にとっては難しいのが現状だと思います。また、リンパ腫の病理診断も「リンフォマニア」以外の病理医にとっては難しく、臨床医からの病理診断に対するアプローチも重要だと考えらます。
 本書は、悪性リンパ腫診療のエキスパート(リンフォマニア)である血液内科医と血液病理医が、血液内科医、腫瘍内科医、病理医、研修医、看護師などのために執筆した基礎からトピックスまでをコンパクトにまとめたハンドブックです。また、治療に迷うような具体的な症例を呈示し、治療の選択肢に対してエキスパートの先生の意見をPro&Con形式で記載していただきました。リンパ腫の治療は病型のみならず、予後因子、再発時期、年齢などによりさまざまな選択肢があり、その治療選択をどの時期に、どのような患者さんに選択するかを感じ取っていただけると幸いに思います。
 白衣のポケットに入れて、リンパ腫の診断や治療に迷ったときに、さっと取り出して読んでいただける一冊になれば、と願っております。最後に、ご多忙のなか執筆をお引き受けいただいた先生方にこの場をお借りして深謝いたします。
2010年7月
埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科
新津望

本書は埼玉医科大学国際医療センターの新津望教授が編集され、執筆陣は教授とともにグループ研究で長年研鑽を積んでこられたわが国を代表する病理医、臨床医である。
 第1章「総論」では「悪性リンパ腫診療の基本―最低限知っておきたい知識」と題して、診断と治療の基本が概説されている。まず「診断とそれに必要な検査を読み解く」の項では、リンパ節生検の施行時期、選択すべき身体部位を述べ、生検摘出リンパ節を用いて行われる病理診断、免疫表現型(フローサイトメトリーと免疫組織染色)検査、染色体検査、サザンブロット法・PCR法などの分子生物学的手法などを簡潔に解説し、生検資料をこれらの検査に分割・提出する際の注意事項、さらに得られた結果の意義とその限界について説明されている。記載内容は現在、悪性リンパ腫診断の国際標準であるWHO分類第4版の診断基準を満たすことが強く意識されている。続いて病期判定、FDG−PETの応用・意義、治療選択に役立つ予後予測因子などが記述されている。続く「悪性リンパ腫の治療方法」の項では、各治療モダリティの基本と現在臨床使用可能あるいは研究開発中の新薬、さらに治療効果判定のタイミングと判定基準について概説されている。
 第2章「各論」は「悪性リンパ腫診療の実際―症例から読み解く」との題で、主要病型について疾患概念、病理・病態、予後予測因子、標準治療法とそのアウトカムなどにつき最新の研究成果を織り込んで記載されている。その記述は簡潔であるが内容はハイレベルで、国際標準を目指す内容である。本書の特徴の一つは、主要病型について「こんな症例に出会ったら」の項目が設けられ、現時点でまだ結論が出ていない造血幹細胞移植vs ンベンショナル化学療法の選択について、賛否それぞれの立場から議論されていることである。議論は最新の比較研究データに基づきエビデンス重視でPro&Conの立場から提示され、一読あたかも臨床カンファレンスや研究会でのディスカッションを彷彿とさせ、読者とくに専門医を目指す若い臨床医にとって胸躍る内容であろう。
 第3章「付録」では、「WHO分類第4版」、「リンパ腫の細胞形質」、「レジメン一覧」、「有害事象共通用語基準」が表形式でまとめられ、日常診療における診断、治療の実施、有害事象の観察・記述・報告の共通化・標準化に有用である。
 本書はいわゆるポケット版であり、白衣のポケットに差し込み、いつでも取り出して参照できる。さらに引用文献は基本的・高重要度のものがあげられており、これらを読めばいっそう興味が沸き、知識を深化させることができよう。本書は長年悪性リンパ腫診療の第一線に立ち、全国行脚まで行って後継者の育成に尽力されている編集者および著者の思いが伝わってくる一冊である。日々悪性リンパ腫の診療に携わっている研修医、若手血液内科医、さらに悪性リンパ腫の初期診断に関わることの多い他科医師らに推薦する所以である。
評者● 平野正美
臨床雑誌内科107巻2号(2011年2月号)より転載