書籍

チーム医療で行う造血幹細胞移植プラクティカルガイド

編集 : 神田善伸
ISBN : 978-4-524-26318-9
発行年月 : 2010年12月
判型 : A5
ページ数 : 254

在庫なし

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

“チーム医療”と“プラクティカル”を切り口として、造血幹細胞移植に関する基本的事項から、現場における実践内容まで詳細に解説。造血幹細胞移植の原理、分類、選択などの基礎的事項、各疾患における移植法の実際、チーム医療としてのサポートについて、見開きのわかりやすい構成で記述した。造血幹細胞移植に携わる医師やスタッフ必読の一冊。

I 造血幹細胞移植の基本的事項 最低限これだけは知っておこう
 A 造血幹細胞移植の原理と分類
 B 造血幹細胞移植の流れと合併症
 C HLA検査の読み方
 D 移植前の評価法(患者、ドナー)
 E 患者(家族)、ドナーへの説明

II 造血幹細胞移植の基本的手順 全体の流れを理解する
 A ドナーの選択
 B 同種移植と自家移植の選択
 C 同種骨髄移植vs同種末梢血幹細胞移植
 D 臍帯血ユニットの選び方
 E 骨髄バンク、臍帯血バンクの手順
 F 末梢血幹細胞と骨髄の比較と実際の採取手順
 G 造血幹細胞の処理、凍結保存、輸注
 H 移植前処置の選択(ミニ移植も含む)と毒性の評価
 I 全身放射線照射の方法(遮蔽を含めて)
 J 急性GVHDの予防、診断、治療
 K 慢性GVHDの診断、治療
 L 感染症の予防と治療
 M 生着の判定と生着不全への対策
 N 移植後の再発モニタリングと治療
 O 晩期合併症

III 各疾患における移植法の実際 移植プラクティカルガイド
 A 急性骨髄性白血病
 B 急性前骨髄球性白血病
 C 急性リンパ性白血病
 D 骨髄異形成症候群
 E 慢性骨髄性白血病
 F 成人T細胞性白血病
 G ホジキンリンパ腫
 H びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
 I 濾胞性リンパ腫
 J その他のリンパ腫(マントル細胞リンパ腫・T細胞リンパ腫)
 K 多発性骨髄腫
 L 再生不良性貧血
 M 小児悪性腫瘍

IV チーム医療のサポートの実際 みんなで支援
 A 移植コーディネーターの役割
 B 移植患者の環境管理
 C 栄養管理と輸液管理
 D 輸血療法
 E 薬物血中濃度モニタリング
 F 口腔ケア
 G 皮膚ケア、下痢の管理
 H 疼痛管理
 I リハビリテーション
 J 移植後の不妊対策
 K 予防接種
 L 心理サポート
 M セクシュアリティに関するカウンセリング
 N 長期フォローアップでの注意事項
 O 造血幹細胞移植の入院日数と医療費

索引

南江堂の担当者から新しく造血幹細胞移植をテーマとした書籍を企画したいというお話をいただいたとき、正直な感想はこうでした。
 「すでに数多くの造血幹細胞移植関連の書籍が刊行されているなかで、新たな書籍を企画する意味が果たしてあるのだろうか?」
 同じような企画で同じような執筆陣が同じような原稿を並べても、新規性のある書籍は決して生まれることはありません。
 しかし、担当者の話をしっかりと聞いてみると、他書との明確な差別化がみえてきました。キーワードは「チーム医療」と「実践」。複雑で難しい造血幹細胞移植の診療をテーマとする書籍は必然的に解説部分が長くなり、実践書よりも解説書となり、そして対象となる読者は限定されていきます。そんな背景のなかで、本書ではあえて解説部分を最小限に短縮し、「実践」的な内容を中心とすることによって、医師だけでなく看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、理学療法士など、あらゆる職種の方々にもなじみやすい書籍になることを目標としました。
 項目は、造血幹細胞移植の原理や流れから始まり、診療手順、各疾患での移植方法、チーム医療の実際と、日常の診療現場で生じる疑問点を幅広く拾い上げました。また、インターネットでの情報収集が手軽に可能となった時代において書籍がもつ優位性は、一瞥して重要な情報を識別できることにあると考え、すべての項目を偶数ページとして見開きでおさまるようにしました。
 このような特徴をもった書籍を実現するために、各分野のトップランナーの執筆者の先生方には内容および原稿の文字数において厳密な制限のもとに執筆をお願いしました。ご多忙のなか、本企画の趣旨に賛同してくださった執筆者の先生方にこの場を借りて深謝いたします。
 本書が日本全国の造血幹細胞移植の診療現場において、患者さん、医療者のみなさんのために役立ち、造血幹細胞移植のチーム医療がさらに発展することを期待しています。
2010年10月
神田善伸

わが国で造血幹細胞移植の基本である骨髄移植の本格的な臨床応用が開始されたのは1970年代後半であり、造血幹細胞移植はすでに一般的治療として広く普及し、最近では年間3,000例以上に実施されている。造血幹細胞移植はチーム医療の典型であり、すでに33回を数える日本造血細胞移植学会は当初よりコメディカルの方々の積極的な参加に支えられている。これまで造血幹細胞移植に関しては数多くの成書や解説書が刊行されてきたが、そろそろ30年以上の経験を踏まえた、日本人患者に相応しい臨床実践の基準を示す手引書が待ち望まれていた。
 神田善伸先生の編集による本書は、造血幹細胞移植チームを構成する専門職(医師、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、理学療法士、心理療法士など)を対象に造血幹細胞移植の実践に必要な知識と技量が簡潔に記載されており、診療現場での手順を再確認したり、実際的な疑問点に解答を見出すのに便利な、使い勝手のよいガイドブックである。したがって、執筆者は「オフィス」ではなく「移植病棟の現場」で移植患者さんのために日夜奮闘しているさまざまな専門職の方々であり、この点は本書の特長の一つである。
 内容的には、まず第I章では、造血幹細胞移植を実施するのに最低限理解しておかねばならない基本的事項が洩れなく要領よくまとめられている。次に第II章では、集学的治療でもある造血幹細胞移植の複雑なプロセスが、移植前、移植直前(準備)、移植実行、移植終了、移植後の経過観察とそれぞれ重要なポイントごとにわかりやすく説明され、造血幹細胞移植の全体的な流れが的確に理解できるように配慮されている。ついで第III章では、各疾患に対する造血幹細胞移植についてドナー別移植適応が明解に示され、また移植成績も「得られた成績から何が言え、何が言えないか」が明らかにされている。さらに、移植成績の解釈において必要とされる注意や重要な視点が「Memo」として指摘されており、ガイドブックの内容を引き締めている。
 第IV章「チーム医療のサポートの実際」では、栄養および輸液管理や輸血療法などの支持療法だけでなく、成書ではあまり触れられていないが、造血幹細胞移植療法を実施する場合に判断に迷ったり、決断に困難を感じたりするさまざまな実際的問題が取り上げられ、経験に裏打ちされた対応策が具体的に示されている。取り上げられている項目は、移植コーディネーターの役割、患者環境、薬物血中濃度モニタリング、皮膚および口腔ケアや下痢および疼痛管理、心理的サポート、不妊対策および性活動、リハビリテーション、予防接種、医療費、長期フォローアップなどである。いずれも移植患者にとって切実であり、治療側にとってもなかなか解答が見出せないことの多い、頭と心を悩ませる問題ばかりである。それだけにきわめて有用な情報が示されており、本書の大きな特長といえる。
 以上述べたように、本書は造血幹細胞移植に携わる「現場」の人々に大変有用で役に立つ手引書である。本書が3年ごとに改訂され、欧州造血幹細胞移植グループ(EBMT)から発行されているハンドブックを目標に、改訂の度に内容を充実させ、造血幹細胞移植に関与するすべての専門職にとってなくてはならないプラクティカルガイドに育っていくことを期待したい。
評者● 原田実根
臨床雑誌内科107巻6号(2011年6月号)より転載