書籍

すべてがわかる不整脈診療エッセンス

: 池田隆徳
ISBN : 978-4-524-26261-8
発行年月 : 2011年4月
判型 : B5
ページ数 : 130

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

不整脈を専門とする著者が、プライマリケア医、また不整脈診療に携わるコメディカルを対象として、難解と言われる不整脈診療について知っておくべきエッセンスをコンパクトにまとめた。不整脈の病態の基礎知識から、診療・検査の進め方、心電図の読み方、治療法の実際までを臨床医の視点でわかりやすく解説する。図表も満載で、理解しやすく・読みやすい一冊。

I 心臓の基本知識
 A 心臓の位置と構造
 B 心臓の役割
 C 血液循環
 D 心臓内の電気の流れ

II そもそも不整脈とは
 A 定義と分類
 B 頻度と重症度
 C 起こるメカニズム
 D 心臓の組織構造の関与

III 不整脈をきたす病態
 A 冠動脈疾患
 B 心筋症
 C 他の器質的心疾患
 D 非器質的心疾患

IV 診察のしかた
 A 問診のポイント
 B 不整脈と症状の関連性
 C 身体所見のとり方
 D 臨床因子のチェック

V 検査の進め方
 A 不整脈の評価
 B 心電図の読み方
 C 基礎疾患の検出
 D 専門病院で行われる特殊検査

VI 不整脈の特徴
 A 徐脈性不整脈
 B 頻脈性上室性不整脈
 C 頻脈性心室性不整脈

VII 不整脈の治療法
 A 治療方針
 B 薬物治療
 C 非薬物治療
 D 生活指導

VIII 治療の実際
 A 徐脈性不整脈
 B 心房細動
 C 発作性上室頻拍・心房粗動
 D 心室性不整脈

IX 緊急時の対処法
 A 基本的処置
 B 専門的処置

参考文献
索引

内科領域におけるcommon diseaseといえば、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの疾患があげられますが、最近では「不整脈」も含められることが多くなっています。高齢化によって罹病率が増えたというよりは、社会全体が不整脈に関心を寄せるようになり、不整脈という病気が広く知れわたった結果だと思われます。以前は、新聞や雑誌などでも病気として不整脈を取り上げられることはあまりありませんでしたが、有名人が心臓突然死や脳卒中をきたし、その原因が不整脈であったことをマスコミが取り上げるようになったことも影響しているのかもしれません。そのため、患者さんのみならず一般の方でも不整脈について質問してくるような場面が多くなっていると思います。
 これまでの不整脈に関する書籍をみると、診断(特に心電図の読み方)あるいは専門的な治療に特化したものが多く、不整脈患者さんの病態、診察、緊急時の対処法などを含めてトータル的に記載した書籍は少なかったと思います。循環器専門医においては不整脈という病気に対して精神的な拒絶反応を示す方は少ないと思いますが、非専門医あるいは医師でない医療従事者においては、不整脈は「理解することが難しい」、「判断のしかたがわからない」といった印象を抱いている方は多いと感じています。「わかりやすく書かれた本があればなあ」という声をどこからとなくいつも聞いていました。
 そこで、今回、非専門医の目線でみた不整脈に関する書籍を世に出すことを南江堂と企画しました。コンセプトは、「不整脈全般についてわかりやすい内容で、診療において知っておいてほしいエッセンスだけを記載する」というものです。専門医のみが取り扱う範囲のものは紹介程度にとどめました。患者ケアの最前線におられる一般臨床医、コメディカルスタッフあるいは薬剤師の方々に役立ててもらいたいために、実践的で臨床に即した内容で記述しました。専門用語はすべて最近の学術用語集に準じて記載し、略語で表記されることが多いものはその略語とfull spellを併記しました。これまでにない理解しやすくてわかりやすい不整脈の書籍ができ上がったと自負しています。
 ぜひ、本書を診療室、検査室あるいは調剤室の傍らに置き、不整脈について調べたいときや患者対応においてに困ったときなどにご活用していただければ幸いです。
2011年3月
池田隆徳

豊富な経験と実践から生まれた、簡潔で明解な記述がなされた不整脈診療に関わる解説書が刊行された。著者の池田隆徳教授は、循環器病学でも一般には難解とされる心臓電気生理学の領域で、心電図学を中心とした膨大な臨床研究を精力的にこなし、将来を嘱望される一人である。彼は豊富な現場での経験から、実践に即した具体的なアイディアを多数考案し、素早く研究に反映させ遂行する高い能力を備えている。ことに薬物治療では薬剤の本質的な差異に注目した選択指針を提唱するなど、診断、治療に細かい配慮ができる専門医といえる。
 本書を広げると、従来の不整脈の解説書とは少々異なり、まずは心臓という臓器の基本的な解説がなされ、“そもそも不整脈とは”との章を立てて平易に解説をしている。とくに個々の不整脈の重症度という部分は、従来の分類にこだわらず生命予後を勘案し、臨床的にどのような対応がなされているかを反映し解説している。また、検査の進め方、実際の診察方法が章立てされ、最終章には緊急時の対処法が示されていることも特徴である。この緊急時の対処法は、長蛇な解説をせずに巻末にコンパクトにまとめられており、実際の緊急時に本書を開き、図に準拠した対処までもが可能になると思われる。
 全体にわたり、本書は具体的、かつ平易な文章で述べられ、治療については現在、臨床現場で実施されている薬物治療の動向を先取りした解説がなされている。効率よく最新の情報まで盛り込まれている実用書といえる。さらなる本書の特徴は、随所に設けられた用語解説とメモであろう。難解な不整脈関連の用語と最近の関連情報をわかりやすく解説し、本書の質的内容を十分に高めている。簡潔明瞭な本文と明解な二色刷りの図表により、不整脈診療に今日必要とされるかなりの量の情報を提供してくれる。“すべてがわかる”と題した理由がわかる。ここにも池田教授の卓越性を垣間見ることができる。
 従来、一般には不整脈は時と場合により命取りになりえるものとし、遠ざけていた関係者も少なくないようであるが、本書はその面倒な不整脈診療に興味を与え、ポイントを外さなければ明解な治療効果も期待できることを教えてくれる著作である。不整脈解説書の多くは、どうしても専門性を考慮し編纂されることが多いようであるが、本書は従来のスタイルにこだわらず、独自の視点で構成され、記載されている内容も、古典的なスタイルを避け、平易に実質重視で記述されている。十分な循環器病学の知識を持たない読者でも理解しやすいように解説されており、初学者やコメディカルのみならず循環器領域を専攻する臨床医にとっても、簡便であるが的を外さない指南書としてお勧めの一冊である。
評者● 新博次
臨床雑誌内科108巻3号(2011年9月号)より転載