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1冊でわかる不整脈のカテーテル・デバイス治療

手技の基本から最新治療まで

編集 : 池田隆徳/山根禎一
ISBN : 978-4-524-26007-2
発行年月 : 2010年3月
判型 : B5
ページ数 : 302

在庫僅少

定価8,424円(本体7,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

不整脈の非薬物治療(カテーテルアブレーション、ペースメーカー、ICD、CRT・CRT-D)について、基礎から診療の実際、日常管理までを解説。各章は、病態から症例解説に至る流れで統一して記述され、一冊で本領域の全体像が俯瞰できる構成となっている。基本的な手技から細かい注意事項まで、豊富な図表(約270)をもとに丁寧に説明しており、不整脈診療に携わる医師必携の一冊。

I章 カテーテル・デバイス治療の適応となる不整脈の理解
A.不整脈の病態を理解する
 1.定義
 2.分類
 3.原因
 4.症状
B.不整脈の起こる機序を理解する
 1.徐脈性不整脈
 2.頻脈性不整脈
  a.リエントリー性頻脈性不整脈
  b.非リエントリー性頻脈性不整脈
C.カテーテル・デバイス治療を念頭においた検査の進め方
 1.原疾患の検索
 2.心機能の評価
 3.不整脈の検出
 4.心臓突然死のリスク評価
D.カテーテル・デバイス治療の適応となる不整脈の解釈
 1.徐脈性不整脈
  a.洞不全症候群(SSS)
  b.房室ブロック(AV block)
 2.上室性頻脈性不整脈
  a.心房細動(AF)
  b.心房粗動(AFL)
  c.発作性上室頻拍(PSVT)
  d.心房頻拍(AT)
 3.心室性頻脈性不整脈
  a.心室頻拍(VT)
  b.Torsade de pointes
  c.心室細動(VF)
E.カテーテル・デバイス治療から見た適応不整脈
 1.カテーテルアブレーション
 2.ペースメーカー
 3.ICD
 4.CRT

II章 発作性上室頻拍に対するカテーテルアブレーション
A.疾患の病態を理解する
 1.発作性上室頻拍の種類
  a.房室回帰性頻拍(AVRT)
  b.房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)
 2.発作性上室頻拍治療の必要性
B.治療の種類と方法を理解する
 1.カテーテルアブレーション治療
  a.AVRTのカテーテルアブレーション
  b.AVNRTのカテーテルアブレーション
 2.薬物治療
  a.AVRTの薬物治療
  b.AVNRTの薬物治療
 3.外科的治療
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.術前準備
  a.病歴聴取
  b.術前検査
  c.術前の抗不整脈薬の使い方
 2.治療手技の手順
  a.カテーテルの留置
  b.逆伝導の確認
  c.心室期外刺激法(心室プログラム刺激法)
  d.心房ペーシング
  e.電気生理学的検査によるPSVTの鑑別診断
 3.教科書に書かれていない手技とポイント
  a.傍His束Kent束に対するアプローチ
  b.通電中に房室ブロックが出現した場合の注意
  c.Para-Hisian pacing法のメリット
  d.心房・心室同時基本刺激法のメリット
 4.手技を行ううえでのpit fall
  a.鎮痛薬の使用が難しいこと
  b.カテーテル操作時の注意
  c.通電の際の留意点
 5.合併症とその対策
  a.AVRTの場合
  b.AVNRTの場合
  c.AVRT、AVNRT共通の合併症
D.最近のトピックス
 long RP’頻拍
E.ケースアプローチ
 ケース(1):PJRT
 ケース(2):A型WPW症候群
 ケース(3):間欠性WPW症候群
 ケース(4):typical AVNRT

III章 心房粗動・心房頻拍に対するカテーテルアブレーション
A.疾患の病態を理解する
 1.定義と分類
 2.病態
  a.峡部依存性心房粗動
  b.非通常型心房粗動・マクロリエントリー性心房頻拍
  c.Focal AT
B.治療の種類と方法を理解する
 1.カテーテルアブレーションのためのマッピング法
 2.治療法の例
  a.峡部依存性頻拍
  b.切開線を旋回するマクロリエントリー性頻拍
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.術前準備
  a.病歴聴取、術後症例では術式の入手
  b.術前検査
  c.術前の抗凝固療法
  d.術前の抗不整脈薬の使い方
 2.治療手技の手順
  a.患者入室時
  b.皮膚穿刺および使用する電極カテーテルの選択
  c.術中の麻酔薬の使い方
  d.術中の抗凝固薬(ヘパリン)の使い方
  e.マッピング方法を選択する
  f.右房造影・左房造影を行う
  g.マッピングとアブレーション
  h.治療のエンドポイント
 3.教科書に書かれていない手技とポイント
  a.小さな電位を見逃さない
  b.Double potentialが記録される部位ではどちらが局所の電位か
  c.Fractional potentialとは
  d.Post-pacing intervalはどの程度測定すべきか
  e.三尖弁-下大静脈間峡部がなかなか焼灼できない
 4.手技を行ううえでのpit fall
  a.マッピング中のバンプ(bump)
  b.心電図があてにならない症例がある(術後の通常型心房粗動など)
  c.マクロリエントリー性頻拍症例では峡部焼灼を忘れずに
  d.機械弁症例の対策
 5.合併症とその対策
  a.洞機能不全
  b.横隔神経麻痺
  c.脳塞栓
  d.心タンポナーデ
D.最近のトピックス
 心房細動アブレーション後の心房頻拍の自然経過
E.ケースアプローチ
 ケース(1):Fallot四徴症手術後の心房粗動・心房頻拍症例
 ケース(2):発作性心房頻拍
 ケース(3):大動脈弁・僧帽弁置換術および心房細動手術後の心房頻拍症例

IV章 心房細動に対するカテーテルアブレーション
A.疾患の病態を理解する
 1.心房細動はなぜ悪いのか
 2.心房細動治療に関する大規模臨床試験
 3.大規模臨床試験が真に意味するところとは
 4.カテーテル治療は薬物治療よりも優れているのか
B.治療の種類と方法を理解する
 1.カテーテルによる心房細動攻略のあらまし
 2.現在主流となっている治療法
  a.電位指標による肺静脈前庭部隔離術
  b.解剖学的指標に基づく広範囲肺静脈周囲焼灼法
  c.解剖学的指標と電気生理的指標を組み合わせた広範囲同側肺静脈同時隔離法
  d.左房後壁box隔離術
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.術前準備
  a.病歴聴取
  b.術前検査
  c.術前の抗凝固療法、抗血小板療法
  d.術前の抗不整脈薬の使い方
  e.経食道心エコーによる心内血栓の有無の確認
 2.治療手技の手順
  a.患者入室時
  b.皮膚穿刺
  c.術中の麻酔薬の使い方
  d.術中の抗凝固薬(ヘパリン)の使い方
  e.卵円孔開存の確認および経中隔穿刺手技(Brockenbrough法)
  f.肺静脈造影
  g.リングカテーテルの操作と留置
  h.肺静脈前庭部マッピング
  i.高周波通電
  j.全周性肺静脈ペーシング
  k.ATP急速静注による再伝導の確認と追加焼灼
  l.心房細動の誘発
 3.教科書に書かれていない手技とポイント
  a.術前心電図の読み
  b.1ヵ所の経中隔穿刺孔から3本のカテーテルを左房へ通過させる方法
  c.冠静脈洞カテーテルは初めにできるだけ深部まで挿入する
  d.リングカテーテルの選択
  e.各肺静脈ごとのリングカテーテル留置のコツ
  f.心房細動中はどうやって手技を行えばよいのか
  g.焼灼すべき電位と残すべき電位:必ず頭に入れよう
  h.食道はどこにあるのかをいつも確認:焼いてよい場所と悪い場所
  i.肺静脈共通管症例へのアプローチ
 4.手技を行ううえでのpit fall
  a.Brockenbroughで危険を冒さないために
  b.左肺静脈と左心耳は本当に紙一重の場所にある:左心耳にカテーテルを挿入しない
  c.術中に心電図のST上昇があったら
 5.合併症とその対策
  a.肺静脈狭窄
  b.脳梗塞
  c.食道傷害:左房食道瘻または食道迷走神経傷害
  d.心タンポナーデは即判断、即対処
  e.横隔神経麻痺
D.最近のトピックス
 電位指標による心房内細動基質焼灼法
 心房内線状焼灼法
 心房細動カテーテルアブレーションは心房細動治療のファーストチョイスと言えるか
E.ケースアプローチ
 ケース(1):発作性心房細動、徐脈頻脈症候群(洞機能不全症)
 ケース(2):上大静脈内頻脈が心房細動の本態であった一例
 ケース(3):下肺静脈共通管

V章 心室性不整脈に対するカテーテルアブレーション
A.疾患の病態を理解する
 1.特発性心室性不整脈
 2.器質的心疾患に伴う心室性不整脈
B.治療の種類と方法を理解する(電気生理学的マッピング法)
 1.Activation mapping
 2.Pace mapping
 3.Entrainment mapping
 4.“unmappable VT”に対するsubstrate mappingおよびmulti-electrode mapping
 5.Substrate mapping
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.特発性心室性不整脈のマッピング・アブレーションのポイント
  a.頻拍起源を推測する
  b.頻拍起源同定に際して
  c.頻拍誘発法
  d.焼灼部位決定に際して
  e.焼灼の際の注意
 2.各起源別特発性心室性不整脈の特徴とアブレーションのポイント
  a.流出路起源特発性心室性不整脈
  b.僧帽弁輪起源特発性心室性不整脈
  c.三尖弁輪起源特発性心室性不整脈
  d.左室脚枝心室頻拍
 3.器質的心疾患に伴う心室性不整脈のマッピング・アブレーションのポイント
  a.12誘導心電図波形からの頻拍起源(リエントリー回路のexit部位)の推定
  b.単形性心室頻拍のアブレーション
 4.各種器質性心疾患に認める頻拍の特徴
  a.陳旧性心筋梗塞
  b.拡張型心筋症
  c.右室心筋症
  d.先天性心疾患手術後
D.最近のトピックス
 多形性心室頻拍・心室細動に対するカテーテルアブレーション
 high resolution substrate mapping
 心外膜アブレーション
E.ケースアプローチ
 ケース(1):拡張型心筋症
 ケース(2):心サルコイドーシス

VI章 ペースメーカー治療のstandardおよびup date
A.疾患の病態を理解する
 1.徐脈性不整脈と徐脈性以外の不整脈
  a.徐脈性不整脈
  b.徐脈性以外の不整脈
 2.徐脈の症状
B.治療の種類と方法を理解する
 1.ペースメーカー治療の原理とあらまし
  a.ペーシング
  b.センシング
  c.電極(リード)
 2.ペーシングモードの基本
  a.ICHDコード
  b.心拍応答機能
 3.生理的ペーシングと非生理的ペーシング
 4.トラブル回避のためのペースメーカー不応期の基本設定
  a.不応期と心室セーフティペーシング
  b.ペースメーカー介在性頻拍とその対応
 5.ペースメーカー植込みの適応およびペーシング治療ガイドラインと施設基準
  a.適応と治療ガイドライン
  b.施設基準
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.術前準備
  a.感染症の評価
  b.血液凝固能の評価
  c.除毛処置
 2.治療手技の手順
  a.入室から消毒、予防抗菌薬
  b.清潔ドレープ、マーキング、局所麻酔
  c.執刀〜大胸筋筋膜まで(ポケットの作成位置)
  d.大胸筋筋膜下ポケットの作成
  e.静脈アクセス
  f.リード留置
  g.本体固定、止血、洗浄
  h.閉創
  i.圧迫固定およびその他の術後留意事項
 3.特殊なペーシング手技とポイント
  a.外科的手技による心外膜側恒久ペーシングリードの装着
  b.開心術後一時ペーシング
  c.他の治療手技に付随して行われるもの
 4.術後合併症と管理
  a.デバイス植込み後合併症
  b.生活管理上の問題点
D.最近のトピックス
 septal pacingとminimization of ventricular pacing
 頻脈治療への応用
 リード抜去システム
 デバイスの遠隔モニタリング機能
E.ケースアプローチ
 ケース(1):洞機能不全症候群
 ケース(2):房室ブロック(大動脈弁置換術後)

VII章 ICD治療の実際とpit fall
A.疾患の病態を理解する
 1.ICDの適応
  a.二次予防
  b.一次予防
 2.大規模試験の問題点と本邦の状況
 3.特殊な疾患への適応
B.治療の種類と方法を理解する
 1.ICDが適応となる患者
 2.ICDの機能と機種
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.術前準備
  a.抗凝固療法の中止
  b.手術の準備
 2.治療手技の手順
  a.麻酔
  b.ポケット作成とリード挿入
  c.ICD本体植込み
  d.除細動閾値の測定
  e.ICD術後の検査、処置
  f.プログラミング
 3.教科書に書かれていない手技とポイント
  a.機種選択をどうするか
  b.使用リードの選択
  c.リード挿入のコツ
  d.心室リードの挿入
  e.心房リードの留置
 4.手技を行ううえでのpit fall
  a.ICDショックは予後増悪因子か
  b.高DFT例への対応
  c.すべての例でDFT測定は必要か
 5.合併症とその対策
  a.皮膚壊死
  b.感染
  c.リード位置異常・R波減高
  d.不適切作動
D.最近のトピックス
 心室ペーシングの回避
 胸郭インピーダンス
E.ケースアプローチ
 ケース(1):Brugada症候群の一次予防目的植込み
 ケース(2):小児でのICD植込み

VIII章 CRTおよびCRT-D治療の実際とpit fall
A.疾患の病態を理解する
 1.心不全と心室内伝導障害
 2.心室内伝導障害による心不全増悪のメカニズム
B.治療の種類と方法を理解する
 1.心臓再同期療法の効果
 2.CRT治療に関する臨床試験
  a.MIRACLE試験
  b.COMPANION試験
  c.CARE-HF試験
C.治療手技の実際−さあ、始めよう!
 1.術前準備
  a.病歴聴取
  b.術前検査
  c.術前術後の薬物療法の確認
 2.治療手技の手順
  a.消毒・皮膚切開・穿刺まで
  b.右室ICDリード挿入
  c.冠静脈ガイドカテーテル挿入
  d.冠静脈造影
  e.左室リード挿入
  f.閾値・横隔膜刺激反射のチェック
  g.右房リード留置
  h.スリッティング
  i.除細動テスト
 3.教科書に書かれていない手技とポイント
  a.いろいろな冠静脈入口部への対処方法
  b.左室リード挿入困難例への対処方法
 4.手技を行ううえでのpit fall
 5.合併症とその対策
  a.冠静脈解離
  b.冠静脈穿孔
  c.左室リード移動
  d.横隔膜刺激反射
 6.術後のフォローアップ
  a.心臓再同期療法後の心電図の見方
  b.心臓再同期療法後のAVディレイ、VVディレイの設定方法
  c.ノン・レスポンダーへの対処方法
D.最近のトピックス
心エコーによるCRT適応判断
E.ケースアプローチ
 ケース(1):慢性心不全

索引

カテーテルあるいはデバイスを用いた治療法は、不整脈治療に大きな革命をもたらしたといえる。
 1980年代までは、上室性頻脈性不整脈を治療するには薬物を使用するしかなかった。しかし、1990年代に入ると発作性上室頻拍に対してカテーテルアブレーションが行われるようになり、成功率が高く、しかも安全に治療できるようになった。その後、カテーテルアブレーションは心房粗動、心房頻拍へと適応が拡大され、現在では心房細動および心室頻拍などの心室性不整脈に対しても行われるようになっている。この間、多くの電極カテーテルが改良を重ねながら使用され、通電に必要な高周波発生装置も進化を遂げてきた。近年では、CARTOあるいはEnSiteシステムなどの新しいマッピング装置も登場し、興奮様式をビジュアルに描写することが可能となり、不整脈を電気現象としてではなく、画像として捉えることもできるようになった。このようなハード面での進歩が、カテーテルアブレーションを専門とする医師の技術向上をもたらしたともいえよう。心房細動および心室性不整脈については、再発や安全性など課題がいくつか残されてはいるものの、それを改善するべく様々なアプローチ法が新たに考案され、年々着実に進化しているといえる。
 デバイスに関しては、1990年代の中頃までは徐脈に対するペースメーカー治療しかなかった。しかし、1996年に致死性心室性不整脈に対する治療として植込み型除細動器(ICD)の保険償還が決定してからは、ICDの植込み件数は飛躍的に増加してきている。最近では、一次予防(1度も不整脈イベントをきたしたことのない患者での初回の予防)としてのICDの使用が議論されている。特に心筋梗塞後や心筋症の患者では不整脈イベントをきたしやすいため、ICDを一次予防目的で積極的に植込む傾向にある。また、左室の同期不全による心不全をきたした患者においてはペーシングを駆使した心臓再同期療法(CRT)が考案され、使用されている。現在、CRTにICD機能を加えたCRT‐Dの使用が可能となっており、使用件数が増加してきている。従来からの植込み型ペースメーカーにおいても、生理的ペーシングあるいは選択的部位ペーシングなどの概念が登場し、患者にとってよりよいペーシングが行われるなどの、新たな動きもみられる。
 これまで、カテーテルアブレーションあるいはペースメーカー・ICD・CRTなどのデバイスに特化した書籍はいくつか出されていたが、カテーテルとデバイスを1冊で解説した書籍はなかった。両治療法は基本的に不整脈を専門とする医師によって行われている。そのため、両治療法を1冊にまとめた書籍があればとの要望が以前から出ていた。そのようなニーズに応えるべく、このたび、本書籍を発刊するに至った。執筆していただいたのは、現在この領域において第一線で活躍している強者の先生方である。本書は実践的な内容を重視しており、治療手技の実際やケースアプローチをふんだんに盛り込んでいる。また、最近のトピックスについても各治療法ごとに記載しており、これからカテーテルおよびデバイスによる治療を行う若い医師のみならず、スキルアップを図る中堅の医師においても役立つ書籍だと確信している。また、ペースメーカー/ICD関連情報担当者(CDR)を目指す医療機器業界の方においても、バイブルになる書籍だと思っている。
 是非、本書をカテーテル・デバイス治療の教科書として活用していただき、今後の研鑽に役立てて頂ければ幸いである。
2010年1月
池田隆徳
山根禎一