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理学療法スーパーバイズマニュアル

臨床実習生・新人理学療法士指導のために

編集 : 新田收/小林賢/小山貴之
ISBN : 978-4-524-25398-2
発行年月 : 2010年5月
判型 : B5
ページ数 : 342

在庫僅少

定価5,940円(本体5,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

臨床実習生・新人理学療法士の指導法を実際の流れに即して示し、経験の浅い施設・指導者が計画を作成するのにすぐに役立つ。また、指導に関わる個別のテーマを網羅し解説しており、通して読んでも必要に応じて参照してもよい。さらに、受け入れ経験の豊富な施設の臨床教育の実例報告を収めている。充実した実習・研修指導に役立つ一冊。

はじめに:理学療法士の臨床指導者として
  1 今日の臨床指導者とは
  2 臨床指導者としてできること
  3 これからの臨床指導者に求められること

第1章 臨床実習生・新人理学療法士受け入れの流れ
A 評価実習4週間の流れ
 STEP1 準備期:実習受け入れの準備(実習前1年-直前)
  STEP1−その1:実習前1年-3ヵ月
  1 年間計画の確認
  2 実習指導者会議への参加
  3 実習指導体制の確認
  STEP1−その2:直前準備(実習前2-1週)
  1 実習スケジュールの作成
  2 オリエンテーション資料の作成
  3 実習生に準備させること
  4 実習課題、提出書類の確認
 STEP2 導入期:オリエンテーションから担当症例の選択まで(実習1週)
  STEP2−その1:オリエンテーション
  1 施設オリエンテーション
  2 実習ガイダンス
  STEP2−その2:実習初期の1週
  1 実習生の能力把握
  2 検査・測定の実施
  3 担当症例の選択
 STEP3 展開期:担当症例の評価実施とレポート作成(実習2-3週)
  1 担当症例の評価実施
  2 レポート作成
  3 未経験内容(検査・測定、疾患)の把握と実施
  4 最終週のスケジュール調整
 STEP4 まとめ期:症例報告と成績評価(実習4週)
  1 症例のまとめと報告
  2 成績表の作成と説明
 STEP5 整理期:実習の振り返りと次年度への課題検討(実習後)
  1 評価実習の分析
  2 スタッフ間の意見交換

B 総合実習8週間の流れ
 STEP1準備期:実習生がくるまでにやっておきたいこと(実習前1年-直前)
  STEP1−その1:実習前1年-3ヵ月
  1 年間計画の確認
  2 実習指導者会議への参加
  3 実習指導体制の確認
  4 実習スケジュールの作成
  STEP1−その2:直前準備(実習前2-1週)
  1 直前準備
 STEP2 導入期:実習生と指導者が楽しく実習するために(実習1-2週)
  STEP2−その1:オリエンテーション(-実習1週)
  1 オリエンテーション
  2 ローカル・ルールの説明
  STEP2−その2:実習初期(実習1-2週)
  1 実習生の能力把握
  2 見学から実践へ
  3 担当症例の選択
 STEP3 展開期:症例の担当から初期評価とレポートまで(実習3-4週)
  1 症例の初期評価と治療開始
  2 初期評価レポートの作成
  3 実習生の中間評価
  4 未経験内容(疾患、評価・治療手技)の把握
  5 後半スケジュールの調整
 STEP4 発展期:多くの臨床経験が実習の最高の面白さ(実習5-6週)
  1 症例の中間評価と治療変更
  2 他部門見学
  3 治療経過レポートの作成
  4 実習生とスタッフの交流会
  5 臨床能力の向上
 STEP5 まとめ期:これまでを振り返り、実習を総括する(実習7-8週)
  1 症例の最終評価
  2 未経験内容(症例、評価・治療手技)の実施
  3 最終レポートの完成
  4 症例報告会の開催
  5 成績表の作成
 STEP6 整理期:実習で経験したこと、そして次の実習へ(実習後)
  1 臨床実習の分析
  2 臨床実習指導の課題
  3 指導者サマリーの作成
  4 スタッフ間の意見交換
  5 次回の臨床実習に向けて

C 新人理学療法士教育1年間の流れ
 STEP1 準備期:新人が入職する前に(入職前2ヵ月-直前)
  1 施設での新人教育の位置づけの決定
  2 指導体制・担当者の決定
  3 新人教育プログラムのスケジュール作成 
 STEP2 導入期:新人の入職と患者担当開始(入職後2ヵ月)
  1 オリエンテーション
  2 理学療法以外の業務(関連業務)の指導
  3 治療や介助実技の指導
  4 担当症例の選択
  5 カルテ記載の指導
  6 新人の初期評価と目標設定
 STEP3 展開期:指導者の監視下で患者担当を実践(入職後2-4ヵ月)
  1 治療や介助実技の実践指導
  2 ケースレポートの作成および発表の指導
  3 他部門との交流:チームアプローチの意識を高める
  4 中間評価と目標修正
 STEP4 発展期:「自立」に向けての指導と業務バリエーション拡大(入職後4-7ヵ月)
  1 治療・実技の実践指導
  2 治療のエビデンス:文献検索方法の指導
  3 報告書の作成指導
  4 患者・家族への説明の指導
  5 施設特有の症例や特徴的活動への参加
  6 勉強会・学会や学生教育への参加
 STEP5 まとめ期:1年間のまとめと評価、次年度に向けての方針判断(入職後7-10ヵ月)
  1 ケースレポートの作成と症例発表
  2 最終評価
  3 まとめ、今後の課題設定、フィードバック
  4 臨床業務の調整
  5 教育・研究について
 STEP6 整理期:指導内容の整理と分析、次年度への課題検討(入職後10-12ヵ月)
  1 指導内容の振り返り
  2 新人教育プログラム・年間スケジュールの分析と検討
  3 新人からの評価
  4 次年度のテーマと課題の検討


第2章 指導の要点
第1節 基礎
A 学習の基本
  1 学習と行動の心理学
  2 学習のメカニズム
  3 観察学習
  4 学習の実際
  
B 学習指導
  1 学習指導の基礎
  2 学習原理の応用
  3 学習指導の展開

C 指導者とは
  1 指導者の役割とは何か
  2 指導者はどのような立場と態度で実習生に接するべきか
  3 指導者と実習生の関係
  
D 学習者の心理とカウンセリング
  1 学習者(実習生、新人理学療法士)の心理
  2 モチベーション、学習意欲
  3 行動理論と学習性無気力感
  4 カウンセリング(精神的に困難な学生、病欠、ストレスへの対応)

E 理学療法士教育への展開
  1 臨床教育における目標
  2 臨床教育における指導方法
  3 臨床教育における評価
  4 今後の臨床教育で考慮すべきこと

第2節 応用
A 教育的視点で臨床指導を見てみよう
 A-1 臨床指導の体制作り
  1 何人で指導するのか
  2 チームワークがポイント
  3 実習生と新人理学療法士の違い
 A-2 まず目標を設定しよう
  1 目標設定のしかた
  2 段階的な目標設定
  3 実習生と新人理学療法士の違い
 A-3 実習生・新人が主体的に学ぶために
  1 指導者の役割
  2 受動的学習から能動的学習へ
  3 実習生と新人理学療法士の違い
 A-4 臨床実習の評価はどうつけるか
  1 何を評価するのか
  2 評価者としての心構え
 A-5 自分で学習を管理する
  1 何も指導しない教育
  2 自分で学習を計画する
  3 実習生と新人理学療法士の違い

B 何事もコミュニケーションから始まります
 B-1 スタッフとのコミュニケーション
  1 コミュニケーションとその考え方
  2 コミュニケーションの方法
  3 同僚とのコミュニケーション
  4 他部門とのコミュニケーション
 B-2 患者・家族とのコミュニケーション
  1 患者とのコミュニケーション
  2 家族とのコミュニケーション
  3 説明と同意
 B-3 カンファレンスへ参加させよう
  1 カンファレンスの種類
  2 カンファレンスへの準備
  3 カンファレンスの実際

C 心理的なサポートは重要です
 C-1 実習におけるモチベーション
  1 モチベーションに関与する2種類の働きかけ
  2 正の働きかけを促す指導のポイント
 C-2 指導におけるカウンセリング
  1 臨床実習におけるストレスと実習責任者・教員の役割
  2 指導者に伝えたい実習生の位置
  3 指導者会議と実習地訪問の位置づけ
  4 メンタルヘルスとしての睡眠の確保
  5 一般的なセルフ・ストレスマネージメント

D 様々な施設の特徴を指導に活かそう
 D-1 施設間連携の大切さ
  1 理学療法における施設間連携
  2 実習において他施設連携をどのように取り入れるか
  3 連携パス、報告書の理解
 D-2 養成校とどのように連携するか
  1 養成校カリキュラムにおける臨床実習の位置づけ
  2 養成校が設定する実習の目的
  3 養成校との連携
 D-3 他施設との連携
  1 他施設との連携のなかでの役割
  2 連携パス
  3 報告書の作成
  4 報告書を受け取ったら
 D-4 理学療法経過報告書の作成
  1 理学療法経過報告書
  2 理学療法経過報告書作成の指導
  3 理学療法経過報告書の作成例
  4 理学療法経過報告書を受け取ったら

E まず完全な安全管理を指導しよう
 E-1 リスク管理の基本
  1 リスク管理と医療事故
  2 アンダーソン・土肥の訓練中止基準
  3 転倒・転落事故に対するリスク管理:絶対に転ばない患者なんていない
  4 感染症対策
 E-2 実習におけるリスク管理を指導しよう
  1 理学療法におけるリスク管理
  2 臨床実習におけるリスク管理
  3 新人・実習生がとる行動に対する、指導者の危険予知
  4 患者に対する評価・治療におけるリスク管理
  5 モニタリングと理学療法(実習)の中止
  6 感染予防
 E-3 個人情報の管理方法
  1 個人情報とその記録
  2 担当症例へのインフォームド・コンセント
  3 個人情報の匿名化
 E-4 事故が起こったら
  1 理学療法場面での緊急対応:理学療法中に患者が急変した
  2 初動体制と一次救命処置
  3 心肺停止状態ではないと判断されたときの対応
  4 医師・所属長・養成校への報告
  5 診療記録への記載
  6 インシデント・アクシデントレポートの作成
  7 周囲のスタッフの協力が最も重要

F いよいよ具体的な指導です
 F-1 基本的な理学療法は何か
  1 カルテ・処方箋からの事前情報を知る
  2 医療面接(問診)・検査測定・動作観察・その他の情報収集
  3 統合と解釈・問題点抽出と目標設定
  4 治療プログラムの作成
  5 治療プログラムの実施と効果判定・再評価
 F-2 医療面接(問診)の指導ポイント
  1 医療面接の意義を指導
  2 医療面接の指導
 F-3 検査・測定の指導ポイント
  1 検査・測定の位置づけを再確認
  2 検査・測定の指導
 F-4 動作観察・分析の指導ポイント
  1 観察とは
  2 動作観察・分析の指導
 F-5 統合と解釈の指導ポイント
  1 理学療法士の視点と役割:理学療法士としてできること
  2 関連図の利用
  3 国際生活機能分類(ICF)の利用
 F-6 目標設定の指導ポイント
  1 目標設定の意義を指導
  2 目標設定の方法を指導
 F-7 治療プログラム作成・実施の指導ポイント
  1 治療プログラム作成の指導ポイント
  2 治療プログラム実施の指導ポイント
 F-8 治療技術の指導ポイント
  1 治療技術指導の順序
  2 効果的な治療のために:身体の使い方の指導

G 情報収集もしっかり指導
 G-1 処方箋の読み方を指導しよう
  1 理学療法は処方箋に基づくもの
  2 処方箋にはどんな情報が書かれているか
  3 処方箋の読み方:情報の行間を読み取る
 G-2 他部門情報収集のポイント
  1 他部門の情報収集にあたって指導者が配慮すること
  2 医師からの情報収集
  3 病棟スタッフからの情報収集
  4 医療ソーシャルワーカーからの情報収集
  5 他のリハビリスタッフ(作業療法士、言語聴覚士など)からの情報収集

H 記録の重要性を指導しよう
 H-1 デイリーノートの活用方法は
  1 実習生と指導者とのコミュニケーションの場
  2 実習内容と学習内容の記録
  3 当日の実習目標とスケジュールの提示
  4 専門用語を使用した文章作成能力の向上
 H-2 実習中の患者記録の方法を指導しよう
  1 患者記録の様々な形態
  2 個人情報の管理をどうするか
  3 患者記録の取り方
 H-3 診療録の記載方法を指導しよう
  1 診療録の役割
  2 診療録の記載方法
  3 POMRの記載方法
 H-4 症例レポート作成を指導しよう
  1 症例レポート作成における問題
  2 症例レポート作成をどう指導するか
  3 新人と実習生の症例レポートの違い
 H-5 症例発表をさせてみよう
  1 症例発表の位置づけ
  2 症例発表の方法

I フィードバックは実習生と向かい合う場です
 I-1 フィードバックの基本
  1 理学療法教育におけるフィードバック
  2 理学療法教育におけるフィードバックの分類
  3 フィードバックのポイント
 I-2 実技・技術に対するフィードバック
  1 実技・技術のフィードバックの位置づけ
  2 実技・技術のフィードバックのポイント
 I-3 思考過程に対するフィードバック
  1 思考過程のフィードバックの位置づけ
  2 思考過程のフィードバックのポイント

J 文献の読み方・調べ方を指導しよう
 J-1 文献を調べることがどうして必要か
  1 理学療法と文献のかかわり
  2 evidence-based physical therapy(EBPT)とは
 J-2 調べる目的をはっきりさせよう
  1 文献検索の目的
  2 文献の種類を知ろう
  3 キーワードを挙げよう
 J-3 どうやって調べるか
  1 オンラインデータベースを利用しよう
  2 芋づる式の調べ方
  3 調べた文献をどうやって手に入れるか
 J-4 文献の内容をどのように解釈し、患者に応用するか
  1 EBMの5つのステップ

K 指導者として気をつけておきたいこと
 K-1 セクシュアルハラスメントについて知っておこう
  1 セクシュアルハラスメントとは何か
  2 どのような状況がセクシュアルハラスメントとされるのか
  3 環境型セクシュアルハラスメント
  4 指導現場での問題
  5 組織としての対策
  6 セクシュアルハラスメントによりだれが傷つくのか理解しておく
 K-2 パワーハラスメントとアカデミックハラスメント
  1 ハラスメントとは何か
  2 民事、刑事上の責任
  3 組織としての対策
 K-3 身だしなみについて
  1 コミュニケーション手段としての身だしなみ
  2 ニュートラルな身だしなみ
  3 ユニフォームの着こなし
  4 装飾品
  5 その他
  
第3章 施設ごとの臨床教育の展開
A 大学病院
 A-1 日本大学医学部附属板橋病院(リハビリテーション科)
 A-2 慶應義塾大学病院(リハビリテーション科)

B 一般病院
 B-1 特定医療法人仁生会細木病院(リハビリテーション課)
 B-2 国家公務員共済組合連合会新小倉病院(リハビリテーション科)

C リハビリテーション病院
 C-1 医療法人社団朋和会西広島リハビリテーション病院
 C-2 東京湾岸リハビリテーション病院

D クリニック
 D-1 白岡整形外科(リハビリテーション科)
 D-2 医療法人社団涓泉会(けんせんかい)山王リハビリ・クリニック

E 小児福祉施設
 E-1 重症心身障害児(者)施設横浜療育医療センター(リハビリテーション科)

索引

本書をお手に取っていただき、ありがとうございます。本書は臨床教育担当者の皆様の実習生・新人理学療法士の指導の参考書として編集いたしました。
 社会的要請にこたえて理学療法士免許取得者は年々増加していて、専門職としての存在感も高まっています。こうした状況の中で、臨床現場に送り出された新人が、高い質を保ち、責務を果たし続けられることが、今後の理学療法分野の発展の条件となっています。そのために重要となるのは養成の内容であり、その中核をなすのは臨床教育です。もちろん基礎を教えるのは養成校ですが、卒前、卒後を通して臨床教育なしに理学療法士養成は成り立ちません。臨床教育の比重は大きく、専門職としての完成は臨床教育に委ねられています。日本理学療法士協会においても、臨床教育の問題は強く認識されていて、 組織的な取り組みが進められています。わが国の理学療法士の年齢構成は、年々若返る傾向にあり、卒後数年で臨床教育を担当することも特別ではない状況が存在します。不安を抱えながら学生指導をする若い理学療法士も多いことと思われます。われわれは、臨床教育に関わる皆様が、教育計画立案時、あるいは教育の中、本書を手元に置いて、問題解決に役立てていただきたいと考えております。本書は日本理学療法士協会からの推薦をいただいております。
 本書は3つの柱から構成しました。
 まず、時間的経過にそって教育の流れを整理し、具体的な指導プロセスを解説しました。卒前教育として「評価実習」、「総合実習」、卒後教育として「新人教育」を取り上げました。いうまでもなくこれらは学生として初めて体験する臨床教育から段階的に、職業としての理学療法士養成への過程を示しています。それぞれの過程で目標となる課題も変化します。「評価実習」、「総合実習」、「新人教育」それぞれを時系列ステップに分け、達成度をチェックできる形式としました。実際の指導に直接役立つと存じます。
 次に、指導の要点を、教育の観点と、臨床の観点から解説しました。臨床教育を担う指導者は、臨床家であると同時に、教育者であることが求められます。この点に着目し、臨床と教育の両側面から項目を立てて解説しました。まず学習の基本、カウンセリングなど、理学療法士養成課程ではあまり取り上げられることがなく、臨床指導において戸惑うことの多い教育的側面について解説し、さらに臨床教育で出合う様々な問題点について項目を分けて解説しています。
 最後に、様々なタイプの臨床現場でどのように臨床教育を行っているか紹介しました。皆様がどのような施設に勤務されていたとしても、参考となると思います。
 どうかじっくりと目を通して下さるようお願いします。実際の臨床指導の計画立案や指導評価に役立つとともに、繰り返し読んでいただくことで臨床教育の持つ意味について理解を深めるヒントが得られることと存じます。
 編集者一同、皆様の臨床教育が将来大きく花開くことを確信しております。
2010年4月
編集者一同