書籍

感染症チーム医療のアプローチ

解決力・交渉力を磨く

: 大曲貴夫/具芳明/岸田直樹/沖中敬二/藤田崇宏
ISBN : 978-4-524-25383-8
発行年月 : 2009年10月
判型 : A5
ページ数 : 240

在庫僅少

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

静岡県立静岡がんセンター感染症科におけるチーム医療による感染症対策の取り組みとノウハウを「Q & A」や「クイズ形式」でわかりやすく解説。感染症チームのあり方、他科医師とのコミュニケーション法、院内感染対策チームの作り方、スタッフの教育方法など、すぐに役立つ内容をイラストを使用してビジュアルにまとめた。感染症医とICTチームスタッフのための心強い一冊。

I章 感染症チーム医療のアプローチ
1.感染症チームのある1日

2.感染症チームの実践とは
 a.日本の現場での感染症科へのニーズ
 b.感染症診療あるいは感染症コンサルテーション
 c.主担当医ではなくコンサルタントとして活動していくこと
 d.多職種とのかかわりが増えているなかで
 e.チーム医療の問題点と解決法
 f.多職種同士のコミュニケーションの方法

3.感染症チームの底力
 a.院内感染対策チームのあり方
 b.感染症診療・感染対策に情報を生かすシステム作り
 c.院内他科スタッフの教育方法
 d.新しいプロジェクトにどう取り組むか
  1)新型インフルエンザへの対応
  2)MRSA対策
  3)周術期予防抗菌薬の使用指針を各科でまとめるには?

4.よくある感染症対策上の問題への具体的アプローチ
 a.抗菌薬適正使用推進のための仕掛け
 b.適切な検体採取の提案
 c.手指衛生の推進方法
 d.隔離対応をスムーズに行うには?
 E.職業感染対策
 f.アウトブレイク対応

II章 個別の問題へのアプローチ
1.感染症コンサルテーションの基本
 a.感染症コンサルテーション一般論
 b.「感染症だがよくならない」場合
 c.「感染症かどうかわからない」場合
 d.「診断方法への疑問」へのアプローチ
 e.「治療を始めたけどひっこみがつかない」場合
 f.いやゆるカーブサイドコンサルテーションへの対応
 g.他院からの電話やメールによる相談への対応
 h.他院のアドバイザーとしてのかかわり
 I.メーリングリストへのかかわり

2.難しい問題へのアプローチ
 a.相手と意見が合わない場合
 b.臨床上の問題に答えを与える明確なエビデンスがない場合
 c.感染症コンサルテーションを出してもらうには?
 D.内科医として外科からのコンサルテーションにどう対応するか
 e.感情のコントロール?


Column
 ・夜間・休日の対応
 ・私はこれで苦労した−創成期の苦労など
 ・モンスタードクターとうまくやるには?
 ・マニュアルを生かし、浸透させるための工夫
 ・思い出のローテーター、だめになったローテーター
 ・個を責めるのではなくシステムの構築を!
 ・あふれる情報をどう整理するか?
 ・上層部との調整がうまくいかなかった
 ・適切な情報にたどり着くためにはどのような方法がよいのか
 ・グローバルスタンダードって何だろう?
 ・感染症科を受け入れてもらうための工夫集
 ・困ったときのおまじない−「さしすせそ」の極意

近年、臨床感染症に対する関心が高まっています。世界で感染症のさまざまな問題が顕在化するなかで、感染症専門家に対する社会の期待は大きくなっています。多くの若い医師が感染症に関心を持ってくださり、専門として選んでくださる方も増えています。
 さて、やる気のある若い医師たちは、感染症専門家としての力を発揮すべく現場に勢いよく飛び出していきます。しかし、彼らは往々にして大きな壁にぶつかります。現場に出ていってもスタッフに受け入れられない・協力を得られない・組織内でも意見を認めてもらえない・抵抗にあう、などの経験をするのです。
 彼らは、微生物学・臨床感染症学の専門家としての知識は申し分ありません。個人の医師としての実力は申し分ない。それなのに躓いてしまうのです。なぜでしょうか?
 これは多くの場合、「社会的な立ち振る舞いのスキルを十分に身につけていない」ことが原因です。人は理屈を言われたところで、すぐに納得して動くわけではありません。相手の立場や気持ちを考えずに一方的に意見を伝えることは、往々にして感情のもつれを引き起こします。また組織のなかで事を進めていくためには、ディスカッション・根回し・交渉といったスキルが必要です。声高に正論を主張しさえすれば話が通る・・・、そんな単純なものではないのです。単に「個人の医師として優秀」であるだけではここは突破できません。
 今後感染症を専門とする方々が日本中の各施設で受け入れられて活躍するためには、専門的な知識ばかりでなく、「対人・対組織的活動のスキル」が必要です。そこで、臨床感染症・院内感染対策でぶつかる課題を解決するための手法を提示し、組織・チームのなかで実際にどのように立ち回るべきかを示そうと試みたのが、本書です。
 本書の内容は、静岡県立静岡がんセンターという組織で感染症科を立ち上げ運営していくなかで、先人の知見と現場から学んだことを、科のなかでの共通の認識として培ってきたものです。感染症を専門としているすべての職種の方々に読んでいただければと願っています。また、本書は。医療の現場に、ある程度の普遍性をもって受け入れられる内容をも含んでいると考えています。他領域の方々にも、お目通しいただければ幸いです。
2009年7月
執筆者を代表して
大曲貴夫