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がん看護BOOKS

がん看護研修マニュアル

編集 : 静岡県立静岡がんセンター
責任編集 : 青木和恵/水主いづみ
ISBN : 978-4-524-25091-2
発行年月 : 2010年2月
判型 : B5
ページ数 : 338

在庫僅少

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

静岡がんセンターにおける新人・若手看護師に対する研修実績をベースに、臨床現場で必要とされる知識・情報を吟味・精選した、これまでにない実践的なマニュアル。わかりやすさに配慮して、図や表を豊富に掲載。また、執筆陣には看護師のみでなく医師や薬剤師も加わっており、チーム医療の一員としてのがん看護に携わる看護師に欠かせない知識が身につく一冊。

第1部 がんの社会学
I章 多職種チーム医療
 1.多職種チーム医療の実践
 2.電子カルテシステム
II章 同意と説明:インフォームドコンセント
III章 患者支援
 1.がんの社会学と患者支援
 2.患者・家族支援
 3.病状の告知とその後のフォローアップ
 4.こころのケア
 5.セカンドオピニオン
IV章 がん医療教育体系

第2部 がんの基礎科学
V章 がんの生物学
 1.がんと発がん
 2.がんと免疫
VI章 がん対策の総合的戦略−予防・健診・受診・情報−
VII章 がんの病理学的診断

第3部 がん治療
VIII章 がんの病態・診断・治療
 1.肺がん、中皮腫
 2.乳がん
 3.食道がん
 4.胃がん
 5.肝・胆・膵がん
 6.婦人科がん
 7.造血器腫瘍
 8.泌尿器がん
 9.皮膚がん
 10.頭頸部がん
 11.骨軟部腫瘍
 12.結腸・直腸がん
 13.中枢神経系腫瘍
IX章 臨床試験
 1.臨床試験の種類と方法
 2.臨床試験コーディネーターの役割

第4部 がん看護
X章 がんの治療法と看護
 1.手術療法と看護
 2.内視鏡治療と看護
 3.化学療法と看護
 4.放射線治療と看護
 5.造血幹細胞移植と看護
 6.臨床試験と看護
XI章 がん医療に必要な専門ケア・看護技術
 1.栄養管理
 2.IVH管理
 3.口腔ケア
 4.摂食・嚥下ケア
 5.言語聴覚療法
 6.ストーマケア
 7.褥瘡ケア
 8.リンパ浮腫の病態とケア
 9.オンコロジックエマージェンシーと看護

第5部 緩和医療
XII章 症状マネジメント
 1.がん性疼痛
 2.呼吸困難
 3.悪心・嘔吐
 4.倦怠感

付録
 1.代表的レジメンと副作用
 2.検査値一覧

索引

がんという疾患には、経過が長い、転帰を予測できる、進行と共に致命的となる。種類や状況によって治療法が異なる、複数の治療法があるなどの特徴がある。これらの特徴によって患者には長期にわたりがんと共存して治療法や対処法を選択し、障害や副作用、時には予後に適応していくことが求められる。このような患者を対象とするがん看護では、治療上や療養上でおこる問題を直接解決していく実践力と、患者が長い道程を自分の意志で歩いていけるようにサポートする実践力の二つが必要となる。そして看護師がこの二つの力を発揮するには、がん医療の全体像をよく知っていること、その上でがんの種類別、臓器・器官別、予後別などの治療や療養における知識と技術を持っていること、患者の心理や社会的問題に対応する知識と技術を持っていることが条件となる。
 しかし現実に、これらの知識と技術を保有するということはなかなかに難しい。なぜならばこれらは非常に幅広くかつ深いからである。例えば治療法一つをとってみても、縦軸にがんの種類。発生した臓器や器官、進行度、予後などの条件があり、横軸に治療法として確立されたあるいはトライアルの外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法などがある。これらの縦軸と横軸の交差するエリアに患者の適応となる治療法があるのであるが、多くの場合そのエリアには幾つかの選択肢があり、患者は自分の考えでその中の一つを選択することになる。このように患者個人に展開されるがん治療は専門性と個別性が絡み合って複雑であり、これに必要な知識は広さも、深さもある。このことに加えて、専門性と個別性に対応するためにがん医療では多職種チーム医療が理想とされ、看護師はそのリーダーと調整役を担っている。その役割を果たすために他の職種に関する知識も必要なのである。
 本書「がん看護研修マニュアル」はこのようながん看護の現場にあって、真に力のあるがんの看護師になりたいと考えている看護師のために編集した。まずがん医療の全体を俯瞰できるようにし、一方個別の分野においては、個々に専門性の高い最新の知識の収集を試みた。一人ひとりの患者に個別的な看護実践を積んでいくことは看護師の育成に不可欠ではあるが、それだけではがん看護の機能を十分に発揮する看護師にはなり得ない。今行っているこの実践が、がん医療という大きな図形の、あるいは地図のどの部分に位置しているか、この患者に展開されるがん医療の縦軸と横軸は何か。これらのことを常に意識し、その認識の基に個々の経験と知識とが豊富に頭脳に収められてこそ、どのような状況にあってもその力を発揮し得る看護師となるのである。
 患者は増加の一途を辿っている。病床は常に満床であり、入院期間は確実に短縮し、外来で行う治療の数は飛躍的に増加している。膨大な患者数、しかし個々にかけがえのない大切な生命と人間性と生活を持つがん患者に対して、的確に判断し、アクティブに実践し、力強くサポートするがん看護師が育つことを願っている。
2010年2月
静岡県立静岡がんセンター看護部長
青木和恵