書籍

糖尿病治療薬の選び方と使い方改訂第3版

: 景山茂
ISBN : 978-4-524-25039-4
発行年月 : 2008年10月
判型 : A5
ページ数 : 156

在庫なし

定価2,700円(本体2,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

今回の改訂により、改訂第2版刊行後に発売された最新のインスリン製剤や経口血糖降下薬の内容および関連する各種ガイドラインの改訂に対応した。作用機序から簡潔に解説することで何種類にも及ぶ糖尿病治療薬を適切に使い分けられるようになることを目的とし、糖尿病専門医にはもちろんのこと糖尿病患者を診なくてはならない一般臨床医にも役立つ一冊となっている。

1.2型糖尿病薬物療法のアルゴリズム
A.2型糖尿病治療の基本方針
B.薬物療法のアルゴリズム
 [1]肥満傾向のある場合
 [2]肥満傾向のない場合
 [3]経口血糖降下薬と添付文書の縛り
 [4]米国およびヨーロッパ糖尿病学会の声明
C.インスリン抵抗性の評価
 [1]HOMA(homeostasis model assessment)指数
 [2]臨床的評価
D.薬物の実際の使い方
 [1]α一グルコシダーゼ阻害薬(α一glucosidase inhibitor)
 [2]インスリン抵抗性改善薬(insulin sensitizer)
 [3]ビグアナイド類(biguanides)
 [4]単剤でコントロールできない時
 [5]速効型インスリン分泌促進薬
 [6]スルホニル尿素類
 [7]経口糖尿病治療薬でコントロールできない時

2.2型糖尿病治療の考え方
A.糖尿病の分類と診断基準
 [1]分類
 [2]診断基準
 [3]診断手順
 [4]新しい診断基準の問題点
B.インスリン抵抗性と高インスリン血症
 [1]インスリン抵抗牲(insulin resistance)
 [2]ブドウ糖毒性(glucose toxicity)
C.どの時点で治療を開始するか
 [1]血糖値とインスリン分泌量
 [2]スルホニル尿素類(SU)が使えるほどの高血糖では遅すぎる
 [3]IGTの何割が糖尿病を発症するか
 [4]薬物療法の介入による糖尿病発症の抑制
D.動脈硬化
 [1]高インスリン血症
 [2]脂質代謝異常
 [3]PAI-1
 [4]Lp(a)
E.糖尿病性細小血管障害(ミクロアンギオパチー)の予防
F.シンドロームXからメタボリックシンドロームへ
G.日本人は糖尿病になりにくいか

3.糖尿病治療薬の種類と特徴
A.インスリン非分泌系薬
 [1]α一グルコシダーゼ阻害薬(α一glucosidase inhibiter)
 [2]インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジンジオン誘導体)
 [3]ビグアナイド類
B.インスリン分泌系薬
 [1]スルホニル尿素類(sulfonylurea、SU)
 [2]速効型インスリン分泌促進薬
C.現在開発中の主な薬
 [1]吸入インスリン
 [2]GLP-1アナログと分解酵素阻害薬
 [3]メトホルミン

4、2型糖尿病のインスリン療法
A.空腹時血糖の正常化と基礎インスリン需要量
B.米国および欧州糖尿病学会による2型糖尿病治療アルゴリズムにおけるインスリン療法
C.スルホニル尿素類二次無効例のインスリン療法
 [1]中間型インスリンあるいは混合型インスリンの1日1〜2回注射
 [2]1型糖尿病の強化インスリン療法に準じた頻回注射療法
D.夜間インスリン療法
E.スルホニル尿素類とインスリンの併用
F.スルホニル尿素類以外の経口薬とインスリンとの併用

5.1型糖尿病のインスリン療法
A.強化インスリン療法
B.人工膵島
C.持続皮下インスリン注入療法(CSII)
 [1]インスリン注入量の決定
 [2]適応
 [3]施行の条件
 [4]合併症
D.α一グルコシダーゼ阻害薬とインスリンとの併用
E.インスリン製剤の進歩
 [1]モノコンポーネントインスリン
 [2]ヒトインスリン
 [3]混合型インスリン製剤
 [4]超速効型インスリン
 [5]持効型インスリン
 [6]レンテインスリン
F.注射器具の進歩
G.血糖コントロールと糖尿病性合併症との関係
H.現行のインスリン療法の問題点と展望

6.糖尿病性合併症の治療薬
A.アルドース還元酵素阻害薬
 [1]糖尿病性神経障害の成因
 [2]アルドース還元酵素阻害薬
B.プロスタグランジン製剤
 [1]プロスタグランジンE1(PGE1)
 [2]プロスタサイクリン(PGI2)誘導体
C.アミノグアニシン
 [1]糖化後期生成物(AGE)
 [2]アミノグアニジン

7.併発症の治療
A.高血圧
 [1]糖尿病に合併した高血圧の病態
 [2]糖尿病を合併した高血圧治療のガイドライン
 [3]糖尿病を合併した高血圧に関する臨床試験成績
 [4]降圧薬の特徴
 [5]糖尿病性合併症と降圧薬の選択
B.高脂血症
 [1]1型糖尿病における高脂血症
 [2]2型糖尿病における高脂血症
 [3]治療
 [4]脂質異常症の治療指針
 [5]抗高脂血症薬
 [6]高脂血症の治療は心血管系合併症を予防できるか

8.糖尿病治療薬Q&A

付録 薬剤一覧
索引

本書が1996年2月に発行されてから12年余が経過した。この間、糖尿病実態調査によると、平成10年には糖尿病が強く疑われる人は690万人、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると1,370万人であったが、平成18年には糖尿病が強く疑われる人は820万人、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると1,870万人に増加し、糖尿病はまさに国民病の様相を呈してきた。また、糖尿病患者数の増加とともに、1990年代以降、治療薬にも大きな進歩があった。本書は2002年に改訂を行ったが、その後も、インスリンアナログ製剤、経口薬の双方で著しい進歩があり2002年の旧版に記載のない治療薬が数多く市販されるにいたったため、この度、第3版として改訂を行った。
 現在のように数多くの糖尿病治療薬が市販されていると、非専門医は何をどのように用いたらよいかの判断がつきかねることも多いと思われる。そこで、本書ではまず、第1章に「2型糖尿病薬物療法のアルゴリズム」を記載し、2型糖尿病における治療薬選択の基本的な考え方を記した。この章をお読み頂くことにより、糖尿病薬物療法の概観をつかむことができる。
 改訂第2版後にみられた大きな進歩としては、超速効型インスリンアナログ製剤とこのアナログを用いた二相性混合製剤、および持効型溶解インスリンアナログ製剤が挙げられる、これらは1型糖尿病はもとより2型糖尿病のインスリン療法にも寄与するところが大きい。また、新たなα-グルコシダーゼ阻害薬も診療の場に供された。さらに全く新しい作用機序の薬も数多く開発されているので、これらについても第3章に記載した。
 糖尿病では高血圧や高脂血症(脂質異常症)の合併瀕度が高く、目標とする血圧および血清脂質のレベルがこれらを合併しない場合よりも低く設定されている。また、わが国においてもこの10年ほどEBM(evidence-based medicine)が強調されている。そこで、本書では糖尿病のみならず、高血圧や高脂血症(脂質異常症)を併発した場合にEBMを実践する際の参考となるよう、エビデンスレベルの高い臨床試験成績を第7章に述べた。
 本書が、糖尿病特有の合併症である細小血管障害、および糖尿病に特有ではないが糖尿病により促進される大血管障害の発症・進展の抑制により、糖尿病患者のQOLの改善に寄与することができれば幸いである。
2008年9月
景山 茂

糖尿病治療薬の選択の幅が広がる1冊
 糖尿病患者の数は増加を続け、2007年には推定890万人に及んでいる。同時に、QOL低下を招く合併症も増え続けている。糖尿病性腎症により新規に透析を導入する患者数は、10年前の約2倍となり、新規透析導入者の約45%を占めるまでになっている。糖尿病合併症の増加を抑えられない原因は、食事療法を遵守するむずかしさに加えて、経口血糖降下薬やインスリンが最近まで十分揃っていなかったからである。
 本書を書かれた景山茂先生が、1996年に本書の第1版を出版されたときは、長らくSU薬とインスリンが主流であったところに、αグルコシダーゼ阻害薬とビグアナイド類が加わったころであった。2002年に第2版を出されたときは、治療薬が充実しはじめ、臨床上の価値がEBMで裏打ちされてきたころであった。今回の第3版は、第2版以降に現れた新しい薬物に関する情報と、新たなEBMをさらに充実して出されたものである。
 本書の特徴は、糖尿病専門医にも非専門医にも有用な情報が、わかりやすくかつコンパクトに、漏れなく書かれていることである。最初に、臨床に則した糖尿病治療薬の選択という視点から、肥満の有無、空腹時血糖値のレベルなどによる選択アルゴリズムが、処方例を入れて紹介されている。さらに、薬物治療の観点から、糖尿病の病態や診断、インスリン分泌やインスリン抵抗性、糖毒性、メタボリックシンドロームまで触れられている。処方薬を選ぶときに、根拠をもって薬剤を選ぶことができ、患者さんに薬を説明するのにも役立つであろう。
 各治療薬の章では、それぞれの薬理作用、薬物動態、臨床効果から副作用まで書かれているので、効果的かつ安全に処方するうえで大変参考になる。とくに、専門医以外も広く用いるようになってきたビグアナイド類については、その副作用と対処法に十分触れられており必読である。さらに、各薬剤の位置付けも書かれていて、各薬剤のポジションの変化とその背景がよくわかるように工夫されている。インスリン治療については、インスリン製剤の基本から海外の治療アルゴリズムまで紹介されている。さらに、最近話題の経口薬とインスリンの併用療法まで、EBMを交えながら述べられている。
 最後には、高血圧や高脂血症など糖尿病患者が高率に併発する疾患についても、治療ガイドラインや治療薬の特徴まで触れているのはありがたい。とくに、それぞれの疾患に対する大規模臨床試験の成績がコンパクトにまとめて紹介されているのは、糖尿病臨床を熟知されている著者ならではである。
 どの疾患でも慣れた薬を用いることが多いが、糖尿病の治療薬は日進月歩で進歩しているので、血糖コントロールを安全かつ最善にするために、本書を読んで処方薬の幅をぜひ広げていただきたい。診療机の横に置いて役立つ1冊としてお薦めしたい。
評者● 渥美義仁
臨床雑誌内科103巻6号(2009年6月号)より転載