書籍

これで納得胸部X線写真読影改訂第2版

基礎から救急まで

編集 : 千田金吾
ISBN : 978-4-524-24795-0
発行年月 : 2009年1月
判型 : B5
ページ数 : 230

在庫僅少

定価5,184円(本体4,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

胸部X線写真の読影は医師が必ず通る道。一枚の胸部X線写真を診て、“これは正常ではない”と指摘できることを目的に、読影の際にどこに視点を置けばよいのかをできる限り客観的な論理で解説。絶大な好評を得てさらに見やすく改訂。研修医、学生、指導医の必携の一冊。

第I章 読影の順序にそった正常像の解説
 1.いつ胸部X線写真を撮影するのか
 2.読影を始める前に−画像の危うさと読影手順のポイント
 3.肺の正常解剖

第II章 読影のための各部位の評価
 1.撮影条件の評価
 2.軟部組織の評価
 3.骨の評価
 4.上部縦隔の評価
 5.心臓(中央陰影)の評価
 6.横隔膜の評価
 7.肺門部の評価
 8.肺野の評価
 9.側面写真の評価

第III章 胸部X線写真の異常像をどう鑑別するか
 1.粒状影
 2.結節影
 3.線状影・網状影
 4.浸潤影
 5.すりガラス影
 6.透過性亢進
 7.肺紋理(肺血管影)の増強
 8.透亮像・空洞を示す異常影
 9.肺紋部の異常影
 10.縦隔の異常影
 11.胸水貯留
 12.横隔膜・胸壁の異常影

第IV章 発見が遅れた肺癌症例

初版を出版するにあたり、読者対象としてどのような人たちを想定するかが、編集方針を決定するうえで最も重要なことでした。しっかりした基礎、基本がなければ、飛躍はありえないという観点から、「上級者のためではなく、初級者/中級者のための胸部X線写真読影解説書」、「呼吸器科医のためではなく、医学生/研修医/一般医師のための解説書」、6・3・3制の教育課程でいえば「大学生のためではなく、小中学生/高校生」を意識して、編集方針としました。入門書として広く愛読されている『Felson's principles of Chest Roentgenology』を超人門書だという印象を持つ方には、Felsonでは補えない点をカバーし、主に一般臨床医に役立つものになるよう作成しました。
 本来であれば「画像に興味のない医師」に手に取っていただき、「画像に興味のある医師」となっていただければこれが理想ですが、おそらく興味のない方は本書を手に取ることすらないのが残念です。“You can lead a horse to water, but you can't make him drink”という諺がありますが、本書の読者の方々にとって「一度水を飲み始めたら飲み続ける」ような内容となることを目指しました。
 基礎と基本の違いについて議論するのは意味がないことかもしれませんが、基礎は知識、基本は認識ともいえるようです。イチローのすごいところは、今でも基礎/基本の反復練習を怠らない点だそうです。基礎/基本の延長線上にあるのが応用であり、最終的には「臨床力」の形成に役立ちます。
 医師となった限りは「臨床力」を身につけていなければ、医師としての存在価値は低いものとなってしまいます。胸部単純X線写真に限らず、形態学、たとえば皮膚科での皮疹の肉眼所見、病理医の組織所見、循環器科の心電図所見、内科医の内視鏡所見など、物の形から判断する技量は実地臨床において非常に重要な要素です。本書を契機に胸部X線写真読影に興味を持っていただけたら、これ以上の喜びはありません。
 今回の改訂では、X線写真の鮮明化、胸部の解剖の理解を容易にすること、鑑別診断の項目を充実することを目標に行いました。
2008年11月
浜松医科大学内科学第二講座
千田金吾
(一部改変)

CT、MRI、PETなどの診断学が発達した今日においても、単純X線写真は胸部画像診断のもっとも基本的かつ重要な検査法である。われわれ呼吸器専門医の日常の臨床は、1枚の胸部X線の読影からはじまるといっても過言ではない。呼吸器を専門としないドクターにおいても、胸部単純X線写真で異常があるかどうかを判断して次のステップに進むことが常に求められる。
 本書は、胸部X線写真を読影するうえで、どこに視点をおけばよいかを客観的かつ簡潔に解説した1冊である。第I章では、「読影の順序にそった正常像の解説」と題して胸部X線撮影の基礎的な知識と読影手順および肺の正常解剖が述べられている。第II章では、「読影のための各部位の評価」として、撮影条件、軟部組織、骨、縦隔、心臓、横隔膜、肺門部、肺野、側面写真の各項目について読影のポイントが述べられているが、いずれの項でもクイズ形式で記述されているため、興味をもって一気に読破できた。第III章は、「胸部X線写真の異常像をどう鑑別するか」と題して、陰影の性状別に具体的な臨床例を通じて解説がなされている。第IV章は、「発見が遅れた肺癌症例」として、見落としやすい陰影の教訓的な事例が列挙されている。
 全編を通じて、鮮明な画像写真およびわかりやすいイラストが使用されており、理解の助けとなる。また、読影の際に有用な各種のX線上のサインが豊富に掲載されているため、日常診療で手元に置いて、アンチョコ代わりに使用するにも役に立つかと思われる。
 放射線診断学の教科書類は、ややもすれば専門的な画像診断の解説に偏りがちであるが、本書は実際の症例をあげて、総合的な臨床診断の中での胸部X線写真読影を目指しており、臨床医の皮膚感覚にあったものである。著者の千田先生は本邦の呼吸器内科分野の若きリーダーの1人であり、先生の豊富な臨床経験と深い知識に裏づけされた1冊であると思われる。
 序文で、「上級者のためではなく、初級者/中級者のための胸部X線読影解説書」、「呼吸器科医のためではなく、医学生/研修医/一般医師のための解説書」として編集したと記されているが、初心者のみならず、私のような少々知識の錆び付いた専門医にとっても、知識の再整理のため充分活用できる書である。
 私は寡聞にして、本書の第1版の存在を存じ上げていなかった。自分自身は学生のときに「Felsons Principles of Chest Roentgenology」を読んで呼吸器学に興味をもったわけであるが、同じく学生や研修医のときに本書のような解説書にめぐり合っていれば、胸部X線写真読影がもっと簡単に理解できたのではないかと思われる。しかしながら、今からでも遅くはない。本書を愛用して知識の再研磨を行いたいと考えている。
 最近の研修医が、救急等で安易にCTを撮影する風潮を鑑みると、すべての若いドクターが本書を手にとって、単純胸部X線写真の読影に興味をもってくれることを期待するものである。
評者● 石田 直
臨床雑誌内科103巻6号(2009年6月号)より転載