書籍

身につく水・電解質と酸塩基平衡

症例満載!基礎から学ぶ臨床輸液

編集 : 大村健二
ISBN : 978-4-524-24224-5
発行年月 : 2007年8月
判型 : A5
ページ数 : 238

在庫なし

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

患者管理に不可欠な「水・電解質と酸塩基平衡」の知識のポイントを、わかりやすく、歯切れよく整理。とかく無味乾燥と思われがちなテーマを、読者の興味と理解度を深めるため、症例提示を豊富にとりいれ、実践的にイメージしやすく、要領よくまとめた。看護師・若手医師必読の一冊。

Part1 プライマリレクチャー:水・電解質
 I 水・電解質代謝のあらまし
 II 水分の過剰と脱水
 III 電解質異常の原因、病態生理と対策
  1 血清カリウム
  2 血清ナトリウム
  3 血清カルシウム
  4 血清マグネシウム
  5 血清リン

Part2 プライマリレクチャー:酸塩基平衡
 I 酸塩基平衡のあらまし
 II 酸塩基平衡異常の原因、病態生理と対策
  1 呼吸性の酸塩基平衡異常
  2 代謝性の酸塩基平衡異常
  3 混合性の酸塩基平衡異常

Part3 アドバンス・レクチャー:各種病態に伴う水・電解質異常と酸塩基平衡異常
 1 心疾患
 2 閉塞性肺疾患
 3 糖尿病
 4 肝硬変
 5 腎不全
 6 急性副腎不全(副腎クリーゼ)
 7 尿崩症
 8 イレウス
 9 大手術後

Part4 示唆に富む症例 -この患者に何が起こっているのか
 1 腹水合併肝硬変患者の治療中にみられた低ナトリウム血症
 2 糖尿病性ケトアシドーシスに合併した低ナトリウム血症
 3 手術を契機に発症した遷延する低カルシウム血症
 4 急性腎不全に発症した重篤な乳酸アシドーシス
 5 降圧薬内服中に急性腎不全による高カリウム血症にて血液透析を要した患者

略語一覧
索引

ヒトの生命を維持する物質代謝のほぼすべては、最大の臓器とも形容される皮膚に守られた環境で営まれている。そこは「原始の海」と解釈される水と電解質の世界であり、ヒトの細胞は今なお「海のなかで生きている」のである。細胞をとりまく環境の恒常性維持は、個々の細胞、ひいては個体の健全性と密接に関連している。
 きわめて精緻に制御されている細胞内外の水・電解質環境にも、各種臓器の疾病や体液の喪失など多くの因子の影響で乱れが生じる。それは、ときに急速に、あるいは緩徐に生命を脅かす。また最近では、臨床症状を呈する以前に血清電解質の異常から早期に疾病が診断されることもまれではない。診断学と治療学双方の観点から、水・電解質異常に関する正しい知識を身につける意義はきわめて大きい。
 ひとたび生じた水・電解質の異常は、原因となった疾患や病態の治療とともに補正されるべきである。しかし、ある種の水・電解質の急速な補正は、生体に重篤かつ不可逆的な変化をもたらす危険を伴う。医療行為のうち、非経口的な水分や電解質の投与がいかに非生理的な行為であるかを示す現象といえる。生体の調節機構は、総じて乱れたバランスを是正する方向に機能している。そのような状態では、一部の電解質異常を除き、補正には日単位の時間をかけることが望ましい。少なくともよい方向に進むのであるから、あせりは禁物なのである。その「さじ加減」を、本書からくみ取っていただきたい。
 本書の編集にあたり、執筆は経験豊富な第一線の臨床医に依頼した。また、生命の維持にきわめて重要な水・電解質異常とその補正について、多数の症例を提示しながらの解説をお願いした。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士など医療に携わる方々はすべて、本書を読んで水・電解質異常の病態とその治療の要点を理解していただきたい。さらに、本書の内容から生体の恒常性維持機構の奥深さを実感していただければ幸いである。
 最後に、多忙きわまりない臨床と研究の毎日をおくりながら、本書を執筆してくださった諸先生方に深甚なる謝意を表して巻頭の言葉とする。
2007年7月
大村健二