書籍

抗癌剤の選び方と使い方改訂第3版

編集 : 小川一誠
ISBN : 978-4-524-23804-0
発行年月 : 2004年9月
判型 : A5
ページ数 : 340

在庫なし

定価4,212円(本体3,900円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

薬剤を実際に使用する立場で、処方を詳細かつ明確に記述した「選び方と使い方」シリーズの一冊。臨床試験、各抗癌剤の解説をした上で、主要な癌の標準的治療として確立された抗癌剤の使い方の実際を示す。今改訂では新抗癌剤情報を追加、それに基づいて標準的治療法も最新のものに書きかえた。併用療法のプロトコールを呈示し、使用上の注意も含め具体的に解説。

1 抗癌剤の誕生まで
 1・1 前臨床研究
  (1)抗癌剤開発
  (2)抗癌剤候補物質のスクリーニング
  (3)抗癌剤の薬効評価
  (4)抗癌剤の毒性評価
  (5)抗癌剤開発の新しい動き
  (6)分子標的薬剤の臨床研究の問題点と現状
  (7)分子標的薬剤─最近の進歩
 1・2 第I相研究
  (1)抗癌剤の臨床研究の流れ
  (2)第I相研究の実際
  (3)癌研究会附属病院化学療法科での研究成績
 1・3 第II相研究
  (1)臨床第II相研究の意義
  (2)「抗悪性腫瘍薬の臨床評価に関するガイドライン」で求められる臨床第II相研究
  (3)臨床第II相研究の患者選択について
  (4)臨床第II相研究のプロトコール
 1・4 第III相研究
  (1)第III相研究の目的
  (2)第III相研究へのdecision making
  (3)第III相研究のデザイン
 1・5 GCP
  (1)治験総括医師制度の廃止
  (2)治験責任医師、治験分担医師の新設
  (3)インフォームド・コンセント
  (4)治験依頼者の定義と責務

2 抗癌剤の種類と適応
  (1)アルキル化剤
  (2)代謝拮抗剤
  (3)抗癌性抗生物質
  (4)植物アルカロイド
  (5)その他の抗癌剤
  (6)分子標的薬剤
  (7)ホルモン剤
  (8)サイトカイン
  (9)非特異的免疫賦活剤
  (10)臨床研究中の新抗癌剤
  (11)抗癌剤投与の実際

3 主要な癌に対する併用療法と複合療法
 3・1 脳腫瘍
  (1)神経膠腫
  (2)稀突起細胞腫
  (3)原発性頭蓋内悪性リンパ腫
  (4)頭蓋内原発胚細胞系腫瘍
  (5)髄芽腫
  (6)転移性脳腫瘍
 3・2 頭頸部癌
  (1)neo-adjuvant(induction)chemotherapy
  (2)放射線との同時併用療法
  (3)adjuvant chemotherapy
  (4)姑息的治療
 3・3 肺癌
  (1)治療法選択に必要な病期診断
  (2)限局型小細胞肺癌(LD-SCLC)
  (3)進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)
  (4)切除不能IIIA、IIIB期の非小細胞肺癌に対する複合療法
  (5)IIIB、IV期非小細胞肺癌に対する化学療法
  (6)second lineの治療
 3・4 乳癌
  (1)内分泌療法とは
  (2)化学療法の選択薬剤
  (3)免疫抗体療法
  (4)内分泌化学療法の根拠
  (5)ACT療法
  (6)CAF療法
  (7)CEF療法
  (8)CMF療法
  (9)MIT+5FU療法
  (10)タキサン系薬剤を中心とした化学療法
  (11)免疫抗体との併用療法
  (12)その他
 3・5 胃癌
  (1)単剤の効果
  (2)併用療法の選択
  (3)5FU主体の併用療法
  (4)新薬との併用
  (5)cisplatinを含む併用療法
  (6)biochemical modulation
  (7)その他
 3・6 大腸癌
  (1)疾患概念および病態
  (2)治療法
  (3)進行大腸癌での投与計画
  (4)進行再発大腸癌肝転移症例の投与計画―FUdR+LV肝動注療法
  (5)大腸癌手術後補助化学療法―高用量LV+5FU療法
 3・7 婦人科癌
  (1)子宮頸癌
  (2)子宮体癌
  (3)子宮肉腫
  (4)上皮性卵巣癌
  (5)卵巣胚細胞性腫瘍および性索間質性腫瘍
  (6)外陰癌
  (7)腟癌
  (8)妊娠性絨毛疾患
  (9)婦人科腫瘍に対する分子標的薬剤の現状
 3・8 泌尿器癌
  (1)膀胱癌
  (2)精巣腫瘍
  (3)腎細胞癌
 3・9 骨軟部肉腫
  (1)疾患の分類
  (2)原発性骨悪性腫瘍
  (3)悪性軟部腫瘍
  (4)主な副作用発現頻度
  (5)分子標的薬剤
 3・10 成人急性白血病
  (1)疾患概念および病態
  (2)治療法の歴史
  (3)治療法
  (4)治療の仕方と注意点
  (5)主な副作用
 3・11 小児白血病
  (1)小児白血病の臨床病態
  (2)小児白血病の治療
  (3)小児急性リンパ性白血病
  (4)小児急性非リンパ性白血病
 3・12 悪性リンパ腫
  (1)悪性リンパ腫患者の診断の進め方
  (2)主な疾患単位に推奨される治療
 3・13 慢性白血病・多発性骨髄腫
  (1)慢性白血病の分類
  (2)慢性骨髄性白血病の治療法
  (3)慢性リンパ性白血病の治療法
  (4)多発性骨髄腫の治療法

4 特殊な治療法
 4・1 骨髄移植
  (1)骨髄移植の施行方法
  (2)同種骨髄移植の適応
  (3)大量化学療法のregimen
  (4)同種骨髄移植の合併症
  (5)骨髄バンクについて
 4・2 末梢血幹細胞移植
  (1)自己PBSCTの適応疾患
  (2)造血器腫瘍に対する自己PBSCT
  (3)固形腫瘍に対する自己PBSCT
  (4)同種PBSCT
  (5)骨髄非破壊的移植
 4・3 肝癌の局所療法
  (1)percutaneous ethanol injection therapy(PEIT)
  (2)radiofrequency ablation(RFA)
  (3)transcatheter arterial embolization(TAE)
 4・4 肝動注療法
  (1)肝動注療法の概念
  (2)薬剤の選択
  (3)薬剤の投与方法
  (4)主な疾患に対し、現在汎用されているregimenと実際の投与法
  (5)肝動注療法を行うにあたっての注意
 4・5 腹腔内化学療法
  (1)腹腔内化学療法の適応
  (2)腹腔内化学療法に適した薬剤の選択
  (3)cisplatin腹腔内投与上の注意
  (4)腹腔内化学療法用の抗癌剤処方
  (5)腹腔内化学療法に関するいろいろな試み
  (6)腹腔内化学療法の基礎的問題

5 副作用対策
 5・1 抗癌剤による血液毒性
  (1)白血球減少
  (2)貧血
  (3)血小板減少
 5・2 抗癌剤による消化器毒性
  (1)口内炎とその対策
  (2)悪心・嘔吐とその対策
  (3)下痢とその対策
  (4)便秘とその対策
  (5)肝障害とその対策
 5・3 抗癌剤による主要臓器毒性
  (1)心毒性
  (2)肺毒性
  (3)肝毒性
  (4)腎毒性
  (5)皮膚毒性
  (6)神経毒性

本書の初版は、1996年に刊行され、第2版の改訂は1999年になされた。そして今回各著者の協力を得て、第3版が刊行されることとなった。第2版に記載されている内容は、5年間経過した現在でも大部分は最新の癌化学療法に関する情報であるため、その部分は残し、この間に大きな変化があった分野と、読者からの要望のあった部分を本改訂で追加した。
 第2章に新しく認可された抗癌剤として、抗癌性抗生物質のamrubicin、代謝拮抗物質のgemcitabine、capecitabineなどと植物アルカロイドのtopotecanを加えた。肺癌、膵癌、乳癌などの治療に重要な薬剤である。また分子標的薬剤として、抗CD20モノクロナール抗体のrituximab、抗HER2モノクロナール抗体のtrastuzumab、BCR-ABL遺伝子チロシンキナーゼ阻害剤のimatinib、およびEGFRチロシンキナーゼ阻害剤のgefitinibが認可されている。癌細胞を特異的に攻撃する分子標的薬剤と抗癌剤の併用は、B細胞リンパ腫、乳癌で新しい第一選択の治療法となっている。imatinibは慢性骨髄性白血病の治療戦略を大きく変え、骨髄移植に代わり慢性期の第一選択の治療法となり、そして化学療法抵抗性の消化管間質肉腫の重要な治療手段となった。分子標的薬剤の登場は本書の改訂を必要とした最大の理由である。さらに本改訂では読者からの要望により、ホルモン製剤、サイトカイン、BRM製剤が記載された。そして静脈投与する薬剤の投与方法について、溶解液、点滴用薬液、注入時間などを詳しく解説した。
 第3章には、最新のevidenceによる現在の第一選択の治療法が記載されている。また第4章の特殊な治療法では、骨髄非破壊的移植(ミニ移植)などが追加され、第5章には分子標的薬剤の副作用が含まれた。
 今回の改訂により癌化学療法の最新の情報が網羅されたと考えている。
2004年8月
小川一誠

本書、『抗癌剤の選び方と使い方(改訂第3版)』は、癌化学療法では第一人者の愛知がんセンター名誉総長小川一誠先生の編集によるものである。小川先生とは多くの抗癌剤の開発治験でご一緒し、海外の癌化学療法の会議にもご一緒させていただいたが、その会議の進め方の手際のよさ、また学識の深さにいつも敬服していた。

 本書は9年前の1996年に初版が出版され、1999年に改訂第2版が出版され、今年、改訂第3版として出版された。このように、短期間で改訂第3版まで出版されたということは、それだけで多くの読者を得た人気のある本といえる。

 このように改訂を繰り返している理由は、本書にあとで述べるすばらしい特徴があるからであるが、同時にこの分野の薬剤の開発の進歩が近年著しいことでもある。とくに今回の改訂の中心をなすものは、分子標的療法である。慢性骨髄性白血病における imatinib、急性前骨髄球性白血病における tretinoin、悪性リンパ腫における rituximab、乳癌における gefitinib などはその有効性が高いこと、低侵襲であることなどから、これまでむずかしかった高齢者の癌化学療法の道が開け出した。本書ではこれらの薬の位置付け、使用法について詳述されている。

 本書の構成は全5章からなり、第1章は「抗癌剤の誕生まで」という題で、開発治験のあり方が述べられ、第2章は「抗癌剤の種類と適応」と題し、抗癌剤の構造と作用による分類を示し、第3章は「主要な癌に対する併用療法と複合療法」と題し、主要な癌の化学療法の実際を示し、第4章は「特殊な治療法」と題し、幹細胞移植、肝癌の局所療法、などが書かれている。最後の第5章は「副作用対策」で、癌化学療法の副作用対策が書かれている。

 類書にみない特徴は、第1章に抗癌剤の開発治験のあり方が述べられていることであり、もう一つは、第4章の「特殊な治療法」である。抗癌剤の治験のあり方が述べられている点は、癌化学療法に携わる医師たちが実際に治験に参加したり、また審査にあたることも多いと思うが、その理解を助ける点で有用と考える。また、第4章の特殊な治療は多くの癌化学療法の本ではその位置付けが示されていないことが多いが、その位置付けを他の癌化学療法の位置付けと比較して理解するうえで重要なことと考える。

 また、本書において一番力を入れられた第3章の「主要な癌に対する併用療法と複合療法」では、著者らの好みを廃し、EBMに基づいて治療方針を示していることが印象的である。

 このように、多くの魅力的な内容をもつ本書が、これまでの版以上に多くの読者を得ると信じている。

評者● 溝口秀昭(東京女子医科大学名誉教授/埼玉県赤十字血液センター所長)
臨床雑誌内科95巻4号(2005年4月号)より転載