書籍

ペリフェラルインターベンション

画像・適応・治療手技 DVD付

編集 : 横井良明/松尾汎
ISBN : 978-4-524-23647-3
発行年月 : 2003年6月
判型 : B5
ページ数 : 172

在庫なし

定価11,880円(本体11,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

各種ステントの進歩や血管エコー法の確立によって末梢動脈疾患に対するインターベンション(ペリフェラルインターベンション)に注目が集まっている。本書は、ペリフェラルインターベンションにおける診断から、適応決定、治療手技、合併症、予後までを詳述した実際書。とくに治療手技では、用意するデバイスやテクニックなど、症例を呈示しながら具体的に解説。実際の治療手技を動画で収録したDVD-ROM付き。

【付属のDVDについて】
●DVDビデオは映像と音声を高密度に記録したディスクです.
●DVDビデオ対応のプレーヤーで再生してください.
●パソコンに搭載のDVD-ROMプレーヤーでの動作は保証しておりません.

【主要目次】
1.ペリフェラルインターベンションとは
2.末梢血管病変の診断―画像所見のみかた
 A.血管エコー
 □Focus:透析シャントの血管エコー
 B.MRA、CTA
 C.血管造影
3.ペリフェラルインターベンションの治療の実際
 A.頸動脈
 ・頸動脈狭窄症に対する血行再建
 ・PercuSurge GuradWireを使用した頸動脈ステント留置
 ・冠動脈狭窄を有する患者に対する頸動脈ステント術
 ・右内頸動脈インターベンション中に発生した総頸動脈解離
 B.鎖骨下動脈
 ・鎖骨下動脈狭窄症に対するPTA
 ・鎖骨下動脈狭窄症に対するステント留置術
 ・鎖骨下動脈閉塞性動脈硬化症に対するPTA手技
 C.大動脈
 ・大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術
 ・大動脈解離に対するステントグラフト術
 D.腎動脈
 ・粥状硬化性腎動脈狭窄症に対する腎動脈ステント術
 ・動脈硬化性腎動脈狭窄治療の必然性とその実際
 ・Fibromuscular dysplasia(FMD)
 E.腸骨動脈
 ・腸骨動脈完全閉塞例に対するステント留置術
 ・腸骨動脈の動脈硬化性区域性閉塞に対するprimary stenting
 ・腸骨動脈閉塞病変に対するステント術
 F.浅大腿動脈
 ・重症冠動脈病変を有する患者の浅大腿動脈閉塞病変に対するステント術
 ・浅大腿動脈狭窄・閉塞、石灰化・非石灰化病変に対するPTA・Stenting
 G.静脈
 ・静脈血栓症に対する血管内治療
 ・深部静脈血栓症に対する血栓溶解・吸引除去およびステント留置
 H.透析シャント
 ・透析シャント完全閉塞に対する血管形成術―難渋した症例に学ぶ―
 ・シャントトラブルに対するカッティングバルーンの活用
4.ペリフェラルインターベンションの今後の展開

末梢血管のカテーテル治療(末梢インターベンション)は外科手術に代わる治療として、その低侵襲性、麻酔が不要なこと、低コスト、早期社会復帰などから注目を浴びています。また四肢血圧測定装置、血管エコー、CT、MRなどの診断機器の普及により、従来考えていた以上に多くの症例が存在することが明らかになってきました。しかしながら、冠動脈インターベンションの著しい発達に比べて、診断方法、デバイス、カテーテル技術などの面で、わが国の末梢インターベンションは世界の進歩にいまだ遅れているのが現状です。その理由は診断技術やデバイスの進歩が早く、個々の医師がその進歩についていけていないこと、頭部から下肢までの診断からインターベンションまですべてが一つの科でカバーしきれないことなど、いくつかの理由が血管内治療の進歩を妨げている要因として挙げられます。
 血管内治療の普及には診断精度の向上、最新の治療技術、手術適応との対比など、多くの知識や研鑚が必要ですが、それらの実際的な情報に乏しいのが現状です。本書はレベルの高い血管内治療を普及させるために、わが国のエキスパートに、血管内治療の症例集を執筆していただきました。それぞれに模範的な血管病変を症例の形式で提示していただき、インターベンションの適応、方法、デバイスの選択などについて詳しく著述いただいております。特に使用デバイスには製品名を含め、正確に記述していたださました。したがって本書を参考することにより、日本の現状での標準的な末梢インターベンション治療が理解できる内容になっています。また同じ疾患でも、放射線科、循環器科、脳外科などそれぞれの立場でのアプローチを書いていただき、他科の治療方針、方法、デバイスも知りうる内容になっています。
 冠動脈インターベンションは多くのライブなどで技術の一定化がなされてきており、レベルの高いPCIが全国で受けることが可能になってきています。しかしながら、末梢の分野では冠動脈におけるようなライブが頻繁には施行されておらず、各科の医師が手探りで治療を模索していることも多いと推察されます。末梢血管疾患、特に下肢閉塞性動脈硬化症、腎動脈狭窄症、鎖骨下動脈狭窄症、頸動脈狭窄症、透析シャントなどの血管内治療に際し、「技術の標準化」を計ることが急務と考えます。本書には、編者らが関わった末梢動脈硬化病変のインターベンションライブ(The 1st Japan Peripheral Intervention Conference、2003年2月8日開催)がDVDで添付されています。まだ始まったばかりの会ですが、わが国では珍しい、貴重な末梢インターベンションライブとして参考にしていただければ幸いです。また、そのライブの際に、末梢疾患における世界的な権威である、Dr.Michael R.Jaff(Lenox Hill Hospital)、Dr.J.Micheal Bacharack(North Central Heart Institute)の両先生から貴重なコメントを各症例ごとにいただいております。それらも併せて、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 動脈硬化病変は冠動脈病変の治療と血管病変の治療とが合わさって初めて、QOLの改善や予後の延長につながると考えられます。末梢動脈疾患に対する正確な診断と適切なインターベンションが広く普及し、全国でレベルの高いカテーテル治療の恩恵に多くの患者さんが浴されるよう願ってやみません。
本書の編集にあたっては、中田真司先生、河原田修身先生、森岡信行先生、竹本和司先生のご協力に心から謝意を申し上げます。
2003年6月
横井良明
松尾 汎
(一部改変)

末梢血管に対する経皮的インターベンション(percutaneous peripheral intervention:PPI)は、はなやかな経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)の陰に隠れ、どちらかといえば陽の当たらない存在である。これまでPCIに関しては、日本国内でもいくつかの教科書といえる書籍が出版されてきた。しかしPPIに関しては皆無であった。PPIはPCIのような爆発的な広がりをみせてはいないものの、横井良明先生らの努力により徐々に広がりつつある。そのような状況の中で、本書は時代の要請に応じて生まれ出たといえるであろう。まさしく横井良明先生のPPIにかける情熱を感じさせる書籍である。

 本書は横井良明先生がいうように、よきにつけあしきにつけ、現在の日本におけるPPIの現状を反映した書籍である。よい点としては、もちろんすべてのPPIについて網羅している点があげられる。そしてそれぞれの実際の手技に関して、症例を呈示しながら、技術的な解説と注意点が述べられていることが、PPI初心者にとって読みやすい内容となっている。PPIのように、今現在大きく発展しつつある手技に関しては、それぞれの術者によって、いろいろな工夫ややり方が存在する。本書においては、多数の第一人者によってそれぞれの技術が紹介されているので、ある程度PPIをすでに行っている者にとっても有益である。

 PCIにおいては、治療法のよしあしに関しては多数の臨床試験によって証明されたエビデンスが重視される。残念ながらPPIの分野では、まだ臨床試験によって証明されたエビデンスは少ない。このため、本書においても学問的な真実の積み重ねよりも、実際の臨床の場でのそれぞれの経験を記述する体裁となっている。これが、横井良明先生のいうところの日本におけるPPIの現状である。

 PCIが日本において爆発的拡大の兆しをみせはじめたのは、1985年ごろであった。このころ、冠動脈形成術研究会が、延吉正清先生、光藤和明先生、鈴木孝彦先生、そして筆者を含めた7、8名の医師を中心として設立された。それは2003年、横井良明先生、松尾 汎先生らの努力により、JPIC(Japan Peripheral Intervention Conference)が設立されたことと似た状況であった。

 本書が出版され、日本のPPIの現状が明らかにされたことにより、今後日本において科学に根ざしたPPIが広く発展していくきっかけになることを切に願っている。

(齋藤 滋)
臨床雑誌内科93巻1号(2004年1月号)より転載