雑誌

別冊整形外科

No.70 骨折(四肢・脊椎脊髄外傷)の診断と治療(その1)

編集 : 遠藤直人
ISBN : 978-4-524-27770-4
発行年月 : 2016年10月
判型 : A4
ページ数 : 242

在庫あり

定価6,804円(本体6,300円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

骨折は整形外科医が日常的によく経験し、特に若手医師が担当する症例の多くは外傷、骨折である。さらに昨今では骨折治療そのものの専門性が高まっている。その診断と治療においては、まず重症度評価を行い、全身治療とともに骨折の治療方針について高度な判断と技術に基づく対応が必要となる。本特集では骨折の病態、診断から治療までを幅広く取り上げ、本巻(その1)では総論、骨盤・下肢、脊椎を扱った。

I.骨折の総論
 わが国の外傷診療システムの問題点
 高度救命救急センター併設総合病院における四肢外傷治療センター設立の意義とその役割
 長崎大学病院における外傷センター設立の意義
 救命センターでの骨盤骨折の治療戦略策定とその教育
 Insufficiency fracture,fragility fractureおよび脆弱性骨折の由来
II.骨盤・下肢
 1.骨盤・骨盤輪
  骨盤輪骨折に対するsacro-iliac rod fixation(SIRF)の有用性
  脊椎インストゥルメンテーションを使用した骨盤輪骨折の固定
  骨盤輪骨折を伴う多発外傷における血清乳酸値の検討と有用性
  腰仙椎・骨盤輪損傷に対する低侵襲再建手術
  T型骨折に対する腹臥位後方アプローチ−3Dプランニングと術中3D-MPRによる整復位評価
  高齢者骨盤輪骨折の診断と治療
 2.股関節・寛骨臼
  股関節後方脱臼骨折に対するアプローチと固定法の工夫
  寛骨臼骨折の診断と治療戦略
 3.仙骨
  不安定型仙骨骨折の治療
 4.大腿骨近位部(頚部・転子部)
  大腿骨転子部骨折の髄内型を髄外型に組み替える方法
  大腿骨転子部骨折AO分類31-A2.3および31-A3に対するcephalomedullary short nailの治療成績
  腸骨大腿靱帯と骨折発生メカニズムから考える大腿骨転子部骨折とその整復法
  大腿骨転子部骨折に対しshort femoral nailを使用した小侵襲観血的骨接合術−大転子部“bald spot”の有用性
  Gammaネイル固定術後の脆弱性骨折に対してテリパラチド投与が奏効した1例
  高齢者大腿骨近位部骨折の人工骨頭置換術に対するセメントレスステム選択−初回手術から再手術まで
  モジュラー型セメントレスcalcar-replacementステムと一体型大転子プレートを用いた超高齢者大腿骨転子部不安定型骨折に対する人工骨頭置換術の治療成績
 5.大腿骨骨幹部
  大腿骨骨幹部骨折の治療戦略
 6.膝蓋骨
  超高分子量ポリエチレン製ケーブルを用いた膝蓋骨骨折に対する経皮的ワイヤリング
 7.脛骨遠位
  下腿骨遠位開放骨折に対する軟部組織のトラブルを考えた治療戦略
 8.足関節
  足関節果部骨折に合併する遠位𦙾腓靱帯結合損傷
 9.非定型大腿骨(転子下・骨幹部)骨折
  骨修飾薬の長期使用に伴う非定型大腿骨骨折の診断・治療の現状と今後の展望
  非定型大腿骨骨折の治療経験
 10.合併症・続発性
  ロッキングプレートを用いた大腿骨ステム周囲骨折の治療
  陰圧閉鎖療法を併用した下腿急性コンパートメント症候群の治療
III.脊椎
 1.脊椎椎体(頚椎・胸椎・腰椎)
  脊椎外傷に対する手術的治療の適応と方法
  中下位頚椎損傷に対する急性期治療
  上位頚椎損傷の診断・分類・治療
  軸椎歯突起骨折の治療経験
  骨粗鬆症性中下位腰椎椎体骨折に対する手術戦略
  胸腰椎破裂骨折に対する非除圧後方固定術
  胸腰椎損傷に対する低侵襲手術アルゴリズム
  脊柱管狭窄症を伴った中下位腰椎骨粗鬆症性圧潰に対する治療選択
  骨粗鬆性椎体骨折に対する血管柄付き肋骨移植
 2.びまん性特発性骨増殖症例における骨折
  脊柱靱帯骨化症に伴う頚髄損傷
  びまん性特発性骨増殖症に発生した脊椎骨折のパターンと治療法
  びまん性特発性骨増殖症における脊椎損傷の不安定性評価の重要性と麻痺の関連−名古屋脊椎グループ102例の手術例について
 3.脊髄損傷を伴う脊椎骨折
  頚椎・頚髄損傷の診断
  脊椎・脊髄損傷における急性期の合併症(椎骨動脈損傷,深部静脈血栓症)とリハビリテーションおよび薬物療法
 4.高度な骨粗鬆症を伴う例
  高度な骨粗鬆症を伴う椎体骨折の外科的治療
  骨粗鬆症性椎体骨折に対する手術適応の変化による治療効果の検証



 骨折(四肢・脊椎脊髄外傷)は整形外科医が日常的によく経験するもので、特に若い整形外科医にとって担当する症例の多くは外傷・骨折であり、手術を執刀する例も骨折例が多いのが現状と思います。一方、骨折の形態、軟部組織の状態、神経・血管損傷の有無、さらには患者の年齢、骨(骨粗鬆症)の状態、基礎疾患や合併損傷など、それぞれの症例ごとに異なります。例えば、小児期にみられるものから青年〜壮年期でのスポーツ傷害、労働災害、交通災害としての受傷例もあります。加えて高齢者の脆弱性骨折例も近年増加しており、高齢者の加齢による内臓器障害、認知機能低下、摂食嚥下障害、家庭環境などが骨折そのものの治療法や治療後の自立獲得・維持に影響しています。さらには、骨折単独の例から多発外傷のなかで骨折を伴う例まであります。
 したがって患者の重症度の評価を行い、全身の傷害への治療とともに骨折への治療方針について高度な判断に基づく対応が必要となります。そのため、骨折(四肢・脊椎脊髄外傷)の診断と治療においては、高度な判断を行うことができるような力量と技術を習得する必要があります。さらに骨折治療そのものの専門性も高まっていることから、本特集号では骨折(四肢・脊椎脊髄外傷)の病態、診断から治療まで幅広く取り上げ、その総論および骨盤・下肢、脊椎について扱っております。
 骨折に対する手術および保存的治療とその成績、診断や治療に関する新しい知見と取り組みについて、さらには推奨する基本的な治療法についての論文が多数集まりました。それだけこの分野への関心が高いことを示していると思います。存分に読んで参考にしていただき、実際の診療に役立てていただくことを願うものです。

2016年10月
新潟大学教授
遠藤直人