雑誌

別冊整形外科

No.61 難治性骨折に対する治療

ISBN : 978-4-524-27761-2
発行年月 : 2012年4月
判型 : A4
ページ数 : 244

在庫僅少

定価6,804円(本体6,300円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

生体は基本的には骨折を癒合させる優れた修復能力を持っているが、骨欠損や感染等々の状況下では難治性骨折となってしまう。骨折が難治性となる種々の要因である、「骨癒合を妨げる全身因子」「骨折の見落とし」「手術や後療法のポイント」などを解説。低出力超音波パルス(LIPUS)の新知見や、各部位における種々の治療方針による優れた治療成績、骨癒合促進の基礎的な知見も紹介した。

I.難治性骨折にしないために
 難治(偽関節・遷延癒合)になる機序―患者特性
 難治性骨折にしないための要点―手術的治療のポイント
 骨折部周囲への最小侵襲固定術の骨癒合期間の検討
 橈骨近位端骨折の治療にあたって―骨折を見落とさない、偽関節にならないためには
 不安定性大腿骨転子部骨折に対するshort femoral nailによるマネジメント―前方骨性支持の獲得をめざして
 横止め髄内釘を用いて治療した大腿骨骨幹部骨折における遷延癒合の発生要因の検討
 下肢長管骨骨折に対するダイナマイゼーションの効果
 足舟状骨疲労骨折の早期診断・早期治療の重要性

II.難治性骨折の治療(総論)
1.低出力超音波パルス(LIPUS)
 ヒト骨折血腫由来細胞およびヒト偽関節組織由来細胞を用いた低出力超音波パルスの作用機序の生物学的検討
 大腿骨・脛骨骨幹部粉砕骨折に対する術後早期低出力超音波パルス治療―難治性骨折の予防策となりうるか
 スポーツ選手の難治性跳躍型脛骨疲労骨折に対する低出力超音波パルスの治療効果
 骨癒合不全に対する電気刺激治療と超音波治療の併用効果

2.手術の工夫
 遷延癒合・偽関節に対する粉砕術(chipping technique)の応用
 難治性骨折例や骨折にかかわる難治合併症に対しマイクロサージャリー手技とIlizarov法でほとんど解決できる
 巨大骨欠損を呈した下肢長管骨開放骨折、感染性偽関節に対する骨延長術による再建
 皮膚および骨欠損を有する感染性偽関節に対する開放延長療法
 下肢感染性偽関節に対する血管柄付き骨移植術

III.難治性骨折の治療(各論)
1.上肢骨折
 ロッキングプレートを用いた上腕骨病的骨折に対する最小侵襲プレート固定法
 上腕骨骨幹部骨折術後偽関節に対する手術法
 Transolecranon fracture-dislocation of the elbowの治療戦略
 肘頭骨折の引き寄せ鋼線締結法で難治性骨折をつくらない
 難治性舟状骨偽関節に対する有茎橈骨移植術
 舟状骨偽関節と遷延治癒―手関節鏡による治療戦略
2.脊椎・骨盤骨折
 難治性脊椎骨折―要因と対策
 びまん性特発性骨増殖症に発生した脊椎骨折の診断と治療
 寛骨臼後壁骨折は予後不良骨折か
 重症骨盤輪開放骨折に対する前方腰椎腸骨固定
3.下肢骨折
 大腿骨骨幹部骨折の髄内釘手術後遷延癒合・偽関節例に対する治療法の選択
 大腿骨複合骨折の治療成績
 高齢者に発症する両側大腿骨骨幹部疲労骨折の診断・治療
 下肢関節周辺骨折に対する即時創外固定後の二期的プレート固定法
 ピロン骨折に対する髄内釘固定法
 脛骨関節内骨折に対するリング型創外固定法の治療経験
 非感染性脛骨偽関節に対するIlizarov創外固定器による治療成績
 脛骨骨幹部Gustilo分類IIIb型開放骨折後長期創外固定装着例に対するEnder法の治療経験
 人工股関節周囲骨折の治療経験
 ステム再置換術後の人工股関節周囲骨折に対しダブルロッキングプレートを用いた骨接合術

IV.骨癒合促進のチャレンジ
 骨癒合評価法―X線像とacoustic emission法
 難治性骨折(偽関節)患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞移植による骨・血管再生療法
 ウサギ骨折モデルに対する肝細胞増殖因子を用いた骨折の遺伝子治療

運動器のコアを形成する骨の破綻(骨折)は、整形外科の中心的な研究課題であり、その治療こそが求められている臨床的役割であると言えます。パーツの多い運動器ですが、どの部位の専門家になったとしても、整形外科医である限り骨折は基本的関心事から外れることはないと思います。生体は基本的には骨折を癒合させる優れた修復能力を持っていますが、骨欠損や感染等々の状況下では難治性骨折となってしまいます。整形外科の歩みはこの難治性骨折対策と言っても過言ではなく、現時点での最先端の知見を紹介すべく本特集を企画しました。
 まずI章では、骨折が難治性となる種々の要因を検討いただきました。骨癒合を妨げる全身因子、骨折の見落とし、手術や後療法のポイントなど、示唆に富む指摘をいただきました。II章では難治となってしまった骨折の治療総論として、近年健康保険で用いることができるようになった低出力超音波パルス(LIPUS)の新知見をいくつか紹介し、また手術における得意技の数々もご披露いただきました。III章では各部位における種々の治療方針による優れた治療成績を、IV章では骨癒合促進のチャレンジとしての基礎的な知見を紹介しました。本誌全体として、わが国の骨折治療の水準の高さを示す、読み応えのある特集になったと思います。
 骨折の多くは生命を脅かすものではないために、治療の意義が社会からはあまり高く評価されてきていません。しかし、骨折癒合不良例における障害度は相当に高いため、難治性骨折の治療法改善は喫緊の課題と考えられます。さらには、高齢者の増加に伴い転倒骨折するものが増え続けており、治療の的確さ、低侵襲性、早期退院などが社会から求められています。すべての整形外科医は、あらゆる骨折を素早く治すことを目標としているはずであり、本誌から得られた情報を、明日の診療に、次の手術に、チャレンジングな研究に役立てていただければと願います。
2012年3月
自治医科大学教授
星野雄一