教科書

パートナー生薬学改訂第4版

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 木内文之/小松かつ子/三巻祥浩
ISBN : 978-4-524-40388-2
発行年月 : 2022年2月
判型 : B5
ページ数 : 484

在庫なし

定価5,830円(本体5,300円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

生薬学のスタンダードな教科書.「総論」「各論」の二部構成で,「総論」は生薬の歴史から成分,流通,漢方までを幅広くカバー.「各論」は各生薬について,基原植物の科別に分類のうえ,基原,性状から漢方での応用までをフルカラー写真とともに紹介.今改訂では,第十八改正日本薬局方に対応し,各論の分類ごとの生薬収載順を頻用順に整理したほか,化学構造式の表記法を統一した.

総論
 第1章 生薬と生薬学
  1.生薬学とは
  2.生薬
 第2章 生薬の歴史
  1.はじめに
  2.西欧圏の医薬学史
  3.東洋の医薬学史
  4.日本の医薬学史
 第3章 生薬の基原植物の形態と分類
  1.植物の形態を表す基本的な植物学用語
  2.植物の内部形態
  3.植物の分類
  4.法律で取り扱いが規制されている植物
 第4章 生薬の成分
  1.慣用的分類
  2.生合成的分類
  3.化学成分に基づく系統的解析
 第5章 生薬の品質評価
  1.形態と官能による評価
  2.物理・化学的評価
 第6章 生薬生産と流通
  1.生薬生産のあゆみ
  2.野生品採取による生薬生産
  3.生物多様性条約とABS
  4.薬用植物栽培
  5.組織培養と遺伝子組換えの育種的利用
  6.薬用資源としての下等植物
  7.生薬の調製・加工(修治)
  8.生薬の変質
  9.生薬の供給と流通
 第7章 漢方薬
  1.漢方医学と漢方薬
  2.漢方の考え方
  3.漢方薬の剤形
  4.現在使われている漢方薬
  5.漢方の基本処方―構成生薬による分類
  6.漢方の基本処方―使用目的による分類
  7.日局収載漢方処方の解説
  8.漢方処方の服薬指導
  9.漢方生薬の相互作用
  10.漢方薬構成生薬の薬効の解析
  11.民間薬
各論
 植物生薬
  ■藻類
  ■真菌類
  ■裸子植物亜門
  ■被子植物亜門
  ■■双子葉植物綱
  ■■■離弁花植物亜綱
  ■■■合弁花植物亜綱
  ■■単子葉植物綱
 動物生薬
  ■環形動物
  ■軟体動物
  ■節足動物
  ■脊椎動物
 鉱物生薬
付録
 生薬総則
 生薬試験法概要
 確認試験法概要
 生薬定量法概要
 局方収載精油類一覧表
 局方収載脂肪油類一覧表
 局方収載デンプン類一覧表
 使用量上位生薬の国内生産量と輸入量
 一般用漢方処方一覧表
 参考書
本書における薬学教育モデル・コアカリキュラム対応一覧
索引
 生薬名索引
 和文索引
 欧文索引

 生薬は人類の歴史のなかで見出された最初の医薬品であり,その医療文化・科学発展の過程においてよりよい生薬が選択・選別されて現在にいたっている.生薬は我が国における医薬品の原点であり,医師が薬師(くすし)と呼ばれていた時代には,もっぱら生薬が病の治療に利用されていた.明治以降,西欧文明の上に立つ学問が分析的な方向に進み,生薬を研究する学問は細分化されて,有機化学,薬理学,生化学,植物栽培学などが関与するようになっているが,生薬は今も漢方処方,生薬・漢方製剤などの原材料としてのみならず,天然由来医薬品開発の原点として重要な位置を占めている.今日,臨床現場で治療薬として使用されている医薬品のなかには,伝統的に使用されていた生薬の薬効知識あるいは天然物を由来として開発されたものが多い.一方,伝統医療の利点も再発見され,漢方処方エキス製剤の多くに健康保険が適用され,多くの医師が漢方製剤を日常診療で使用している.生薬・漢方製剤は医療の現場のみならず,薬局・薬店などでもセルフメディケーションに応用できる医薬品として重要な位置を占めてきている.しかし,生薬は天然由来の多成分系医薬品で品質に幅が生じやすいという問題点などもあり,生薬を理解するためには生薬利用の歴史,原植物の鑑定,化学成分,薬理活性から臨床応用まで広範な学問領域の知識が要求される.生薬領域の諸先輩のご努力により,1983 年に刊行された『INTEGRATED ESSENTIALS 生薬学』はこれらの知識を要領よくまとめたテキストとして多くの薬学生に親しまれ,その後,6 年制薬学教育に対応した『パートナー生薬学』へと引き継がれて,多くの薬系大学で採用されてきた.
 今回の改訂に際しては,第十八改正日本薬局方に準拠し,引用文献の見直しと必要に応じた追加を行うとともに,内容に重複のみられた総論部分の構成を見直して内容を整理した.また,各論での生薬の配列を見直し,同じ科の中では漢方処方に使われる頻度を基本に配列した.さらに,構造式の書き方の統一を図ったが,構造式は化合物群によって異なる書き方をする場合が多いことから,あえてすべてを統一してはいない.なお,前版同様生薬とその原植物をカラーで掲載し,学生が生薬学を通して,生薬・漢方のみならず薬用植物にも興味をもてるよう配慮するとともに,漢方薬・生薬認定薬剤師認定試験にも対応できるようにした.
 さて,2006 年にスタートした6 年制薬学教育の基本となる薬学教育モデル・コアカリキュラムが2013 年度に改訂された.この改訂モデル・コアカリキュラムでは,生薬・天然物化学領域で学ぶべき項目は「C 薬学基礎[C5 自然が生み出す薬物(1)薬になる動植鉱物・(2)薬の宝庫としての天然物]」と「E 医療薬学[E2 薬理・病態・薬物治療(10)医療の中の漢方薬]」に分かれて設定され,漢方薬を医療薬学で扱うこととなった.前版では,生薬を学ぶにあたり最低限の漢方の知識を修得する必要性があると考え,総論の「第7 章 生薬の特徴と漢方薬」を継続記載した.今回の改訂ではこの部分の内容も見直し,一般用漢方処方の一覧は付録にした.生薬を原材料とする漢方処方エキスの日本薬局方への収載は第十五改正から開始されたが,第十八改正でも2 種が追加され,37 種の漢方処方エキスが収載されるにいたっている.薬剤師には医師からの漢方薬を含む処方箋を生薬学の知見・漢方の立場から理解し,適切な処方であるか否かをチェックし,患者に服薬指導していく知識がますます要求されている.
 諸先輩の教育経験に基づく編纂を積み重ねて刊行されてきた本書であるが,今回の改訂で薬学生にとってさらに利用価値を増したものと確信している.より充実した教科書とするためにも,内容の不備,誤りなど忌憚のないご意見・ご指摘をお寄せいただければ幸甚である.
 終わりに本書の改訂出版に際し,広範な編集・校正などにご尽力をいただいた南江堂の方々に深謝いたします.
 2021 年12 月
 木内 文之,小松かつ子,三巻 祥浩

9784524403882