教科書

パートナーシリーズ

パートナー薬剤学改訂第3版

  • 新刊

編集 : 原島秀吉/伊藤智夫/寺田勝英
ISBN : 978-4-524-40337-0
発行年月 : 2017年3月
判型 : B5
ページ数 : 436

在庫あり

定価7,020円(本体6,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

「新薬剤学改訂第3版」と「パートナー薬剤学改訂第2版」の合本改訂版。両書の長所を取り入れ大幅リニューアルを実施。生物薬剤学、物理薬剤学、製剤学を網羅。改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムと薬学アドバンスト教育ガイドライン(例示)に対応。高度な内容にはマークが付されており、個人のレベルに合わせて学習することができる。章末には演習問題を掲載。第十七改正日本薬局方対応。

序章 薬剤学総論
 A 医薬品とは
 B 剤形から物理薬剤学へ
 C 生物薬剤学
 D 薬物速度論
 E 薬物送達学
 F 医薬品開発におけるパラダイムシフト
 G エピジェネティクス,核酸医薬,ナノ医療
第1章 薬物の体内動態
 1.生体膜透過
  A 生体膜透過機構
  B 単純拡散(受動拡散)
  C トランスポーター(輸送担体)
  D 促進拡散
  E 一次性能動輸送
  F 二次性能動輸送
  G トランスポーターの輸送活性制御
  H トランスポーターの遺伝子変異
  I 創薬標的としてのトランスポーター
  J 膜動輸送
  K 非撹拌水層
  L 生体膜透過性の予測と解析
 2.吸収
  A 消化管吸収
  B 消化管吸収機構
  C 消化管吸収に影響を与える要因
  D 消化管以外の経路からの吸収
  E 吸収過程における薬物相互作用
 3.分布
  A 分布とは
  B 組織移行性
  C 分布容積
  D 薬物のタンパク結合
  E 正常時・病態時における薬物のタンパク結合
  F 脳移行と血液脳関門・血液脳脊髄液関門
  G トランスポーターを介した脳への移行とその回避
  H リンパへの移行
  I 高分子医薬品の体内分布
  J 妊娠時における薬物のタンパク結合
  K 胎児移行と血液胎盤関門
 4.代謝
  A 代謝酵素と代謝反応
  B プロドラッグと活性代謝物
  C 代謝過程における薬物相互作用
 5.排泄
  A 腎臓の構造と機能
  B 腎排泄機構−糸球体濾過,尿細管分泌,再吸収
  C 尿細管分泌・再吸収の分子機構
  D 薬物の腎排泄評価法
  E 胆汁中排泄
  F 胆汁中排泄の分子機構
  G 腸肝循環
  H 薬物の胆汁中排泄評価法
  I その他の排泄
  J 排泄トランスポーターにおける薬物間相互作用
 6.個別化医療
  A 遺伝的要因
  B 年齢的要因
  C 臓器機能低下
  D その他の要因
第2章 薬物動態の解析
 1.薬物速度論
  A 線形コンパートメントモデル
  B 線形1-コンパートメントモデルに基づいた解析
  C モーメント解析
  D 臓器クリアランス(肝,腎)および固有クリアランス
  E 血液中濃度と血漿中濃度との関係
  F 体内動態の非線形性
  G 生理学的薬物速度論モデル
  H 薬物動態学-薬力学解析(PK-PD解析)
  I ラプラス変換
 2.TDMと投与設計
  A TDMとは
  B TDMの対象薬物
  C 血中薬物濃度の測定
  D 投与計画
  E TDMの実際
  F TDMデータの再構築による薬物適正使用への支援
  G チーム医療とTDMのコーディネーター
  H 母集団薬物速度論
第3章 製剤の性質
 1.粒子と粉体の性質
  A 粒子径と表面積
  B 粉体の性質
  C 粒子内の分子配列
 2.医薬品の溶解現象
  A 医薬品の溶解と溶解度
  B 固形製剤の崩壊と医薬品の溶出
  C 医薬品の溶解に影響を及ぼす因子
 3.レオロジー
  A 弾性変形と粘性流動
  B 構造粘性
  C チキソトロピー
  D 粘弾性の力学的模型
  E レオロジー的性質の測定方法
  F 固有粘度(極限粘度)と分子量
 4.界面化学
  A 界面活性と表面吸着
  B 表面張力の測定
  C 界面活性剤の性質
  D 分散系
 5.反応速度論と医薬品安定性
  A 反応速度と反応次数
  B 反応速度に影響する因子
  C 医薬品の安定性とその改善
第4章 製剤設計
 1.代表的な製剤
  A 製剤化の意義
  B 日本薬局方に規定されている各種製剤の特徴
  C 経口投与する製剤の種類と特性
  D 粘膜に適用する製剤の種類とその特性
  E 注射により適用する製剤の種類とその特徴
  F 皮膚などに適用する製剤
  G その他の製剤の種類とその特性
 2.製剤化と製剤試験法
  A 添加剤
  B 単位操作
  C 代表的な剤形の製剤化
  D 容器・包装
  E 製剤関連試験法
  F 製剤の物性値と品質との関係
  G 物性測定に使用する装置の原理
 3.生物学的同等性
  A 生物学的同等性を議論する背景
  B 生物学的同等性の概略
  C 経口固形製剤の生物学的同等性
  D biopharmaceutics classification system(BCS)
  E 生物学的同等性試験のレギュレーション
  F 生物学的同等性試験の実施例
第5章 ドラッグデリバリーシステム(DDS,薬物送達システム)
  A ドラッグデリバリーシステム(DDS)の概念
  B 物理学的アプローチ(放出制御型製剤)
  C 化学的アプローチ
  D 生物学的アプローチ
  E 高分子素材を利用した薬物体内動態の制御
  F リポソームの利用
  G エマルションやマイクロスフェアの利用
  H 高分子ミセルの利用
  I 新たなDDS
  J DDSの副反応
  K DDSの課題
参考書
演習問題解答
本書における薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応一覧
本書における薬学アドバンスト教育ガイドライン(例示)対応一覧
索引

改訂第3版の序

 『パートナー薬剤学改訂第3版』は、『パートナー薬剤学改訂第2版』と『新薬剤学改訂第3版』との合本として出版されることになった。『パートナー薬剤学』は『IE(Integrated Essentials)薬剤学』を前身とし、寺田勝英、伊藤智夫の編集により薬学教育6年制に対応すべく、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の内容を網羅するかたちで2007年に初版が出版された。2012年には6年制薬学教育を修めた一期生が卒業するとともに新薬剤師国家試験が実施され、新しい国家試験に対応できるように改訂第2版が出版された。一方、『新薬剤学』は辻彰の編集により、激変する医薬品開発の動向を意識して内容を一部大学院レベルまで拡張したかたちで2002年に初版が出版された。2007年に改訂第2版、2011年には原島秀吉が編集を引き継ぎ改訂第3版が出版された。この間、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に伴い、2015年度入学生から改訂コアカリに沿った教育が始まり、薬剤学の教育内容も新しくなった。
 医薬品開発の領域において、これまで主役を担ってきた低分子医薬品が次々と特許切れに直面していくにもかかわらず、新たな医薬品の開発は困難を極めた。そのような状況の中で、抗体医薬というまったく新しいタイプの医薬品が次々と開発され、従来の低分子医薬品では治療することのできない疾病の治療に大きな進歩がみられた。日本は抗体医薬品の開発に出遅れてしまったともいわれたが、ニボルマブ(商品名オプジーボR)という免疫チェックポイント阻害薬が、日本発世界初の画期的ながん免疫療法の抗体医薬品として開発され、2014年、日本で最初に承認された。このように日進月歩で進化していく医薬品の進歩に対応するために、2015年に旧薬事法が改正されて「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」となり、新しい医薬品への対応が図られた。同時に、山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したiPS細胞を用いた再生医療や遺伝子治療の実用化に迅速に対応するために、「再生医療安全性確保法」も施行された。2016年には、第十七改正日本薬局方が施行されている。21世紀に入り、医薬品の世界ではパラダイムシフトが起こり、薬剤学の内容もこれらの大きな変化に対応して新しくする必要性が生じ、今回の改訂となった。
 本書では、学部レベルの内容を超えている場合には「Advanced」というかたちで、わかりやすい解説が加えられている。将来、病院や薬局、あるいは製薬企業や大学、官庁等の種々の領域で活躍する学生にとって、本書がよき「パートナー」として役立つことを期待している。

2017年2月
原島秀吉
伊藤智夫
寺田勝英