教科書

薬剤学実験法必携マニュアル

Pharmaceutical Scientistのために

編集 : 日本薬剤学会出版委員会
ISBN : 978-4-524-40306-6
発行年月 : 2014年4月
判型 : B5
ページ数 : 794

在庫あり

定価12,960円(本体12,000円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

薬剤学領域の実験に必須の基本的情報と汎用される方法・手技についてまとめた、実験マニュアル書。実験の具体例も豊富に紹介。物理薬剤学、生物薬剤学の2分冊で、それぞれ基本編、応用編の2部構成。学部学生・院生から企業等の研究者・医療機関等に従事する薬剤師まで、ニーズに応じての利用が可能。薬剤学にかかわるすべての方に、必携の一冊。

〔I.物理薬剤学〕
A 基本編
1 医薬品製剤に共通する(ドラッグライクネス)物性評価
 1.1 医薬品の溶解度測定
 1.2 医薬品の溶解速度測定
 1.3 医薬品の分配係数測定
 1.4 医薬品の分解速度定数測定
2 固形医薬品の物性評価
 2.1 X線回折
 2.2 熱分析
 2.3 熱量測定
 2.4 固体NMR法
 2.5 振動スペクトル分析
  2.5.1 赤外分光法
  2.5.2 近赤外分光法
  2.5.3 ラマン分光法
 2.6 粒子径測定
 2.7 比表面積測定
 2.8 表面分析
  2.8.1 走査型電子顕微鏡(SEM)
  2.8.2 原子間力顕微鏡(AFM)
  2.8.3 エネルギー分散型X線分析(EDX)
  2.8.4 オージェ電子分光法(AES)
 2.9 水蒸気吸着測定
 2.10 結晶、非晶質および結晶化度
 2.11 粉体物性の計測・解析
3 液状および半固形医薬品の物性評価
 3.1 界面張力の測定
 3.2 溶液中の拡散係数の測定
 3.3 粒子のゼータ電位の測定
 3.4 粘度測定・粘弾性測定
 3.5 展延性
 3.6 粘着力
B 応用編
4 製剤開発における物性評価
 4.1 プレフォーミュレーション段階での物性評価
  4.1.1 スクリーニング法(全般、概念)
  4.1.2 原薬の開発形態の選択
  4.1.3 結晶形態のスクリーニング
  4.1.4 スクリーニングにおける物性評価
  4.1.5 配合変化試験
  4.1.6 医薬品添加剤
 4.2 錠剤の物性評価
  4.2.1 錠剤の強度
   4.2.1.1 硬度
   4.2.1.2 曲げ強度
   4.2.1.3 摩損度
   4.2.1.4 分割性
  4.2.2 錠剤の崩壊
   4.2.2.1 崩壊試験
  4.2.3 錠剤の溶出
   4.2.3.1 溶出試験
  4.2.4 錠剤の水分
   4.2.4.1 乾燥減量(LOD)
   4.2.4.2 平衡相対湿度(ERH)
  4.2.5 錠剤の形状
   4.2.5.1 直径と厚み
   4.2.5.2 質量偏差
  4.2.6 錠剤の品質
   4.2.6.1 外観
   4.2.6.2 含量試験、含量均一性試験
  4.2.7 安定性試験
 4.3 医薬品の苦味の評価とそのマスキング
 4.4 注射剤:バイオ医薬品の物性評価と品質設計
5 臨床での問題解決
 5.1 注射剤の配合変化の解析と予防
 5.2 医薬品と医療材料の相互作用とその予防
 5.3 ジェネリック医薬品(後発医薬品)の評価
  5.3.1 製薬企業の立場から
   5.3.1.1 胃酸分泌抑制剤投与による低胃酸の被験者での生物学的同等性試験
   5.3.1.2 ヒト肝細胞キメラマウスとトキシコゲノミクスの手法を用いる薬剤性ヒト肝障害リスク予測法(T-LEX法)
  5.3.2 医療の立場から
 5.4 吸入剤の機能性評価
 5.5 貼付剤の機能性評価
  5.5.1 製剤からの薬物放出性と皮膚透過性
   5.5.1.1 水放出試験
   5.5.1.2 経皮吸収の評価−In vitro皮膚透過試験
   5.5.1.3 経皮吸収の評価−In vivo試験
  5.5.2 局所安全性(かぶれ)の評価
   5.5.2.1 In vitroでの評価
   5.5.2.2 動物での試験
   5.5.2.3 ヒトでのパッチテスト
  5.5.3 適用時における皮膚への付着性の評価
   5.5.3.1 粘着特性試験
 5.6 投与経路変更のための剤形変更
 5.7 簡易懸濁法の適否
和文索引
欧文索引

〔II.生物薬剤学〕
A 基本編
1 生物薬剤学における研究倫理
 1.2 人間を対象とした研究倫理
 1.1 実験動物を対象とした研究倫理
2 試料の調製および分析法
 2.1 試料のサンプリングと保存
 2.2 試料の前処理法
 2.3 試料の定量法
3 薬物吸収実験
 3.1 経口投与
  3.1.1 In vitro実験
   3.1.1.1 Ussing chamber法
   3.1.1.2 反転腸管法
   3.1.1.3 単離小腸上皮細胞法
   3.1.1.4 単離膜小胞法
   3.1.1.5 Caco-2細胞法
   3.1.1.6 輸送体タンパク質発現系法
  3.1.2 In situ実験
  3.1.3 In vivo実験
  3.1.4 BCS
 3.2 直腸投与
 3.3 鼻腔および呼吸器投与
  3.3.1 In vivo鼻腔内投与実験
  3.3.2 In vitro肺粘膜透過実験(気液界面細胞培養系)
  3.3.3 In vivo肺内投与実験(切開気管内投与法および経口気管内投与法)
  3.3.4 In situ肺内投与実験
 3.4 経皮投与
  3.4.1 In vitro実験
  3.4.2 In vivo実験
4 薬物分布実験
 4.1 タンパク結合
  4.1.1 血漿・組織タンパク結合
  4.1.2 受容体タンパク結合
 4.2 血液組織関門
  4.2.1 血液脳関門/血液脳脊髄液関門
  4.2.2 血液胎盤関門
  4.2.3 血液網膜関門
5 薬物代謝実験
 5.1 酵素源としての組織サンプル
  5.1.1 組織スライスおよび分離細胞の調製と実験方法
  5.1.2 組織ホモジネート・S9画分・可溶性画分(サイトゾル)・ミクロソーム画分の調製
 5.2 ミクロソームを用いたシトクロムP450(CYP)活性の測定
  5.2.1 速度論パラメータの見積もりとin vivoへのスケールアップ
  5.2.2 代謝阻害実験とその解析方法−競合阻害、MBIを含む
   5.2.2.1 可逆的阻害
   5.2.2.2 不可逆的阻害(MBI)
 5.3 その他の酵素活性の測定
  5.3.1 エステラーゼ
  5.3.2 UDP-グルクロン酸転移酵素
 5.4 酵素誘導実験
  5.4.1 実験動物を用いたin vivoでの酵素誘導実験
  5.4.2 酵素誘導剤を投与したマウス肝ミクロソーム画分の調製と薬物代謝酵素活性の測定
  5.4.3 培養細胞を用いた酵素誘導実験
 5.5 薬物代謝酵素の発現方法
6 薬物排泄実験
 6.1 腎排泄
  6.1.1 In vitro実験
   6.1.1.1 培養細胞を用いた薬物輸送実験
   6.1.1.2 細胞膜小胞を用いた薬物輸送実験
  6.1.2 In vivo実験
   6.1.2.1 In vivo腎クリアランス実験
 6.2 胆汁排泄
  6.2.1 In vitro実験−胆汁排泄速度の測定
  6.2.2 In vitro実験−凍結肝細胞を用いた取り込み輸送実験
  6.2.3 In vitro実験−サンドイッチ培養肝細胞を用いたIn vitro輸送実験
B 応用編
7 DDS 製剤の評価
 7.1 核酸製剤
 7.2 遺伝子製剤
  7.2.1 In vitro実験
  7.2.2 In vivo実験
 7.3 細胞製剤
 7.4 ワクチン製剤
  7.4.1 抗原特異的抗体価の測定
  7.4.2 抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)活性の測定
  7.4.3 抗原特異的サイトカイン産生細胞数の測定
 7.5 リポソーム製剤
  7.5.1 エタノール注入法
  7.5.2 ドキソルビシン内封リポソームの調製法・定量法
  7.5.3 リガンド修飾PEG-リポソームの調製法
  7.5.4 リポソーム濃縮・精製方法
8 ペプチド、タンパク、抗体製剤の評価
 8.1 ペプチド・タンパク性医薬品の吸収性および安定性の評価
  8.1.1 消化管吸収性の評価
  8.1.2 経鼻吸収性の評価
  8.1.3 経肺吸収性の評価
  8.1.4 体内での安定性の評価
 8.2 抗体製剤の評価
9 多能性幹細胞(ES細胞、iPS細胞)の利用
 9.1 ES細胞とiPS細胞
 9.2 ヒトiPS細胞から肝細胞への分化誘導
 9.3 ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞への分化誘導
10 ファーマコプロテオミクス
11 動態解析プログラム(in silico系)
 11.1 線形最小二乗法
 11.2 非線形最小二乗法
12 臨床試験とマイクロドージング
13 臨床への応用
 13.1 遺伝子解析と薬物療法
  13.1.1 ゲノム薬理学の臨床応用と遺伝子解析
  13.1.2 ヒト生体試料からのゲノムDNA 抽出
  13.1.3 遺伝子解析法
   13.1.3.1 PCR-RFLP法
   13.1.3.2 DNA sequencing法
  13.1.4 遺伝子解析における倫理的配慮・個人情報の保護と解析結果の解釈
 13.2 抗菌薬のPK-PD
 13.3 Population pharmacokinetics 解析法
 13.4 TDM
  13.4.1 治療薬物モニタリング(TDM)
  13.4.2 TDMに関する研究例
和文索引
欧文索引

2012(平成24)年4月、日本薬剤学会が公益社団法人に移行したことに伴い、公益事業の一環として出版委員会(以下、本委員会)の活動が本格化した。出版事業として具体的に進める方向を本委員会で議論したが、これまで「薬剤学」に関する優れた専門書や教科書が国内外で多数刊行されているにもかかわらず、研究を進めるうえで参考になる体系化された実験書がほとんど見当たらないことから、新規の刊行書として従前の書籍とは異なる特色のあるものとなるよう、『薬剤学実験法必携マニュアル−Pharmaceutical Scientistのために』(2分冊)の編纂を目指すことにした。本書は、研究者、とくに若手の研究員あるいは大学院・学部の学生が、各自の実験の計画および遂行にあたり最初に通読することにより概要を理解し、本格的な研究に進むための導入書として企画した。
 薬剤学は、医薬品の開発と生産から医療における医薬品の適正使用の確保まで、すなわち基礎的科学研究から臨床研究にわたる学際的分野である。このため、研究に役立つ実験マニュアルとしてどこまでの内容を網羅するかが課題となった。薬剤学は当初、医療における薬剤師の重要な職務である調剤を科学的に支える分野であったが、20世紀後半から医薬品産業の進歩に伴い、とくに製剤の技術革新を科学的側面から支援する物理薬剤学および生物薬剤学として大きく発展してきている。このような背景から、本書は物理薬剤学と生物薬剤学の系に分けて2分冊とし、それぞれの系で基礎科学研究(基本編)から企業における開発研究や臨床での研究(応用編)にいたる編集を行った。
 このように、幅広い内容を含む実験マニュアルとするために、80名を超える気鋭の方々に本委員会から執筆をお願いした。各筆者は、それぞれの分野で当該実験に実績があり研究報告を多数行っておる方々で、その経験を生かし、実験マニュアルとして役立つよう記述いただいた。本委員会から感謝申し上げたい。また、随所で若手の研究者に執筆いただいたが、これを大所高所から指導いただいた指導教員の先生にも御礼申し上げたい。
 本書は、広範囲にわたる薬剤学の研究領域を網羅した実験マニュアルであるが、薬剤学研究者にとどまらず、広く医薬品に関わる研究に従事する科学者(Pharmaceutical Scientist)に役立つように願っている。大学などのアカデミアのほか、製薬企業などの研究者、さらに医療に従事する薬剤師の研究に活用していただきたい。実験および研究方法は日進月歩である。本書の改訂は機会をみて行いたい。なお、本書の編纂では細心の注意を払ったが、思わぬ誤謬については、読者のご指摘をお願いしたい。
 本書の作成にあたり、短期間の編集にもかかわらず執筆を快諾いただいた方々に、本委員会を代表して御礼申し上げる。

2014年3月
日本薬剤学会出版委員会
委員長 渡辺善照