教科書

環境衛生科学

編集 : 大沢基保/内海英雄
ISBN : 978-4-524-40196-3
発行年月 : 2006年4月
判型 : B5
ページ数 : 448

在庫あり

定価5,940円(本体5,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 序文

科学的理解を基礎として、環境と健康に関する諸問題と対策を示す教科書。薬学部での履修内容(薬剤師国家試験ガイドライン網羅)の化学的事項を中心に、医学・生物学にまたがる事項を解説。最新の法規等(水道法、環境基準)に準拠。近年の重要な問題(院内感染、シックハウス症候群、SARSなど)を取り上げ、医学・保健学・工学・農学・理学でも有用な一冊

環境問題は今世紀の社会の抱える最も大きな問題のひとつである。それには、20世紀前半までの感染症の大流行を経て、最近ではエイズ、高病原性鳥インフルエンザのような新たな感染因子や感染経路によるバイオハザード、職業病や公害に始まり、日常的な生活環境や食品からの化学物質曝露と、それによる健康障害や潜在的な健康影響が憂慮されているケミカルハザード、地球環境までの環境汚染の広がりによる紫外線量の増加などのフィジカルハザードなどが含まれる。これらの環境問題は、生物種の存続をも含めた健康との関係がその中心である環境衛生の問題である。地球環境までをも含む生活環境の安全の科学は、環境因子と人(および生物)の相互関係に関する最も基本的かつ必要な科学となっている。
「環境」を書名に冠した書籍は数多く出版されているが、欧米の教科書のように大学の専門課程レベル向けの科学的記述が豊富な入門書は少ない。また、環境の記述が中心で、かつ、環境と健康の関係の問題は広範囲で、さらに科学的な結論が出ていないものも多いため、記述が並列的、断片的になりがちである。

 本書はそのような状況の中、環境と健康に関する科学と対策に関する大学の専門課程の新しい教科書あるいは参考書として、環境と健康に関する境界分野の科学を環境衛生科学とする視点から編集したものである。本書は、科学としての流れを意識して、序論において環境衛生科学の来歴とその課題を、第I部では毒性学、環境化学、環境衛生分析などの環境衛生の基礎について解説し、第II部では環境因子ごとに健康との関わりについて、化学および医学、生物学にまたがる事項を取り上げ、第III部では生活環境媒体(場)ごとの環境衛生を論じ、第IV部では環境保全と対策について、科学・技術と法制度の両面から記述し、環境衛生を科学として体系的・総合的に捉えられるよう配慮した。(本書の編集中に、上記の内容とやや異なるが、米国において“Environmental Health Science”の題の教科書が発刊された。)

 環境衛生は薬学をはじめ医学・保健学・工学・農学・理学にまたがる境界分野であるので、本書は、これら諸分野の専門課程での息の長い教科書・参考書となること、また、できるだけ最新の知見と考え方を取り入れ、環境衛生の現場に携わる研究者・技術者のリカレントの参考書ともなり得ることに留意して編集された。薬学の教育カリキュラムのなかでは、環境衛生は保健衛生や食品衛生と関連して必須の分野となっている。講義での使用を考慮して基本的事項から説さ起こすこと(基本的事項+発展的事項)に留意し、また、薬剤師国家試験で環境衛生分野として出題される事項も網羅されるように編集した。
 これらの点に十分配慮したつもりであるが、本書をご利用される諸氏には、不十分なところが多々あるかと思われる。不十分な点はひとへに編者らの責任によるもので、本書をよりよいものとするために、読者諸氏には忌憚無きご批判、ご意見をお寄せ下さるよう期待する次第である。本書が、新しい視点の環境衛生分野のテキストの嚆矢となり、環境衛生の科学および関連する学問分野の発展に寄与し、生活環境の安全の確保と健康の維持・増進の一助となることを願ってやまない。とくに、環境と健康の問題に関心をもつ若い諸君の科学する心の一助となり得れば、望外の幸せである。
 本書を出版するにあたり、時間と闘い、編者らの独断的な意見を斟酌して頂いた執筆者各位に深く感謝いたします。
2006年3月
大沢基保
内海英雄
(一部改変)