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呼吸器疾患最新の治療2013-2015

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編集 : 貫和敏博/杉山幸比古/門田淳一
ISBN : 978-4-524-26993-8
発行年月 : 2013年2月
判型 : B5
ページ数 : 528

在庫なし

定価10,800円(本体10,000円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

最新情報と治療方針を整理し、簡潔にまとめた「最新の治療」シリーズの呼吸器疾患版。巻頭トピックスでは、「NHCAPガイドライン」や新規肺癌遺伝子「EML4-ALK」などの注目テーマを取り上げた。各論では治療方針、処方の実際から患者管理、生活指導までを具体的に記すとともに、治療に関するトピックスを解説し、呼吸器診療のすべてを網羅する。巻末には便利な薬剤一覧表を収載。

I 巻頭トピックス
 1.東日本大震災―津波災害と呼吸器診療
 2.呼吸器内視鏡による診断と治療の進歩
 3.ALI/ARDSと心原性肺水腫の鑑別Update
 4.NHCAPガイドライン
 5.抗菌薬療法の進歩―Hit and Away
 6.抗インフルエンザ薬の現状と使い分け
 7.喘息の全ゲノム関連解析GWASの解説─日本の報告と世界の報告
 8.COPDの新しい治療展開─自然史と病型分類からみた治療戦略
 9.世界に広がるCOPDマクロライド治療
 10.特発性間質性肺炎診断と治療の手引き(改訂第2版)
 11.気腫合併肺線維症
 12.難治性サルコイドーシスの治療
 13.肺高血圧症―新たな診断基準と治療戦略
 14.新しい肺癌遺伝子EML4-ALKとその臨床応用
 15.悪性胸膜中皮腫の増加と治療戦略
II 主な呼吸器用薬剤の作用機序と適応
 1.鎮咳薬
 2.去痰薬
 3.気管支拡張薬
 4.抗アレルギー薬
 5.抗炎症・免疫抑制薬
 6.副腎皮質ステロイド薬
 7.抗癌薬
 8.抗菌薬
III 呼吸器疾患の治療手技
 1.気管挿管/気管切開
 2.酸素吸入の流量決定と投与方法
 3.侵襲的人工呼吸の適応とウィーニング
 4.NPPV(非侵襲的陽圧換気)の急性呼吸不全における適応と実際
 5.胸腔穿刺法と胸腔チューブの挿入法
 6.心膜腔穿刺法と開窓術
 7.気道狭窄の治療―レーザー治療とステント治療
 8.在宅酸素療法の適応と導入
 9.肺理学療法
 10.運動療法の実際
 11.在宅人工呼吸療法の適応
 12.肺移植の現状
IV 呼吸器系の救急治療
 1.慢性呼吸不全の急性増悪
 2.重症喘息発作
 3.喀血
 4.気胸
 5.胸水貯留
 6.気道異物(成人)
 7.化学物質の吸入
 8.気道熱傷
 9.溺水
 10.高地肺水腫
V 呼吸不全と呼吸調節障害
 1.急性呼吸不全とARDS
 2.慢性呼吸不全
 3.睡眠時無呼吸症候群
 4.原発性肺胞低換気症候群
 5.過換気症候群
VI 呼吸器感染症
 1.かぜ症候群と急性気管支炎
 2.百日咳(成人)
 3.原因菌不明の市中肺炎
 4.マイコプラズマ肺炎
 5.クラミジアニューモニエ肺炎
 6.オウム病
 7.Q熱
 8.レジオネラ肺炎
 9.肺膿瘍
 10.肺アスペルギルス症
 11.肺クリプトコックス症とその他の肺真菌症
 12.MRSA肺炎
 13.緑膿菌感染症
 14.肺結核(症)
 15.結核性胸膜炎
 16.非結核性抗酸菌症
 17.寄生虫、リケッチアによる肺感染症
 18.ニューモシスチス肺炎
VII 閉塞性肺疾患と気道系疾患
 1.気管支喘息―難治性喘息/重症喘息に対する生物学的製剤による治療
 2.咳喘息
 3.COPD(肺気腫/慢性気管支炎)
 4.びまん性汎細気管支炎/副鼻腔気管支症候群
 5.気管支拡張症
VIII 間質性肺疾患
 1.急性間質性肺炎
 2.特発性肺線維症
 3.非特異性間質性肺炎(NSIP)
 4.特発性器質化肺炎(COP/BOOP)
 5.肺Langerhans細胞組織球症
 6.慢性好酸球性肺炎
 7.肺胞蛋白症
 8.リンパ脈管筋腫症
IX 免疫・アレルギー性肺疾患
 1.サルコイドーシス
 2.過敏性肺炎
 3.アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)
 4.急性好酸球性肺炎
 5.ANCA関連肺疾患
 6.granulomatosis with polyangiitis:GPA(Wegener肉芽腫症)
 7.Goodpasture症候群
X 医原性肺疾患
 1.薬剤性肺障害
 2.放射線性肺臓炎
 3.造血幹細胞移植後の呼吸器合併症
XI 肺循環障害
 1.肺血栓塞栓症
 2.特発性および遺伝性肺動脈性肺高血圧症
XII 全身性疾患による肺病変
 1.腎不全、透析患者の肺合併症
 2.膠原病の肺病変
 3.エイズ(HIV感染症)の肺病変
 4.血液疾患(悪性リンパ腫、白血病)の肺病変
XIII 腫瘍性疾患
 1.肺癌の外科治療
 2.小細胞癌治療の手術適応と化学療法
 3.非小細胞肺癌の集学的治療
 4.肺癌合併症への対策
 5.肺癌の緩和ケア
 6.抗癌薬の副作用対策
 7.縦隔腫瘍の治療
 8.転移性肺腫瘍
 9.胸膜中皮腫
XIV 先天性異常・形成不全
 1.肺分画症
 2.肺動静脈瘻(肺動静脈奇形)
XV 呼吸器疾患の患者指導
 1.妊娠時の呼吸器薬の取り扱い方
 2.慢性呼吸不全患者の日常生活指導と在宅医療―現状と問題点
 3.慢性呼吸不全患者に対する栄養指導
 4.誤嚥性肺炎防止のための患者指導
 5.肺癌の外来管理
 6.禁煙指導の実際
巻末付録─薬剤一覧表
索引

「呼吸器疾患最新の治療」は3年ごとにupdate を続け、本書で6巻目となりました。3年は呼吸器診療を見直すためには良い期間のようで、幸い多くの読者に高く評価されています。今版より2色印刷となり、各項目の内容を視覚的に把握でき、多忙な診療中も簡便に必要な内容を確認することができるものと思います。加えて今版より「オンラインアクセス権」が準備されました。昨今のデジタル時代、本書の電子版へのアクセスにより検索等で利便性の向上が期待されます。
 本シリーズは冒頭に「巻頭トピックス」を採用している点が特徴です。ここでは3年間の診療上の進歩や新規項目が詳細に解説されています。今回は東日本大震災における津波被害と呼吸器診療を、最前線病院である石巻赤十字病院の先生方より報告いただき、ガイドラインとしては医療・介護関連肺炎(NHCAP)、特発性間質性肺炎、肺高血圧症を取り上げました。新たな注目点として気腫合併肺線維症、さらに日本で発見された新規肺癌遺伝子EML4-ALKとその分子標的治療薬を取り上げています。その他にもインフルエンザA(N1H1)pdm09の経験を踏まえた抗インフルエンザ薬の使用、鑑別が問題となるALI/ARDSと心原性肺水腫、難治性サルコイドーシスへの対応、COPDではコホート研究を基礎とした自然史と病型分類や注目されるマクロライド治療を解説いただきました。危惧されていた患者増加が現実になった悪性胸膜中皮腫や、日本人喘息患者のGWAS研究、抗菌薬使用理論としてのHit and Away 法、また日常臨床に導入されたEBUS 等の呼吸器内視鏡の進歩など、今回も充実した内容となっています。
 本書の根幹はY〜 XIV章の呼吸器疾患各論にあります。ここでは“Topics”も挿入され、疾患の最新の考え方や処方例を詳述しています。これを補助するのがU章の「主な呼吸器用薬剤の作用機序と適応」や、V章の「呼吸器疾患の治療手技」です。近年注目される内科救急としての「呼吸器系の救急治療」はW章に、また「呼吸不全と呼吸調節障害」はX章にまとめています。これらは疾患各論に対しての横糸のように使用薬剤の薬理、治療手技の確認等、臨床現場の要求に対応するものです。さらに最近重視される患者への説明に対応するものとして、XV章に「呼吸器疾患の患者指導」をまとめています。これらは外来、入院を通して日常診療を別の面から支援するものです。
2013年1月
貫和敏博
杉山幸比古
門田淳一

あらゆる内臓器官の中でも、呼吸器は複雑な病態と実に多様な疾患を作り出す臓器であり、その診断法や治療法もさまざまである。これに対応する昨今の医療機器開発や創薬における技術革新も著しいため、数年前の解説書はあっという間に時代遅れになってしまう。本書は、これらの問題点を解決するために3年ごとにアップデートされてきた、今回で6巻目となるロングセラー本である。
 本書はI〜XV章に分かれ、そのうちII〜V章が総論、VI〜XIV章が各論という構成になっているが、ほかの解説書より短期で改訂される本書の利点を生かした企画といえるのが、I章の巻頭トピックスである。この章で読者は直近3年間における新しい診断法、治療法、ガイドラインなど呼吸器疾患の最新のトレンドを把握することができる。特に冒頭の「東日本大震災―津波災害と呼吸器診療」は、災害時における呼吸器救急医療を知るよい機会となった。このほかにも抗菌薬療法や抗インフルエンザ療法の現状、ALI/ARDSと心原性肺水腫の鑑別、特発性間質性肺炎や肺高血圧症の改訂ガイドライン、肺癌遺伝子EML4-ALKなど呼吸器疾患全般の新しい話題や変更点などが多く取り上げられ、必見である。
 総論の部分にあたるII〜V章では、薬剤の作用機序・適応、治療手技、救急治療、呼吸障害の4つの大きなテーマに的を絞って概説してある。これらは多くの疾患に共通したものであり、後述の各論を補う内容となっている。一方、読者がもっとも汎用する各論は、疾患の解説、診断・検査、治療法に分けられており、疾患の解説と診断・検査に関しては簡潔にエッセンスだけに絞った把握しやすい内容である。これに対する治療法については、方針の立て方と治療法が、具体的な処方例などを呈示しながら解説されているのが特徴である。多くの疾患に共通するような病態や治療については、総論の部分で補?するかたちがとられており、重複を省いたある意味非常にいさぎよい構成となっており、その結果全体的にとても簡潔で読みやすい。さらに「Topics」というコラムが随所に設けられ、最新の知見が出典とともに紹介されていて便利である。
 本書の使い方は読者それぞれにゆだねられると思うが、多忙な日常臨床の中で担当患者について調べたい場合、確定診断がついていない場合には総論から該当する診断法や一般的な治療法を、診断がついていれば各論から各疾患の具体的な治療法を参考にすればよいといった使い方が想定される。単なる治療書にとどまらないのは、薬物治療以外にも呼吸器疾患に対する日常ケアの仕方、患者指導の項目がXV章に別建てで設けられている点である。
 通常、本書が網羅する呼吸器疾患を一つの成書にまとめると、辞典のように分厚く重たいものになってしまうが、前述のごとく総論、各論の役割分担を明確にし、エッセンスだけを簡潔に述べた本書は携帯性にも優れており、日常臨床の中で、患者への説明時や自らがふと疑問に思ったときにさっと取り出して使え、診療中のベッドサイドや外来診察室などにも手軽にもっていくことができる。しかも今回から、今はやりのモバイル端末での利用を想定したWeb書庫へのオンラインアクセス権がつくようになっており、本書の用途はさらに広がりそうである。

胸部外科66巻7号(2013年7月号)より転載
評者●長崎大学腫瘍外科教授 永安武